大阪市北区のカラオケパブで、オーナーの稲田
真優子
(まゆこ)さん(25)が殺害された事件で、店内の防犯カメラが取り外され、映像を記録するSDカードがなくなっていたことが捜査関係者への取材でわかった。大阪府警は、殺人容疑で逮捕した会社員宮本浩志容疑者(56)が証拠隠滅のためにカードを持ち去った可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、スマートフォンなどで遠隔から映像を確認できる「ネットワークカメラ」。店内の入り口付近の天井にぶら下げる形で設置されていたが、府警が現場検証したところ、カメラはコードが切断され、店内のおしぼりを入れる箱に置かれていたという。カメラ内にはカードは残されていなかった。
稲田さんは発見時、JR大阪環状線天満駅近くにある雑居ビル5階の「カラオケパブ ごまちゃん」の店内の入り口付近であおむけに血を流して倒れ、顔にはタオルのような布がかけられていた。店からは稲田さんのスマホが見つかった。
カードには殺害時の映像などが残されている可能性があり、府警は18日、宮本容疑者の自宅を捜索。宮本容疑者は調べに「店には行ったが、やっていない」と容疑を否認しているという。
宮本容疑者は約4年間にわたり、常連客として稲田さんがいる店に通っていた。
宮本容疑者は、4年前に訪れた大阪市北区のカラオケバーで従業員だった稲田さんと知り合い、稲田さんが今年1月に「カラオケパブ ごまちゃん」を開くと、毎日のように仕事帰りにスーツ姿で来店していた。
1人でカウンターに座って焼酎を飲み、稲田さんにも親しげに話しかけていたという。稲田さんとデュエットをすることもあり、常連客らからは「ひろし」と呼ばれていた。
一方で、稲田さんは宮本容疑者について「しつこい」と周囲に漏らしていた。知人の会社員男性(43)は、宮本容疑者からLINEでメッセージが2時間で20~30件届くとの相談を受け、「もう来ないで」と伝えたとも聞いたという。
別の常連客の男性(37)は、店で稲田さんと宮本容疑者と3人だけになった際、帰ろうとすると稲田さんから引き留められたことがあったといい、「2人きりになりたくなかったのかもしれない」と振り返った。