兵庫県丹波篠山市の同和地区を撮影した動画がインターネットに投稿されたことを巡り、市と地元自治会がサイト運営会社「ドワンゴ」(東京都)に動画削除を求める仮処分を申し立て、神戸地裁柏原支部が削除を命じる決定を出した。2月9日付で、動画は既に削除されている。
動画は市内の同和地区を撮影し、「貧民窟のイメージがあるが、どの家も立派な作りである」などの説明があったほか、地域名が特定できる場面もあった。2020年9~11月、動画投稿サイト「ユーチューブ」「ライブドアブログ」「ニコニコ動画」に相次いで投稿され、誰でも閲覧できる状態になっていた。
自治会長らが見つけ、市に相談。市と自治会は同10~12月、各サイトを運営するグーグル合同会社、LINE、ドワンゴに「差別的視点から動画を拡散流布しているもので住民らの名誉権、プライバシー権を侵害するのは明らか」などとして削除を求める仮処分を地裁支部に申し立てた。
グーグルとLINEは21年1月までに動画を削除。ドワンゴは「動画内容を確認したが、任意では削除しない」と争う姿勢を示したが、地裁支部は「(市側の)申し立てを相当」と認め、動画削除の仮処分命令を出した。市によると、その後、サイトから動画は削除された。
ドワンゴの広報担当は「現在、事実確認中」としている。
31日に記者会見した酒井隆明市長は「差別を助長する動画で驚きと怒りを感じた。表現の自由があっても、差別はゆるされない。運営会社は、動画内容を確認、精査する必要があるのではないか」と述べた。
部落解放同盟中央本部によると、自治体が差別動画の削除を申し立てたのは全国初という。同本部によると18年ごろから、全国で同様の動画が計100件以上報告されているという。同本部の大西聡総務部長は「民間や個人が削除を要請しても、ほとんど受け入れられない。自治体が裁判所に申し立てる効果は大きく、取り組みの広がりに期待したい」と話した。【幸長由子、村田愛】