神戸市北区で2010年、私立高2年の堤将太さん(当時16歳)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された当時17歳の元少年(28)=愛知県豊山町=が高校時代、女子生徒を刃物で脅すトラブルを起こし、退学していたことが、関係者への取材で明らかになった。その後、青森県から神戸へ転居して事件を起こしたとみられる。11日で逮捕から1週間。兵庫県警は事件の経緯を詳しく調べている。
元少年は10年10月4日夜、北区筑紫が丘4の路上で、堤さんを刃物で複数回突き刺すなどして殺害した疑いが持たれている。捜査関係者によると、元少年は容疑を認め、堤さんに腹が立ったという趣旨の供述をしているという。ただ、堤さんは元少年と面識がなかったとみられ、県警が動機の解明を進めている。
知人らによると、元少年は転勤族だった父の影響で引っ越しが多く、大阪や関東などで小中学校時代を過ごした。08年春、青森県内の県立高校に入学し、サッカー部に所属。同級生だった男性(28)は「関西弁で話し好き。他のクラスの生徒にも気さくに話しかけるいいやつだった」と話す。
ただ、別の同級生によると、元少年は交際相手と仲が悪かった女子生徒のほおを刃物でたたき、脅したことがあった。このトラブルの後、09年秋までに高校を退学したという。
その後、神戸市北区の祖母宅へ転居。既に祖父は亡くなっており、祖母との2人暮らしだったとみられる。事件当時は高校に通っていなかったとみられ、近隣住民は「ほとんど交流がなく、どんな人か知らなかった」と口をそろえる。
逮捕1カ月前、ブログに「憎しみ」記述
元少年は事件後、愛知県へ転居し、両親と生活。16年ごろには、県内のビジネスホテルで働いていた。フロント係を務め、同僚だった60代女性は「的確に指示を出すなど、頭が良い印象だった」と話す。
ホテルを辞めた後は自宅近くの施設でパート従業員として勤務。管理会社によると19年に採用され、商品の広告作製や売り上げの集計を担当した。無遅刻、無欠勤で「トラブルは一切なかった」という。
今月4日早朝、元少年は愛知県内の自宅から任意同行を求められた。近くの住民らによると、駐車場や家の周りを捜査員ら10人以上が囲み、自宅を訪問。黒いスエット姿の元少年は寝起きだったのか髪の毛が乱れ、うつむいたまま捜査車両に乗り込んだという。
元少年は写真のデジタル加工が得意だったとみられ、ツイッターやインターネットのブログなどで加工技術を幅広く紹介していた。一方、逮捕の約1カ月前となる21年7月には「憎しみ」について長文の記載があり、「重要なのは自分を知ること。自分の弱い部分、醜悪な部分を直視し、認めること」などとつづっていた。【宮本翔平、藤顕一郎、韓光勲、中村清雅】