京大・霊長類研究所の「解体」に研究者から反対の声“研究が衰退する可能性”を危惧

来年4月に解体・再編されることが決まった京都大学の「霊長類研究所」。かかわった研究者らから解体に反対する声が上がっています。 愛知県犬山市にある「霊長類研究所」は1967年に設立されてから、“チンパンジーがじゃんけんのルールを理解すること”を明らかにした研究や、“人と同じように固有のリズムを持つ”とわかった研究など、これまで「ヒトとは何か」の解明を目指して世界的な研究拠点としてこの分野をリードしてきました。 ところが、去年6月にチンパンジーの飼育施設に関して約5億円の不正経理があったとして、研究所の元所長が懲戒解雇されたほか、別の元教授の論文捏造も明らかになりました。 こうした事態を重く見た京都大学は今年10月、相次ぐ不正の原因が『研究所の閉鎖性』にあるとして、来年4月から研究所を解体・再編することを決めました。 (京都大学 湊長博総長) 「不正経理がかなりの期間にわたって続いていたにもかかわらず、所内でなんら注意喚起等の動きが認められなかった」 京都大学によりますと、不正があった元所長らがかかわっていた「認知学習」などの研究分野を廃止。他の分野は来年4月に発足するセンターと学内の別の機関に移され、「霊長類研究所」という名前は消えることになります。 こうした京都大学の構想に反対するのは、霊長類研究所の研究者と共に長年サルの研究を続けてきた黒田末寿さんです。黒田さんは、様々な分野が協力することによってサルにとどまらずヒトの心の発達過程までをも解明してきた研究が、今後衰退する可能性があると警鐘を鳴らします。 (サル研究者 黒田末寿さん) 「所属がそれぞれ変わり、(研究分野が)違う管轄になると、普通に考えればちょっと(研究が)やりにくくなるだろうと。元所長らの経理不正問題と霊長類研究所の活動は、はっきり分けたうえで考えてほしい」 11月16日に開かれた研究者らの会見では次のように述べました。 (サル研究者 黒田末寿さん) 「1967年に設置されてから大きな成果をあげてきました。解体計画に私たちの反対意見を広めていただきたい」 研究者らが呼びかけた解体に反対する署名をネット上で呼びかけたところ、国内や海外から3万人を超える署名が集まっているということです。