震度5強、首都圏51人けが 長引く交通乱れ、エレベーター閉じ込めも

7日午後10時41分ごろ、東京都と埼玉県で震度5強を観測する地震があった。千葉県や神奈川県でも震度5弱を記録した。気象庁によると、東京23区で震度5強を観測するのは2011年の東日本大震災以来。震源地は千葉県北西部で、震源の深さは75キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5・9と推定される。津波の心配はないという。今後1週間で同規模の地震が発生する可能性があり、気象庁は注意を呼びかけている。
7日夜から8日未明にかけて、首都圏では鉄道の運転見合わせが相次ぎ、帰宅困難者が多数発生した。8日早朝からはJR川口駅などで入場を規制し、大勢の通勤客らで混雑した。
東京都と千葉、埼玉、神奈川の首都圏3県では、この地震で計51人がけがをしており、少なくとも4人が重傷という。
千葉県袖ケ浦市では、コンビナート内にある工場で火災が発生した。すでに鎮火し、けが人はいないという。埼玉県警によると、草加市の3階建て民家で火災が発生し、住人の50代女性が煙を吸って搬送された。
都営新交通システム「日暮里・舎人ライナー」は日暮里発見沼代親水公園行き下り電車(5両編成)が東京都足立区の舎人公園駅を出発した直後に地震が発生。指令室が非常停止ボタンを押して電車を停止させたが、先頭車両から3両が脱輪した。乗客3人が負傷し、そのうち2人が救急搬送された。8日も運転を見合わせている。
JR東日本によると、8日午前10時半現在で湘南新宿ラインの全線で運転を見合わせているほか、総武線や東海道線などで運休や大幅な遅れが出ている。
JR品川駅の構内では地震発生直後から約1時間半にわたり停電が発生。JR東日本東京支社によると、地震の揺れで安全装置が働いて送電が止まったことが原因とみられ、電車が止まるなどの影響が出た。
新幹線や高速道路も地震発生直後から一時利用できなくなった。東海道新幹線は、約2時間半にわたり停電し上下線計12本、東北・上越・北陸新幹線でも上下線計23本に遅れが出た。首都高速の広い範囲と東名高速の一部区間も午前2時ごろまで安全点検のため通行止めになった。
国土交通省によると、首都圏を中心にエレベーター約5万5800基が緊急停止し、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の28基に利用者が一時閉じ込められた。いずれもすでに救出されたとしている。
埼玉県によると、県内では11人が重軽傷を負った。このうち階段から転落して右腕を骨折した富士見市の女性(60)と、玄関を開けた際に脚の骨を折った川口市の女性(72)が重傷。幸手市では橋に亀裂が見つかり、通行止めとなった。
千葉県によると、柏市や千葉市、松戸市などで14人が転倒などでけがをした。このうち木更津市と習志野市で、それぞれ80代の女性が足を骨折する重傷。市原市大坪の養老川にかかる水管橋が破損し、水が噴き出した。
東京消防庁によると、都内のけが人は、舎人ライナーのけが人も含めて計12人。東京都によると水道管に不具合が生じ、世田谷区や葛飾区など9区計23カ所で漏水が発生。断水の恐れはないが、一部地域で水が濁るなどする可能性があるという。
神奈川県などによると、県内では自宅で本棚が倒れたり、柱に頭をぶつけたりするなどして厚木市や横浜市などで計14人が軽傷を負った。【山越峰一郎、成澤隼人、小林多美子、高田奈実】
主な震度は以下の通り。
<震度5強>東京都足立区、埼玉県川口市、同県宮代町
<震度5弱>東京都大田区、町田市、千葉市、横浜市、川崎市、さいたま市
<震度4>茨城県下妻市、栃木県佐野市