新型コロナウイルス感染拡大の「第6波」に向けて、政府は、すべての自宅療養者と「陽性判明の翌日まで」に最初の連絡を取るよう、自治体に求めている。今夏の第5波では、自宅療養中に死亡する感染者が相次いだからだ。政府が今後、想定する自宅療養者は、第5波の1・3倍にあたる最大約18万3000人。「翌日までの連絡」を実現するため、各地の保健所では、様々な改革を進めている。
一昼夜(24時間)電話がつながらなければ、すぐに自宅に駆けつける――。東京都杉並区の杉並保健所は今年9月、自宅療養者への対応にあたり、こんなルールを定めた。
保健所は、コロナ感染者を診断した医療機関からの「発生届」をもとに、感染者一人ひとりに連絡を取り、症状を確認して療養方針を決める。
第5波ピーク時の8月上旬、杉並区内では、自営店舗内で療養していた40歳代男性が亡くなる事案が起きた。杉並保健所は、発生届を受け取ってから1日2回ほど、4日間にわたり男性に電話をかけ続けたが、つながらなかった。その後、男性が店舗内で亡くなっているのを家族が見つけた。
杉並区の担当者は「体調が悪い療養者は、電話に出られないかもしれない。自宅にいけば何らかの手がかりが得られる可能性がある」と語る。さらに同区では、連絡が取れた軽症や無症状の感染者について、その後の健康観察を民間業者に委託する方針だ。保健所の保健師は、容体が悪化した感染者の症状確認や入院先探しなどに当たる。「役割分担により、効率的な見守り体制を作りたい」(区担当者)としている。
東京都豊島区では、区看護師会と連携し、保健所の代わりに区内の訪問看護ステーションなどから看護師らが自宅療養者の健康観察を電話で行う取り組みを8月末から始めている。これまでに約80人の自宅療養者に対応。感染者数が少なくなったことから11月上旬で同会が対応する療養者はいなくなったが、第6波に備えて、来年3月まではこの体制を維持するという。
兵庫県は、保健所の応援に入る職員を事前に決め、研修を受けさせている。第5波では県が設置する12か所の保健所に約100人を応援派遣したが、第6波では、その10倍の約1000人を派遣する想定だ。10月下旬から、濃厚接触者の調査などの保健所業務について研修を行っている。県では「感染状況に応じて、適切に対応できるよう準備しておきたい」としている。
第5波で保健所の業務が遅れて「入院調整中」が最大473人に上った香川県も、他部署から保健所に派遣する応援職員のリストを準備した。また、自宅で入院が決まるのを待つ間に感染者の容体が悪化するのを防ぐため、県医師会や看護協会の協力を得て、往診可能な医師・看護師のリスト化も進めている。