広島市中心部のサッカースタジアム建設予定地で市が進めている発掘調査で、旧陸軍の大規模な軍事施設遺構が見つかった。市によると、1945年8月6日の原爆投下で壊滅した「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊(輜重隊)」の跡とみられ、発掘された被爆遺構では最大級となる可能性がある。
スタジアムはサッカーJ1・サンフレッチェ広島の新たな本拠地として、広島城西側の中央公園広場(同市中区)に建設される。2022年1月に着工予定で24年のオープンを目指している。江戸時代の武家屋敷や近代の建物遺構があるとみて、市は建設を前に20年から1万4000平方メートルを対象に発掘調査を行っていた。
輜重隊は馬や車で武器や弾薬の輸送を担う部隊。遺構は地表から1メートル以上の深さにあり、厩舎(きゅうしゃ)とみられる建物の基礎や石畳、水路などの跡が確認された。周辺には戦前、輜重隊の兵舎や厩舎などが建ち並んでいたが、原爆投下で壊滅的な被害を受けた。爆心から1キロ以内に位置し、多数の兵士が被爆死した。戦後は跡地に盛り土をするなどし、原爆で家を失った市民のための簡易住宅が急きょ建てられた。
市は原爆投下直前に撮影された航空写真などと照合し、輜重隊の遺構である可能性が高いと判断した。市文化振興課は「戦前の広島が軍都であったことを示す貴重な遺構」と指摘している。
今回見つかった遺構については写真などで記録として残すほか、出土品は保存処理を施した上で展示も検討する。市は「スタジアム建設計画に影響や変更はない」としている。【賀有勇】