東京五輪とコロナ第4波が重なる可能性。経済損失1.6兆円以上か

3月25日、東京2020オリンピック聖火リレーが福島県のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジからスタートした。そのコンセプトは「希望の道を、つなごう。」だが、リレー開始2日目にして計3回もトーチの火が消えるアクシデントが発生。さらに、DJを乗せたトラック数十台が大音量で走者を先導するという復興五輪らしからぬお祭り騒ぎは賛否両論を呼んでいる。

◆最低でも約1.6兆円の経済損失が発生?

これに前後して、開催地・東京都のコロナ新規感染者数は再び増加に転じた。3月24日には400人を超え、“再”緊急事態宣言明け初の週末となった27日には430人に。こうした感染状況を受け、すでに海外からの一般客の受け入れ断念が決定しているが、果たしてどんな五輪になるのか?

宮本勝浩関西大学名誉教授は「最低でも約1.6兆円の経済損失が発生する」と試算する。

「各競技の収容人数を50%以下に抑えることを想定すると、経済損失は1兆6258億円に達するのです。このうち2360億円が海外客の受け入れ断念に伴う損失額。感染拡大への危惧や水際対策の難しさ、医療現場がひっ迫する可能性などを考えれば受け入れ中止はやむをえませんが、この影響は五輪後の日本経済に大きなダメージをもたらします。

なぜなら、観光庁の集計によると、訪日外国人の60%以上はリピーター。東京五輪をきっかけに初来日する人の半数以上がもう一度日本を訪れる可能性が高かったのに、そのチャンスも失われるのです」

◆コロナ第4波と重なる可能性も

だが、最も危惧されるのは、五輪開催期間にコロナの感染拡大が重なるリスクだ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が話す。

「コロナは風邪ウイルスの一種。すでにイギリス型、南アフリカ型など4種の変異株が世界で流行を繰り返しているように、感染拡大には季節要因があります。昨年の1月と8月に世界各国で感染者数がピークに達しており、その2~3か月前から感染が広まり始めたのです。

このデータに照らし合わせて考えると、緊急事態宣言が明けて再び感染が広まりつつある東京は6~8月にかけて感染者数がピークに達する可能性が高い。4月から一般の方へのワクチン接種を開始する方向で準備が進められていますが、イギリス型の変異種はワクチンの免疫効果を阻害する可能性が高いとされています。

すでに変異種の広がりが確認されている日本におけるワクチン接種は、効果薄に終わる可能性もあるのです」

最悪の場合、再々緊急事態宣言下での五輪開催も考えられる。当然、経済損失はさらに膨らむという。

◆無観客で2.4兆円、緊急事態宣言でさらに喪失

「無観客開催になれば、テレビやハードディスクレコーダーなどの耐久消費財の買い替え需要が4000億円程度生まれますが、観光特需はゼロになるため、2.4兆円の経済波及効果が失われると試算しています。

加えて、緊急事態宣言が1か月続けばGDPを1.5兆円押し下げる効果がある。2か月なら倍です。五輪をつつがなく終わらせられたら、その後のインバウンド需要を喚起できる可能性もありますが、失敗すれば日本の景気回復はさらに遅れるでしょう」(民間シンクタンクのエコノミスト)

有観客で開催できても、五輪史上に汚点を残す可能性がある。スポーツライターの玉木正之氏が話す。

「2月にIOC(国際オリピック委員会)が発表した五輪観戦のルールブックでは、大声を出しての応援を禁止しているほか、応援歌を歌うのもダメ。唯一、観客に許されたエールを送る手段は拍手なのです。当然、アスリートのモチベーションは上がらないし、静まり返った会場の様子を放映したところで視聴率は上がらない。おそらく、世界新記録を更新する競技の数が、過去最低になるんじゃないかと予想しています。

なぜなら、海外選手はまともにコンディション調整ができないんだから。選手1万1000人、コーチなど関係者を合わせると5万人の外国人に大会のIDカードが発行されると言われていますが、それだけでは少なすぎます。あのカール・ルイスは常に30人以上のスタッフを引き連れて戦っていたんです。一人の選手につき3~4人のスタッフしか同行できないのなら、レスリングの選手はスパーリングパートナーを用意できないし、馬術競技では馬の管理を行うスタッフを揃えきれない。

唯一、ほぼ万全のコンディションで大会に臨めるのは日本人選手だけでしょう。そんな不公平な大会でメダルを競う意味があるのでしょうか?」

◆海外の方を受け入れる態勢が整っている病院は少ない

仮に海外の選手やその関係者に“日本型コロナ”の感染が広まるようなら、目も当てられない事態に……。

「すでに日本医師会は来日する外国人が発症した場合の患者の受け入れ態勢について、医療崩壊の可能性を指摘しています。東京都は病床使用率が80%を超えた1月から1000床拡充しましたが、海外の方を受け入れる態勢が整っている病院は少ないのです。

政府は大会開催に1万人の医療関係者を確保する必要があるとしているが、その目途もまったく立っていない。大会関係者には4日に一度の割合でPCR検査を実施するとしていますが、新たな変異種を検出するにはウイルスのゲノム配列を解読するシークエンスという作業が不可欠。

それなのに、日本のシークエンス能力はいまだに週に800件しか検査できないという脆弱なものです。従来型よりも感染力が高まる傾向にある新たな変異種が登場するようなら、医療崩壊は避けられないでしょう」(上氏)

◆東京五輪はその意義を考え直す契機になるかも

もはや不安要素しかない東京五輪だが、玉木氏は「意義ある大会にすることは可能」だと話す。

「国別の獲得メダル数などは数えず、驚異の肉体と技術を有するトップアスリートたちの祭典を純粋に楽しむ大会にするのです。そうすれば、商業主義に染まり、政治色が強まったと批判を浴びてきた五輪の負のイメージを払しょくできる。新たな五輪のかたちをつくるのです」

五輪とは何か? 東京大会はその意義を考え直す契機になるかも。

◆東京五輪出場を辞退する選手が続出する可能性も?

男子ゴルフ世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン選手は、3月13日にツアー大会との過密日程を理由に東京五輪不出場を表明。男子バスケのアメリカ代表は「ドリームチーム」での参加が期待されるが、コロナの影響でNBAの新シーズン開幕が遅れたため、プレーオフが五輪と重なりトップ選手の五輪参加が叶うかは不透明。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!3月30日発売号より

女子生徒へのわいせつで処分歴、隠していた47歳教員を懲戒免職に…「官報情報検索」で初の判明

埼玉県教育委員会は31日、女子生徒へのわいせつ行為で懲戒免職となった処分歴を隠していたとして、同県三郷市立中学校の男性臨時任用教員(47)を懲戒免職とした。男性教員は17年前に三重県で免職となり、2008年に教員免許を再取得して埼玉県の中学6校で勤務した。失効者を40年分確認できる国の「官報情報検索ツール」で履歴詐称が判明した。県によると、同ツールで履歴詐称が分かったのは初めて。男性教員は県教委に「本当のことを書くと採用が難しくなると思った」と話しているという。

変異ウイルス、九州・沖縄にじわり広がる…関西訪問歴ある人の感染相次ぐ

変異した新型コロナウイルスが九州・山口・沖縄でも広がり始めている。3月下旬に入って九州北部を中心に感染確認が相次ぎ、31日は新たに長崎、山口両県で各3人、佐賀、大分両県で各1人の感染が発表された。変異ウイルスが増加する関西地方を訪れた人の感染も目立っており、専門家は「人の移動が増える時期で、感染拡大地域から地方へと広がっている」と警戒を強める。(手嶋由梨)
読売新聞が九州・山口・沖縄の9県の状況を集計したところ、31日現在、沖縄(31人)、福岡(11人)など8県の計67人が、変異ウイルスを調べる自治体のPCR検査などで感染が確認されていた。宮崎県はゼロだった。
九州では2月16日、鹿児島県で知人同士の3人の感染が判明。その後は落ち着いていたが、3月19日に福岡県で初めての陽性例が確認され、同20日に大分県、同25日に佐賀県などと続いた。沖縄県を除き、感染力が強いとされる「英国型」が主流となっている。
関西への訪問歴があるケースも相次ぐ。佐賀県では、県内の実家に帰省中だった大阪府在住の男性の感染が判明。山口、大分両県では、感染者の中に発症前、関西地方に滞在した人がいた。熊本県では、大阪府から親族の訪問を受けた後、感染が分かった事例があった。
就職や異動、進学などで当面、県をまたいで移動する機会が増える。九州大学病院グローバル感染症センターの下野信行センター長は「人の移動が増えると感染のリスクは高まる。感染力が強いといっても感染対策は従来型と同じなので、

飛沫
( ひまつ ) 防止のマスク着用や手指消毒を徹底してほしい」と強調する。
自治体は、変異ウイルスのPCR検査に力を入れている。福岡県は2月末、1~2月に従来のPCR検査で陽性となった全検体の約11%で変異の有無を調べた。変異ウイルスはゼロだったが、3月からは全検体の約50%まで検査を拡充した。熊本県は2月中旬から全ての検体で変異ウイルスの検査を実施しており、山口、大分、長崎、宮崎の各県も全検体を調べている。
一方、変異ウイルスの感染者について、国は原則、無症状でも全員を入院させるとしている。下野センター長は「感染者が増えれば、ベッドがすぐに埋まってしまう。軽症であればホテルでフロアを替えて療養してもらうなど、今のうちに柔軟な対応を考えておくべきだ」と指摘する。

セクハラ被害申告、1年も「調査不足」のまま 当事者の市役所幹部、定年退職に

滋賀県甲賀市の部長級職員=3月31日付で定年退職=が女性職員からセクハラを申し立てられ、市が1年間調べながら調査不足として新年度の4月以降も調査を続けることが同日、分かった。市は「個別事案のことは言えないが、一般的に申告者の体調に配慮したり追加調査の要請があったりすれば遅れる場合はある。在職中の事案ならば退職後も責任追及は可能」と説明している。市によると、部長級職員には退職金が満額支給されるという。
甲賀市への女性職員の申立書によると、部長級職員は2019年4月から部署が一緒になった女性職員に対し、「太ってきた」と2回発言したほか、下の名前で呼ぶなどしたという。女性職員は20年3月、被害を訴え、部長級職員の処分や接触防止などを市に申し立てた。
女性職員側や関係資料によると、市は20年4月以降に女性職員と部長級職員に聴き取りを行った。女性職員は20年9月に弁護士を代理人に立て詳細な追加資料を再提出。市は代理人とやりとりし、21年1月初旬に調査項目を確定させた。途中、20年10月から2カ月間、両者で関連のやりとりが滞ったが、市は確認をしなかったという。
市が21年2月に職場の他の職員を、3月に部長級職員をそれぞれ再聴取した。部長級職員の主張が女性職員に開示されたのは同月中旬の苦情処理委員会の実質2日前で「反論機会がない」として女性職員側が抗議。同委員会は開いたが、別の調査不足も判明し、市は調査続行を決めたという。
京都新聞社の取材に対し、市は「どの事案に対しても迅速かつ慎重、適正な対応をしている」とした。
女性職員は「本当に迅速で適正なのか。相手方は定年退職するが、真実の追及のためには調査継続をお願いするしかなかった。市には思いをくみ取り申告者側にもっと寄り添った対応をしてほしい」と訴える。
この事案を巡っては女性職員が適応障害と心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、20年3月以降、休職。部長級職員は京都新聞社の取材に「何も答えることはない」と話した。女性職員は滋賀県警に傷害の疑いで告訴状を提出し、受理された。
新川達郎同志社大教授(地方自治論)の話 慎重な処理に努めていたことは理解できるが、調査に不慣れな上に人手が少ないなど危機管理能力が不足していた可能性があり、苦情処理の体制の見直しが必要と考えられる。当事者の定年退職は当初から分かっていることであり、処理の時間が長くなれば申告者の心身の負担が増すことを考えれば、組織として優先順位を誤ったと言えるのではないか。

「未納料金ある」「携帯がウイルス感染」と言われコンビニの端末使い「代行決済」すると…

新潟県警長岡署は31日、長岡市の60歳代女性が、コンビニ店のマルチメディア端末を使った「代行決済」を悪用した手口などで現金580万円をだまし取られたと発表した。
発表によると、女性の携帯電話に3月21日、料金未納を知らせるショートメールが届いた。記載された番号に電話すると、男に「未納料金が30万円ある」「携帯電話がウイルスに感染している。50万円の保険に加入した方がいい」などと言われ、市内の複数のコンビニ店で3回にわたりマルチメディア端末を操作し、印刷された支払用紙をレジに提示して計80万円を支払った。
さらに「ウイルス拡大で損害が出ている」と言われ、指定された口座や住所に計500万円を振り込んだり、送付したりしたという。

銀行員、札束から「一部抜き取り」繰り返し374万円着服…銀行「日々の計算では気づかなかった」

東邦銀行(福島市)は3月31日、福島医大病院支店(同)勤務の男性元行員(35)が支店内で保管する現金から374万円を着服していたと発表した。同行は同30日付で懲戒解雇処分とし、刑事告訴を検討している。同行行員による着服事案は2020年度で3回目。
発表によると、元行員は窓口係だった2019年7月~21年3月、店内の移動式キャビネット内で保管していた札束の中から一部を抜き取る手口を繰り返して現金を着服。パチンコに使ったという。
今年3月16日、元行員が支店長に申し出て発覚した。同行は「日々の金銭計算や監査では気づかなかった」と説明している。元行員は同25日に全額弁済した。

大学生の飲み会や卒業旅行でクラスター…大阪の感染者、10~30代が半数超

大阪府の感染急拡大の要因は、若者の外出増加と3月という年度替わりの時期だ。変異したウイルスも影響しているとみられる。
府によると、31日の新規感染者599人のうち、10歳代~30歳代の感染者は半数を超える316人。この年代の感染者は10日間で8・3倍に急増していた。
府は、大学生の飲み会や卒業旅行でのクラスター(感染集団)の発生を確認しており、春休みに若者の移動が活発化したことが影響しているとみている。
31日の重症病床使用率は41・1%だが、1週間で1・5倍に急増しており、病床

逼迫
( ひっぱく ) も懸念されている。
大阪市を重点措置の対象とするのは、30日までの人口10万人あたりの新規感染者数(直近1週間)で大阪市内が34・94人と市外の19・41人を大きく上回っているためだ。
31日は兵庫県で211人、京都府で57人の新規感染者が確認され、両府県で2度目の緊急事態宣言が解除された3月1日以降、それぞれ最多の感染者となった。

眞子さま、前代未聞の「儀式なし結婚」も 小室家にとっては好都合

国民的関心事となっている秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんとの結婚問題。大きな進展はあるのだろうか──。
「“ことなかれ”で事を進めたい宮内庁の一部には“あと2~3年、様子を見て事態の沈静化を図った方がいいのでは”と主張する人たちも少なからずいます。一方で、皇室内では“いつまでもこの話題が続くのは避けたい。皇室の信用問題にかかわるので、早く決着してほしい”と望まれる方がいるのも事実です。やはり、最も現実味があるのが、眞子さまが10月に皇籍を離脱し、入籍されるというスケジュールでしょう」(宮内庁関係者)
眞子さまが30才になられる「10月」に小室さんの弁護士試験の結果が判明し、晴れてご結婚へ──本誌・女性セブン2021年4月8日号で報じた「10月ご結婚プラン」には大きな反響があった。
「一般の結納にあたる『納采の儀』や、両陛下への挨拶である『朝見の儀』、皇族方を招いての結婚披露宴など、ご結婚にあたって必要な儀式はいくつもあります。しかし、10月まではあと半年。この短期間で、“皇族にふさわしいご結婚”が、はたして成立するのでしょうか」(皇室記者)
ある皇室ジャーナリストは、「眞子さまは通常の女性皇族の結婚はできないのではないか」と話す。
「秋篠宮さまは2018年、“現状では納采の儀は行えない”と明言。今年の2月には天皇陛下が秋篠宮さまのご発言を踏まえて“多くの人が納得し喜んでくれる状況”を願われました。
しかし、これまで小室家側が誠実な対応を見せることはなく、現状では国民の祝福を得ることは不可能でしょう。秋篠宮さまが“結婚は認めるが、結婚と婚約は違う”とおっしゃられた通り、眞子さまは通常の儀式を行わない“駆け落ち婚”に向けて突き進むしかないのです」
皇室の歴史において前代未聞の「儀式なき結婚」。だが、小室家にとっては、むしろ好都合だという声もある。
「皇族方が結婚される場合、納采の儀に際して『使者』が必要です。これまでの例を見る限り、その多くは新郎の親族から選ばれます。
ですが、小室さんは過去に秋篠宮さまから“使者はどうするのですか”と聞かれても、曖昧に答えるばかりだったそうです。母の佳代さんは親戚づきあいに乏しく、夫の敏勝さんの年忌法要にも長らく顔を出していないようですから、お願いできる人物が見当たらないのが現状です」(前出・皇室ジャーナリスト)
「儀式なき結婚」によって、そうした結婚へのハードルを下げることにもなるのだ。
※女性セブン2021年4月15日号

被爆地広島「平和推進条例」に批判噴出 市議会素案の何が問題か

広島市が行う核兵器廃絶や平和の実現に向けた施策を法的に位置付けようと、市議会が起草した「平和推進条例」(仮称)の素案が物議を醸している。被爆者団体や一部の市民から「被爆地の条例にふさわしくない」などと批判が噴出。意見公募(パブリックコメント)には600を超える声が寄せられ、議会は目標としていた3月中の成立を見送った。何が問題なのか。(共同通信=野口英里子)
▽全会派で議員提案
「被爆者の高齢化が進んでいる。彼らの思いを受け継ぐため、今のうちに市の責務や今後の方向性を明文化すべきではないか」
米国による原爆投下から72年となった2017年、市議会本会議での平野太祐(だいすけ)議員(自民)による提案をきっかけに、平和推進条例の議員提案を目指すことで議会が合意した。19年春から全会派の代表でつくる検討会議で立案作業を始め、20年12月に前文と10条からなる素案をまとめた。
素案は、2条で平和を「核兵器が廃絶され、かつ、戦争その他の武力紛争がない状態」と定義。3条で市は「平和の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」とし、5条で市民はその施策に「協力するとともに、平和の推進に関する活動を主体的に行うよう努める」と、それぞれの役割を記した。
また、6条2項で、8月6日の平和記念式典を「市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行う」と規定。8、9条で、市に施策の実施状況を議会に報告し、必要な財源措置を講じることも義務付けた。
▽「平和の定義が狭い」
市民に意見を聴いた上で案を固め、被爆75年の節目に当たる20年度中に成立させる―。そんな計画を描いて今年1月15日にパブコメを始めたところ、回答期限が迫った2月上旬、反核・平和運動に取り組んできた市民らの間で、にわかに問題視され始めた。
火を付けた一人は、広島市のNPO法人「ANT―Hiroshima」の理事渡部久仁子さん(40)。自身のフェイスブックで「平和の定義は狭く、市民に協力を強いるような表現もある。このままでいいのでしょうか」と問い掛けた。
渡部さんは、オンラインの勉強会を開いた。検討会議の各会派に呼び掛けたが、参加したのは共産党の中森辰一議員だけ。参加した市民は20人以上。平和の定義について「持続可能な社会という視点が抜けている」、市民の協力条項には「『市が市民の活動に協力する』のが本来の在り方ではないか」などの意見が挙がった。
市議会に慎重な議論を要請する渡部久仁子さん(左から2人目)と、高垣慶太さん(左から1人目)=2月22日、広島市議会
▽自由あってこその平和
式典を「厳粛の中で行う」とした6条2項も波紋を広げた。
広島では、式典中に会場周辺で市民団体が行うデモや集会の音量規制を巡り、長年議論が続いている。追悼するスタイルは人それぞれ。規制はおかしいとの立場から、広島弁護士会や原水爆禁止広島県協議会(県原水禁)、県原爆被害者団体協議会(県被団協)などは「市民の表現の自由を制限する恐れがある」として、修正を要請した。
県原水禁の金子哲夫代表委員は「自由あってこその平和だ。条例を作ること自体は否定しないが、権力側が恣意(しい)的に解釈できる表現は避けるべきだ」と指摘する。
条例素案の修正を求める意見書を市議会に提出する県原水禁の金子哲夫代表委員(左)=2月15日、広島市議会
反対に、式典会場周辺でのデモを問題視する「静かな8月6日を願う広島市民の会」は、素案を支持する意見書を出した。石川勝也代表は「条例一つで自由が奪われることはない。政治家には、静かに祈りたい市民の気持ちを受け止めてほしい」と主張する。
市議会事務局によると、パブコメには計607人・団体が投稿。内容を条文やテーマごとに整理すると、1000件近くに上り、そのうち459件が6条2項に対する意見だった。うち約8割が「厳粛な式典」を望み、条例素案に賛成だった。

一方、「5条は市民の自主性を損なう」「1月に発効した核兵器禁止条約に触れるべきだ」など修正を求める声も多い。条例の必要性を問うものや、「パブコメから1カ月で内容を決めるのは拙速だ」と立案プロセスへの批判も一定数あった。
▽世界に誇れる条例を
「市民と共に、世界に誇れる条例を作ってほしい」。2月下旬、渡部さんは数人で各会派の幹事長や検討会議の委員を回り、議論の継続を重ねて訴えた。
3月18日、パブコメ終了後に初めて開かれた検討会議。本会議が閉会する25日までに、大量で多様な市民の声を踏まえて条文案を再考するのは「物理的に難しい」として、4月以降も検討を続けることが決まった。
代表の若林新三市議(市民連合)は会議後、記者団に「時期的なゴールありきではなく、ご意見を受け止めて協議していきたい」と述べた。
パブコメ終了後初めて開かれた市議会の検討会議を傍聴する市民たち=3月18日、広島市議会
18日の会合は、大学進学を控える高垣慶太さん(18)ら約30人が傍聴した。高垣さんは「ぼくたちの世代が条例の下で生きていくことになる。中途半端なものは作ってほしくない」と語る。「条例の目的が、平和への願いを継承することならば、広島が軍都として戦争加害に関わったことや、格差や貧困などの社会問題にも触れなければいけない」
広島大平和センター長の川野徳幸教授は「核廃絶に注力しますと宣言する条例もあり得るが、それでも国の安全保障政策との整合性など重い議題は避けられないだろう」と指摘する。「市が掲げる『国際平和文化都市』の理想像との齟齬(そご)はないのか。ヒロシマは何を目指すのか。議会と市民が時間をかけて議論をする時だ」

大阪の新規感染者600人に迫る…「宣言解除後の急拡大、東京でも」都幹部が危機感

新型コロナウイルスの感染が国内各地で急拡大している。大阪府は31日、政府に「まん延防止等重点措置」の適用を要請し、隣接する兵庫県も要請を検討していることが明らかになった。感染者が急増している地域の首長らは、強い危機感を持って住民らに警戒を呼びかけている。
大阪府では、2月28日で緊急事態宣言が解除された当時は1日の新規感染者が2桁にとどまっていたが、3月下旬に急激に増え、31日は600人に迫った。
こうした大阪の状況に、3月21日で緊急事態宣言が解除された東京都の小池百合子知事は31日、報道陣に「宣言を終えて人出が増えるのは東京でも言えること。どう抑えていくかにより、これからの生活、社会、経済が変わる」と語った。
都内の31日の新規感染者数は414人で、12日ぶりに前週の同じ曜日を下回ったものの、同日時点の週平均の新規感染者数は360・7人と、前週(309・7人)から16・5%も増加している。都幹部は「大阪から3週間遅れて宣言を解除した東京も、同じように感染が拡大する恐れがある」と危機感を募らせている。
兵庫県も31日、211人の感染が確認され、井戸敏三知事は「交流圏である大阪府が要請を決めたことも踏まえ、政府に(まん延防止等重点措置の)対応をお願いせざるを得ない状況になりつつある」と述べた。
青森県では31日、これまでの最多だった40人(2月10日)から倍増となる81人の新規感染者が確認された。81人のうち68人は青森市内の障害者施設の関係者で、小野寺晃彦市長は「最大限の危機意識を持って対応し、全力を尽くしたい」と語った。宮城県内でも31日、過去最多となる200人の感染が確認された。このうち仙台市が123人を占めており、郡和子市長は同日、「病床も

逼迫
( ひっぱく ) していて危機的状況だ」と訴えた。
沖縄県では31日、1月下旬以来の100人超えとなる111人の感染が新たに確認された。玉城デニー知事は同日の記者会見で、「しっかりと時短要請に応じていただきたい」と述べ、現時点では「まん延防止等重点措置」の適用を要請せず、沖縄本島中南部の飲食店などへの営業時間の短縮要請で対応する考えを明らかにした。

読売新聞のまとめでは31日、46都道府県と空港検疫で、計2841人の新規感染者が確認された。死者は東京都の23人など計49人で、重症者は前日より14人増えて382人となった。