被害農家「油断した…」 米泥棒、相次ぐ 今の時期こそ要注意

「米泥棒」の被害が埼玉県東部の農家を中心に相次いでいる。無施錠の倉庫などから盗まれた例が多く、被害に遭った農家は「油断していた」と悔やむ。農協の担当者は「秋に収穫した新米の残りが少なくなる今の時期こそ、注意が必要」と話し、県警も2カ所以上の施錠など対策を呼び掛けている。【大平明日香】
幸手市の米農家、小林豊さん(71)は2020年5月中旬の朝、自宅敷地内にある納屋の保冷庫から、米袋18袋(計540キロ、12万6000円相当)が盗まれたことに気づいた。保冷庫の施錠はしていたが、脇にある戸棚の中に置いていた鍵を使用された形跡があった。人を感知して光る防犯ライトは、コンセントごと抜かれていた。「まさかうちが狙われるとは思っていなかった。鍵は面倒なので、自宅で保管していなかった」と肩を落とす。19年秋に収穫したコシヒカリで、約200袋を1年かけて少しずつ顧客に売っていた。「楽しみにしていたお客さんに予定量を売ることができなくなり、つらかった」。現在は保冷庫の鍵を三重にかけ、田植え機で扉を塞ぎ、簡単には開けられないようにしている。防犯カメラや防犯ライトも増設した。「油断大敵。用心するに越したことはない」と強調する。
県警生活安全総務課によると、2020年の米の窃盗被害認知件数は55件で、春日部市6件▽幸手市5件▽加須市・杉戸町3件――と、県東部が多かった。21年1~4月は12件(前年同期比10件減)にとどまるが、鴻巣市内で最大30袋(計900キロ)が盗まれるなど計2件、行田市内では計3件の被害があり(一部は5月)、県北部でも被害が目立つ。県警は転売目的のグループによる犯行とみて、捜査を進めている。
幸手市や杉戸町などを担当するJA埼玉みずほの担当者は「新米の収穫期は農家も用心しているが、残りが少なくなった今だと、『自分の家で食べる分だけだから』と軒下などに置いている例が多く、油断しがちだ」と指摘する。県警は、2カ所以上の施錠▽鍵は必ず自宅で保管する▽防犯用のカメラやライト、砂利などを活用する――といった対策を講じるよう注意喚起している。