カジノ反対”ハマのドン” 横浜市長選挙控えいよいよ政治活動へ

「あの人(菅義偉総理)は旅人なんだよ。横浜で生まれて横浜で育っても旅人みたいな人いるけど。俺なんか村人だから。責任もたなきゃだめだよ。旅人は4年間の任期をやればいいとか。10年間いればいいとか。本社の命令でどこかいけばいいとか。そんなこととは違う。旅人は旅人でいなさいって。だから横浜のことで余計なこと言うなって」

4月19日、一般社団法人横浜港ハーバーリゾート協会が初めての全体集会を開き、会長である藤木幸夫会長(藤木企業取締役会長)が物騒な発言も含めて強烈に菅首相や林文子・横浜市長(74)を批判しまくった。

「衆議院議員で横浜から出る人でカジノ賛成だなんて人は殺したいよ」とまで言った藤木会長は今年90歳だが、ミナトヨコハマの象徴でもある横浜港運協会会長を長らく務め、政財界に広がる人脈と影響力から”ハマのドン”とも呼ばれている。ただし「情理に厚い」という信条から、カジノ誘致に反対はしても、特定政治家への発言などは取材陣にしつこく聞かれてもかわしてきたし、あくまでも「個人のケンカ」という立場をとってきた。

しかし、長年の関係がある菅首相や林文子市長が藤木氏らになんの説明もなく山下ふ頭でのカジノ建設を推進。これに対し、藤木氏ら港湾人は山下ふ頭は港湾人の聖地であると、反対し代替案を提示している。

また、カジノについてはその後は政治状況も変わり、日本政府が推進する意味もほぼ消滅。そもそも日本のカジノ誘致は米国の意向といわれてきた。それもトランプ大統領のスポンサーであるラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長の意向である。しかしアデルソン氏は昨年5月13日に日本進出を断念し、今年1月に死去。トランプ氏も昨年大統領選に落選。日本は米国にハシゴを外された状況になっている。

■8月の市長選で反カジノ候補者は

そのようななか、今年8月には横浜市長選があり、10月には衆議院が任期満了、来年には横浜市議選を控える。そのため藤木会長はまずは市長選で反カジノの市長を誕生させようと、「横浜ハーバーリゾート協会は政治的には動いていなかった。今日から動く」と協会で宣言。あらゆるものと連携すると、3月30日に立ち上がった「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」への参加も議決したという。

今後焦点になる市長選だが、すでにカジノ反対を掲げる2名が立候補を表明。林市長も出馬の見通しだが、今年1月には帯状疱疹による顔面麻痺で1カ月ほど入院し、健康不安も指摘される。一方で、神奈川選挙区の三原じゅん子参院議員、松沢成文参院議員(前神奈川県知事)などの名前も一部で取り沙汰されている。

「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」では今後、候補者擁立へと動く見込みで、藤木会長も選挙に向けて自民党以外のほぼすべての政党の人間と会っているいう。

藤木会長は「気持ちから言えば俺が立候補したいよ。一番簡単だからさ。端的だから」と言ったが、果たしてサプライズはあるのか。