「やっぱりまた起きた」5人死傷の通学路、5年前にも重傷事故

千葉県八街市で6月、下校中だった市立

朝陽
(ちょうよう)小学校の児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、5人が死傷した事故から28日で、3か月となった。近くでは5年前にも同じ小学校の児童4人が登校中にトラックにはねられ、重軽傷を負う事故が起きていた。子どもの安全を守るはずの通学路で何が起きているのか。「危険な通学路」を歩き、実態を探った。(鶴田瑛子)
「やっぱり、また起きた」――。5年前の2016年、当時小学5年の長女が事故に巻き込まれた父親(50)は、憤りをあらわにする。
事故は同年11月2日、同市

文違
(ひじかい)の国道409号で発生。ガードレールのない歩道を下級生らと歩いていた長女たちの列に、トラックが後ろから突っ込んだ。長女は約3メートル先に飛ばされ、首や腰を強く打ち、救急車で搬送された。幸い軽傷で済んだが、一緒に歩いていた男児は頭の骨を折る大けがを負った。運転手は脇見していたとみられる。
事故後、長女は怖くなり、2週間以上、学校に行けなくなった。不眠にも悩まされた。長女が口にした言葉は、父親の胸に突き刺さった。「普通に道を歩いていても、車が突っ込んできてひかれるんだね」
長女の事故後、学区の通学路を見て回った父親は、「ほとんどの道路が危険だった」と振り返る。市に歩道整備や通学時間帯のトラックの規制を訴えたが、有効策は取られなかった。
朝陽小の学区は、住宅や大型商業施設、工場が混在し、生活圏に自家用車とトラックが入り乱れて通り過ぎる場所が多い。児童5人が死傷した八街市八街の事故現場の市道は、抜け道として使われる歩道のない狭い道路だった。
同小のPTAが4年にわたり、危険性を訴え続けたが、土地買収の問題から、市はガードレールの設置を見送っていた。住宅街を通るルートへ通学路の変更も検討したが、防犯上の懸念から断念した。
八街市には、地元住民が長年、危険と訴える場所がほかにもある。千葉東金道路・山田インターチェンジから約800メートル北東の国道126号と県道の交差点「山田台三差路」だ。
県道は、市立二州小学校の通学路だが、途中で歩道が消える。トラックが猛スピードで国道126号から県道を左折してくるのに、最も危険な交差点部分に至る約30メートルに歩道がない。
県印旛土木事務所によると、県道の歩道は、保護者らからの要望を受け、2012年度に整備を始め、今年3月に完成した。ところが、最も危険な交差点部分に歩道はない。交差点はY字形で、歩道を設置すると車両が曲がりにくいとして設置が見送られたためだ。
小学1年の長男を二州小に通わせる母親(39)は「毎日、不安な気持ちで送り出している」と吐露する。二州小はスクールバスの運行を始めたが、この児童の家は、学校から2キロ圏内で、バスを利用できない。
6月の事故現場は今、時速30キロ規制が敷かれ、車の速度を落とすための可搬式の突起物「ハンプ」や幅員を狭める「狭さく」が緊急的に設置された。だが、小学5年の長女が事故に巻き込まれた男性は、疑問を抱く。「ここだけ対策しても意味があるのか。子どもが犠牲になってからでは遅い」