高知市の高知記念病院で昨年9月、女性看護師が認知症がある入院中の男性患者の裸をスマートフォンで撮影し、同僚2人に送っていたことがわかった。看護師は「面白がってやった」と話しており、病院は減給1か月、出勤停止1週間の懲戒処分にした。
同病院によると、看護師は病室で裸になっていた患者を自分のスマホで撮影し、同僚の介護職員と看護助手に無料通信アプリ「LINE」(ライン)で送信した。看護助手が昨年12月、上司に報告して発覚。病院は患者の家族に謝罪した。
また、この介護職員も同11月、同じ患者が病室で転倒した姿を自分のスマホで撮影しており、病院は出勤停止3日の懲戒処分とした。
高田早苗院長は「医療に携わる者として決して許される行為ではなく、おわび申し上げます」とコメントした。
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エジプトから帰国の女性、療養中に死亡…国内の新規感染2073人
国内の新型コロナウイルスの新規感染者は27日、38都道府県と空港検疫で計2073人確認され、2日連続で2000人を超えた。死者は計32人。重症者は前日より8人多い331人だった。
東京都内は、新たに430人の感染が判明した。1日当たりの感染者は今月最多で、8日連続で前週の同じ曜日を上回った。
大阪府は386人の新規感染を確認。350人を超えたのは、緊急事態宣言中の1月28日以来となった。
厚生労働省は27日、エジプトから帰国し、成田空港での検疫で陽性が確認された広島県の50歳代の女性が、宿泊施設で療養中に死亡したと発表した。
検察審査会で「起訴相当」議決。菅原一秀元経産相を直撃も、「誠心誠意お応え」とは口先だけのダンマリ
2月24日付で、東京第四検察審査会が「起訴相当」と議決した菅原一秀前経産相。同議決報道後、有権者の前から雲隠れをしていた代議士が、選挙区内での駅頭を再開。迫る起訴や失職・議員辞職について菅原氏への直当て取材を行った。
◆検察審査会決定で追い込まれる菅原氏
選挙区内での香典や枕花代名目の寄付行為が公選法違反容疑に問われたものの、昨年6月に不可解な不起訴(起訴猶予処分)となっていた菅原一秀衆院議員。3月12日の起訴相当議決の報道以降、選挙区内で行っていた駅頭活動を取りやめ、有権者の前から姿を消していた。菅原氏の雲隠れは、経産相を辞任した直後の2019年10月からの約1年間に続いて2回目。ところが今回の雲隠れは5日間で終了、翌週には駅頭を再開した。
この菅原氏、ついに「詰んだ」という見方もある。その根拠はこうだ。
民意を反映した検察審査会の起訴相当議決によって東京地検は再捜査を行う。そこで、不起訴処分となったとしても再度検察審査会が起訴相当と議決すれば、今度は指定弁護士による強制起訴となる。そうなると検察の面目は丸潰れとなるため、起訴せざるを得ない状況だ。
まず検察は、菅原氏に対し略式命令請求(略式起訴)の打診を行うと見られる。しかし、菅原氏は略式起訴には同意しないだろう。なぜなら簡易裁判所での略式起訴で罰金刑が確定すると、公職選挙法第252条第1項の規定により5年間公民権(選挙権と被選挙権)が停止されるため、失職することになるからだ。また、刑の確定から5年間は立候補ができなくなる。
菅原氏から略式起訴の同意を得られない場合は起訴(公判請求)となり、東京地裁で公判が開かれる。しかし、昨年6月に起訴猶予処分となった際に菅原氏は公選法違反があったことは認めており、前言を翻し公判で否認するわけにはいかない。また、公判になると詳細かつ多岐に渡る悪質な公選法違反がさらに明らかとなる可能性もあり、裁判官の心証は悪くなることはあっても良くなることはないだろう。となると有罪判決になることは大いにあり得るのだ。これが、菅原氏が、ほぼ「詰んだ」と言われている理由だ。
◆公民権停止規定の不適用も
前段で「ほぼ」とした理由を説明する。
2019年の参院選における大型買収事件の公判において、それまで無罪を主張していた河井克行元法相が23日、一転して買収容疑を認め議員辞職を表明した。その背景について選挙コンサルタント・政治アナリストの大濱﨑卓真氏は、補欠選挙回避にあると分析している。
〈参照:Yahoo!JAPANニュース|『河井克行元法相は、なぜ突然買収容疑を全面的に認めたのか、選挙日程を逆算した裏事情とは』大濱﨑卓真〉
菅原氏も河井元法相と同様に3月15日までに議員辞職しなかったため、自身が立候補できない補欠選挙が4月に行われることはなくなった。そして、たとえ起訴されたとしても刑が未確定であれば、次期衆院選への出馬は可能だ。
また、公職選挙法は第252条4項において「裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、第1項に規定する者に対し同項の5年間若しくは刑の執行猶予中の期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、若しくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告することができる」としており、公民権停止規定の不適用や停止期間の短縮ということも理論上は起こり得る。
つまり有罪判決が出たとしても、昨年6月の東京地検による不可解な起訴猶予の際のように「経産相を辞任するなど反省している」「法を軽視する姿勢が顕著とまでは言い難い」「香典の代理持参は飽くまでも例外で大半は本人が弔問した際に渡していた」「寄付の総額が少ないことなどから悪質性は低い」などと司法が判断すれば、公民権停止が適用されない可能性もあるのだ。
◆駅頭再開から起訴相当議決まで
改めて不起訴処分からの経緯を辿ってみよう。
選挙区内で常態化していた公選法違反容疑で訴追は必至と見られていた菅原氏は昨年6月、東京地検の不可解な不起訴処分(起訴猶予)によって公訴提起を免れた。その後、師事する菅義偉氏の人気(当時)に便乗、禊は済んだとばかりに自民党総裁選が行われた9月以降、選挙区内で駅頭を再開していた。
〈参照:HBOL|公選法違反常態化の菅原一秀を東京地検が不起訴処分、起訴猶予は妥当ではない〉
〈参照:HBOL|菅氏の人気に便乗、1年ぶりに有権者の前に姿を見せアピールに勤しむ菅原一秀前経産相〉
さらに菅原氏が筆者の直撃取材に逆切れし開き直りを見せていたことは、本サイトで報じた通りだ。
〈参照:HBOL|菅原一秀衆院議員、駅頭演説への直撃取材に、説明責任果たさず「脅迫」「嫌がらせ」と逆ギレ〉
そんな菅原氏にNOを突き付けたのが今回の東京第四検察審査会だ。刑事告発者からの申し立ては検察が捜査資料提出を拒んだことによって却下せざるを得なかったものの、同審査会は異例の職権審査により起訴相当と議決。12日、そのことを各メディアが一斉に報じると、菅原氏は翌日から駅頭を止め、有権者の前から姿を消した。
◆再び駅頭を”自粛”し雲隠れ
菅原氏の起訴相当報道に対するリアクションは、12日に「本日、検察審査会の決議が発表されました。真摯に受け止め、当局から要請がありましたら誠実に対応してまいります」とのコメントを出したのみ。オフィシャルブログにも「誠心誠意」と題して同じ内容が掲載。翌13日朝のYOUTUBE配信では「真摯に受け止め、誠心誠意お応えしてまいります。」と発信していた。
ところが、12日に、菅原の練馬事務所と国会事務所に電話したがどちらも応答はなかった。
起訴相当報道の翌13日から17日まで選挙区内の駅に代議士の姿はなく、後援会連絡所を兼ねた菅原氏の自宅前に停められた街宣車が使われた形跡もなかった。
そのまま雲隠れを決め込むと思われた菅原氏だが、18日から駅頭活動を再開した。ある有権者はこう指摘する。
「衆院選が近いと見て、いつまでも雲隠れしているわけにはいかなかったのだろう」
菅原氏が駅頭を再開したのであれば、どのように「真摯に受け止め、誠心誠意お応え」するのか、確かめる必要があった。「当局の要請」に「誠実に対応」とは「秘書に嵌められた」「(秘書は)文春からカネをもらってヤラセで撮った」と秘書に責任を擦り付けることなのか、直当て取材の機会を伺った。
◆「味噌がついた」と語る有権者
23日、朝6時から東京9区の全駅をチェックした。ようやく8時前に大泉学園駅で秘書や区議を引き連れ駅頭活動を行う菅原氏を発見。
菅原氏とグータッチを交わしていた有権者は、地元選出代議士の起訴相当議決に「いろいろありましたからね。しょうがないと思います」「味噌がつきましたよね」と呆れ顔ながら投票先は自民党候補から変えないとの旨を話した。。
◆完全黙秘も目は虚ろ
駅頭を終えた菅原氏を直撃した。
「起訴相当議決で起訴は必至と言われていますが」
「失職するのでは、議員辞職するしかないのではと言われているが、見解を聞かせてください」
「『誠心誠意』『お応えする』とのことだった。答えてもらえますか」
「エスカレーターは歩いてはダメですよ」
「検察の捜査でも『秘書と週刊文春に嵌められた』と言うんですか」
「罪を認めているので起訴されると思うが、その場合、失職という可能性が高まる。そのことについては?」
「起訴された場合、自ら議員辞職するつもりはありますか」
「略式起訴の打診があった場合、受けますか」
「略式起訴を受けた場合、罰金刑以上で議員失職するが」
「『誠心誠意』答えてもらえますか」
何を尋ねても“完全黙秘”を貫く菅原氏、一切反応を見せないまま秘書が運転する高級車に乗り込み去っていった。
今回の取材の過程で自民党の練馬区議2人に話を聞くことができた。菅原氏の元公設秘書・柴田幸子氏と今年7月の都議選への出馬を明らかにしている自称“武闘派”の小川けいこ氏だ。菅原氏との縁が深い両区議に、自民党東京都連会長代行で自民党東京都第9区支部長の菅原氏が起訴相当となったことについて尋ねた。柴田区議は「静観してます」と即答。小川区議も「私も常に連絡を取っているわけではないので」と前置きし「静観しているとしか言えない」「今、コメントしようがない」と困惑を滲ませた。
◆若手男性秘書が睨んで威嚇。質問した有権者を恫喝か?
買収を認め議員辞職の意向を表明した河井元法相と同様に、菅原氏も自身の買収行為を認め議員辞職しないのか訊くため、25日も各駅を回った。光が丘駅前で菅原氏の秘書2人を見つけたものの代議士は去った後だった。両秘書に質問を当てたところ、政策秘書の石黒氏は前日の菅原氏同様、無視を決め込む。若手の男性秘書に至っては、筆者の周りをグルグル2周しながら睨め付け「ん?ん?」と威嚇めいた言葉を発した。
◆質問した有権者を恫喝か?
この日、地元の有権者が演説中の菅原氏に「いろいろ」質問したところ「名前と住所を教えろ」と恫喝された上に写真を撮られたとツイートしている。〈*菅原氏から恫喝され写真を撮られたというKazu氏のツイート〉
これのどこが、「真摯に受け止め、誠心誠意お応えしてまいります。」なのか、理解に苦しむところだ。
◆メロンより甘い地元の支援者たち
同日夕刻、菅原氏が石神井公園駅前で駅頭をしているとの情報が入り、向かった。
菅原氏に声をかける支援者の男性に起訴相当について訊くと「もういいでしょ」「この人は結構クリーンなところあるから」と返答。菅原氏に「応援してます!」と握手を求めていた別の女性支援者に至っては、菅原氏の公選法違反について「違います!」と本人に替わって完全否定する始末だ。
演説を終えた菅原氏に、河井克行元法相が買収を認め議員辞職の意向を表明した件について尋ねたが、前日と同じく何の反応も示さず、秘書が運転する車に乗って去っていった。
◆地元市民団体は議員辞職を求め、元秘書は「因果応報」
起訴相当議決報道後、東京9区の主要駅前では複数の市民団体が週末ごとに菅原氏の議員辞職を求めるサイレントスタンディングやリレースピーチを行っている。
菅原氏の元秘書が、起訴相当議決について見解を述べた。
「今回の検察審査会の判断は妥当なものだ。ここで歯止めをかけられなければ、お金や物をやり取りしないと練馬区では選挙に勝てないという仕組みがこのまま続いてしまう。これでは次の世代の政治家を志す人たちに適切な姿勢を見せることができない。時効を迎えるものがどんどん迫っているので、検察には早急に起訴し急ピッチで進めてもらわなくてはならない」
また、別の元秘書は菅原氏に対し「因果応報」と指摘している。
検察と菅原氏の動きに注視したい。
<取材・文・写真/鈴木エイト(ジャーナリスト)>
【鈴木エイト】
すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)
富士山、マイクロバスで登れません 静岡県が今夏から規制対象に
静岡県は富士山登山道に通じる県道で毎年実施しているマイカー規制の対象に、今夏から新たにマイクロバス(乗車定員11人以上)を追加することが27日、関係者への取材で分かった。2合目より上には、事前に許可を得た観光バスやシャトルバスのみが乗り入れを認められる。
県は夏山期間中、富士宮口と須走口からの県道で富士山の2合目より上への自家用車乗り入れを禁止しているが、バスは対象外だった。しかし、両県道はバス同士のすれ違いが難しく、週末には頻繁に渋滞が起きるため、安全確保や排ガスによる自然環境保護などの観点から車両規制の運用を変更することにした。
またマイクロバスを利用する外国人観光客を中心に十分な装備を持たず、日帰りで山頂を目指す“弾丸登山”が後を絶たないことから、マイクロバスに対する通行規制が結果的に弾丸登山の抑制につながる副次的効果も期待されている。
マイクロバスの利用者は今後、2合目駐車場でシャトルバスやシャトルタクシーに乗り換えて5合目の登山道入り口に向かう。乗り換え駐車場では今夏から、新型コロナウイルス感染拡大防止のため登山者全員に検温と体調チェックを行うことにしており、感染対策にもつながる。観光バスやシャトルバスは事前に許可車両の認定を受けたうえで、2合目の確認ゲートを通過して5合目駐車場まで運行する。御殿場口では従来、マイカー規制は行われていない。
富士山は昨夏、新型コロナの影響で史上初めて登山道が全面閉鎖され、登山ができなかった。静岡、山梨両県は今夏、山小屋を完全予約制として登山者全員の体調チェックを行うなど感染対策を行いながら、開山する方向で登山シーズンに向けて準備を進めている。
「X社の製品がないと身体の調子が悪い…」マルチ商法に洗脳された妻との異常な夫婦生活
マルチ商法という言葉を耳にして、あなたはどのようなイメージを抱くだろう。「いかがわしい」「稼げるわけない」「失敗して在庫や借金を抱える」「友人を失う」……。そのようなネガティブな印象を持っている人が多いのではないだろうか。しかし、マルチ商法そのものは、合法なビジネスのあり方の一つで、悪意を持って使われる呼称でもない。
とはいえ、“悪質な”マルチ商法によって、不幸な目に遭う人がいることもまた一つの事実だ。『 妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。 』(ポプラ社)の著者、ズュータン氏も、“悪質な”マルチ商法による被害に遭った一人。ここでは同書を引用し、妻がマルチ商法にハマり、家庭崩壊へとつながっていく際のエピソードを紹介する。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆◆◆
マルチ商法に染められていく我が家
妻がマルチ商法の製品を愛用していることに不安を覚えながらも、新築の家に引っ越した。新しい家に引っ越せば妻も良い方向に変わってくれるのではないか、X社もやめてくれるのではないかという期待があった。だが現実は逆だった。製品がひっきりなしに届き、そのうち娘が宅配業者の人の物真似をするまでになった。家のなかはX社製品で溢れかえった。僕と妻と娘と3人で布団を並べて寝ていたが、寝室に置かれた空気清浄機の音が我慢できず、僕は寝室を別にした。
つきあいはじめた頃に妻とふたりで選んで買ったフライパンは、僕の知らないあいだに捨てられていた。「X社の鍋セットや調理器具があれば、他のものは必要ない。X社の鍋で魚も焼けるし、ご飯も炊ける。温めることもできる。X社の鍋は他社製品と違って栄養も逃がさない」。そう主張する妻は、電子レンジも電磁波が危ないからと捨てようとした。僕が使うからと懇願して捨てられずにすんだが、台所に電子レンジがあることが憎くてしょうがないようだった。
身体がX社でできているかのような感覚
炊飯器も「ご飯はX社の鍋で炊けるからいらない」と捨てようとした。新築の家には魚を焼くグリルも備え付けられていたが、妻はX社の鍋で焼くことにこだわった。X社の鍋なら魚の栄養が逃げないからと。しかしX社の鍋は魚を焼くのに適していなかった。いつも皮が鍋底にひっつき、身も崩れてしまう。僕はカリッときれいに焼いた魚が食べたかった。
もともと料理が苦手な妻に代わって、土日は僕が料理をしていた。フライパンを捨てられ、しかたなくX社の鍋で料理をしていたが、「X社の鍋は強火で使うと鍋が壊れるから」などと細かく使い方を言われるうちに僕は料理をしなくなってしまった。娘が好きな餃子やハンバーグを作ってあげることもなくなった。妻は平泉さん(編集部注:妻をX社に勧誘した人物)の家で行われる料理教室で覚えた料理を振る舞うが、どれもおいしくなかった。調理器具も調味料もX社のものだったからX社の味しかしなかった。だけどおいしくないとは言えなかった。「おいしいね。がんばってるね」と嘘をつくしかなかった。
そうやって僕の家庭はX社一色になっていった。もう僕の身体はX社でできている……、そんな感覚に陥っていた。
娘は妻から口止めされていた
僕の仕事が休みの日、妻は携帯を見て何か考え込むようになっていた。やがて一日中携帯の通知音が鳴るようになった。「なんでこんなに携帯が鳴るんだろう? 不倫でもしてるのかな?」と思いはじめた。その覚悟もしていた。あえて指摘することはしなかったが、食事中も娘と3人でいるときも携帯の通知が鳴り、そのたびに返信している妻にイライラが募った。「せめて通知音を切っておいて」とお願いした。
その頃、妻は平泉さん以上に徹子さんの話をよくするようになっていた。徹子さんも平泉さんと同じように、地域の民生委員をしている。とても素敵で元気で、60代には見えない尊敬できる女性だと。妻の話からは、平泉さんも徹子さんを尊敬していて、X社仲間のなかでも徹子さんのほうが平泉さんより上の指導的立場にあり、X社仲間のなかで教祖のような存在であることが窺えた。しだいに僕は、妻の変化には徹子さんが大きく関わっているのではないかと考えるようになった。徹子さんとは何者なのだろう? しかし徹子さんのことには触れてはいけない空気があった。
ある日、娘と散歩をしていたときに無意識に「徹子さんって知ってる?」と聞いてしまった。娘は「ん?」というおどけた顔をした。口に両手を当てて「徹子さんのことは話さないよ~」という態度を取った。娘は何か知っているけど口止めされていると感じた。僕が「徹子さんのことを教えてほしいな~」とお願いすると、娘は「徹子さんは白い門の家に住んでいる」とあっさり話しはじめた。よく妻と自転車で通っていると徹子さんの家までの道のりを教えてくれた。「よく通っているってどういうことだ?」と思った。娘から妻が徹子さんや平泉さんの家によく行っていること。そこでX社の話をいつもしていることを聞いた。そこではじめて、僕は妻が徹子さんや平泉さんの家に頻繁に通っていることに気づいた。それまでは、せいぜい月に一度ぐらい、平泉さんの家の料理教室に行っているとしか思っていなかった。それが週に何度も通っていると。
娘は娘なりに違和感を覚えていた
それからボロボロと娘はX社のことを話しはじめた。昔からの仲の良い友人エリリン(仮名)にX社を熱心に勧めたけど断られたことを妻は悲しんでいたということ。「パパにもX社をしてほしかったけど、パパだめだったんだよね~」と娘がポツリとつぶやいた。「X社のことどう思う?」と聞いてみた。娘は「ん~、よくわからないんだよね~」と下を向いて言った。娘は娘なりにX社に違和感を覚えていたのだろう。はじめて僕は妻が勧誘していたことを知った。ママ友や幼稚園のお母さんたちに変な目で見られていたのはX社の勧誘をしていたことが原因だったと、すべての違和感の点がつながってきた。
娘は「幼稚園の〇〇ちゃんのお母さんがうちに来て、X社をやめたほうがいいよって一生懸命言ってくれてたんだけど……」と話しはじめた。「そのときママは? なんて言ってた?」と聞いてみた。「ママはね。X社の製品はすごいんだよ! X社いいよ~って言ってたよ。そしたら〇〇ちゃんのお母さんがどうしてX社の製品がそんなにいいの? ほかの会社の製品でもいいんじゃないの? もうやめたほうがいいよ! って言ったんだけど、ママはね、でもX社がいいの~って言うんだよ」と。それを聞いて僕は、ただただ悲しかった。
「洗脳されてる?」
製品を買っているだけで、誰かに勧めることはしていない。てっきりそう思い込んでいたが、僕がそうであってほしいと信じたかっただけなのかもしれない。妻が読んでいる本も、スピリチュアルや怪しい健康本以外に、情報商材の本が増えていった。「わたしもビジネスをしたい」と妻が頻繁に言うようになった。「だからってこういう本はちょっと……」とたしなめると、「こういうふうに稼いでいる人を批判する人がいるけど、何が悪いのかわからない」と真顔になる。
僕はビジネスをしたいという妻を応援したかったので、主婦がビジネスをはじめるのに役に立ちそうな、できるだけしっかりした本を選んで渡したが、妻はさらっと目を通しただけで興味を持たなかった。このとき、妻の考えているビジネスとは何か、そして何をしていたのか、気づいてあげられなかったことが悔やまれる。
相変わらず、家のなかのX社製品は増え続けていた。妻の携帯の通知は鳴り続け、妻はその返信にいそしんでいた。家事がおろそかになっていった。冷蔵庫には、腐った食べものが目に付くようになった。僕のことはもちろん、娘のことも気に掛けなくなり、何か心ここにあらず、明らかにX社や、僕にはわからない何かに心をとらわれていた。口をついて出るのは、徹子さんへの強い憧れや、「トンデモ」な話題ばかりだった。X社をはじめて約2年が経ち、サプリやプロテインやエナジードリンクばかりを飲み、妻はがりがりに痩せてしまった。まるで別人のようだったが、平泉さんや徹子さんには「X社をはじめてからきれいになった」と言われると喜んでいた。そう話すときの妻は高揚した笑顔だったが、目は死んでいた。
ある日の朝、僕が家を出るとき、妻のあまりの様子に「洗脳されてる?」と思わず口をついて出てしまった。そのときはマルチ商法が何かも、X社のことも、僕はよくわかっていなかった。カルトのことも洗脳のことも知らなかったけど、「洗脳」という言葉が僕の頭に浮かんだのだ。妻は驚いた顔をしていたが、何も言い返さずきょとんとしていた。僕は黙って家を出て仕事に向かった。
妻、X社製品を処分したら寝込む
妻にX社をやめてほしいことを伝えると反発されたり、黙り込んでしまうということが繰り返された。X社のすばらしさを理解できない僕が悪いかのように言われてしまう。もう真正面からやめてほしいこと、X社の製品が嫌だということを伝えても、こじれるだけだった。X社の製品を買いはじめたときは、まさかこんなことになるとは思いもしなかった。いずれ飽きるだろう。その程度にしか考えていなかった。どうしてこんな状況になってしまったのだろうかと、もうどうしたらいいかわからなくなってしまった僕は、離婚したいと妻に言うようになっていた。「X社の製品を家からなくしてくれ、捨ててくれ。X社じゃなくても良いものはいっぱいあるはずだから」と。最後の願いだった。
僕の願いは受け入れられて、家からすべてのX社製品がなくなった。「これでX社製品のない生活に慣れたら、目が覚めてくれるのでは……」。そんな甘い期待は3日で打ち砕かれた。X社製品がなくなって3日後、妻が床に横たわり動かなくなった。「空気清浄機がないと……、浄水器がないと……、X社の製品がないと、身体の調子が悪い」と、青ざめた顔をして床に寝そべり、身体をブルブル震わせていた。その姿を見て僕はあきらめた。本当にX社製品がないと妻は死ぬかもな、と。「いいよ。X社製品があってもいいよ」。いったん我が家から平泉さんの家に運び込まれていたX社製品が、再び持ち込まれ、また我が家はX社製品だらけになった。
【続きを読む】 「私は気味の悪い化け物と暮らしていた」自殺未遂まで追い詰められた“マルチ商法にハマった母”からの洗脳
「私は気味の悪い化け物と暮らしていた」自殺未遂まで追い詰められた“マルチ商法にハマった母”からの洗脳 へ続く
(ズュータン)
「うるさい」大音量の音楽を流す車注意しただけなのに18歳男性刺され死亡
27日午前4時5分ごろ、神奈川県鎌倉市笛田1丁目の路上で、高峰常さん(18)=横浜市瀬谷区=が刃物で複数回刺され、約1時間半後に搬送先の病院で死亡が確認された。県警は、目撃者の話から刺したのは男3人とみて殺人容疑で調べる。周辺の防犯カメラの画像を解析するなどして、逃げた3人の行方を追っている。
県警によると、高峰さんは友人の男性(18)と県道沿いの歩道を2人で歩いていたところ、大音量の音楽を流す車に「うるさい」と注意した。降りてきた3人と口論になり、刃物で刺された。男らは車でUターンして逃走した。
現場には凶器とみられる血のついた刃物が落ちていていた。高峰さんと男らに面識はないという。高峰さんの背中などには複数の傷があり、県警は司法解剖して詳しい死因を調べる。
鎌倉市消防本部によると、同4時9分、付近の住民から「男性が路上で倒れている。暴行を受け、負傷したようだ」と119番通報があった。近所の50代女性は「車の男がうるさいなと思った後、男の人の叫び声やうなり声が聞こえた。夜は人通りも少なく静かな場所なのに、こんなことが起こるとは」と驚いた様子だった。
現場は、鎌倉市役所から北西に約3キロ、湘南モノレールの湘南深沢駅から南に約500メートルの住宅や店舗がある地域。
【独自】女子高生にわいせつ行為、教員免許失効…官報に5年以上載せず
わいせつ行為などによる教員免許失効者の情報が官報に掲載されていなかった問題で、熊本県教育委員会が懲戒免職とし、免許が失効した男性の元教員について、官報掲載の手続きが少なくとも5年以上放置されていたことが分かった。
県教委によると、元教員は、県立高での部活動中に女子生徒(当時)にわいせつな行為をしたとして懲戒免職処分となり、免許が失効した。県教委は教員免許法に基づき、処分後、元教員の名前を官報に掲載しようとしたが、女子生徒側がこの問題を非公表にするように強く求めたため、手続きを先送りした。
担当者は一定期間を置いて了解を得るつもりだったが、人事異動などで引き継ぎが行われず、2015年度以降は放置されていた。
官報に掲載された免許失効者の情報は、文部科学省の「官報情報検索ツール」に反映され、全国の教委が採用時の処分歴の確認などに活用している。熊本県教委は女子生徒側に了解を得たうえで、今年2月に掲載した。
文科省は「掲載は抑止力につながるとともに、免許失効という基本的な情報を伝えている。速やかに対応してほしい」としている。
空港検疫後、療養中に死亡 指定施設で初、感染女性
厚生労働省は27日、エジプトに滞在歴があり、新型コロナウイルス感染が確認された広島県の50代女性が、成田空港の検疫所が指定する療養施設で死亡したと発表した。検疫所が指定する療養施設での死亡者は国内初。
厚労省によると、女性は16日に成田空港に到着。入国時の検査で陽性が確認された。当初は無症状で17日に発熱の症状が出たが、20日に治まった。27日午前、健康状態を確認しようとした療養施設の看護師が、女性と連絡が付かないため不審に思って部屋を確認すると、ベッドの上で死亡していた。
看護師が最後に連絡を取った26日夕時点では体調に問題はなかった。
ボートレーサーが不正受給か 持続化給付金、コロナ減収装い
新型コロナウイルスの影響を受けた個人事業主に最大100万円を支給する国の持続化給付金を、複数のボートレーサーが不正受給していた疑いがあることが27日、関係者への取材で分かった。フライングなどの違反による出場停止期間の収入減を、コロナの影響と偽って申請した可能性がある。
日本モーターボート選手会は遅くとも昨年7月には疑惑を把握。詐欺罪に当たる可能性があるとレーサーに警告したが調査はしていなかった。しかし今月、競馬界で騎手ら約160人の不適切受給が判明。これを受け競技を所管する国土交通省から対応を求められ、ようやく調査を始めた。
名張毒ぶどう酒事件60年、再審請求「新証拠」の評価が焦点か
三重県名張市で昭和36年、地元の懇親会で毒物入りのぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件は、28日で発生から60年を迎える。実行犯とされた奥西勝元死刑囚は平成27年に89歳で病死するまで無実を訴え、現在は妹の岡美代子さん(91)が裁判を引き継ぐ。裁判所は今後、「新証拠」を評価した上で再審の可否を判断するとみられるが、争点の大部分で審理は尽くされ、事件を知る人の多くはすでに世を去った。再審開始のハードルは高い。(杉侑里香)
「やってないからな」
岡さんは平成27年夏、八王子医療刑務所(東京都)で、面会した兄が「やってないからな」と話した言葉をよく覚えているという。
「他者による犯行の可能性が否定できない」として平成17年に名古屋高裁でいったん認められた再審開始決定は、異議や差し戻しなどを経て24年に取り消しが確定。体調を崩した奥西元死刑囚は、この医療刑務所へ移されていた。
面会から数カ月後に奥西元死刑囚は病死。翌月に第10次再審請求を高裁に申し立てた。岡さんは「おとなしくて優しく、妹の私と口げんかもしたことがない。殺人なんて悪いことをする兄ではないと信じています」と話す。
「潮目が変わった」
10回目の再審請求は29年12月に棄却されたが、岡さんはこの直後に異議審を申し立てた。昨年3月、高裁の要請で検察側が約15年ぶりに新たな証拠を開示。ぶどう酒の瓶は、蓋とをつなぐように貼られた封(ふう)緘(かん)紙(し)で「封がされていた」と証言した参加者3人の供述調書の存在が明らかになった。
確定判決は、奥西元死刑囚が犯行を認めた捜査段階の自白に基づき、当日参加者が来る前に瓶の蓋を外して毒物を入れた際に封緘紙が破れたと認定しており、目撃証言とは矛盾する。
40年にわたり支援する弁護団長の鈴木泉弁護士は「潮目が変わった」と手応えを感じている。
弁護団は昨年10月、製造段階とは異なるのりの成分が封緘紙から検出されたとする鑑定結果も提出。別の人物が毒物を混入させ、いったん封を元に戻した可能性があるとして、専門家の証人尋問の実現を訴える。
検察「有罪」変わらず
こうした再審開始を求める一連の動きに対し、検察側の受け止めは冷静だ。ある検察側の元幹部は「裁判で審理は尽くされている。有罪の判断に誤りはない」と強調する。
刑事訴訟法は、当事者が死亡した後の再審請求(死後再審)は、「配偶者、直系の親族、兄弟姉妹」に限って認めている。奥西元死刑囚の子と孫は生存しているものの、裁判を引き継ぐ意思を持つ親族は、91歳の岡さん以外にはいない。
自宅の兄の遺影を前に、岡さんは「足腰は弱くなったが元気な限り、再審が認めてもらえるよう訴えていきたい」と話した。
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名張毒ぶどう酒事件
昭和36年3月28日に三重県名張市葛尾の公民館で開かれた地元の懇親会で、毒物が混入したぶどう酒を飲んだ女性17人が中毒症状を訴え、うち5人が死亡した事件。出席メンバーだった奥西勝元死刑囚が犯行を自白し、殺人罪などで起訴されたが、公判では一貫して無罪を主張。津地裁は無罪を言い渡したが、名古屋高裁が死刑を言い渡し、最高裁で確定した。平成17年に同高裁が再審開始を決定したがその後取り消された。奥西元死刑囚は9回目の再審請求中だった27年10月、89歳で病死した。