山梨県北杜市須玉町の2か所に放置され、県の行政代執行でセメント材によって固定された産業廃棄物から悪臭が発生し、県が調査していることがわかった。放置時には人体に有害な高濃度の硫化水素が検出されており、周辺住民が再び不安を募らせている。長崎知事は21日、現地を視察し、産廃自体の撤去を検討する考えを示した。
県によると、固定された産廃は東向地区の縦81メートル、幅46メートル、高さ8・5メートルと、大蔵地区の縦110メートル、幅25メートル、高さ5・4メートル。セメント材を交ぜて固めることで硫化水素の発生を抑え、表面にモルタルが吹き付けられている。
放置されたのは、市内の業者らが野積みした汚泥や廃石こうボード粉など約2万立方メートル。致死量を超える最大13万ppmの硫化水素が発生したものの、業者らが撤去命令に応じなかったため、県が2018年10月、行政代執行に着手した。総事業費は約7億5000万円。
県は代執行以降、硫化水素など有毒物質は確認されていないとしている。ただ、モルタルの表面から茶褐色の液体が漏れており、今年に入り、「悪臭に耐えられない」などと、周辺住民から県や市に苦情が寄せられている。県は8~9月、周辺で臭気や水を採取し、分析を進めている。
周辺の住民男性によると、今年5月頃に近くで悪臭が漂い、7月には北方向に約1・5キロ離れた自宅にまで広がってきたという。男性は「苦痛を感じる臭いがする。健康や米作りに影響はないのか」と心配している。
長崎知事は21日の視察後、読売新聞の取材に「硫化水素が発生しないよう対策は講じているが、臭いがひどく、環境面で問題がある。産廃は本来、この場所にあるべきではない。撤去することも選択肢に対応を検討したい」と述べた。