ワクチン5月大量供給も…最凶「二重変異株」国内侵入 強い感染力で免疫かいくぐる恐れも

英国由来の新型コロナウイルス変異株が急拡大するなか、インドで発見された1つのウイルスで2つの変異が起きる「二重変異株」が、日本国内で5件確認されたことが分かった。強い感染力を持ち、免疫をかいくぐる恐れがある。政府は大型連休後の5月中旬以降、高齢者に接種するワクチンを大量供給する計画だが、新たな変異株の抑制も重要になる。
加藤勝信官房長官は22日の記者会見で、二重変異株について「情報収集、評価分析を進めるとともに、水際対策の強化、変異株に対する監視体制の強化を通じて感染拡大防止対策を徹底していきたい」と述べた。
加藤氏は二重変異株について「昨年末にインド国内の2州で初めて確認されて以降、インド国内で患者の割合が増加している」と指摘。その上で「感染性を高めたり、ワクチンの効果に影響を与えたりする可能性があることなどの見解を(世界保健機関が)公表したことは承知している」と説明した。
インドでは1日当たりの感染確認者数が31万4835人と世界最悪。インド政府は二重変異株と感染急拡大との関連は「証明されていない」としているが、ワクチン接種が感染拡大に追いつかないのが実情だ。
日本国内では、河野太郎行政改革担当相が22日、大型連休後の5月中旬以降、高齢者への接種が想定されるワクチンの都道府県別割り当てを発表。5月10日の週と17日の週に計約1800万回分(約1万6000箱)を送る。高齢者約3600万人の約半数が2回接種のうち1回目を打つ量で、供給不安を解消する狙いだ。今後も供給は潤沢で、6月末で高齢者の数を上回る量が確保できるとの立場だ。
米ファイザー社製ワクチンは英国由来の変異株には有効とされ、接種を順調に進めることが最大の感染対策となる。同時に二重変異株対策も欠かせなくなってきた。