新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が9都道府県で解除され、東京など7都道府県は21日、「まん延防止等重点措置」に移行した。都内では飲食店での酒類提供が約2カ月ぶりに「解禁」され、さっそく堂々とビールジョッキを傾ける人たちの姿も。だが、「1グループ2人以内」「滞在90分以内」の条件に対しては不満も渦巻く。
飲食店やオフィスが建ち並ぶ港区麻布十番の焼き肉店「栄来亭」。21日は酒類の提供を再開し、午後5時半ごろから、生ビールのジョッキを片手に焼き肉をほおばる客の姿がみられた。酒類の提供は午後7時まで、営業は8時まで。それでも、マネジャーの君島美花(みは)さん(48)は「暑くなる季節に酒を出せてありがたい」と声を弾ませる。
宣言の期間(4月25日~6月20日)は、都の要請通りに酒類の提供を取りやめ、通常より3時間早い午後8時に閉店した。売上額は従来の3~4割程度に落ち込んだ。それだけに「解禁」への期待は大きい。
ただ、今回新たに示された措置には疑問を抱く。都は酒類の提供を認めるにあたり、時短営業に加えて「1グループ2人以内」「滞在90分以内」の徹底を求めている。「焼き肉は、焼いて食べて、休憩してまた焼くを繰り返す。90分は短い」と君島さん。人数制限にも「家族連れの来店が多いので、2人という制限は厳しい」と困惑している。
「サラリーマンの街」の東京・新橋も、仕事帰りの人たちでにぎわう。海鮮料理が自慢の「根室食堂」。店長の平山徳治さん(49)は、従来の5%まで落ち込んだ売り上げを少しでも回復させようと、さまざまな策を講じる。花咲ガニは、殻をむいて出した方が食べやすいが、殻付きのままでテーブルへ。軍手とハサミも渡し、客にむいてもらう。サラダは1種類に絞り、刺し身は皿に盛り付けた状態で冷蔵庫に入れておく。
いずれも従来より少ない従業員で店を切り盛りし、限られた滞在時間で客に料理と酒を堪能してもらう方策だ。平山さんは「刺し身がメインなので、酒を出せない時期は全く売り上げが伸びなかった。ようやく頑張れる」と前を向く。とはいえ、都が新たに示した条件には首をかしげる。「すでに遅くまで酒を出す店が少なくない。要請を守らない店に客が流れるのでは」
同僚と店を訪れた大田区の女性会社員(52)は「ようやく飲める日が来た」と笑みを浮かべ、刺し身と日本酒を注文した。人数制限は理解できると前置きしつつ「(普段から一緒にいる)同僚との食事に制限時間は必要ないのでは」と指摘。しゃくし定規なルールの適用に疑問を呈した。【井口慎太郎、木下翔太郎】