《京王線無差別刺傷》「コスプレじゃなくて私服だ」“ジョーカースーツ”加害者が語った真実 緊迫の車内では「『ボン』と爆発音が…」

10月31日ハロウィーンの夜、新型コロナウイルスの蔓延で我慢を強いられていた弾みから、多くの泥酔した若者が集まり、いつも以上にカオスと化した渋谷。衆院選の投開票日にも重なり、岸田内閣で幹事長に就任した自民党の甘利明氏が敗れるなど、時代の変わり目を予感させる開票結果を多くの国民がテレビを見て過ごしていた――。
「キャー!」
「降りれる降りれる」
「落ち着いて」
突如、ツイッターにアップされた京王線の電車内の動画に、多くの人が驚愕した。
車内で逃げ惑う乗客に悲鳴、怒号…
炎が燃え盛る車両から走って逃げる乗客ら。怒号と悲鳴が飛び交う中、床には靴などが散乱している。
衆院選の開票作業が全国各地で始まる直前の午後7時55分ごろ、東京都調布市の京王線布田―国領駅間を走行中の新宿行きの上り特急電車(10両編成)で、まるでハロウィーンの仮装のような服装の男が突然刃物を振り回したのだ。
この電車に乗っていた山梨県上野原市の木村俊介さん(32)が車内の状況を振り返る。
「渋谷に行こうと思って電車に乗っていました。ちょうど真ん中あたりの車両でした。椅子には空きがあって、立っている人はいませんでした。19時57分ごろですかね、最初は5、6人の人が後方車両から走ってきた。ハロウィーンで騒いでいるのかな、と思ったら『マズいぞ』『前にいけ』と。消火器がどうのこうのと言っている人もいました。するとガスボンベが爆発したような大きな『ボン』という音が聞こえて、炎と煙が連結部から見えたので、前方車両に逃げました」
別の車両に乗り合わせた女性(28)はこう証言する。
「前から3両目に乗っていました。後方車両からどんどん人が来て『暴れている人がいる!』『前に言ったほうが良い!』と男性が叫んでいたので、慌てて前の車両に行きました。車内には変な匂いが充満していました」
異変が起きた特急電車は、当初停車する予定のなかった国領駅に緊急停車。しかし車内の混乱は収まらなかったという。前出の木村さんが「ホームドアと電車のドアが一致していなくてドアが開かなかったんです」と証言するように、多くの乗客が窓から逃げ出そうと殺到した。
「女性から逃げた方がいい」緊迫した車内
「ある男性が窓から逃げようと、窓を開けました。でも『女性から逃げた方が良い』と言ってくれて、私は最初の方にホームに脱出することができました。だから後から出てくる人の手助けをして、駅の外に慌てて出ました。
外には救急車やパトカーがたくさん停まっていて……。怪我をして運ばれている人が見えないように、救急車の周りが覆われていたので、何人くらいが搬送されたのかはわかりません。婦警さんがけが人がいないか聞いて回っていました。呆然としていると、知らない女性に『もう大丈夫だよ』と声をかけられて、泣いてしまいました」(前出・電車に乗り合わせた女性)
大混乱の中、慌てて脱出した乗客ら。この時、後方車両では凄惨な状況が繰り広げられていた。社会部記者が解説する。
「後ろから3両目にいた男が、急に座っていた70代の男性の右胸を刺しました。男性は意識不明の重体です。そのあと男は前方に進み、後ろから5両目で油のような液体を撒き、火を放ちました。すると男はまた後方車両、後ろから2両目に戻り、警察が駆けつけるまで、血のついた刃物を手に、タバコを吸って座っていたようです」
警視庁関係者などによると、刺された男性のほか、中学3年生~70代の乗客の男女16人が、火災によるのどの痛みなどを訴え病院に搬送されたという。中には、男に液体をかけられた人もいるという。
警視庁は殺人未遂の現行犯で、男を逮捕。男は自称住居不定、無職の服部恭太容疑者(24)だ。
手には刃渡り約30cmの刃物「小田急の事件真似た」
警察の取り調べに対し、容疑を認め「小田急の事件を真似た」「人を殺して死刑になりたかった。2人以上殺せば死刑になれると思った」などと供述したという。アマゾンで購入したという刃物は刃渡りが約30㎝もあり、強い殺意を伺わせる。
服部容疑者が言及した「小田急の事件」とは、今年8月に小田急小田原線の電車内で発生した無差別刺傷事件のことだ。対馬悠介被告(36)が、成城学園前ー祖師ヶ谷大蔵駅間を走行中の車内で、牛刀を振り回し、男女10人が重軽傷を負った。
「小田急の事件で、対馬被告は電車内でサラダオイルを使って火をつけようとしましたが、火が付くことはありませんでした。当時SNSなどでは、サラダオイルで火をつけられるはずがない、などと指摘されています。服部容疑者は『小田急の事件ではサラダオイルでは火がつかなかったので、ライターオイルを使った』と供述しています。発生時間の午後8時ごろ、というのも似ています」(同記者)
服部容疑者は「コスプレではなく私服だ」
ツイッター上では、逮捕前の服部容疑者の様子も公開されている。動画では事件後に刃物を持ち、たばこを吸いながら電車内の座席に座る服部容疑者。服装は緑色のワイシャツにネクタイに紫のスーツ姿。この服装から、アメリカのDCコミックス『バットマン』シリーズに登場するジョーカーのコスプレではないかという指摘が相次いだ。
“電車内での殺人”が、2019年に公開されたジョーカーが主役の映画「ジョーカー」を想起させるところもある。元々は心優しいジョーカーが不条理な世の中への不満をため込み、地下鉄で男たちに襲われた際に、持っていた銃で男たちを銃殺。そしてこの事件が悪の道へと突き進んでいくきっかけとなるのだ。
「まだ詳しい動機は不明です。電車には渋谷で乗ったと供述しており、明大前で乗り換えて、下り電車に乗り調布駅へ。そしてまた調布で、上りの電車に乗って犯行に及んだようです。なぜまた上りに乗ったのかは不明です。映画を模倣した可能性はあると思いますが、服部容疑者は『ハロウィーンの仮装とは関係なく、私服だ』と話しているようです」
服部容疑者の所持金は数千円で携帯電話を持っていなかったという。今後、警視庁が動機などについても詳しく捜査を進めていく。
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