感染者減、病床使用率改善も繁華街の人出増 解除後の再拡大懸念

新型コロナウイルスの感染をめぐり、政府が検討する東京や大阪など10都道府県に発令した緊急事態宣言の20日の解除まで、残り約1週間となった。直近の感染者数は全国的に減少傾向で、病床の逼迫(ひっぱく)した状況も改善しつつある。しかし、一部の地域では繁華街の人出が増えてきており、専門家は宣言解除後の感染再拡大に警戒を強めている。
緊急事態宣言は、北海道▽東京▽愛知▽京都▽大阪▽兵庫▽岡山▽広島▽福岡▽沖縄――の10都道府県に発令されている。
厚生労働省が11日に公表した資料によると、新規感染者数は10都道府県全てで減少していた。直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は、京都▽大阪▽兵庫▽岡山▽広島▽福岡――の6府県で「感染急増」を示すステージ3の基準(15人)を下回った。北海道と東京都、愛知県はステージ3に該当し、「感染爆発」を示すステージ4の基準(25人)を上回るのは沖縄県だけとなった。
確保を見込む病床の使用率は、北海道と、愛知、福岡、沖縄の3県がステージ4の基準(50%)を上回り、残りの6都府県はステージ3(20%)。いずれの自治体も依然として高い水準にあるが、改善に向かっている。
ただ、専門家は今後の感染状況について楽観はしていない。「東京では人流(人の流れ)の増加が継続している。この傾向が続くと感染者数の下げ止まりやリバウンド(再拡大)が予測される」。厚労省に感染対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード(AB)」は9日に公表した資料で、こう懸念を示した。
東京都では、繁華街の人出が6日まで4週連続で増加。4月25日の宣言発令から2週間で最も人出が減ったが、その時と比べて夜は32%、昼は26%増えたという。大阪府や京都府でも、本来は5月31日までだった宣言の延長後に大きく増えたほか、愛知県や福岡県などでも増加している。
感染症に詳しい国際医療福祉大の松本哲哉教授は「感染者数が減ってきたことに人々が安心して、宣言が発令されている中でも人出が増えている。宣言が解除されれば人出はさらに増し、1カ月もたたないうちに感染者数が増加に転じる恐れがある」と危惧する。
高齢者へのワクチン接種が進み、企業による職域接種も始まる。ただ、松本教授は「7月末までに高齢者の大半が接種を終えたとしても、感染を抑え込めるほどの接種率にはまだならない」と指摘。ABも「(ワクチンにより)高齢者の重症化を抑えることが期待できるが、リバウンド後に感染者数の急増が続けば、結果的に重症者数も増加し、医療の逼迫につながる可能性がある」としている。
松本教授は今後の懸念材料に、インドで確認され感染力が強いとされる変異株が広がりつつあることや、東京オリンピック・パラリンピックとそれに関連したイベントで人の動きが活発になることを挙げ、「次の感染の『第5波』は、5月までの『第4波』の規模を超える可能性がある」と警鐘を鳴らしている。【小川祐希】