2カ月後の北京五輪に向けて、国際情勢がいよいよきな臭くなってきた。
アメリカを皮切りに英・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドが相次いで外交的ボイコットを表明する中、岸田首相は難しい判断を迫られている。
単純にボイコットを選択すれば、中国の逆鱗に触れる。だからといって、のこのこ政府関係者を北京に送り込めば、日米同盟にひびが入りかねない。2大大国である米中の狭間で、どちらにも義理立てができる日本独自の対応策が強く求められているのである。
そこで俄然、注目されるのが、小池百合子東京都知事だ。小池知事は現在、令和3年第4回都議会定例会の真っ最中にある。所信表明の演説も本会議場での答弁も、1カ月前に入退院した人とは思えないほど意気軒昂、1カ月に及ぶ知事不在を散々批判してきた私が言うのもおこがましいが、元気そのものである。
ここはひとつ、日本のためにひと肌脱いでもらい、小池知事に北京に飛んでいただくというのはどうだろう。
荒唐無稽な話とは言い切れない。言うまでもなく小池知事は、閣僚でも政府要人でもない。小池知事は、東京2020大会を開催した都市のトップである。夏と冬の違いはあるが、北京五輪に招待されても何の不思議もないではないか。国家レベルの外交としてではなく、大都市間の交流の一環と位置づければいいのである。
■東京と北京は姉妹友好都市
そもそも東京と北京の関係には長い歴史がある。両都市が姉妹友好都市協定を締結したのは1979年である。以来、両都市間の交流は、時の知事によって強弱はあったものの、40年以上にわたって続いている。最盛期には、北京市内に東京都が事務所を構え、職員を常駐させていたこともあるくらいである。さらに、小池知事の実質的な後見人として権勢を振った自民党の二階前幹事長は、自他ともに認める中国通である。
思い出していただきたい、2020年2月、中国武漢で新型コロナウイルスが猛威を振っていた時期、小池知事は東京都の防災備蓄品である防護服を大量に中国に提供したことを。その際、小池知事が自民党本部の二階氏を日参し相談していたのは周知の事実である。
小池知事にとっても北京行きのメリットは決して小さくない。
米中の板挟みに悩む岸田首相を都知事の立場を利用して救い出せれば、大きな貸しをつくることにつながる。あるいは、外交的ボイコット強硬派の高市早苗政調会長の向こうを張って、親中・融和路線の小池知事を北京行きによって大々的に演出し、新たな対立軸を作り出すことも可能である。
そんな難しい理屈を持ち出さなくても、2年連続でオリンピックの舞台に登場して、ちゃっかり目立つことができるのだ。メディア露出を第一に考える小池知事にとって、こんな美味しい話はないだろう。
今年10月以降、小池知事の状況はパッとしない。都民ファーストの会が国政政党「ファーストの会」の立ち上げに失敗、小池知事自身も2度目の入院騒動を引き起こした。国政復帰が遠のいた小池知事に対して、メディアの関心はだんだん薄くなっている。
だが、こんなことでへこたれる小池知事ではない、と私は信じている。だからこそ、再度、崖から飛び降りる覚悟を持って、北京を目指すことをお勧めするのだ。二階氏と二人で行くのもいいかもしれない。政治家として最後にひと花咲かせていただきたいのである。
(澤章/東京都環境公社前理事長)