アパート火災で住民の母娘死亡 大阪・羽曳野

28日午前2時半ごろ、大阪府羽曳野市島泉8の鉄筋3階建てアパート「セントラルハイツ島泉」で、「窓から煙が出て燃えている」と近くに住む女性から119番通報があった。3階の無職、林フサ子さん(77)方の一室を焼き、約30分後に鎮火した。室内で、煙を吸ったとみられる林さんと長女・秀美さん(48)が折り重なって倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。布団周辺の燃え方が激しいという。羽曳野署が、出火原因や詳しい死因を調べている。【石川将来】

ワクチン、選択可能に=接種会場ごと種類分け―小林補佐官

新型コロナウイルスワクチン担当の小林史明大臣補佐官は28日のフジテレビ番組で、国民がどの種類のワクチンを接種するか自ら選択できるようにする考えを明らかにした。小林氏は「接種会場ごとに打つワクチン(の種類)を決めていく。それは公表されるので、会場を選べば打つワクチンを選ぶことができる」と説明した。
小林氏は接種に関し「(副反応など)自身の事情で打ちたくないという判断をされる方もいると思う」と指摘。各会場に用意されたワクチンの種類を知らせることで、「選べる環境をつくっていきたい」と語った。政府は1会場で使用するワクチンは1種類とする方針だ。
高齢者向け接種は4月12日から始まり、米製薬大手ファイザー社製のワクチンが提供される。今後、一般向けなどは英製薬大手アストラゼネカと米バイオ医薬品企業モデルナからも供給を受ける予定だ。
[時事通信社]

明日の東京は夏日予想 昼間は汗ばむような体感に

明日29日(月)の関東は、暖かな空気とフェーン現象で各地で気温が高くなり、今年一番の暖かさのところが多くなります。
6月上旬並みの最高気温
東京の予想最高気温は25℃で、夏日になる予想です。東京で25℃というのは6月上旬並みの最高気温。3月で観測史上最も高い気温は2013年3月10日に観測された25.3℃です。朝は雨がパラつく可能性があるものの、雨を降らせた低気圧が去ると天気は回復します。関東上空には上空約1,500mで12~15℃という非常に暖かい空気が流れ込み、また上空は西南西の風が吹いてフェーン現象が起きやすい環境となるなど、気温が上がる条件が揃います。昼間は上着を着ていると汗ばんでしまいそうな体感になるため、服装選びに注意が必要です。
暖かさに誘われて花粉大量飛散も
季節先取りの暖かさに誘われて花粉が大量に飛散するおそれがあります。関東ではスギ花粉の飛散がピークを越えた一方で、ヒノキ花粉の飛散が多くなっています。外出する場合はマスクや目薬で万全の対策をしてください。

酔った陸士長、後輩隊員の胸を5回殴り「殺してやる」

陸上自衛隊新発田駐屯地は26日、第30普通科連隊の男性陸士長(24)を停職15日、男性1等陸士(20)を停職11日の懲戒処分にしたと発表した。
発表によると、陸士長は2019年6月27日、駐屯地の居室で、後輩の男性隊員の胸を5回殴る暴行を加え、軽傷を負わせたうえ、「殺してやる」などと脅した。当時、酒に酔っていたといい、「後輩の生活態度が悪く、指導したが直らなかった」と話している。駐屯地の警務隊が、傷害と脅迫容疑で新潟地検新発田支部に書類送検した。
1等陸士は昨年11月29日、新潟市中央区のJR新潟駅近くの駐輪場で自転車を盗んだ。
同連隊の遠藤祐一郎連隊長は「服務指導を行い、再発防止に努めたい」と話した。

来客と思った女性、玄関を開けると…男が首を腕で絞めて「金庫どこだ」

27日午前10時半頃、千葉県木更津市高柳の民家で、訪ねてきた男が住人の無職女性(78)から現金約700万円を奪って逃げた。女性にけがはなく、木更津署は強盗事件として捜査している。
発表によると、この家には1週間ほど前、息子をかたる男から「事故に遭った。示談金を用意してほしい」という電話があった。来客と思った女性が玄関を開けると男が家に入り込み、女性の首を腕で絞めて「金庫はどこだ」などと脅し、女性が手渡した現金を奪った。
女性は夫と2人暮らし。夫は別室にいて無事だった。男は身長1メートル60~70、40歳代くらいで、クリーム色の作業服姿だったという。

元アマ横綱の県職員、知人の言動に立腹して暴行…5日間のけが負わす

鳥取県は26日、知人に暴行を加えてけがをさせたスポーツ課の会計年度任用職員(29)と、62キロ超過の速度違反をした林政企画課の農林技師(24)の男性職員2人を戒告の懲戒処分にした。
県人事企画課の発表によると、スポーツ課の職員は昨年12月21日午後1時半~2時頃、鳥取市内の知人男性宅で、知人男性の言動に腹を立てて暴行。5日間のけがを負わせた。職員は2017年の相撲の全日本選手権で優勝した元アマチュア横綱だった。
林政企画課の農林技師は昨年7月18日午後5時40分頃、長野県内の中央道で制限速度80キロのところを142キロで運転。速度違反自動取締装置で発覚して、90日間の免許停止処分と罰金9万円の略式命令を受けた。

自殺に孤独死…ドス黒いシミに消えない死臭、遺族の悲しみも拭う「事件現場清掃人」

父親が死んだ血まみれの浴室を見ておきたいという娘、息子の自殺現場で大家に頭を下げ続ける母親、死後1か月以上の孤独死……。部屋に残された痕跡から故人の“想い”を悟ること。そして、遺族の激しい感情の揺れを受け止めること──。死の後始末をする清掃人として、「ご安心ください」と胸を張って言えるまでには、長い年月が必要だった。
東京の下町にある古いアパートの一室で孤独死が起きた。亡くなったのは62歳の男性。半年ほど前に職を失い、以来ほとんど6畳1間の自室にこもっていたらしい。たまたま部屋を訪れた元同僚が、玄関口で助けを求めるようにして倒れていた男性を発見し、警察に通報した。
「事件現場清掃人」である高江洲敦(たかえすあつし・49)は、アパートの大家さんから電話でこんな依頼を受けた。
「死後1か月たって見つかったようなんです。ご遺体の腐敗が進んでしまったためににおいが酷くて、一刻も早くにおいを消してほしいのです」
「ご安心ください。私が必ずきれいにして差し上げます」
高江洲が代表を務める「事件現場清掃会社」は、「特殊清掃」を専門に行う。主に自殺や孤独死があった場所で、消臭・消毒、虫の駆除、遺品整理、廃品・ゴミ処理、清掃・リフォームなどを行い、現状回復までを請け負っている。
2003年から3000件以上の現場に立ち会ってきた、いわば「事故物件」再生のプロフェッショナルなのだ。
病院で亡くなる場合と違い、冒頭のようなケースは「変死」扱いとなり、警察は死因を調べるために遺体を運び出す。
しかし、遺体から出た毛髪や体液などはそのまま現場に放置されるという。
高江洲は現場に到着すると、ドアを開けるとき「お疲れさまでした」と心の中で呼びかけ、故人と必ず向き合う。
「現場に入るたび、家の主であった方の人生を想像せずにはいられません。“大変な人生でしたね”そう話しかけながら、お清めをするんです。わけのわからない念仏を唱えるより少量の塩と酒を部屋に置いて故人をねぎらう。これが私の習慣になっています」
本来ならば、遺族が掃除をする役目を引き受けるべきだと思われるかもしれないが、孤独死の場合は身元が不明だったり、遺族がいても故人と疎遠だったことを理由に事後処理を断るケースが多い。
このアパートの男性も、近所に義理の姉がいたのだが、遺体の引き取りはおろか火葬の費用を出すことも拒否。結局、大家さんが火葬を行い、死亡現場となった部屋の清掃までやむなく引き受けた。
「失業保険をもらっていて、生活は苦しかったみたいですよ。家賃も最後の何か月かは滞納したままでしたから……」
大家さんはいかにも困った様子で、高江洲にこぼした。
6畳間の片隅には洗濯物がつるされ、台所には最後の食事だったのだろうか、干からびた食べ物が入った食器が置いてあった──。
作業に欠かせない装備とはどんなものか。
「絶対必要なのが、防護ゴーグルと防毒マスク。強烈な腐敗臭や、ハエなどの無数の虫、そして感染症から身を守るために着用します。また、遺体から流れ出た体液や虫の侵入を防ぐため、衣服の上には雨合羽の上着を着用し、手にはゴム手袋、靴はビニールのカバーで覆い、雨合羽とゴム手袋の隙間は養生テープでしっかりとふさぐんですね」
特殊清掃では、まずゴミ処理と掃き掃除から行う。部屋中に広がったゴミや、故人の糞便などを踏んでしまうからだ。ハエやウジ、サナギなどの虫の死骸をうっかり踏みつぶせば、床や畳を汚し、フローリングにこびりついて、あとあと苦労するという。
次に二酸化塩素を主成分とする特殊な消毒液を部屋の隅々まで噴霧する。死臭の主な原因は、腐敗の過程で細菌がタンパク質を分解して出す物質。薬剤をまくことで菌を死滅させ、においの原因を取り除いていくのだ。
こうしてようやく本格的な清掃作業に入っていく。
遺体から流れ出た体液や脂、血液、消化液などは混ざり合い、盛り上がった状態で表面が乾き固まる。これをスクレーパー(こびりついた汚れを落とす道具)で削り取り、残った汚れはスポンジで丁寧に除去する。ときには汚物にまみれたトイレや、何年も放置されたカビだらけの台所も清掃する。このように、部屋中のあらゆる汚れを取り除くのだ。
男性の遺体があった玄関口には、ドス黒い人型のにじみが広がり、体液が床を通って階下の天井まで達していた。
「こうなると、汚れた部分を削り取り、汚れた床板やフローリングなど、すべて新品に取り換えます。構造上はずせない木材やコンクリートは体液が染み込んだ部分を削ってコーティングを施します。ひどいときは解体や、全面的なリフォームが必要になりますね。そこまでしないと、においまで取り除けません」
人が亡くなると腐敗が始まる。温度にもよるが、死後24~36時間たつと腹部から腐敗ガスがたまり、それが全身に広がって身体を膨張させ、やがて体内にたまった腐敗ガスが血液や体液とともに、腐敗しやわらかくなった身体を破って噴出するのだ。これが「死臭」の発生源ともなる。
作業の仕上げにもう1度消毒液を噴霧し、一連の作業を終えた高江洲は部屋の隅々までにおいを嗅ぎまわる。
「最後は鼻を床に押しつけてにおいが完全に取れたことを確認します。この“においを取る”ということのために私は命懸けでやってきましたから」
孤独死が社会問題となって久しい。その数は年々増え続けている。
2019年の厚生労働省の調査によると、全国の「単独世帯」は1490万7000世帯で、全世帯の28・8%、実に4世帯中1世帯強がひとり暮らしをしているのだ。
最近の傾向としては、60歳未満が4割を占め(第5回孤独死現状レポート)、実際に事件現場清掃の現場でも、特に多いと感じるのは40~50代の男性の孤独死らしい。
誰にも看取られず死亡する人は年間3万2000人にのぼるとされている。
高江洲とは、6年ほどの付き合いがある横山清行さん(48)は、横浜の港南区で3代続く不動産会社の社長だ。これまでに10件以上、高江洲に依頼してきた。
「古い物件では、長く住んでいる高齢者の方が亡くなるケースもよくあります。あのにおいはたまりませんね。脳に来る強烈さというか。高江洲さんは徹底的ににおいを消して、確実にきれいにしてくれる。最初は相見積もりでしたが、今では信頼する高江洲さんにお願いしています」
特殊清掃の仕事で、孤独死についで数多く遭遇するのが自殺の現場である。これが全体の3割を占めるという。
警察庁の統計によると、2020年の自殺者総数は2万1081人。コロナ禍の影響で今年はさらに上昇するとみられている。
ある晩秋の昼下がり。車で移動中だった高江洲の携帯電話が鳴った。相手は若い女性で、特殊清掃の依頼だった。聞くと、団地にひとり暮らしだった父親が自室の浴槽で亡くなったと言う。憔悴しきった様子の声から、突然の父の死を受け入れなければならない娘の緊迫した状況が窺えた。
直感的に「これは自殺だ」と感じた高江洲は、「ご安心ください。すぐに伺います」と伝え、現場に向かった。
古い団地の入り口に20代と思われる女性が立っていた。
2DKの典型的な団地の間取り。生臭い血のにおいが鼻につく。廊下の床には遺体の搬送中にポタポタと滴った血痕が続いていた。廊下を入ってすぐ右にある浴室に近づいてみると、浴室の折り戸の曇りガラスには、無数の赤い点、そして真っ赤な手形が見えた。
意を決して扉を開けると、そこには想像していたとおりの惨状が広がっていた。
浴槽内には血で染まった真っ赤な水。壁には天井まで達した血飛沫の跡。死の間際にもがき苦しんだのか、血塗れの手跡が至る所に見られた。首の動脈を切っての自殺だったことがわかる。
作業に取りかかろうとすると依頼主に声を掛けられた。
「清掃する前に、浴室の状態を見せてください。どうしても父の最期の様子を知っておかなければいけない気がするんです」
とてもすすめる気にはなれなかったが、彼女の強い意志に負け、自殺の現場を見せることにした。
浴室の扉を開けた瞬間、彼女は腰が砕けてよろめいた。しかし、すぐに立ち直って、浴室全体をゆっくりと見渡し、和室へ歩いて行き畳の上にへたり込み、静かに涙を流したのだった。
「実はどんなに汚れた部屋でも肉体的なつらさは大したことはない。精神的にいちばんつらいのは、遺族から直接依頼されるケースなんです。遺族の“思い”を解決しなきゃならないですから」
遺族との対話は「傾聴」が基本だという。だが、安易な相槌は打たないと決めている。
「絶対に“わかります”などと軽率に言わないほうがいいんです。遺族の悲しみや悔しさなんて計り知れませんからね。ちゃんと遺族の方と話ができるようになるまでに2年以上かかりましたね」
故人は60代。妻と死別後、ひとり暮らしをして、長く持病を患った末の自殺だった。
彼女は、2日前に故人と会っていたと言う。そのときに父が告げた「今までありがとう」という言葉に、違和感を覚えたという話をしてくれた。
「遺書がなかったために真実はわかりませんが、家族に面倒をかける前に逝こうと考えたのではないかと思われました。私には、最後までプライドを持って生きたのだと感じられた。でも、遺族にとってはとうてい承服しがたい、やりきれないものですよね」
高江洲は、沖縄県出身。長男で2歳下の弟と5歳下の妹がいた。決して裕福な家庭ではなかったが、「大きくなったら社長になる」という夢を持ち続けてきた。中学生になると、自分で稼いでいくには手に職をつけたほうがいいと考えるようになっていた。そして、同級生の「一緒に料理人にならないか」という誘いに乗って、工業高校の調理科に入学。高校卒業後、1年間、沖縄で働いた後に上京し有名ホテルの中華料理部門に就職した。夢は、理想の店をオープンさせ、そのオーナーとしてお金持ちになることだった。
しかし、当然のことながら、最初のうちは下働きばかりで給料もわずか。高江洲は開業資金を貯めるため、休日にハウスクリーニングのアルバイトを始めた。
「私は料理が大好きでした。でも、バイトで始めたハウスクリーニングもだんだん面白くなっていきました。掃除屋の車の荷台を見ると、道具一式がそろっています。それらの値段を調べるうちに、100万円もあればそろえられることがわかったんです」
このまま料理人の道を選んだとしても、自分の店を出せるころには40代半ば。それに比べ、ハウスクリーニングは元手がかからないうえ、大きな店舗も必要ない。それで心を決め、ホテルは退職した。
「しばらくは、昼は清掃業、夜は居酒屋でなんとかしのぐ生活でしたが、1年後に独立しました。弟が大学に通うための仕送りが大変だったこともあって。ハウスクリーニングで開業して、遠回りしてからの料理でもいいじゃないかと思ったわけなんですね」
1995年の夏、25歳のときにハウスクリーニングと店舗清掃を業務とする「そうじ屋本舗」を開業し、晴れて念願の社長となった。
社員も少しずつ増やし、2001年には法人化。売り上げも月600万円以上あった。
「調子に乗ってしまった。毎晩のように豪遊ですよ。羽振りがよかったですから。それが間違いの始まりだった」
そして、従業員の不満に気づかぬまま、愛想を尽かされることになる。
「社長、あなたには経営者としての資格はありません」
ある日、高江洲は社員たちに囲まれてそう宣言された。クーデターである。
右肩上がりだった業績も落ち込みが目立つようになり、借金の額もかさんでいた。
得意先に根回しを図っていた社員らは、社長1人を残して総辞職。後に、別会社を設立し、顧客を引き継いで業務を続けると決めていたのだ。
2003年、32歳になった高江洲は、たったひとりでハウスクリーニングの仕事をやっていくことになった。月の売り上げは20万円ほど。その一方で、解散した会社でつくった借金返済が月140万円あった。
そんな高江洲を応援してくれる人がいた。葬儀関連の業界の社長だ。彼からある日、相談があると持ちかけられたのは、「ちょっと変わった現場の仕事」。それが、事故物件との出会いだった──。
よくわからず向かった現場で待ち受けていたのは、強烈なにおい。「死臭」である。部屋に住んでいたのは60代の男性で、死後2週間がたっていた。男性が倒れるときに頭を柱にぶつけたらしく、生々しい血痕と毛髪が残り、壁にも血痕が飛び散っていた。
消毒剤のスプレーを部屋の隅々まで吹きつけるわずか15分の作業だったが、今でもこの日の衝撃は忘れられない。
「もう嫌でした、人が死んだ部屋というのが。一刻も早く現場から逃れたい思いで、においの確認もせずにそそくさと部屋を後にしました。なんとも情けない仕事ぶりです」
だが、初めての事件現場の作業から1か月後、「消毒だけしてくれればいいから」と同じ社長からまた依頼がきた。
マンションの一室で、死後2か月たって遺体が発見された。服毒自殺の現場だった。
部屋に住んでいた男性は、IT関連の個人事業者。自殺の原因は離婚で、奥さんが家を出た直後に命を絶っていた。
長期間放置されたため、部屋の中はものすごいにおいだった。男性はパソコンに向かうひじ掛け椅子に座ったまま亡くなったらしく、体液や血液、糞尿までもが椅子のスポンジに染み込み、そこからあふれたものが流れ落ち床に大きな塊を作っていた。その塊からウジ虫がわき、部屋中をハエが飛び交っていた。
高江洲が、ひととおりの消毒作業を終え、この地獄のような場所から出て行こうとすると、立ち会っていた葬儀社の担当者が呼び止めた。
「そこの汚れ、拭いてよ」
「いや、私が引き受けたのは、消毒だけですから」
「何言ってんの? 掃除屋だろ? 仕事じゃないのかよ?」
頭に血が上ったが、言われてみれば、そのとおりだった。
「話が違う、と言い続けることもできた。でも、私はプロなんだ、自分で選んだ仕事を失うことはできない。特殊清掃のノウハウもないまま掃除に取りかかったんです」
掃除機で床に転がった無数の虫の死骸を片づけ、赤黒く固まった汚れを雑巾でこそげ落とすように拭いた。こみ上げる吐き気を我慢できず、思わずキッチンで嘔吐した。
(なんで俺はこんなことをしているのだろう……)
悔しくて涙があふれた。
その後も、事件現場清掃の仕事は、月に1度のペースで入ってきた。受ける理由はただひとつ。金を稼がなければならないからだった。
それでも、においだけは別だった。あの強烈な悪臭はどうやったら取れるのか、まったく見当もつかない。当時はまだ、事件現場の清掃を引き受けるときは、「汚れを取って、消毒はします。虫の始末もします。でも、においだけは消せません」と断りを入れていた。
しかし、そんな高江洲の気持ちを大きく揺さぶる出会いが訪れる。
現場は2階建てのアパートで、亡くなったのは若い男性だった。部屋に行くと、すでに片づけの作業が始まっていた。玄関の前に初老の女性がうつろな目をしてへたり込んでいる。そして荷物を運び出す業者に、何度も「すみませんでした、どうもすみませんでした」と言い続けている。故人の母親だった。遺体があった現場を見ると、フローリングに人型はあるものの、血液や体液などは残っていない。高江洲は、この女性がすべて拭き取ったのだと悟った。
そこへ、様子を見に来たアパートの大家が、激しい剣幕で女性を怒鳴りつけた。
「どうすんだよ! においが下の部屋まですんだよ! リフォームして入居者も決まっていたのに、お前のせがれのせいで契約も解除になっちまったじゃねぇか」
体液は、階下の天井にまで達していた。高江洲は大家さんをなだめ、「ここまでいくと、消毒だけではにおいは取れません。部屋全体をリフォームするしかない」と事実を伝えることしかできなかった。
この日初めて、自分の力不足を呪ったという。
「この悪臭の中、お母さんはどんな気持ちでひたすら自分の息子の一部を拭き取ったのだろう……と。汚れた両手を床にそろえ、頭を下げ続ける姿は、わが子に対する親の愛情そのものでした」
そこから、高江洲は、本格的に特殊清掃の勉強を始める。
どうやったら、汚れた部分だけを修復するリフォームが可能になるか、感染症を防げるだけの殺菌力を持ち、脱臭効果のある無害な除菌剤が作れるのか──。
その過程で、二酸化塩素が有効だという結論に至る。必死で取り扱う業者を探し、現場で使えるようになった。
こうした研究に1年近い時間とそれなりの費用がかかったが、効果は絶大だった。においを消し去るにはリフォームか解体しか策がなかった現場でも、この薬剤を噴霧するとうそのように悪臭が消えた。
高江洲は自信を持って現場に臨むことができ、仕事の依頼も増えていった。
ところが好事魔多し。仕事を斡旋してくれた社長から、「ご遺族や大家さんに特殊清掃の仕事を説明するために、技術や薬品を知っておきたい」と言われ、作業のマニュアルを手渡してしまう。すると、社長は自分の会社に特殊清掃の部門を作り新サービスを始めたのだ。多額の借金を抱えたうえに、仕事を奪われ高江洲はどん底を味わった。
それでも彼はめげなかった。ハウスクリーニングの会社の下部組織として、本格的に事件現場清掃を専門とした「事件現場清掃会社」を立ち上げた。以前のように斡旋ではなく、自分から営業をかけていく方針に変えたのだ。
そして、全国にいるリフォーム業者や内装業者、建設業者を募り、その中から確かな技術を持つ人材とパートナー契約を交わす、フランチャイズシップによる「事件現場清掃会社」を設立した。
沖縄時代、高江洲と小中高と一緒だった勢料厚司さん(50)は、高江洲が帰省するたびに会う旧友だ。
「昔はバイクを乗り回したり、ヤンチャだったけど、彼は普段から根は優しいところがあった。今の仕事も誰にでもできる仕事じゃない。本当に優しい人じゃないと続かないんじゃないかな。沖縄に帰ってくると、朝まで一緒に飲みます。『本当はこの仕事がないような世の中になればいいんだけど』と言ってました。仕事の話になると、だいぶ先を見てるなと感心しますね。いつも島から応援しています」
2005年、高江洲は仕事を斡旋してくれていた社長に裏切られたと同時に、プライベートでも恋人と別れ、心の支えを失っていた。特殊な仕事を理解してもらう難しさを痛感したという。生涯独身を貫く覚悟だった。
しかし’09年、沖縄の友人に紹介された女性と出会って3か月で結婚。’13年には長女が生まれ、昨年春には長男が誕生した。
「妻は私の仕事を本当に理解してくれました。実際、彼女も清掃や遺品整理の現場を手伝ってくれることがあるんです。『おばあちゃん、頑張って生きたね』なんて語りかけながら作業していて、私よりも向いているかもしれません」
さまざまな死から学んだことがある。それを今、妻や子どもたちに伝えている。
「家族には、車や別荘やお金は残さないと話しています。金はあの世には持っていけないし、子どもがチャレンジする機会を奪いたくはないから。
それに……お金持ちで心のバランスを崩して、自殺していったたくさんの人を見てきましたからね」
高江洲は、特殊清掃が終わった後にこそ、「問題」があると指摘する。
「物件で人が亡くなると、その部屋で何が起こったか、次の入居希望者に伝える告知義務がある。大家さんが数十万円~数百万円かけてリフォームしても、すぐ買い手が見つかるとは限らない。そんな心理的負担を軽減できないかと考えるようになりました」
昨年、高江洲は事故物件専門の不動産業を始めた。相場の2割引で事故物件を買い取り、投資家に向けて販売することもあれば、自分で所有することもあるという。
また、清掃後、引き取り手のない遺骨の問題にも取り組む。
高江洲の事務所では、特殊清掃の依頼主から預かったいくつかのお骨を安置している。
「これらの遺骨は、海洋散骨を行うことを約束しています。先日も沖縄の海に散骨してきました」
高江洲は「特殊清掃」の後に残る問題とも、こうして向き合ってきた。
清掃を終えた後、思いつめた様子の遺族から食事に誘われて、話を聞くことも少なくない。
「誰かに聞いてほしい」
遺族のそんな気持ちを受け止め、故人の生前に思いを馳せる時間に寄り添うこと。
これもまた、“清掃の後”に残される大きな問題のひとつなのだ。
「高江洲さんはね、すごく話しやすい人なの」
高江洲が通う居酒屋の女将、浜田八重子さん(67)は言う。
いつしか親しくなり、高江洲の仕事を知った浜田さんはこんな依頼をしたことがある。5年ほど前のことだ。
「私、引っ越しを考えているんだけど、見積もりに来てくれないかしら」
清掃でも遺品整理でもない。それでも高江洲は後日、彼女の住まいを訪ねた。
古い木造アパート。居間には仏壇が置かれていた。そこは30年前、湯沸かし器の不完全燃焼による一酸化炭素中毒で夫を亡くした部屋だった。
「実は見積もりは口実だったの(笑)。高江洲さんに話を聞いてもらいたかったんです」
壁にかけられた夫の写真を見せながら、死別の日のこと、たったひとりで子ども3人をこの部屋で育ててきたことなど、思い出を語った。
後日、高江洲は故郷の沖縄の砂を取り寄せて浜田さんに贈ったという。
「亡くなった旦那さんは海が好きだったそうで、仏壇の線香立て用の砂は、女将がいつも海辺から持ってきたものを使っていると聞いたから」
特殊清掃のほかにも、自分にできることはないか──。
困り果てる大家さん、身寄りのない故人、そして話を聞いてほしい遺族。高江洲はいつも、清掃の“その先”まで目を向けている。
今、高江洲には「児童養護施設をつくる」という次なる夢がある。きっかけは、「心中」の現場清掃だった。
個人経営のカレーショップが入った建物で2階が住居だった。キッチンには血痕と黒い血だまりがあり、またトイレには遺体から吹き出た体液が床一面に広がり、側には練炭が残されていた。
夫が妻を包丁で手にかけ、その後、練炭自殺を図ったことがわかる。
キッチンやトイレ以外には、部屋が荒らされた痕跡はない。壁には、幼い子どもが描いた絵が何枚も貼られている。
(子どもはどうなったんだ?)
高江洲は、寝室にあった布団を思い出し、まさかと思いながら、掛け布団をめくった。
「息をのみましたよ。そこには小さな人型の染みがありました。自殺した夫は、妻だけでなく、幼い子も手にかけていたんです。一瞬で悲しみと怒りが全身に広がってブルブルと震えましたね」
実は高江洲の妹は幼くして亡くなっていた。生まれつき身体が弱かった妹は、8歳のとき、心臓の手術に耐えられず命を落としたのだ。
高江洲はこのとき、亡くなった子と妹の姿が重なったのだ。
「ほかの現場でも、夫が借金を残して自殺した後、亡き夫を激しく罵る妻に連れられていた小さな女の子、見積もりに訪れた現場で、遺族と不動産買い取りの相談をする私をじっと見つめていた男の子……。親を亡くした幼い子どもの姿を目にするたびに、複雑な思いにとらわれて。こういう子どもたちの未来のために何かしたいと思ったんです」
そして、「養護施設の運営」という答えにたどり着いた。特殊清掃という、ある種「人の不幸」で得たお金の出口をずっと探していたという。引き取り手のない遺品も、買い手のつかない事故物件も、施設の運営に役立てるつもりだ。
高江洲がよく受ける質問がある。
「幽霊を見たことはありますか?」
「事故物件=幽霊・心霊現象」というイメージはつきものだ。
「幽霊が存在するかどうかは、私にはわかりませんし、見たことはありません。しかし、『死のエネルギー』は感じるんですね。人が病院で亡くなった場合と、自室で亡くなった場合とでは、なぜか部屋から受ける感じがまったく異なります。そこには、死の間際の故人の思いが残っているような気がするのです」
ある意味ではその死者のエネルギーを拭い去ることが、事件現場清掃人の仕事なのかもしれないと言う。
「そもそも“病院で死にたいか、家で死にたいか”と問われたら100かゼロで“家で死にたい”と答えますよね。それが人の本望ではあるわけです。孤独死の場合は、ただ少しばかり発見が遅れてしまっただけのこと。だから『孤独死=気の毒』とはならないはずなんですね」
高江洲は、大切な人を失った遺族をたくさん見てきた。
練炭自殺した男性の両親、心中した母娘を発見した妹、息子が首つり自殺したと伝えてきた父親、入浴中に亡くなり、風呂釜で煮込まれてしまった老女の娘や姪たち……。
悲しみと後悔に暮れる遺族に、こんな言葉を伝えてきた。
「人が死ぬとき、死ぬ瞬間は痛いかもしれないけれど、死んでしまえば、身体が溶けようが虫に食われようが本人は痛くはない。発見した人は気持ち悪いかもしれない。でも、それはただの『状態』にすぎないんです。だから、亡くなった人は上から見ていて“ちょっと汚れちゃってごめんなさいね”と笑っているかもしれませんよって」
そんな高江洲も、30代でこの仕事を始めたばかりのころは「人はなぜ死ぬのか」「生死とは何か」と考えすぎてうつ状態に陥ったことがあった。平然と現場に立ちながらも、周囲には見せない葛藤を繰り返してきたのだ。
「なぜ、自らの精神を削りながらも、この仕事を続けてこられたのですか?」
最後にそう尋ねると、
「なんでだろう……」
と、しばらく黙り込み、こう切り出した。
「心がさ、大きく満たされたんだよね。特殊清掃の仕事を始めて、涙を流しながら遺族の方に両手で強く握手されるようなことが何度も、何度もあって。僕のほうが人として心を大きく満たしてもらった。居場所というか、この現場で、俺は命を使っていいんだと思えたんですよ。使命感なんてものは後からついてくるものでさ」
『この世の始末をしてくれ──』という故人の叫びに耳を澄ませる瞬間、かき立てられるものがある。だから、不安そうに立ち尽くす遺族や依頼主に胸を張って告げる。
「ご安心ください。私が必ずきれいにして差し上げます」
取材・文●小泉カツミ(こいずみかつみ)●ノンフィクションライター。社会問題、芸能、エンタメなど幅広い分野を手がける。文化人、著名人のインタビューも多数。著書に『産めない母と産みの母~代理母出産という選択』など。近著に『崑ちゃん』『吉永小百合 私の生き方』がある

中国大陸に目を光らす、くすぶる懸念も…与那国島へ陸自配備5年

陸上自衛隊が日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)に配備されてから、28日で5年となる。陸自の誘致を巡っては島内で賛否が割れたが、今では自衛隊員は地域に溶け込み、反対運動は収まっている。与那国島に近い台湾を巡る軍事的緊張が高まることが懸念されており、有事にどう対応するかが課題となっている。(政治部沖縄担当 原尚吾)

坂井学官房副長官は26日の記者会見で、「与那国駐屯地は、全長が約1200キロ・メートルに及ぶ広大な南西地域の防衛体制強化のために重要な役割を果たしている」と述べ、陸自配備の意義を強調した。
与那国島は人口約1700人で、そのうち約160人が「沿岸監視隊」に所属する自衛隊員だ。島内2か所のレーダー塔から周辺海域や中国大陸に目を光らせている。
陸自誘致の是非が問われた2015年の住民投票は、賛成632票で過半数を占めたものの、反対も445票に上った。
住民が二分され、その後のしこりが懸念されたが、自衛隊員と家族らは島内で盛んな陸上大会の会場設営や道路清掃などのボランティアに積極的に参加し、島民との交流に努めてきた。陸自誘致により、人口が増えたことで、町の財政は好転した。町税収入の約2割を隊員の住民税が占め、陸自が支払う年間1500万円の土地賃料も町の貴重な財源となっている。
住民投票で反対派を主導した社会福祉法人理事長の上地国生さん(78)は「今でも陸自誘致には反対だが、現状では島内で目に見えた反対運動は起きていない」と話す。
与那国島は台湾と約110キロ・メートルの距離で、台湾有事の際には、中国軍の侵攻の対象となる恐れがある。
しかし、軽武装の沿岸監視隊は情報収集が主任務で、実戦には対処できないとみられている。
島内には、有事の防衛や島民保護のために自衛隊増強を求める声がある一方、「自衛隊が増えすぎると、島人(しまんちゅ)の島じゃなくなる」との懸念もくすぶっている。与那国町の

外間
( ほかま ) 守吉町長は読売新聞の取材に対し、「町人口の15%にとどまるなら、増員は許容できる」と語った。
防衛省は23年度末までに、電磁波の収集や妨害活動を行う電子戦部隊を島内に追加配置する方針だ。防衛省幹部は「増員は小規模で、島内からの反発は起きないだろう」と話す。

南西諸島 防衛力を強化…「対中」抑止

南西諸島は日米両国と中国の双方にとって、戦略的要衝だ。日本政府は中国への抑止力強化のため、この地域への自衛隊配備を進めている。
2016年の与那国島への沿岸監視隊の配置を手始めに、19年3月に鹿児島・奄美大島と沖縄・宮古島に警備隊などを常駐させた。
さらに、23年度末までに沖縄・石垣島、20年代半ばには鹿児島・馬毛島に自衛隊基地を新設する予定だ。
南西諸島は約1200キロ・メートルと日本列島に匹敵する長さで、フィリピンまでつながる「第1列島線」に位置している。中国はこの線の内側への米軍侵入を阻止する「接近阻止・領域拒否(A2AD)」と呼ばれる戦略を描いており、周辺で艦艇などの動きを活発化させている。
これに対し、日米両国は南西諸島の防衛力強化で、中国の進出を食い止めたい考えだ。米国には中国が優位に立つ中距離ミサイルに対抗するため、第1列島線へのミサイル配備を模索する動きがあるが、日本は慎重な姿勢だ。

「電気の点検です」女子高生がドア開けたら…押し入って乱暴

電気業者を装って家のドアを開けさせ、女子高校生に乱暴したとして、警視庁代々木署は27日、横浜市鶴見区駒岡、無職

鹿目
( かのめ ) 直樹容疑者(29)を強制性交と住居侵入の容疑で逮捕した。
発表によると、鹿目容疑者は1月25日午後1時過ぎ、渋谷区のマンション一室を訪れ、「電気の点検です」と言って住人の女子高生にドアを開けさせた上、押し入って乱暴した疑い。容疑を認めている。
現場周辺の防犯カメラには、帰宅する女子高生の後ろを歩く鹿目容疑者の姿が映っていた。代々木署は鹿目容疑者が後をつけて、家族が不在だった女子高生宅に侵入したとみている。

警官、風俗店の女性の下着姿を盗撮…胸ポケットに入れたスマホで

岐阜県警は27日、同県瑞穂市別府、県警岐阜中署巡査部長の小森俊宏容疑者(38)を県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)の疑いで逮捕した。
発表によると、小森容疑者は26日午後4時45分頃、岐阜市東鶉のホテルで派遣型風俗店従業員の女性(20)の下着姿をスマートフォンのカメラで盗撮した疑い。容疑を認めている。ワイシャツの胸ポケットに入れたスマホで盗撮しているのを女性が気付き、風俗店の店員を通じて110番した。
小森容疑者は2009年10月に採用され、同署生活安全課に所属。事件当日は当直明けだった。県警の桂川勝広・首席監察官は「事実関係を捜査のうえ、厳正に対処する」としている。