「おれたちは人じゃないのか」住民に不信感…米軍機タンク投棄、2日後に訓練再開

米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が飛行訓練中に燃料タンクを深浦町の民家近くに投棄し、青森空港に緊急着陸した問題から、15日で半月となった。米軍は当初、自治体に誤った投棄場所を情報提供し、投棄のわずか2日後には訓練を再開。こうした米軍の対応に、住民は不信感を募らせる。(藤本宏、糸魚川千尋)
戦闘機は11月30日夕、エンジンの油圧が下がる緊急事態に陥り、機体を軽くするため燃料タンク2個を投棄した。三沢基地は同日夜、「岩木山近傍の非居住地域に投棄した」と発表。しかし実際に落ちたのは、1個が深浦町役場から徒歩2分ほどの中心部の国道101号沿い、もう一つは数百メートル先の雑木林だった。
防衛省東北防衛局(仙台市)も同日夜、米軍情報として「燃料タンクを北緯40度37分6291、東経139度55分5842付近で投棄した」と関係自治体に伝えた。この場所も実際の落下現場から約2キロ南の山中だった。
三沢基地周辺町内連合会の種市光雄会長は「米軍側の情報開示が不十分すぎる。防衛省も必要な情報はしっかり要求しないと事故の教訓を得ることができない」と批判。SNSには「おれたちは人じゃないのか」などと憤る投稿があった。
防衛省は米軍に対し、安全が確認されるまでF16戦闘機の飛行を行わないよう求めた。だが米軍は今月2日午後に飛行訓練を再開。緊急着陸した機体はまだ青森空港で動かせない状態だった。三沢市には同日午前に事前通告はあったが、町や県にはなかった。
三村知事は「地域住民の感情を逆なでし、ひいては米軍全体に対する県民の不信感を増大させかねないもの」とのコメントを発表。吉田満町長は同日、東北防衛局の市川道夫局長に米軍に強く抗議するよう求めた。町議会も10日、「事故原因や安全対策の説明がないまま飛行を再開したことは町民の感情を逆なでする行為」と非難し、米軍に町内の住宅密集地の上空を飛行訓練コースから外すことなどを求めるよう東北防衛局に要請した。
三沢市の小桧山吉紀市長は「事故は必ず起きるが、その後の対応で(住民の)信頼が続くか、崩れるかが決まる」と強調。米軍の迅速な情報開示と丁寧な説明が必要との認識を示す。
米軍は現在、事故調査委員会と安全調査委員会を設置して調査を進めている。