10代接種の自治体に「殺すぞ」…ワクチン“悪質抗議の罪” 原稿読み上げるようなパターン化、行き過ぎには刑事罰も

新型コロナウイルスワクチンの接種対象を10代にも広げている地方自治体に対し、電話やメール、ファクスなどによる抗議が殺到し、業務がマヒする事態が生じている。「殺すぞ」などと脅迫するような発言もあるといい、悪質な場合は刑事罰に問われる恐れもあると法律の専門家は指摘する。
12~15歳へのワクチン接種開始がメディアに取り上げられた京都府伊根町では、7日午前9時から抗議の電話やメールなどが相次ぎ、30分で問い合わせ窓口がパンクした。抗議は8日までに170件に達した。
接種はあくまで任意だが、抗議は12歳以上への接種中止を呼び掛けるもので、原稿を読み上げるようなパターン化された電話も多かったという。ほとんどが町外からで、「子供への接種はリスクがある」「人殺し」などと職員が罵倒される例もあり、精神的なダメージを受けている若手職員や女性職員もいるという。町は京都府警にも相談している。
町担当者は「業務に支障が出ているため、やめていただきたい。関西では梅雨入りしているため、いつ災害対応をしなければならないかも分からず、町民の生命・財産を守る町の使命が果たせなくなる」と訴える。町では中学生への集団接種案もあったが、個別接種に切り替える方針で調整しているという。
愛知県東郷町でも5日に現地紙が12歳以上へのワクチン接種開始を取り上げると、8日までに約100件の抗議電話があった。日曜日だった6日のみ抗議はなかったという。
伊根町同様に「安全性を検証したのか」「なぜワクチンを推奨するのか」などと原稿を読み上げるような抗議が多く、県外からばかり。1回の抗議電話が30分以上も続くこともあり、7日には他の電話窓口もつながりにくい状況になった。
北海道奥尻町にも同様の抗議があったという。
SNS上では、ワクチン接種に反対する人たちの間で、伊根町や奥尻町などの連絡先も共有されているようだ。
弁護士の高橋裕樹氏は「自治体に正当な意見を述べることは問題ないが、『殺すぞ』といった発言は脅迫罪に問われてもおかしくない。抗議の内容や頻度によっては偽計業務妨害罪等での刑事告発もあり得る。SNSなどで悪質な抗議を呼び掛けた場合、偽計業務妨害罪の教唆や共同正犯という可能性もある」との見解を示した。