全国有数の柿の産地でもある岐阜県内では10月以降、収穫前の柿が大量に盗難される被害が相次ぎ、柿を含む農産物の被害総額がすでに昨年の4倍に達している。県警は9日、富有柿産地の本巣市内で、JAぎふや地元自治会とともにパトロールを実施し、市民に被害防止を呼び掛けた。
本巣市見延のJAぎふ糸貫農産物流通センターで午前9時半ごろあったパトロールの出発式には、県警北方署と生活安全総務課、JA職員や地元自治会員ら約40人が参加。同署の中島俊仁署長は「地域で目を光らせてもらい、警戒を強めたい」、JAぎふの北沢弘・糸貫支店長は「丹精込めて育てた農作物が被害に遭うのは、悲しくて言葉にならない。パトロールで地域の安全を守りたい」とあいさつ。16人がパトカー3台と一般車両2台に分乗して、市内の柿畑周辺をパトロールした。
また午前10時半ごろからは、同市山口の「道の駅 織部の里もとす」で、柿一つ入りの袋と農作物の盗難被害を知らせるチラシ100枚を、署員と生活安全総務課職員の計18人が、一般客に手渡し「不審者を見かけたら気軽に通報して」と呼び掛けた。
本巣市と、隣接する岐阜市北部や山県市では、柿の盗難被害が多発している。県警によると、県内の今年1~10月の農産物の盗難被害は149件、被害総額は524万円に達した。昨年1年間の被害件数(193件)を下回るが、被害総額(114万円)はすでに4倍を超えた。同署の沢井友成・生活安全課長は「大胆に持って行く手慣れた犯行が目立つ」と説明。農協や住民と連携して、柿の収穫が続く12月上旬まで、さらなる被害を防止したい考えだ。【熊谷佐和子】
岐阜県内で発生した柿の盗難被害
▽10月21日 岐阜市深坂2の柿畑から、富有柿約6万個(時価計300万円相当)が盗まれる
▽同25日 岐阜市東部の柿畑から、富有柿約600個(時価計7万円相当)が盗まれる
▽11月3日 山県市掛の柿畑から、伊自良大実柿計約7400個(時価計14万4000円相当)が盗まれる
※日付は警察が発表した日