新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が適用されている東京都で、さらなる対策が施される見通しとなった。3回目となる首都・東京への緊急事態宣言。百貨店など大型商業施設への休業要請が検討されている。マスク姿で街を行き交う買い物客らからは「またか」「遅すぎる」といった反発の声や、もっと効果的で強い対策を望む意見が聞かれた。
「緊急事態宣言と言われても、3度目では重みを感じないですね」。21日昼過ぎの東京・銀座。三越銀座店前で待ち合わせをしていた東京都足立区のパートの女性(70)はつぶやいた。
都内では今月12日、23区と6市を対象地域として重点措置が適用されたばかりだ。年明けに再発令された緊急事態宣言が解除されてから1カ月しかたっていない。女性は「対策と解除を繰り返すのではなく、海外のロックダウン(都市封鎖)のように強い措置でコロナを一気に抑え込んでほしい」と訴えた。
近くを通りかかった中央区の主婦、金子響子さん(67)は「政府も都も対応が遅すぎる」と批判し、重点措置よりも先に緊急事態宣言を出すべきだったと主張する。文京区の主婦、菊池久子さん(75)は「もっと早く出すべきだったと思うが、緊急事態宣言が出たら外出は控える」と話した。
昨年4~5月に発令された初めての緊急事態宣言。都は映画館や美術館、商業施設などに幅広く休業を要請した。百貨店も食品売り場を除いて要請の対象となった。ある大手百貨店の社員は、2年続けてゴールデンウイークを緊急事態宣言下で迎える見通しとなったことに落胆。「1年かけて安全な環境を整備したのに、主要な感染源ではない百貨店が休業対象となるのはおかしい」とこぼした。
主要百貨店が加盟する日本百貨店協会は20日の時点で、緊急事態宣言下でも営業継続を前提とした対策を講じるよう求める小池百合子都知事あての要望書を出している。休業は顧客の生活インフラに影響を与え、取引先企業の事業継続にも支障をきたしかねないとする内容だ。
都内外から訪れる大勢の買い物客や乗降客で日夜ごった返す新宿駅。駅と通路でつながる百貨店を訪れた渋谷区の自営業の女性(65)は「対策がコロコロ変わって効果が見えない。みんなが協力しなくなっている気がする」。杉並区の主婦、岸文子さん(84)は「(国や都は)東京オリンピックがあるから強い措置をとれないのだろうか」といぶかった。
若者の街・渋谷の繁華街を訪れた世田谷区のフリーターの男性(32)は「連休中は帰省せず、おとなしく過ごします」とすっかりあきらめ顔だ。神奈川県藤沢市のフリーターの女性(21)は1年前の緊急事態宣言を念頭に「自粛はこりごり。友達と遊びに行けなくなる」と嘆いた。横浜市の大学2年の女性(19)は「重点措置と緊急事態宣言の違いが分からない。どう行動を変えたらいいのか」と困惑気味に話した。【遠藤大志、井口慎太郎、李英浩、木下翔太郎】