2009年に始まった裁判員裁判制度は、法廷で遺体の写真や凶器といった「刺激証拠」を示さず、イラストで代替する運用が定着しつつある。裁判所が裁判員の心のケアを優先しているためだ。被害者側はこうした「配慮」が有罪、無罪の事実認定や量刑に影響することを懸念している。
「被害が一目瞭然だった娘の写真は封印されてしまった」。15日に東京都内で開かれたシンポジウム「『刺激証拠』のイラスト化 隠される真実」で、一人の女性のビデオメッセージが流された。
女性の娘は、交際相手の男性にゴルフクラブで殴られ亡くなった。検察官が女性に見せた遺体の写真は、頭などの傷が凄惨(せいさん)なものだった。
殺人罪で起訴された男性は裁判員裁判の公判で「強く殴っていない」などと殺意を否認した。娘の遺体の写真は証拠として出されず、写真を基に作られたイラストで審理が進んだ。裁判所が裁判員の精神的負担を軽減しようとしたためだ。女性は、イラストでは傷のひどさが全く表現されていないように感じた。
検察側は殺人罪で懲役16年を求刑したが、判決は男性の殺意を認めず、傷害致死罪での懲役10年にとどめた。検察側は控訴せず、1審で確定した。
女性はビデオメッセージで「遺体の写真を見れば、被告の主張と合致しないことがすぐに分かったはずだ」と訴えた。そして「民意を反映させるための裁判員裁判なのに、被害者のことは後回しでいいのでしょうか。こんな悲しい結果を娘の仏壇に報告することは辛かった。私たちのように深く傷つけられる人がいなくなってほしい」と願った。
裁判所の運用は慎重
裁判所が「刺激証拠」に慎重な姿勢を示すのには理由がある。裁判員がどれだけショックを受けるかは証拠を見てもらうまでは分からず、実際に体調を崩した人もいる。国民の中から裁判員を選ぶ以上、体調不良が続発し、辞退する人が増えれば、制度が立ちゆかなくなる恐れがある。
このため裁判所はイラスト化の他に、裁判員候補者に衝撃的な証拠が出ることを伝えて辞退も認める▽衝撃的な証拠を示す際は裁判員に予告する――といった取り組みも進めている。
15日のシンポジウムで、中央大の椎橋隆幸・名誉教授(刑事法)は「裁判員の精神的な負担を理由に証拠採用されるかどうかが変わることは問題。適正な刑事裁判のために必要な証拠は認められるべきだ」と語り、裁判所が過剰反応しているとの懸念を示した。
元東京高検総務部長の十時(ととき)希代子弁護士は、防犯カメラの映像や、生きている被害者の傷の写真も証拠から除外される事態が生じているとし、「証拠を見ないまま裁くことは、被告と被害者の両方の人権侵害につながる」と述べた。
一方、あるベテラン刑事裁判官は毎日新聞の取材に「事実認定や量刑判断に必要性が認められれば、内容を予告した上できちんと生の証拠を裁判員に見てもらっている」と強調する。【安元久美子】
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ビキニ被ばく訴訟原告「何を考えているのか」 非核三原則見直し巡り
核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則のうち「持ち込ませず」について、高市早苗首相が見直しの検討に入ったことに対し、核廃絶を訴えてきた市民らからは怒りの声が上がっている。
高知市の下本節子さん(74)は、米国によるマーシャル諸島・ビキニ環礁での核実験(1954年)で当時漁船員だった父親が被ばくしたとして、国などを相手取り2件の訴訟を起こしている。非核三原則の見直し検討のニュースを聞き、「人類の破滅につながる核兵器はなくすしか選択肢はない。一体何を考えているのか」と語気を強める。
下本さんは2024年3月、マーシャル諸島を訪れ、核実験被害に苦しむ住民らと会った。現地ではかつて若い人が次々に病気で亡くなり、生まれた子どもにも異常が見られた。十分な説明も補償も受けられず、住民らは米国に対する強い不信感を持っていた。
下本さんは「原爆に加えビキニ核実験でも被害に遭った日本は、もっと米国の責任を追及すべきではないか」と訴える。さらに「米国の核政策に追従するのではなく、中国や韓国、北朝鮮を含めた北東アジア非核兵器地帯の実現に向け、もっと主体的に動いてほしい」と呼びかける。【鵜塚健】
八丈島、全島で断水解消 約1か月ぶり 2度の台風直撃で浄水場などが被害 島内4か所の水源が今も機能回復できず 町「引き続き節水を」
先月、2度にわたる台風の影響で甚大な被害を受けた東京の八丈島の一部地域で1か月近く続いていた断水がきょう解消されました。
八丈町によりますと、先月相次いで直撃した台風の影響で島内の浄水場や水源などが被害を受け、11世帯では1か月近く断水が続いていました。
職員が仮設の水道管を設置するなど復旧工事を進めてきましたが、きょう午後1時すぎに全島で断水が解消されました。
一方、島内の4か所の水源は現在も機能を回復できておらず、町は復旧工事を急ぐとともに島民に対して節水を呼びかけています。
住宅敷地内に子グマ、「緊急銃猟」で発砲も山に逃げたため中止…2時間後に再び出没
15日午後1時10分頃、山形県庄内町狩川の住宅敷地内に子グマ1頭(体長約50センチ)がいるのを近隣住民が見つけ、町に通報した。現場に駆けつけた町職員が同2時半頃、緊急銃猟の実施を判断。猟友会員が発砲したが、弾は外れた。クマが山の方へ逃げたため緊急銃猟は中止された。けが人はいなかった。
同4時45分頃には、同一個体とみられるクマが再度、同じ住宅敷地内に現れたが、日没のため緊急銃猟は実施されなかった。住人の男性は自宅内に退避しているという。
横田早紀江さん「拉致忘れないで」めぐみさん拉致48年、新潟で早期解決求める県民集会
横田めぐみさん(61)=拉致当時(13)=が北朝鮮に拉致されてから48年となった15日、めぐみさんが暮らしていた新潟市で拉致問題の早期解決を求める県民集会が開かれた。拉致被害者は平成14年に5人が帰国して以降、一人の救出も実現していない。集会では被害者や家族の高齢化が進む中、膠着状態の打開を求める切実な声が上がった。
めぐみさんの母、早紀江さん(89)はビデオメッセージを寄せ、「ぜひ拉致問題を忘れないで、自分の子供が被害にあったらどんな気持ちだろうかと置き換えて考えてほしい」と呼びかけた。登壇した弟の拓也さん(57)は「一刻も早く日朝首脳会談を開催し、全拉致被害者の即時一括帰国を実現してほしい。母は今日元気でも明日は元気がないかもしれない。本当に残された時間がない」と訴えた。
拉致被害者の曽我ひとみさん(66)も出席し、「母と会う日を絶対にあきらめない」と力を込めた。ひとみさんは14年に帰国した5人の一人だが、同時に拉致された母のミヨシさん(93)=同(46)=の帰国は実現していない。
拉致の可能性を排除できない特定失踪者、大沢孝司さん(79)=失踪当時(27)=の兄、昭一さん(89)は「特定失踪者も日本人だ。救出のため、今後一層の努力をお願いする」と政府に要望した。
拉致問題担当相を兼ねる木原稔官房長官も出席し、「私は最後の拉致担当相になる。強い覚悟を持って、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆる手段を尽くして取り組んでいく」と強調した。
集会には約700人が参加した。(竹之内秀介)
立民野田代表、非核三原則堅持訴え=「唐突感ある」高市首相をけん制
立憲民主党の野田佳彦代表は15日、高市早苗首相が非核三原則を将来的に見直す可能性を否定していないことに関し、堅持するよう主張した。熊本市で記者団の取材に応じ、「こんな時こそ日本はこの(持たず、つくらず、持ち込ませずという)考えを訴える指導的役割を果たすべきだ」と述べた。「自民党総裁選挙中はあまり言及していなかった。唐突感がある」とも述べ、首相をけん制した。 [時事通信社]
埼玉道路陥没事故 下水の悪臭、金属のさび…健康への不安抱える住民
今年1月、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故から9か月以上がたちました。現場周辺では今も下水の臭いが消えず、住民は健康への不安を抱えています。
陥没現場の近くに住む、木下史江さん。「ここの部分になります」
今年7月、洗面所のタオル掛けがさび黒く変色しているのに気づきました。
こうしたさびは浴室でも。
「下水の中でお風呂入ってるような。不快なままお風呂入ってる感じです」
木下さんが、その原因ではないかと考えているのが、自宅からおよそ70mの地点で起きた…道路陥没事故。
下水道管が破損したため、周辺の住民は、下水の悪臭に悩まされていますが、金属がさびたという訴えも、相次いでいるのです。
埼玉県によりますと下水から発生した「硫化水素」がさびの原因の可能性があるといいます。
木下さんが、自宅に県が用意した測定器を置くと…
「いま0.1ppmを示しています」。硫化水素が検出されました。
この日、寝室でも検出された硫化水素。
木下史江さん
「やっぱり家の中で0.1でも出ると最初はびっくりとショック。でもやっぱり『だよね』って」
また、周辺では54台の車にもさびが確認されています。
木下史江さん
「5年前に新車で買ったので、 すごくショックでした」
県は、周辺の住宅に様々な金属を置いて「調査」を始め、補償についても検討を進めています。
さらに、住民たちが不安を感じているのが。
木下史江さん
「私たちの体も、もう限界というか、何か大きなことが起こるのではないかという不安は持っています」
硫化水素による“健康への影響”。県には不安を訴える声が40件以上届いています。
現場から130メートルほどの距離に暮らす住民は。
陥没現場から約130mに住む母親(40)
「子供が小児ぜんそくなんですけど、事故後に(ぜんそくの)発作が頻繁に出るようになってしまって」
事故以降、ぜんそくの発作が出ることが増えクスリが手放せなくなったといいます。
かかりつけ医からは下水の臭いなどストレスの多い生活が症状に影響した可能性があると指摘されたということです。
陥没現場から約130mに住む母親(40)
「子どもが苦しんでいる姿を見るのは親として本当につらい」
県は医師などによって事故との因果関係が証明されれば補償をするとしていますが、「硫化水素による健康への影響は低い」としています。
専門家は。
埼玉医科大学 上條吉人特任教授
「直接的な健康被害はないと思う、考えられないですね」
一方で下水のにおいなどストレスを感じやすい環境が「間接的に」健康に影響を及ぼす可能性があると指摘します。
埼玉医科大学 上條吉人特任教授
「不眠になるとか鬱状態になるとか、そういうことはありえるので、直接的な(健康)被害、間接的な健康被害、金属の被害、分けて考えてもらいたい。県は間接的な健康被害、金属(の被害)にきちんと対応していく必要があるのではないか」
いまも不安を抱える住民。きめ細かい対応が求められています。
来週は全国的に気温急降下 冬の到来を感じる寒さに
この週末は西日本や東日本で日差しが暖かく感じられています。しかし、来週は日本列島に強い寒気が南下してくる影響で、全国的に気温が下がり、冬到来を感じさせる寒さとなりそうです。
火曜日から急に寒くなる
11月に入り、全国的に気温の変化が大きくなっています。
この週末は移動性高気圧に覆われ、昼間は気温が上昇しています。週明け17日(月)は南から暖かな空気が流れ込むため、東京や大阪では最高気温が10月下旬並みの21℃まで上がる予想です。
ただ、その後は強い寒気が南下するため気温が急降下します。
18日(火)と19日(水)は関東から九州にかけても最高気温が15℃に届かないところがほとんどです。
日差しが届いても、各地で12月並みの気温になる予想です。仙台は18日(火)の最高気温が9℃と一桁の予想です。
最低気温も低く、東京でも19日(水)は6℃まで下がる見込みです。
冬用のコートなどが必要な寒さの所が多くなるので、この週末のうちに準備を済ませるのが良さそうです。急に寒さが厳しくなるため、体調を崩さないようお気をつけください。
来週後半も冷たい空気の影響が残り、肌寒い日が多くなります。最高気温は関東から西でも15℃を少し超えるくらいで経過する予想です。
来週は冬の訪れを感じる一週間になりそうです。
渡航回避呼び掛け、撤回促す=日本政府「戦略互恵と相いれず」
木原稔官房長官は15日、中国外務省が日本渡航を避けるよう自国民に呼び掛けたことについて「首脳間で確認した『戦略的互恵関係』の推進という大きな方向性と相いれない」と批判した。その上で「立場の違いがあるからこそ、日中間の重層的な意思疎通が重要だ」と指摘し、撤回するよう促した。新潟市で記者団に語った。
中国外務省は呼び掛けの文面で、台湾有事は「存立危機事態になり得る」とした高市早苗首相の発言が「中国人の安全に重大なリスクをもたらしている」と主張している。木原氏は「こうした認識は日本側の認識と相いれない」と強調した。
中国外務省の呼び掛けを巡っては、首相発言を撤回するよう圧力をかけるのが狙いとの見方が出ている。しかし、日本政府は「発言は従来の政府見解と変わらない」(外務省幹部)として撤回に応じない構えだ。政府関係者は「中国は試している。弱さを見せれば強く出てくる」と語った。
一方、政府・与党からは両国関係悪化に歯止めがかからなくなると不安も漏れる。首相は10月末に中国の習近平国家主席と会談し、戦略的互恵関係推進を確認したばかりだが、日本政府関係者は農水産物に関する日中事務レベル協議の見通しが立たなくなったと証言する。閣僚経験者は「次は経済的な対抗措置だろう」と懸念を示した。 [時事通信社]
前橋市長、生番組で2日連続釈明 異例対応のFM局、公正性に疑問
前橋市の小川晶市長(42)が15日、市職員とのラブホテル面会問題を受け、2日連続のFM番組生出演を終えた。地元放送局が小川氏との市民集会を主催し、中継する異例の対応。局が不祥事を抱えた政治家に利用されたとも受け取られかねない。
「不適切な場所を選んでしまった。申し開きができず深く反省する」。15日午後、市内の多目的スペースに集まった市民を前に、小川氏はホテル問題について頭を下げた。
小川氏の説明によると、自ら複数の団体に打診。「報道機関なので中立性が保たれる」との理由から地元コミュニティーFM局を選んだとした。
FM局と市に資本関係はないものの、局は市管理の施設に所在。市は2024年度、行政の情報番組を含む業務委託などで計1523万円超を支出する。
立教大の砂川浩慶教授(メディア論)は、権力に対するチェック機能を果たすのが報道機関の役割だと強調。「小川氏の一方的な主張を流すだけでなかったか。放送後の番組を総括する作業が求められる」と主張する。