新型コロナウイルス対策で飲食店などの時短営業が続くなか、路上や公園で飲食する「外飲み」が増えている。28日からは、横浜や川崎など9市で新たに「酒類提供停止」も始まるが、屋外での酒盛りが感染拡大の温床となってしまえば、飲食店が痛みに耐えて協力する意味が半減してしまう。神奈川県や各市は「我慢」を呼びかけている。
「仕事が終わる頃には、どこの店も閉まってしまう」
大勢の人が行き交う横浜駅西口近く。26日午後8時頃、商業施設前のベンチに腰をかけた20歳代の会社員の男性は、缶のハイボールをあおりながら話した。勤め先の後輩と待ち合わせていたが、思ったようには職場を出られなかったという。「県職員や警察官から注意されればやめるけれど、『宅飲み』に変えるだけ。昨春の緊急事態宣言下では気をつけて生活していたが、もう1年もたっているので」
西口周辺では午後7時を過ぎた頃から、徐々に広場や路上で飲酒する人が目立ち始め、時短営業の店が一斉に閉まる午後8時以降、飲み足りない酔客があちこちでみられた。
会社の同僚という20~30歳代の男女3人は歩道で立ったまま、アルコールの缶を手に談笑。30歳代の男性は「大好きだった焼き肉店がコロナ禍でつぶれてしまったし、居酒屋は時短営業だし、外で飲むしかない」という。
今月に入り、屋外でのグループ飲食が原因となった可能性があるクラスター(感染集団)も確認されている。横浜市内の私立大のストリートダンスサークルで11日、数十人規模の学生が参加する学外公演の後、一部メンバーが屋外で飲食していた。これが発端かは断定されていないものの、23日時点で感染は部員47人に広がっている。
こうした状況を受けて県は、3政令市に「まん延防止等重点措置」が適用された20日以降、時短営業を確認する職員の巡回に併せ、外飲み自粛の呼びかけも県警と連携して行っている。
横浜市は28日~5月11日、混雑が予想される公園などで飲酒の自粛を呼びかける。海の公園(金沢区)のバーベキュー場では酒類提供をやめ、予約客にも持ち込み自粛を要請。山下公園(中区)では職員らが見回りも行う。川崎市も、公園に大人数での宴会利用を控えるよう求める看板を設置するという。