「友梨ちゃんにおかえり必ず言う」不明18年、幼なじみ警官の誓い

あの日から18年がたっても、にっこりしていた笑顔が忘れられない。幼なじみの同級生は何者かに連れ去られたとされ、今も行方不明になっている。まちの治安を最前線で守る「お巡りさん」になった男性(27)は、職場で1枚のポスターを見つめるたび心の中でこう語りかける。「『おかえり』って必ず言ってあげるからね」
男性は大阪府警和泉署地域課に所属し、和泉市内の交番で勤務する巡査長。幼なじみの吉川友梨さんは2003年5月20日午後3時ごろ、同じ府南部の熊取町で下校途中に行方が分からなくなった。2人は当時、小学4年生だった。
「はにかんで笑うあの顔を見ると、幼い頃に一緒に遊んだ記憶がいつもよみがえる。友梨ちゃんを無事に帰してあげなくちゃと思う」。職場の交番には、友梨さんの情報提供を呼び掛けるポスターが張ってある。男性は出勤後に必ず目をやり、一日でも早い解決を誓っている。
友梨さんは同じ保育園に通っていた。それぞれの親の迎えを園内で待ちながら、ブロックなどのおもちゃで遊んだ。小学校でも3年生まで同じクラス。誰にでも優しく、穏やかな女の子だった。休み時間になるとクラスメートらと校庭に出て、ドッジボールを楽しむ姿が印象に残っている。
18年前のあの日。友梨さんがいなくなったことは夜に知った。男性の両親は心配そうに周辺の捜索に出かけた。公開捜査になった数日後には大勢の報道陣が学校に集まり、「大変なことが起きてしまった」と改めて気づかされた。
校舎の玄関には、友梨さんにエールを送るボードを飾った。「友梨 がんばれ」とのメッセージを浮かび上がらせるように、みんなでカラフルな千羽鶴をあしらった。「みんな待っているから」との願いを込めたが、友梨さんは今も消息を絶ったままだ。
「わずかな異変見落とさない」
男性は5年前、警察官として活躍する父親の姿に憧れて同じ道に進んだ。将来は刑事を希望している。学生の頃、こんな夢を見た。友人から「友梨ちゃんが無事に帰ってきた」と聞き、胸をなでおろすという内容。警官になった今、「無事でいてほしい」との思いはさらに強くなっている。
交番の勤務は管内のパトロールやトラブル相談、犯罪の初動捜査など多岐にわたる。時には幼い子供の行方不明事案に接することもある。男性は自らに言い聞かせるようにこう語った。「手がかりになる情報がどこに紛れているか分からない。わずかな異変も見落としたくない」【安元久美子】
有力な手がかりなく
吉川友梨さんに関わる情報は約4800件(4月末現在)が大阪府警に寄せられているが、有力な手がかりは浮かんでいない。府警は行方不明になった経緯などをまとめた動画をインターネットで公開し、情報提供を呼び掛けている。
友梨さんは18年前、自宅から約400メートルの路上で同級生の男児とすれ違ったのを最後に足取りが途絶えた。付近で小学生くらいの女児を乗せた白い不審車が目撃されており、1987~90年製のトヨタ・クラウンとされる。府警はこの車が友梨さんを連れ去ったとみている。
府警は毎年5月20日前後に現場付近で検問し、情報を求めるビラを配ってきた。しかし、新型コロナウイルスの影響でいずれも2年連続で中止になった。
こうした中、府警は20年に初めて製作した動画で情報提供を呼び掛ける。友梨さんの写真や当時の服装、クラウンの映像などを紹介する内容。動画は府警ホームページで公開しているほか、17日以降はJR大阪駅や京セラドーム大阪の大型モニターなどでも流れている。
有力情報の提供者には最高300万円の「捜査特別報奨金」が支払われる。情報は、府警泉佐野署捜査本部(072・464・1234)へ。【安元久美子、森口沙織】