東京オリンピック・パラリンピックの中止を求める署名をインターネット上で募っている元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏は14日、署名が35万筆を超えたことを受け、東京都や国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)に要望書を提出した。政府や大会組織委員会にも提出する方針。
宇都宮氏は「五輪中止によって利用可能になる資源を、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、人々の命と暮らしを守るために向けるべき」だとして、5日正午からオンライン署名サイト「Change.org」で募集を始めた。9日午後2時51分までの約100時間で30万筆を突破。同サイトの日本語版が2012年に開設されて以来、最速のペースで署名数が伸びており、14日正午現在で35万筆を超えている。
学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざんに加担させられたとして自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の「自死の真相を求めるキャンペーン」(約38万筆、20年3月スタート)に次いで、歴代2位につけているという。
宇都宮氏はこの日、東京都庁を訪れ、大会の中止を求める要望書を提出し、集まった署名数を報告。IOCとIPCにはメールで提出した。その後、都庁で記者会見を開き、「これだけの署名が短期間に集まり、驚いていると同時に勇気づけられている。五輪の中止が決断されるまで署名運動は続ける」と述べた。【土江洋範】