コロナ対策で「物言う知事」として存在感を示す丸山島根県知事と、虚飾ぶりが露呈した小池都知事

「コロナ対応強化が不十分なままでの五輪開催反対と、聖火リレー中止の検討」を表明した丸山達也・島根県知事が、存在感を発揮し続けている。

五輪反対を明言した2月10日の会見を皮切りに、翌週(2月17日)の「聖火リレー中止検討」発言で「物言う知事」として注目度が急上昇。ネット上では評価する書き込みが相次ぎ、「#頑張れ島根県知事」がツイッターのトレンド入りをした。

五輪開催ありきの菅政権(首相)や小池百合子知事に「待った」をかける問題提起の姿勢は一貫。海外の観客受入れ断念が決まった直後の3月23日の会見でも、「当たり前」と一蹴したうえで「国内も含め、無観客でやるべきだ」と踏み込んだ。

「無観客ではチケット収入が減少する」との報道に対しても「感染拡大による政府の対策費は数兆円規模」と、桁違いの損失を招くデメリットを強調。あらためて第三波の検証に基づく対応強化がない限り、五輪開催に反対する考えを明らかにしたのだ。

◆東国原英夫・元宮崎県知事が丸山知事の気持ちを代弁

丸山知事は、2月25日には上京して政府と自民党に要請活動をした後、約90分間の記者会見にも臨んだ。中でもメディアが注目したのが、「注意する」発言をした竹下亘・元総務会長(島根2区の衆院議員)との面談だ。

TBS系「ゴゴスマ」では、丸山知事が「第3波を踏まえたコロナ対策の強化」「緊急事態宣言“外”地域の飲食店への支援」が入った要望書を竹下氏に手渡す冒頭公開部分を映し出した後、東国原英夫・元宮崎県知事が次のように解説した。

「僕は丸山知事の気持ちが非常に分かります。やり方はちょっと強硬すぎたのかなと感じがしますが、あれぐらい声を発しないと、なかなか島根とか鳥取とか宮崎もそうなのですが、全国的に注目されない。

(丸山知事は)『政府とか行政とか政治の協力金を含めた、コロナ対策が不十分だ』ということを言いたかったわけです。つまり政府と東京都を批判している。都の感染対策は『ザルだ』と。

実際、そうなのです。『都が感染の根源地、源泉地なのに、なぜ我々が聖火リレーというところで犠牲を払わないといけないのか』とおっしゃりたかったのだと思います」

丸山知事は都が積極的疫学調査縮小(簡略化)で感染経路を十分に追跡できない状況に陥ったことを問題視、その実態調査を厚労省に求めていたのだが(筆者記事「丸山達也・島根県知事の『東京は五輪を開く資格がない』発言について“お気に入り記者”たちは小池都知事に何も質問せず」参照)、これを東国原氏も「ザル」状態と指摘し、丸山知事の気持ちを元知事として代弁したのだ。

◆世間の注目を集めて島根県の政策を説明する

続いて東国原氏は、丸山知事による小池知事批判を紹介したうえで、橋下徹・元大阪府知事と重ね合わせた。

「(小池知事は)緊急事態宣言の中で千代田区長選に応援に4回入られている。それで“密”の中で、都側は『密ではない』と言っていますが、写真を見たけど“密”でした。“密”の中で演説をされている。『東京都の組長さんが緊急事態宣言の中で千代田区長選を応援する、街頭で“密”の中で応援をするのは感染対策上どうなのか』と丸山知事は(2月10日の会見で)おっしゃった。これは“ド正論”ですよ。

そういうことをされている方(小池都知事)が、積極的疫学調査をいうたら縮小したわけではないですか。『そういったことでいいのか』と問題提起をして、聖火リレー(についての疑問)を出された。こういうキャッチ―なことをボーンと出して、そして衆目を集めて自分らの島根県の政策を皆様に説明する。

このやり方は“橋下徹方式”なのです。橋下さんはキャッチ―な言葉をバーンとまずぶつけておいて、世間の衆目を集めてから政策の中身に入っていく」

もちろん、丸山知事の場合は「キャッチーな言葉で衆目を集める」だけではなく、地に足のついたコロナ対策をしっかりと行なっているのはいうまでもない。

◆知事経験者が語る「東京に声を届けることの難しさ」

その橋下氏も、翌2月26日のフジテレビ系「バイキングMORE」で同じように丸山知事を高く評価した。

「地方の知事が東京に声を届けるってものすごく難しい。普通は地方の知事の声なんて、東京のメディアが取り上げてくれない」

「例えば国の直轄事業の負担金という、国から何百億円という請求書を地方は請求されるのですが、それに関して僕が『ぼったくりバーだ』というふうに言うと、取り上げてくれる」

「全国のキー局でこういった放送が流れると、国も考えざるを得なくなって、あとはどっちの方に国民が支持をするかっていう、政治的な力関係で決まる」

そして橋下氏は、さらなる“過激発言”を丸山知事に勧めていた。

「残念ながら丸山さんは僕と違って上品にやってしまっているので、まだ『島根県応援』という雰囲気になってないから竹下さんはかなり強気になっている。これはもう最終的には国民がどっちを支持するか」

◆厚労省も竹下氏も、丸山知事の問題提起を軽く見ている!?

実際に丸山知事の要請活動は、全国のキー局を含めて大きく報道された結果、島根県の政策発信に成功。政府・自民党の動きの鈍さを浮彫りにする効果もあった。要請活動後の会見で筆者の質問に対して、次のように丸山知事は答えたのだ。

――知事が2月3日に厚労省に「積極的疫学調査縮小の調査をしてほしい」と要望書を出し、無回答状態だったので五輪反対にまで踏み込んだが、今日の(山本博司・厚労)副大臣との面談で調査が進んだとかの具体的回答はあったのか。

丸山知事:「今日、回答できることはない」という答えでした。もしかしたら、(厚労省は積極的疫学調査縮小の調査について)「回答する必要がない」と思われているかも知れませんね(笑)。

無回答状態が続いていることを確認した筆者は、「丸山知事に注意する」と発言した竹下亘・元総務会長についても聞いてみた。注意すべき相手は、積極的疫学調査の調査を進めない厚労省ではないかと思ったためだが、丸山知事はこう答えた。

「『注意』というのは物の言い方ですが、私自身も政治の世界に入って知事になって2年、政治の世界の流儀でいうと、今回のやり方がかなり乱暴なやり方なのは間違いないと思う。(「注意すべき相手は厚労省ではないか?」と聞くと)竹下先生とはそういう議論をしていない」

丸山知事の五輪開催に対する問題提起を、厚労省も竹下氏も重く受け止めているとは言い難い。

今回の島根県の要望書には「第3波を踏まえたコロナ対策の強化」とある。これは、第3波の感染拡大では保健所がパンク状態(マンパワー不足)となって感染経路を追跡する「積極的疫学調査」縮小に陥ったが、第4波を抑え込むためには「コロナ対策の強化(保健所職員の増員など)」が不可欠だと丸山知事は訴えているのだ。

そのためには第3波の検証、つまり「積極的疫学調査がどこまで縮小されたのかの全国調査(現状把握)」をしたうえで、ワクチン接種や五輪関連業務が加わる中での「コロナ対策強化プラン」を作成、準備を進めることが五輪開催の必要条件となる。しかし現時点では、具体的内容が示されていないことから丸山知事は五輪反対の立場を取っている。

◆丸山知事「(都の対策に対する)メディアの社会的チェックは大事」

丸山知事は、筆者の質問に対して次のように締めくくった。

「次の感染拡大局面(第4波)に対してどこまで耐えられるのかを確認しておかないといけないのではないか。『(コロナ)対応能力』というのはそういうことだ」

会見終了後、「小池知事の千代田区長選『密集』街宣の記事を書いたものです」と自己紹介しながら、筆者の著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』を手渡した。すると、「(都に対する)社会的チェックが効いていない」(2月10日の会見)と語った丸山知事は、「メディアは大事です」と言ってエレベーターに乗り込んだ。

丸山知事の問題提起後、小池知事は積極的疫学調査を回復(縮小解除)するように通知を出し、保健所職員の増員方針も発表した。しかし、千代田区長選「密集」街宣を否定するなど言葉上だけでごまかす傾向のある小池知事については、コロナ対応強化発言と実態が伴っているのかどうか、メディアが厳しくチェックする必要があるのだ。

「物言う知事」として存在感を一気に示し始めた丸山知事と、虚飾ぶりが暴かれ始めた小池知事――対照的な2人の言動から目が離せない。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

呼びかけ人や世話人に複数の自民党国会議員も。統一教会主導の新型コロナ終息祈念“1万人”イベントが国立施設で開催の“怪”

統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)が京都府内の国立施設で4月上旬に開催する新型コロナ終息祈念“1万人”集いイベント。このイベントに、複数の自民党国会議員が呼びかけ人や世話人として関わっていることが判った。

◆自民党国会議員らが関与

問題のイベントは4月4日に国立京都国際会館で開かれる『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い ~世界平和への道~』なるもの。入手したチラシを見ると、イベントの主催は『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い実行委員会』となっているが、実行委員長は統一教会の京都教区長だ。さらに「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」や教団系列組織「京都府平和大使協議会」などが共催していることから、実質的に統一教会の主導イベントと見られる。

この“集い”のチラシの裏面には、地元選出の自民党国会議員4人が呼びかけ人や世話人の筆頭として印字。呼びかけ人として二之湯智参院議員(京都府選挙区)、世話人には田中英之衆院議員(京都4区)、木村弥生衆院議員(京都3区/比例復活)、繁本護衆院議員(京都2区/比例復活)が地方議員らとともに名を連ねている。

◆実行委員長は教団幹部、連絡先も教団施設と同じ

イベント実行委員長の安永來(アン・ヨンレ)氏は統一教会の国内各地の教会長や教区長を歴任、今年2月に人事異動で奈良教区長から京都教区長に転任した教団幹部だ。

また、チラシに印字されていたイベント連絡先電話番号は、世界平和統一家庭連合京都教区の施設『京都ミライノ』のものと同一だと確認できた。

『京都1万人祈りの集い』において神道国際学会理事長の肩書きで特別講演を行う三宅善信氏は、金光教の春日丘教会長。同学会の設立者はワールドメイトの深見東州教祖だ。

統一教会系の『宗教新聞』2020年5月17日号には、2面を使って三宅氏のインタビュー記事が掲載された。

〈参照:新型コロナウイルス感染症について三宅善信代表のコメントが『宗教新聞』誌に掲載|RELNET、昨年2月にパンデミックを警告 三宅善信神道国際学会理事長の著書|宗教新聞〉

◆会場使用の口利き疑惑も

イベントタイトルには「1万人祈りの集い」とあるが、京都国際会館メインホールのキャパシティは最大でも2000人だ。イベント概要や政治家の関わりなどを確認するため、主催者サイドに連絡を取った。

イベント実行委員会担当者が取材に応じた。

統一教会(家庭連合)の主導について「そこと小林芙蓉先生後援会が100人くらい動いている」と認めた担当者は、自身も家庭連合の信者だと答えた。当日の入場者数は家庭連合から500人、書画家の小林芙蓉氏関連から100人、YouTubeによるネット配信の視聴人数と合わせて「1万人」だという。連絡先電話番号が京都ミライノと同一なのは、京都府平和大使協議会が同施設の2階を間借りしているためと判った。

呼びかけ人や世話人として名を連ねている政治家は平和大使協議会などを通じて普段から教団と付き合いがあるという。

イベント開催の経緯も判った。キーマンは、呼びかけ人の二之湯智参院議員と天江喜七郎氏がそれぞれ理事長と会長に就く京都日韓親善協会の企画担当者だ。この企画担当者も家庭連合の信者で、教団から頼まれイベント開催について天江氏と二之湯議員に相談したところ、両氏は呼びかけ人になることを快諾したという。

天江氏は京都国際会館の元館長であり、二之湯議員も同会館の元職員だ。ハードルが高いと思われる国立施設の使用には、この二人と会館との関係が背景にあったのではないか。尋ねると、実行委員会担当者は「そうですね」と肯定した。

“集い”の参加費は3000円、事前受付により名前を登録すれば当日参加も可能だという。

当日、会場では呼びかけ人の二之湯参院議員が冒頭の挨拶を行い、その他3人の世話人衆院議員も出席予定と話す担当者。

「繁本先生は来られる予定、地元なので最初から最後までおられる。田中英之先生も多分来られる方向で、木村弥生先生も多分、最初からかはちょっとわからないが」

また三宅善進氏が講演することになったのは、教団とワールドワイドの関連ではなく、三宅氏が平和大使協議会・UPFの会議に数回参加した縁からだという。

◆『呼びかけ人』と『世話人』の国会議員たちは質問書を無視

小学館デジタル大辞泉によると、呼びかけ人は「人々に、ある活動への参加や協力などを要請・勧誘する人」で、世話人は「団体や会合などの中心となって組織・運営にたずさわり、事務上の処理をする人。世話役」となっている。

呼びかけ人や世話人となっている各国会議員の国会事務所と地元事務所に質問書をFAXした。質問事項の要旨は以下。

・呼びかけ人や世話人になった経緯

・「祈りの集い」当日の出席

・会場使用に関する口利き

・統一教会との関係(教団及び関連団体のイベントへの出席や祝電、選挙協力等の支援や便宜供与の有無)

・霊感商法や偽装勧誘など同教団が指摘される反社会性についての見解

・政治家としての道義的責任

どの議員からも期限までに回答はなかった。

◆統一教会だとは「判らなかった」国立京都国際会館

実質的な統一教会イベントを国立の施設で行うことに問題はないのか。

国立京都国際会館が定める「使用規則の要約」には「使用制限について」の項目に「反社会的勢力及びその関係者」「国際会議場としての品位を損なうおそれがあると認められるとき」「国立京都国際会館の事業目的を逸脱するおそれがあると認められるとき」の各事項に該当する場合は、使用の申込を断ると記載されている。

また「使用の承諾の取消について」の項目には「使用の承諾後、次の事項に該当すると判明した場合、使用の承諾の取消し若しくは使用の停止をさせていただくことがあります」として「申込の際、主催者等重要な事項について虚偽の申請をした場合」「その他施設の管理運営上、不適当と判断される場合」とある。

〈参照:使用規則の要約|国立京都国際会館〉

国立京都国際会館へ統一教会主導イベントにメインホールを使用させることの是非や議員の口利きなどについて情報提供を兼ねて尋ねた。

今回のイベントを受けた同会館担当者に、天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合は統一教会とイコールであり京都府平和大使協議会も同教団系の組織であること、実行委員長も同教団の京都教区長だと伝えると「あ、そうなんですか?」と驚きを隠せない様子。

実質的な統一教会主導イベントであることは「名前が一切出ていないので」判らなかったという。教団が2015年に世界平和統一家庭連合へ法人名変更をしたことは検索すれば容易に判る。しかし、担当者は「そこまでの深堀りはしていない」と確認不足を露呈した。

会館の「使用規則の要約」への抵触についても「含めて今後、確認取れたら」と歯切れが悪い。

「いろんな宗教団体にお使いいただいているので、宗教によって何かということは特に(お断り)できない」

だが、統一教会は反社会的団体と指摘され裁判も多く起こされている。仮にオウム真理教の後継団体からの使用申請だった場合はどう対応したか訊くと「それはまた別途協議ということになると思う」と答え、もし最初から統一教会と判っていれば「内部で動議をしたと思う」とした。

現在、企画書の内容に沿って「淡々と」準備を進めているという担当者は、使用許可の取り消しについて「手配も全部終わっているので、今から映像さんや音響さんとかもろもろ全部キャンセルチャージが掛かってくるのでそれは多分ならない。使用許可はそのまま変わらない」と否定した。今さら使用許可の取り消しはできないということだが、数か月先の案件だったとしたら対応は替わっていたかもしれないと含みを持たせた。

元館長や国会議員からの紹介や口利きに関してはきっぱり否定、本来なら使えない施設が口利きで使えるようになったわけではないという。

「全然ない。特にそこは関係ない。淡々と予約が入ってきて淡々と受けたという感じ。普通に予約が入り、普通に申込書もらって」

◆当日、呼びかけ人・世話人の政治家たちは出席するのか

本連載でも過去に何度も報じたように、統一教会の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会はこれまで全国会議員に対し、同教団の集会に出席したり支援を受けないよう要請する申し入れを複数回行ってきた。

〈参照:弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち|HBOL、国会議員の“統一教会”イベントへの出席に、弁護士団体が再び要望書。取りやめた議員はいたか?|HBOL〉

しかし、申し入れ後も同教団や関連団体のイベントに出席する政治家は後を絶たない。今回、質問を無視した国会議員たちが4月4日の「祈りの集い」に予定通り出席するのか、注視される。

<取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)

「危ないお金だと思った」「断る選択肢なかった」…河井元法相から現金受領の市議13人が説明会

「(現金を)押しつけられた」「ポケットにねじ込まれた」。2019年の参院選を巡る大規模買収事件で、河井克行・元法相(58)から現金を受領した広島市議の説明会が29日、市議会で開かれ、13人は当時の状況を明らかにした。市には、不公正な金品の受領を追及する政治倫理条例がなく、議会では条例の制定に向けた議論が活発化する可能性がある。
この日の説明会は、山田春男市議会議長が進行。13人は出席や書面での代読で説明した。市民ら約40人が会場の全員協議会室や、別室でモニター越しに傍聴し、一時、市議が傍聴者からヤジを飛ばされる場面もあった。
現金を受け取った経緯について、豊島岩白市議は「非常に危ないお金だと思ったが、(河井被告の)顔をつぶすことはできず、断れなかった」と振り返り、「拒否すべきだった。事件を考えない日は、1日どころか1時間もない」と後悔をにじませた。
50万円を受け取った海徳裕志市議も「参院選が近く、違法なお金と認識していた」と話し、「断るという選択肢はなかった。自分の身の振り方は、支援者の声を聞いて判断する」と述べた。
一方、木山徳和市議は「陣中見舞金として置いていかれたが、違法性があるとは思わない」と説明。進退については「しっかり反省して、引き続き(市議として)務める」とした。
傍聴した市民団体「河井疑惑をただす会」(広島市)の山根岩男事務局長は「議席にしがみつきたいのが見え見えで、市民感覚からかけ離れている。議員で居続ける理由はない」と憤った。
説明会後、議会としての自浄作用を発揮するため、政治倫理条例の制定を求める声が上がった。
公明党市議団の碓氷芳雄幹事長は「説明会を実現できたことはよかったが、全ての疑問が

払拭
( ふっしょく ) できたわけではない。信頼回復のために、早期に政治倫理条例を定めるべきだ」と指摘。
山田議長は「こういう事態に陥らないように、方向性を考えていかなければならない」と話していた。

蓮舫氏、デジタル改革関連法案審議への政府の姿勢に苦言「あまりにも乱暴です」

立憲民主党の蓮舫参院議員(53)が30日、自身のツイッターを更新。デジタル改革関連法案に関する政府の審議の進め方に疑問を呈した。
この日、デジタル改革関連法案に同意なく個人情報が利活用される懸念があることや個人情報保護に関する自治体の裁量権が制約を受ける恐れがあることを指摘した上で60本超の法案を束ねて提案した手法への疑問も指摘されているという記事を貼り付けた蓮舫氏。
「デジタル化の必要性は否定しません。むしろ進めるべき」とつづった上で「が、関連する63本もの新法案や改正案を5つに束ね国会で一括審議するのはあまりにも乱暴です。審議過程で明らかになった諸課題への丁寧な対応も難しい」と指摘。
「安倍政権以降の『束ね法案』は国会審議の軽視です」と厳しく続けていた。

動物園がウサギ15匹を感染防止で安楽死…市民からは賛否の声

盛岡市動物公園「ZOOMO(ズーモ)」が、飼育していたカイウサギ全15匹を安楽死させたことが分かった。数匹に慢性鼻炎を引き起こすパスツレラ症の症状がみられた。感染防止のためだが、重症化していない個体も含まれていたため、市民などから賛否の声が上がっている。
同園によると、カイウサギは子供動物園で飼育されていたもので、昨年11月中旬から数匹に、くしゃみや鼻水などの症状が見られるようになった。園では、パスツレラ症への感染を疑い、全てのカイウサギに抗生剤を注射したほか、獣舎の消毒などの対策をとった。しかし、症状はほかの個体にも広がった。
園では1匹ずつ隔離したケージで飼育する方法も検討した。しかし「飼育場所を移すと、感染を広げる恐れがある」「QOL(生活の質)が低下し、カイウサギにとって苦痛となる」などとして、治療を継続せず、全15匹を安楽死させることを決めた。23日に公式ホームページやツイッターで公表したところ、「動物の命を何だと思っているのか」といった批判や、「苦肉の策だったと思う」など理解を示す意見が相次いだ。
市は昨年、動物の習性に沿った飼育環境を目指す「アニマルウェルフェア(動物福祉)」を重視する、新たな園の運営方針を明らかにした。同園では、動物の安楽死について、〈1〉治療を行っても回復が見込めない〈2〉生活の質が低下したままである〈3〉症状の進行により苦痛を伴う――という三つの基準を元に判断しており、「基準に従って、園内で何度も話し合い判断した」としている。

軽井沢にないのに「軽井沢」の名称、町長が適切な使用求める声明…近隣市町村で59社使用

避暑地として130年以上の歴史を持つ「軽井沢」のブランド価値を守ろうと、長野県軽井沢町の藤巻進町長は29日、記者会見を開き、名称の適切な使用を求める声明を発表した。町外事業所が「軽井沢」の名称を会社名や営業所名、商品名に使用することが常態化し、来訪者や消費者が誤解することがあり、企業倫理に訴えることで乱用抑止を図る。
声明は町商工会、軽井沢観光協会、軽井沢旅館組合の連名で出した。声明では町外事業者に対し、会社名や商品名などに軽井沢を使用する場合、町に事業所が存在しないことなどを「一般的に認知可能な手段」で周知するよう求めた。
「北軽井沢」(群馬)や「西軽井沢」など定着している名称を地名として使用する場合は対象外だが、町はこれらの地域でも「軽井沢店」などと名乗るのは適切ではないとした。個々の企業に是正は要請しないという。町は新年度から、地場産品を返礼品としたふるさと納税を導入するのに合わせ、町の考えを明確にすることにした。
避暑地として歴史を重ねてきた軽井沢だが、町内に事業所がないにもかかわらず名称を用いる事例が後を絶たず、長年の課題となっていた。町によると、長野・群馬両県の近隣6市町村で軽井沢の名称を使う事業者は少なくとも59社あった。宿泊先を軽井沢町と誤認した人から観光協会に苦情が寄せられたケースもあったという。
藤巻町長は「軽井沢の名称は先人が努力をして引き継いできた一級の財産。その価値を未来

永劫
( えいごう ) 維持し、さらに発展させていく使命がある」などと話した。
ドライフルーツなどを製造販売する「軽井沢きなり」(軽井沢町)の担当者は「ネームバリューの効果は計り知れず、(現状のままでは)ブランド価値が損なわれる懸念があった。地域の線引きが明確になるのは大きい」と期待した。
一方、国内外でフランス料理店などを展開する「ひらまつ」(東京)は今月16日、御代田町に高級ホテル「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」を開業した。広報担当者は「悩んだ末に併記を決断した。軽井沢の名に恥じぬよう地域に根ざし、軽井沢のみならず長野の食材や文化を発信し、ブランドの向上に寄与したい」と話した。

「説明できなかったら、鉄砲で撃つぞ」…自殺の病院職員に副市長が不適切発言

奈良県

宇陀
( うだ ) 市の市立病院で勤務していた男性職員(当時59歳)が昨年2月に自殺し、市が設置した有識者会議が29日、副市長や病院の事務局長(いずれも当時)の不適切な言動や業務過多でうつ状態となり、自殺につながったとする報告書を公表した。
職員は2016年から同病院で勤務していたが、20年2月に自殺。市が弁護士らによる有識者会議を設置し、原因を調べていた。
報告書によると、職員は18年10月に発覚した電子カルテシステムのウイルス感染について、同12月以降、原因分析や再発防止策をまとめる業務をほぼ1人で担当。市が業務集中を認識していながら、業務の軽減や担当者の増員などの対応を十分にとっていなかったと指摘した。
その上で報告書は、副市長が19年8、9月頃、職員に「会議で説明をちゃんとできなかったら、後ろから鉄砲で撃つぞ」などと発言したと認定。事務局長は同じ頃、書面の記載ミスが見つかった際、職員に「お前責任とれよ」とどなったと指摘した。
こうした行為について、有識者会議は、「適切さを欠く言動でうつ状態となり、自殺の引き金になった」と結論づけた。
報告書の公表を受け、遺族は「尊い命がなくなったことを重く受け止めてほしい」とコメントを出した。

バッシングの中で多くの人は去っていった……舛添要一流の終活「権力に寄ってくる輩とは付き合わない」

国際政治学者で、厚生労働大臣や東京都知事を歴任した舛添要一氏(72)は、歯に衣着せぬ直言で知られるが、それだけに激しい批判にされされることも多くあった。バッシングを受けてもブレない姿勢は老境に達した今も健在だが、政治の一線から距離を置いてからは人生の断捨離も意識しているという。
『週刊ポスト』(3月29日発売号)では、舛添氏を含めて9人の著名人が、それぞれの終活を語っている。舛添氏はそこで、こだわりを持って買いそろえてきたファッションアイテムの断捨離について語っているが、同時に進めているのが人間関係の整理だという。本誌には収録されなかったインタビューを改めて紹介する。
* * * 高齢になったら、ある程度、人付き合いの輪を狭めていくことも大事だと思います。私の場合は、5年前に都知事を辞任してから自然と人間関係が希薄になっていったのですが、それも良かったと思っています。
政治家をしていた頃は冠婚葬祭の付き合いが大変で、本当に多くの葬式や結婚式に出席しました。実際に関係の深い相手だったらいいのですが、形式だけの付き合いで出席するケースも多くありました。そういう場で、「民主党の先生は来てくれたのに、自民党の先生は来なかった」なんてことになったら、次の選挙に影響するかもしれませんからね。
はっきり言って、権力を持っていた時期にはいろんな人が寄ってきました。「俺の娘の結婚式には大臣が出席した」みたいなことを言いたい気持ちもわかるのですが、そういう目的で近づいてきた人たちの多くは、私が権力を失ったとたんに去っていき、見向きもしなくなりました。そういうときにこそ人間性は見えてきますよね。結局は私を利用したいだけだったんだな、と感じることも多くありました。政治家を辞めてからは、もう上っ面の付き合いはしたくないので、その意味では自然に離れてくれて、こちらも楽になりました。
もちろん、こちらが弱り切っている時期に助けてくれる人もいました。私のスキャンダルでは、たしかに経理上の間違いはあったものの、検察が捜査した結果、起訴されることもなかった。それでも世間からは極悪人のようにバッシングを受けたわけですが、そんなときに、「本当のことはわかっているから大丈夫だよ」と声をかけてくれる人もいました。そういう人とは今でも付き合いがありますし、その関係は大事にしたいと思っています。
これは一般社会にも当てはまることで、会社や組織でそれなりの地位にあった人は、引退したとたんに周囲の人たちがパッと離れていくことがあると思いますが、去る者は追わずでいいと思います。むしろ人間関係が整理されるチャンスだと思えばいいでしょう。
仕事上の付き合いがなくなっても、今度は趣味などを通して気の合う仲間を見つければいい。私の場合、たまに夕方に公園を散歩するのですが、そこで同年配の知り合いが増えました。世間話をしたり、「あの店のコーヒーが美味い」といった情報交換をしたりするのですが、利害関係もないので、とても気楽な関係です。
高齢になってリタイアしたら、もう無理して人と付き合う必要はないし、自分の好きなように生きるほうがいい。気の合う人とだけ付き合えばいいのです。

2つの受賞でアメリカでの人気健在を示した安倍前首相に、訪米前の菅首相がイライラ

名横綱の後の横綱はやりづらい。しかも、その名横綱が引退した後も国際舞台でちやほやされているとなると、なおさら心穏やかではあるまい。 安倍晋三氏が本当に「名横綱」だったかどうかは別として、おそらく4月9日にワシントン入りする菅義偉・首相はそんなふうに感じているだろう。訪米を前に安倍氏と半年ぶりに会談して「おうかがい」を立てた菅首相は、新型コロナウイルス対策では失敗続き、長男が絡む一連の総務省スキャンダルでは右往左往。それを尻目に、勇退した安倍氏は悠々自適の静養期間を楽しんでおり、ついには「首相再々登板」説まで流れている。「桜を見る会」問題で118回に及ぶ虚偽答弁をしていた安倍氏が、昨年12月には国会に引きずり出されて謝罪に追い込まれたのも今は昔、海外での人気をてこに「安倍外交」を復活させている。 最初に救いの手を差し延べたのは、盟友だったドナルド・トランプ大統領(当時)。上記の謝罪を目前に控えていた安倍氏に「レジオン・オブ・メリット」(最高勲功章)を授与して援護射撃した。同賞は、アメリカでは最も栄誉ある「大統領自由勲章」に次ぐ高位の勲章で、陸海空海兵沿岸警備隊5軍の将兵のほか、外国政治家にも贈られる。 そしてさらに、ジョー・バイデン大統領の就任60日目の3月22日には、今度は米有力ロビー団体であるユダヤ系財団から「ワールド・ステーツマン賞(世界政治家賞)」が安倍氏に贈られた。その財団とはホロコースト生存者で篤志家、人権活動家のラビ・シュナイアー氏(91)が1965年に設立した「アピール・オブ・コンサイエンス財団」(良心に訴える財団)で、世界平和に貢献してきた世界の指導者や企業のトップを毎年表彰してきた。同財団の実情に詳しい情報通がこう語る。 「一般にはそれほど知られていない賞かもしれないが、欧米の政教界では影響力がある。シュナイアー氏の下には世界中の富豪から寄付金が集まり、集めたカネの多くを人事政策に費やすことで有名だ。それがまた集金力につながる。カネと人脈を活かしてアメリカを軸とする自由民主主義陣営の結束を図ってきた功績は大きい」 これまでに「世界政治家賞」を受賞した政治家は、安倍氏のほかに旧ソ連のミハエル・ゴルバチョフ元大統領、英国のマーガレット・サッチャー元首相、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官など錚々たる顔ぶれだ。 バイデン大統領も安倍氏の受賞に直ちに祝辞を送って、「世界への貢献と、日米同盟をはじめとする国際関係への安倍氏の長年の協力に改めて感謝の意を表する」と讃えた。犬猿の仲のトランプ、バイデン両氏が安倍礼賛では足並みを揃えた形だ。先輩受賞者であるキッシンジャー氏も、「安倍氏の指導の下、日本は国家と経済の成長を果たした。安倍氏は東アジアの経済発展と平和の鍵である日米友好に貢献した」と手放しの褒めようだ。
名横綱の後の横綱はやりづらい。しかも、その名横綱が引退した後も国際舞台でちやほやされているとなると、なおさら心穏やかではあるまい。
安倍晋三氏が本当に「名横綱」だったかどうかは別として、おそらく4月9日にワシントン入りする菅義偉・首相はそんなふうに感じているだろう。訪米を前に安倍氏と半年ぶりに会談して「おうかがい」を立てた菅首相は、新型コロナウイルス対策では失敗続き、長男が絡む一連の総務省スキャンダルでは右往左往。それを尻目に、勇退した安倍氏は悠々自適の静養期間を楽しんでおり、ついには「首相再々登板」説まで流れている。「桜を見る会」問題で118回に及ぶ虚偽答弁をしていた安倍氏が、昨年12月には国会に引きずり出されて謝罪に追い込まれたのも今は昔、海外での人気をてこに「安倍外交」を復活させている。
最初に救いの手を差し延べたのは、盟友だったドナルド・トランプ大統領(当時)。上記の謝罪を目前に控えていた安倍氏に「レジオン・オブ・メリット」(最高勲功章)を授与して援護射撃した。同賞は、アメリカでは最も栄誉ある「大統領自由勲章」に次ぐ高位の勲章で、陸海空海兵沿岸警備隊5軍の将兵のほか、外国政治家にも贈られる。
そしてさらに、ジョー・バイデン大統領の就任60日目の3月22日には、今度は米有力ロビー団体であるユダヤ系財団から「ワールド・ステーツマン賞(世界政治家賞)」が安倍氏に贈られた。その財団とはホロコースト生存者で篤志家、人権活動家のラビ・シュナイアー氏(91)が1965年に設立した「アピール・オブ・コンサイエンス財団」(良心に訴える財団)で、世界平和に貢献してきた世界の指導者や企業のトップを毎年表彰してきた。同財団の実情に詳しい情報通がこう語る。
「一般にはそれほど知られていない賞かもしれないが、欧米の政教界では影響力がある。シュナイアー氏の下には世界中の富豪から寄付金が集まり、集めたカネの多くを人事政策に費やすことで有名だ。それがまた集金力につながる。カネと人脈を活かしてアメリカを軸とする自由民主主義陣営の結束を図ってきた功績は大きい」
これまでに「世界政治家賞」を受賞した政治家は、安倍氏のほかに旧ソ連のミハエル・ゴルバチョフ元大統領、英国のマーガレット・サッチャー元首相、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官など錚々たる顔ぶれだ。
バイデン大統領も安倍氏の受賞に直ちに祝辞を送って、「世界への貢献と、日米同盟をはじめとする国際関係への安倍氏の長年の協力に改めて感謝の意を表する」と讃えた。犬猿の仲のトランプ、バイデン両氏が安倍礼賛では足並みを揃えた形だ。先輩受賞者であるキッシンジャー氏も、「安倍氏の指導の下、日本は国家と経済の成長を果たした。安倍氏は東アジアの経済発展と平和の鍵である日米友好に貢献した」と手放しの褒めようだ。

奇言乱発の二階幹事長 ドンの地位を守るため菅氏による解散阻止へ

無派閥で党内の足場が弱い菅義偉・首相の政権基盤を支えているのは、「二階」「創価学会」「維新」の3本柱といわれる。
後見人の二階俊博・幹事長が自民党内に睨みを利かせ、与党では公明党・創価学会とのパイプに支えられ、野党には友好関係にある日本維新の会という“補完勢力”を持つ。その微妙なバランスで、コロナ対策に失敗しても「菅おろし」の動きを防ぎ、政権を維持してきた。
だが、その柱が1つずつ折れていく。蜜月だった二階氏との関係は、いまや冷め切っていると言っていい。
首相を支える者が誰もいなくなると、自民党内で仲間割れが始まった。政権をかき乱す側に回ったのが二階氏だ。
「そこまで言うのか」。さる3月10日、超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」の会合で二階氏の発言を聞いた自民党議員たちは衝撃を受けた。
議連は4月に訪米する菅首相にバイデン大統領との日米首脳会談で拉致問題解決への協力を働きかけるよう求めたが、二階氏は首相が「条件をつけずに会う用意がある」と金正恩総書記に呼びかけていることに、
「条件をつけずに向き合うって、それどうするんだ。こんなことでは国民は納得していない」
と真っ向から批判の言葉を浴びせたからだ。
二階氏の“奇言”はそれだけではない。大規模な選挙買収事件の被告、河井克行・元法相が公判で議員辞職を表明したことに、二階氏は会見(3月23日)で、「他山の石としてしっかり対応していかなくてはならない」と発言。「妻の案里氏は二階派で“他山”とは言えないだろう。無責任だ」と党内でも批判が出ている。二階氏側近に言わせると、「河井は菅首相の側近。“菅の監督責任、不始末で迷惑している”という思いがあったんじゃないか」ということになる。
その二階氏が気色ばんだのは解散・総選挙をめぐる問題だった。菅首相が会見で「9月までが(総裁)任期だから、その中で考えていく」と発言し、10月の衆院任期満了の前にあくまで自分の手で解散する姿勢を示せば、下村博文・政調会長も「追い込まれ解散という構図はつくりたくない」と4月の首相訪米後の解散の可能性に言及するなど、自民党幹部たちから一斉に解散論が流された。
それに対して、二階氏は自民党大会後の会見(3月21日)で、「(下村氏は)どれだけ仲間の選挙のために汗をかいたのか。自分の選挙は大丈夫なのか」と言い切った。
その背後にあるのは二階氏の焦りだ。党内第4派閥の勢力しか持たない二階氏が“自民党のドン”と呼ばれる力を持ったのは、菅政権の生みの親で、後見人として菅首相に強い影響力を持っていたからだ。一蓮托生だった2人の関係が悪化すれば、菅首相が求心力を失うと同時に、二階氏も“ドン”の座は維持できない。
実際、菅首相の長男の接待など一連の総務省接待問題では、二階派幹部の武田良太・総務相や二階氏が「次の総裁候補」として目を掛けている野田聖子・元総務相らに火の手が広がり、二階氏の力にはっきり翳りが見えてきた。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。
「二階派には選挙基盤が弱い議員が多く、総選挙になれば大きく勢力を減らす可能性が高い。そうなると総裁選への発言力もなくなり、二階氏の幹事長続投は難しい。総裁選まで幹事長として党内の実権を握っておきたい二階氏は、菅首相の手で解散・総選挙を絶対にさせたくない」
※週刊ポスト2021年4月9日号