日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が有価証券報告書に役員報酬を虚偽記載したとされる事件をめぐり、海外の約90の機関投資家が、株価下落で損失を被ったとして、日産に対して、計約345億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたと報じられた。 朝日新聞デジタルなどによると、原告は米国や英国、ドイツなどの機関投資家で、2011年6月以降、日産の株式を取引していたが、ゴーン元会長と元代表取締役グレッグ・ケリー氏が逮捕された18年11月以降、株価が大幅に下落し損失を被ったと主張しているという。5月26日に第1回口頭弁論があった。 ゴーン元会長は、役員報酬計約91億円を退任後払いにするなどして有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反の罪で逮捕・起訴されたが、保釈中に国外へ逃亡。公判手続きが進まない状態となっている。 虚偽記載の刑事事件の決着がまだという状況だが、今回のような機関投資家の損害賠償請求が認められる可能性はあるのだろうか。ファイナンスMBAを取得し金融商品取引法にも詳しい澤井康生弁護士に聞いた。 ●過去には「ライブドア事件」「オリンパス事件」でも 今回の提訴における損害賠償請求はどのようなものなのでしょうか。 今回の事件は、有価証券報告書に虚偽記載がなされたことにより株価が下落した損害を請求するものなので、「虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任」に基づく請求(金融商品取引法21条の2)ということになります。 この規定は、その会社に投資するかどうかの判断資料となる有価証券報告書中の「重要事項」に虚偽の記載がなされた結果、株価の下落で投資家が損失を被った場合、一定の要件を満たした投資家はその会社に対して株価の下落による損害を賠償請求できるというものです。 過去にも同様の損害賠償請求がなされた例はあるのでしょうか。 「ライブドア事件」や「オリンパス事件」が有名です。 両事件では、粉飾決算や損失隠しなどの財務状態を偽る虚偽記載だったので、有価証券報告書中の「重要事項」の虚偽記載といえ、損害賠償請求が認められました。 これに対して、今回のケースは、粉飾決算や損失隠しといったものではなく役員報酬を少なく見せかけるという虚偽記載だったので、「重要事項」に該当するかどうかが大きな争点になると思われます。 ●報道などの影響による株価下落も「損害」に含まれる 請求する損害の範囲はどうなるのでしょうか。
日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が有価証券報告書に役員報酬を虚偽記載したとされる事件をめぐり、海外の約90の機関投資家が、株価下落で損失を被ったとして、日産に対して、計約345億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたと報じられた。
朝日新聞デジタルなどによると、原告は米国や英国、ドイツなどの機関投資家で、2011年6月以降、日産の株式を取引していたが、ゴーン元会長と元代表取締役グレッグ・ケリー氏が逮捕された18年11月以降、株価が大幅に下落し損失を被ったと主張しているという。5月26日に第1回口頭弁論があった。
ゴーン元会長は、役員報酬計約91億円を退任後払いにするなどして有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反の罪で逮捕・起訴されたが、保釈中に国外へ逃亡。公判手続きが進まない状態となっている。
虚偽記載の刑事事件の決着がまだという状況だが、今回のような機関投資家の損害賠償請求が認められる可能性はあるのだろうか。ファイナンスMBAを取得し金融商品取引法にも詳しい澤井康生弁護士に聞いた。
今回の提訴における損害賠償請求はどのようなものなのでしょうか。
今回の事件は、有価証券報告書に虚偽記載がなされたことにより株価が下落した損害を請求するものなので、「虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任」に基づく請求(金融商品取引法21条の2)ということになります。
この規定は、その会社に投資するかどうかの判断資料となる有価証券報告書中の「重要事項」に虚偽の記載がなされた結果、株価の下落で投資家が損失を被った場合、一定の要件を満たした投資家はその会社に対して株価の下落による損害を賠償請求できるというものです。
過去にも同様の損害賠償請求がなされた例はあるのでしょうか。
「ライブドア事件」や「オリンパス事件」が有名です。
両事件では、粉飾決算や損失隠しなどの財務状態を偽る虚偽記載だったので、有価証券報告書中の「重要事項」の虚偽記載といえ、損害賠償請求が認められました。
これに対して、今回のケースは、粉飾決算や損失隠しといったものではなく役員報酬を少なく見せかけるという虚偽記載だったので、「重要事項」に該当するかどうかが大きな争点になると思われます。
請求する損害の範囲はどうなるのでしょうか。