電動アシスト自転車のバッテリーが盗まれる被害が相次いでいる。寿命で定期的な交換が必要なために需要が高く、ネット上で転売されている。コロナ禍で「密」を避ける移動手段として利用する人が増えたことも影響しているとみられ、警察は取り外して家の中で保管するなどの対策を呼びかけている。(夏井崇裕、高木文一)
大阪市平野区で7月下旬、出勤前の介護ヘルパーの女性(45)が、駐輪場に止めていた愛用の電動アシスト自転車のバッテリーがなくなっていることに気付いた。車体に固定するための鍵穴が壊されており、何者かが持ち去ったとみられる。
女性は2年前、子どもの送迎のために購入した。「バッテリーを狙うなんて想像していなかった。仕事にも使っているのに許せない」と憤った。
大阪府自転車商防犯協力会によると、電動アシスト自転車のバッテリーは車体に鍵をかけて固定されており、充電の際に解錠して取り外す。一般的に寿命は3~4年で、買い替えると3万~5万円するという。
大阪府警によると、今年に入って特に被害が目立っている。昨年は月1~17件で推移したが、今年1月に27件の被害を確認。7月に51件、8月に61件発生し、8月末までに計284件で、昨年1年間(129件)を大幅に上回っている。
府警は今月2日、大阪市平野区の集合住宅の駐輪場で、バッテリー4個(10万5000円相当)を盗んだとして、無職の男(35)を窃盗容疑で逮捕。捜査で、男が神戸市内の自転車販売店に約50個を転売していたことが判明した。
東京都内でも被害が相次ぎ、8月末現在の被害件数は218件(前年同期比124件増)。警視庁は7月に通信制高校の男子生徒3人を逮捕。3人は2月以降、フリーマーケットアプリにバッテリー約40個を出品し、1個3000~1万7000円で売却していた。
被害が多発する背景には、電動アシスト自転車の普及がある。経済産業省によると、2010年に約34万台だった出荷台数は、昨年は約73万台に増加。自転車全体(約162万台)の約半数を占めている。コロナ禍で通勤で使う人も増えているという。
大阪府警は公式ツイッターで、「バッテリーの盗難が多発しています!」と投稿し、バッテリー用の盗難防止ロックの活用などを呼びかけているほか、府内の自転車販売店に対策をまとめたチラシを配布し、客らに伝えるよう依頼した。
大阪市阿倍野区の自転車販売店「サイクルヒーローあべの店」では、車体とバッテリーを固定する専用のワイヤ錠(約1500円)を販売。店長の池田克彦さん(56)は「家の中に持って入ることが大事だが、できない時は、ワイヤ錠で二重ロックをかけて盗難を防いでほしい」としている。
◆電動アシスト自転車=1993年に商品化された。バッテリーを動力源とするモーターがペダルをこぐ力を補助するため、坂道や長距離でも楽に運転できる。バッテリーは取り外し式で、家庭用コンセントで充電する。近年はスポーツタイプの「イーバイク」の人気が高い。