今年の夏に行われた東京オリンピック。選手たちを陰で支えたのがホストタウンでしたが、ウガンダの選手団を受け入れた大阪府泉佐野市のホテルは「新型コロナウイルスの感染」だけでなく「選手の失踪」にも翻弄されました。 東京オリンピック開幕前にウガンダ選手団が滞在したのが、大阪府泉佐野市の「ホテルニューユタカ」。代表の西隆さんは、思い描いていた「おもてなし」とはほど遠い対応を迫られました。 (ホテルニューユタカ 代表・西隆さん 12月6日) 「(受け入れは)当初は喜ばしいことだと思いましたが、(選手団に)新型コロナウイルス感染が発生してからはいろいろ大変でした」 今年6月、全国2例目の選手団として来日し、いきなり空港での検査でメンバー1人(50代)の新型コロナウイルスの陽性が判明。そのまま泉佐野へ入ったもう1人(20代)も感染し、残る7人が「濃厚接触者」に認定されたのです。 オリンピック本番に備えて快適に過ごすはずの場所は「隔離施設」に変わりました。 (ホテルニューユタカ 代表・西隆さん) 「使い捨て容器に盛り付けて部屋の前に置かさせていただきました。選手の方に取っていただいたときは、私たちは退避していますので接触は一切ありません」 ホテルの従業員も防護服やフェイスシールドを着用して感染対策を徹底。2週間以上にわたり外部との接触が絶たれた選手たちは、部屋の中でのトレーニングを余儀なくされます。しかし、陽性者の受け入れは感染拡大につながるなどとして、ホテルを誹謗中傷するメールや電話が1日20件近くあったといいます。 (ホテルニューユタカ 代表・西隆さん) 「従業員ともども恐怖に陥れるような文面でした。一生懸命やっているのに私らをくじかせるような、なんでそういうことをするのかなと思いました」 さらに、追い打ちをかけるように、重量挙げで出場選考に漏れた選手が日本での生活を望み、市側の監視をかいくぐりホテルから失踪。4日後に三重県内で発見される事態まで起きたのです。 (ホテルニューユタカ 代表・西隆さん) 「まさかと思いました。輪をかけてまたかという感じで、二重、三重にも残念に思いました」 ただ、ホテル側は困難な状況に直面しても、選手たちを少しでも元気づけようとウガンダ料理を取り入れた食事を提供するなど、できる限りの「おもてなし」をしました。そして滞在から1か月、なんとか選手たちを東京の選手村へと送り出すことができました。 今、ホテルのフロントの前には、ウガンダ選手団から感謝のしるしとして贈られたゴリラの人形と寄せ書きが置かれています。 (ホテルニューユタカ 代表・西隆さん) 「フロントにあると何かなってお客さんがおっしゃるので、たまに説明しています。毎日見ていますと、ウガンダの選手は今どうされているのかなと思いますね。受け入れたことについては社員全員喜んでいますし、気はつかいましたけど、やりがいのある仕事でした」 相次ぐ想定外の出来事に翻弄されながらも選手とともに戦った日々。忘れられない「おもてなし」となりました。