意外と『パチンコ店』がワクチン接種に向いているワケとは?“様々な場所”で進む接種

ワクチン接種のバリエーションが増えています。大阪府豊中市では9月13日に『キャンピングカー』を使ったワクチン接種が始まりました。一方、大阪市の『パチンコ店』でも職場接種が始まりました。■豊中市の『ワクチンお届け』の取り組み 13日午前9時すぎ、豊中市にあるお寺の境内にやってきたのは『おとどけ!ワクチンカーとよなか』。豊中市で13日に始まった取り組みで、市発行の接種券を持つ希望者が24人以上集まれば、希望する市内の場所まで医師や看護師らとキャンピングカーが出張してワクチン接種を行います。初回に申し込んだのは地元商店街のグループで、商店街に近い寺を“届け先”に選んだため、経過観察で待機する場所は寺の本堂です。 (青果店・店主) 「助かります、一番助かりますね。遠いところだと店を閉めないといけないかもしれなかったので。店を開けたまま来ました」 無事48人への接種が終了し、正午すぎ、次の“届け先”に出発。到着したのは千里中央駅の近くの広場。今度の“届け先”は商業施設の従業員ら30人です。到着すると、すぐに準備が進められ、到着から1時間で2件目の接種が始まりました。 (接種を受けた人・20代) 「手軽な感じがして受けやすかったかなと思います」 (アルバイト・10代) 「働いている店から言われました。すぐここで受けられるとなったので受けました」 ワクチンカーは1か所で最大84人に接種が可能です。現在7割ほど予約は埋まってるということですが、1日最大3件回ることで、市は接種のスピードアップにつながればと期待を寄せます。 (豊中市・ワクチン接種対策チーム 中根明美総括) 「いつもの場所でみんなで受けられるということと、自分たちの希望する時間・希望する場所に呼べる。来てもらえるという利点を利用してぜひ皆さんに受けていただきたいと思います」 ■『パチンコ店』でワクチン接種 一方、大阪市北区にあるパチンコ店「フリーダム天六店」。13日の午前9時半すぎ、次々と人が入っていきますが、やってきた人の目的はパチンコではありません。普段なら大きな音が聞こえるはずのパチンコやスロットの音もありません。パチンコ台の前で行われるのはワクチン接種です。13日と14日に1回目が行われるパチンコ店の「職場接種」では、対象者は1席おきにパチンコ台の前に座り、医師や看護師が移動してワクチンを接種して回ります。 今回の接種に協力している病院によりますと、実は『意外とパチンコ店はワクチン接種に適している』といいます。 ▼接種される人の座る向きを台の方に統一することで“飛沫対策”になる ▼椅子が回転するので注射が打ちやすい ▼パチンコ台に元々「呼び出し用のボタン」があるため、体調が急変した場合などにはそのボタンを押すことで医師や看護師を呼ぶことができる ▼パチンコ店のスタッフが「行列整理」や「インカムの操作」に慣れている さらに台のデータを表示している電光掲示板で“経過観察の残り時間”を表示して接種後15分までをカウントするという工夫も。また、1回接種が終わるたびにスタッフの方が念入りに座席を消毒するなど感染対策は徹底されています。さらに、パチンコ店には“タバコのにおい”のイメージもあるかもしれませんが、去年4月から法律により店内は全面禁煙となっているため、タバコのにおいも全くしません。 (接種を受けた人) 「最初は『えっ?』と思ったけど、こういう活用の仕方もあるのかと」 (接種を受けた人) 「不思議な感覚ですよね。でも打てるだけありがたいので、やっぱり近いじゃないですか。大規模接種会場に比べて」 立地が大阪メトロの天神橋筋六丁目駅のすぐ近くということもあり、「アクセスが便利ですごく助かった」と歓迎する声も聞かれました。 接種実施に伴う休業で、店の売り上げは数千万円消えますが、「地域貢献のため」と決断。地元の民間病院が協力し、2日間で従業員・商店街の組合員・運営会社の取引先の関係者など約1500人に接種する予定です。 (アバンス 平川順基社長) 「パチンコ店に対するイメージアップにつながったらいいかなと思いますし、我々は我々のできること、今すべきことをしたいというふうに考えています」