陸自幹部が女性隊員を性欲のはけ口に…それでも防衛省は詳細うやむやのあきれた言い分

上官という立場を利用して、女性隊員を「性欲のはけ口」にしていたのだから極めて卑劣だ。

訓練中に演習場で女性隊員に性的暴行を加えたとして陸上自衛隊北部方面隊第7師団(北海道千歳市)は先月25日、第7特科連隊所属の40代幹部自衛官を同日付で懲戒免職処分にした。

幹部自衛官は昨年7月、矢臼別演習場(別海町など)で行われた訓練中に嫌がる女性隊員の体を押さえ、無理やり行為に及んだ。

女性隊員が直属の上司に報告し、事態が発覚。幹部自衛官は11月、自衛隊内の警察「警務隊」に逮捕され、12月、釧路地検が強制性交等罪で起訴した。

「第7特科連隊の周囲には演習場がいくつかあります。矢臼別では定期的に訓練を行っていて、その際は演習場内にある宿泊施設か、天幕で寝泊まりすることになっています」(自衛隊関係者)

幹部は隊内の調べに対し、「自己の性的欲求を満たすために暴行してしまった」と話しているというが、第7師団は幹部の名前を含め、階級や所属先、職務内容、事件の詳細など一切明らかにしない。それについて理由を聞いた。

「なぜかというと、懲戒処分の公表ということであくまでこの目的については、防衛省の行政の透明性を確保することと、公表することによって隊員の自覚を促して同種事案の再発防止を図ることです。本人が特定されることによって必要以上の不利益を与えないように公表していません。警察官は逮捕されると名前を公表される? 我々は警察とは違います。被疑者が特定されないというのが前提です」(広報課担当者)

■身内が不利益になるからというあきれた言い分

詳細についてはかたくなに口を閉ざし、「懲戒処分を公表したから透明性が保たれた」と言わんばかり。処分を発表するより、幹部の名前や立場を明らかにした方がよっぽど再発防止に効果があるはずだ。

しかも「被害者の特定を防ぐため」に名前を公表できないというのならまだしも理解できるが、「必要以上の不利益を与えないように」というのだからあきれるばかり。これでは身内をかばっていると捉えられても仕方あるまい。絶対的な立場にモノをいわせて抵抗できない部下を辱めておきながら、このままでは社会的制裁を受けることもなく、何もなかったように再就職して同じことを繰り返す可能性だってある。

懲戒処分の発表で幕引きとは、世間一般と感覚がズレ過ぎている。

東京五輪を”ボイコット”する日本国民がこうむる「どえらい逸失利益」

東京五輪の開催まで5カ月を切ったが、国民の心は東京五輪から離れているように見える。
読売新聞社が行った世論調査(2021年2月5~7日調査)では、「観客を入れて開催する」8%、「観客を入れずに開催する」28%と、開催に前向きな考えを持つ人が計36%いたが、「再延期する」33%、「中止する」28%と、6割を超える人が予定通りの開催に否定的な回答をしている。
緊急事態宣言の延長に加えて、2月3日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視ともとれる発言を巡るドタバタが国民の“いらだち”を増幅させたのは確かだ。その怒りの矛先が東京五輪にもぶつけられているような形だ。
「新型コロナが収束していないのに、開催は時期尚早」 「無観客開催、海外選手の隔離・追跡、医療体制の拡充といった対策をしたとしても、安心できない」
そうした気持ちは理解できる。だが、ここは冷静な判断が重要だと私は考える。
ルール上、開催国とはいえ日本(東京都)に東京五輪を「中止」する権限はない。決定権があるのはIOC(国際オリンピック委員会)で、東京都らは「考慮の要求」しかできない。
IOC、JOC、東京都の3者で締結した「開催都市契約」には、IOCは「本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」には中止する権利を有すると記されている。IOCが中止を決めた場合、日本側は補償や、損害賠償を請求する権利を放棄することも明記されている。
東京五輪・パラリンピックの大会経費は、大会が1年延期となったことで新たに2940億円が必要となり、総額1兆6440億円まで膨れ上がった。東京五輪が中止となると、日本側は経済的に大きな損失を被ることになる。それは、いずれ国民の生活にも大なり小なり影響を与える。また東京都が開催を拒否した場合は、さらにスポンサー企業(68社、総額約3500億円)への返金と違約金が発生する可能性がある。
2月19日に行われた先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議では、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証しとして今夏に安全・安心な形で東京五輪・パラリンピックを開催する日本の決意を支持するとの首脳声明をまとめている。
状況を俯瞰すると、東京五輪は開催される方向で進んでおり、東京五輪の中止を求めることは事実上できない。そうだとすれば、ホスト国であるわれわれ日本人は今、何をしたらいいのか。それは開催のための“準備”ではないか。
「オリンピックのために、毎日毎日、練習してきて、これで出れなかったら何のためにやってきたのか……」
かつて、こんな言葉を発したアスリートがいる。モスクワ五輪(1980年)の参加をめぐり、現在JOCの会長を務める山下泰裕ら23競技の選手・コーチ約100人が集まり、涙の訴えを起こした。しかし、同年5月24日、JOCはモスクワ五輪への「不参加」を決定する。いまから41年前の“悲劇”である。
ワクチンの接種が始まったとはいえ、まだまだ新型コロナウイルスに対しての恐怖心は強い。この状況下で、大きな声で「東京五輪を開催したい」とは言えない空気になっているが、東京五輪を目指すアスリートたちの“心の声”はどうだろうか。
東京五輪の開催が決まったのは2013年9月。アスリートたちは7年半前から東京五輪の舞台を目指して準備をしてきた。スポーツ選手のピークはさほど長くない。4年に一度のオリンピック。今回が最後のチャンスとなるアスリートもいる。自分の素直な気持ちを発信できず、開催されることを祈りながら、黙々とトレーニングに励んでいるアスリートたちも多いに違いない。
緊急事態宣言下でも必要に迫られて通勤電車に揺られて会社に向かう人は少なくない。それはコロナとの共存を図りながら、勤務先の企業や経済をまわしていくためだろう。東京五輪でも「両立」するための手立てが取れないだろうか。
現状、大会の運営方法で決まっていないことは多い。観客は入れるのは入れないのか。世界中から集まる選手や関係者をどのように受け入れるのか(一定条件を満たせば入国後2週間の待機免除をするのか)などを早めに決定することが重要だ。
参考になるのは2月21日まで豪州メルボルンで行われたテニスの4大大会、全豪オープンだ。新型コロナウイルス対策が徹底されたなかで全日程を無事に終えた。東京五輪とは大会の規模が異なるが、開催に向けてのヒントになることがたくさんあり、大会関係者は大いに学ぶべきだろう(※)。
※編集部註:チャーター機で豪州入りした参加選手や関係者ら1016人に対して約2週間の隔離措置を義務付け/隔離期間中はコートでの練習は許されたが、時刻やパートナーを指定され、上限2時間という制限付き/紙のチケットを全廃し、観客はスマホに表示した電子チケットのQRコードをゲートでかざして入場。売店での支払いはカード限定にするなど、「接触レス」を徹底/開催地ビクトリア州のロックダウン(都市封鎖)発令に伴い、大会期間の途中の5日間を無観客で開催、など。
筆者は北京五輪の北京国家体育館(通称「鳥の巣」)でウサイン・ボルト(ジャマイカ)が男子100mで世界記録を樹立したシーンを目撃している。9万人の大観衆が熱狂して、スタンドにいたジャマイカ人は興奮して踊り出した。これがオリンピックなのかと衝撃を受けた。
東京五輪はいつものようなオリンピックの光景が見られないかもしれない。それでも、スポーツが持つ圧倒的なパワーを多くの日本人に感じてもらえるはずだ。1964年の東京五輪を経験していない世代にとっては、夏季五輪が自国で開催されるのは一生に一度ともいうべきビッグイベントだ。参加するアスリートだけでなく、多くの国民にとって“特別な夏”になるだろう。
いま日本国民にできることは何か。
東京五輪の成功に向けて、一致団結することではないだろうか。これは精神論ではない。まず、国内の新規感染者をさらに減らすために、気を緩めずにマスク着用や3密・会食の回避を徹底すること。テレワークを増やすこと。ひとりひとりが最善の感染対策を講じたうえで、ルールを決めて可能な限りの来日者を迎え入れる。それこそがコロナ禍における日本が誇る「おもてなし」の気持ちともなるのではないか。
主役となるアスリートたちが気持ちよく競技に向かえる雰囲気をつくり、温かい声援を送る。できない理由を並べるより、やれる可能性を探るほうが人生は絶対に楽しくなる。コロナ禍で蔓延した“沈んだ空気”をスポーツの力で少しでも明るいものにするチャンスだと私は信じている。
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(スポーツライター 酒井 政人)

ゴーン被告の逃亡支援、グリーンベレー元隊員と息子の2人逮捕…米国側から日本移送

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(66)(会社法違反などで起訴)が保釈中にレバノンに逃亡した事件で、東京地検特捜部は2日、逃亡を手助けしたとされる米国籍の親子2人について米国側から身柄の引き渡しを受け、犯人隠避容疑で逮捕した。2人は米ボストンから同日夕に日本に着く航空機で移送され、その後東京・小菅の東京拘置所に移される見通しで、特捜部は逃亡劇の解明を図る。
2人は、米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」元隊員・マイケル・テイラー(60)と息子のピーター・テイラー(28)の両容疑者。2人は2019年12月29日、米国籍のジョージ・ザイェク容疑者(61)とともに、ゴーン被告が関西空港からプライベートジェット(PJ)で不法出国するのを手助けした疑いがもたれている。
これまでの地検の発表や米当局が連邦裁判所に提出した資料によると、ピーター容疑者は19年7~12月上旬に少なくとも3回来日。ゴーン被告の弁護人だった弘中惇一郎弁護士の事務所などでゴーン被告と面会したほか、同年12月28日にも来日し、都内のホテルでゴーン被告と会っていたとされる。
マイケル、ザイェクの両容疑者は翌29日にPJで来日した。ゴーン被告を東京から大阪まで護衛しながら案内するなどし、被告が隠れた箱をPJに積み込み、自分たちも同乗して経由地のトルコへ向かったとみられる。ゴーン被告は同月31日、レバノンに入国したことが判明。特捜部は昨年1月30日、ゴーン被告について入管難民法違反(不法出国)容疑で、テイラー親子ら3容疑者についても犯人隠避と同法違反(不法出国)ほう助の両容疑で逮捕状を取得した。
親子は被告の逃亡を手助けした後、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイから米国に帰国。同5月、米当局が日米犯罪人引き渡し条約に基づいて逮捕した。
日本側からの身柄引き渡し請求を受け、マサチューセッツ州の連邦裁判所は同9月、引き渡しは可能と判断し、米国務省も同10月に引き渡しを承認。2人の弁護側は連邦地裁に移送の差し止めを申し立てたが、今年1月に地裁が申し立てを棄却し、控訴裁、最高裁も地裁の決定を支持した。一方、ザイェク容疑者の行方は分かっておらず、特捜部は情報収集を続けている。

4日目に鎮火した桐生の山林火災、やけどの男性「ドラム缶でスギの葉燃やしたら下草に…」

群馬県桐生市黒保根町上田沢で2月25日に発生した山林火災は、発生4日目の28日に鎮火した。同市や県の発表によると、最終的に約20ヘクタールが焼失し、男性1人がやけどをしたが、住宅への被害はなかった。
発表によると、この日は早朝から消防隊員、消防団員の計157人が落ち葉の下の残り火を確認しながら放水を行うなどした。4日間に及んだ消火活動では隊員ら延べ478人が出動し、山梨県や新潟県の防災ヘリなどが計236回の空中散水を実施した。
県警によると、顔や足にやけどを負って救急搬送された近くの男性(79)が、「ドラム缶でスギの葉を燃やしていたら下草に燃え移った」と説明しているという。

「葬儀費用出せず…」70歳兄の遺体放置疑いで67歳女を逮捕 大阪府警

高齢の兄の遺体を、1年以上にわたり自宅内に放置したとして、大阪府警淀川署は2日、死体遺棄の疑いで、大阪市淀川区東三国、無職、江村真知子容疑者(67)を逮捕した。同署によると、江村容疑者は兄と2人暮らし。「葬儀費用が出せず遺体を放置した」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、昨年2月ごろ、同区東三国の自宅マンションで死亡した兄、裕(ゆたか)さん=当時(70)=の遺体を放置したとしている。
同署の調べに対し、江村容疑者は「兄は1年以上前に亡くなった」と説明。遺体はほぼ白骨化しており、同署が死因や死亡の経緯などを調べる。
今月1日、マンションの別の部屋の住民から「異臭がする」と管理会社に連絡があった。同署員が容疑者宅に入り、布団の上で遺体を発見した。

石破茂・元防衛相を直撃。尖閣諸島の緊張再び…武器を持った中国船に日本は

「砲らしきものを搭載していたが、詳細は承知していない。断じて容認できない」

2月16日、加藤勝信官房長官は、中国海警局の船舶2隻が沖縄県尖閣諸島周辺の領海に侵入したことを受けてこう強く抗議した。

◆中国「海警法」施行で一触即発? 尖閣を巡る日中“激アツ”バトル

2月1日に中国の海上保安機関である海警局の武器使用を認める「海警法」が施行されてから、尖閣諸島を巡る日中間の緊張は新たなフェーズに突入した。

海警法では中国の主権が及ぶ海域を「管轄海域」と表現し、管轄海域で国家主権などが侵害されれば、外国の公船でも「武器使用を含む一切の必要な措置を取る」と規定。ただ管轄海域がどういったものかの定義はされておらず、恣意的に解釈されかねない。

1月に誕生した米国のバイデン政権では、「対中強硬派」で知られるブリンケン国務長官がアジア太平洋の外交戦略を担うことになり、これに伴い、中国側も尖閣諸島や南シナ海周辺での活動を一層強めてくる懸念が高まっている。

そんななか、「今のままではグレーゾーン事態が勃発しかねない」と警鐘を鳴らすのは、防衛大臣や自民党幹事長を歴任した石破茂氏だ。

ワクチン接種が始まっても日本ではコロナ対応を巡ってドタバタが続いているが、こうした間隙を突いて中国が何らかの行動に出る可能性はあるのか? 今回、政界きっての「安全保障のスペシャリスト」である石破氏に話を聞いた。

◆元防衛大臣・元自民党幹事長 石破茂氏に直撃!

――中国で施行された海警法は国際法に違反しているのではないか。

石破:中国海警の公船は白い船体に青のストライプが描かれ、見た目は日本の海上保安庁の巡視船のよう。しかし、海警法によって、法の執行機関から事実上“第2の中国海軍”になったと言っていい。

警察が守るのは個人の生命、財産や公の秩序だが、軍が守るのは国家主権。日本の尖閣諸島だけでなく、フィリピンと領有権を争う南沙諸島やベトナムと争う西沙諸島における中国の“主権”を守るために、海警の艦船が出向き、場合によっては実力行使を認めるとする。

国際法に反する態様も予想されるが、中国は自分たちが決めたことこそが世界のルールだと考える。

――なぜ、このタイミングで中国は海警法を施行したのか。

石破:昨年、中国は香港の一国二制度を事実上反故にする国家安全法を施行。民主活動家を厳しく弾圧したが、外国からの反発も彼らの予想よりは小さく、“第2の天安門事件”にはならなかった。

次に年末には国防法を改正し、人民解放軍が党の軍隊であることを明確にし、海外にも軍を投入できるようにした。国家統一の名のもとに香港を呑み込んだ中国の残された野望は台湾だ。台湾海域への進出を考えれば、尖閣諸島の重要性が増してくる。

こうした流れのなかで、海警法が施行され、日本の巡視船に対しても武器を使用する意思を明確に示した。先進諸国がワクチン接種などコロナ対応で手いっぱいな隙をつき、中国は着々とシームレスな法整備を進めている。

◆日本のとるべき対応策は?

――日本のとるべき対応策は。

石破:どこまで海上保安庁が対処し、どこから海上自衛隊が対処するのかを事前に明確化することだ。尖閣諸島付近で操業する日本漁船が中国海警に拿捕された場合、魚釣島の灯台が破壊された場合、海上保安庁の船が中国の海警に攻撃された場合など、いわゆるグレーゾーン事態への対応となる。バイデン新大統領は尖閣諸島を安保の適応対象だと明言したが、グレーゾーン事態で米軍が動くことはまず考えられない。

19年前、私が防衛庁長官だったときから、グレーゾーン事態への対応を言い続けてきたが、現状では海上自衛隊に海上警備行動、あるいは治安出動を発令するほかはない。これらの命令に必要な閣議決定は各大臣の署名による持ち回りなどで対応できるように改正はされているが、こちらは段階的に命令を発出することになり、場合によっては日本側が事態をエスカレートさせたと中国側に非難される可能性も排除できない。

一方、中国は国内法の制約がほぼない状態で実力行使まで進めることができる。どんな事態であっても現場で対応する海保や海自の隊員が判断に迷うことのないように、平時から有事までどの法的根拠に基づいて、どのような対応をとるのかをあらかじめ整備しておかなければ、取り返しのつかないことになりかねない。

◆尖閣諸島を巡る主な動き

’10年9月 中国漁船衝突事件
海上保安庁巡視船に中国漁船が衝突。当初、非公開だった衝突時の動画が、海上保安官だった一色正春氏によって「ユーチューブ」で公開される

’12年9月 尖閣諸島を国有化(野田佳彦民主党政権)
これ以降、「偽装漁船」が頻繁に尖閣諸島周辺に押し寄せることに

’20年 接続水域に中国海警局の船舶が確認されたのは国有化以降最多の計333日

’21年2月1日 中国が「海警法」を施行

6日 施行後初めて、中国海警局の船舶が領海侵入

16日 茂木敏充外相が「わが国海域での海警船舶の行動そのものが国際法違反」として抗議

21日 中国海警局の船2隻が日本漁船に接近

25日 政府は上陸阻止のため海保の「危害射撃」も可能との見解を示す

◆後手に回るコロナ対応も危機管理の欠如が原因

――危機管理という意味では、新型コロナ対応も日本の問題点をあぶり出したように見える。

石破:平時からあらゆる事態を想定し、準備しておかなければ、危機に際して臨機応変に対応できるはずがない。新型コロナ対応が後手に回っているように見えるとすれば、本質的に安全保障をないがしろにしてきたことと原因はまったく同じと言えるだろう。

日本の病床数は約160万を擁し、1000人当たり13床と世界一。一見、日本では医療崩壊が起こらないように思える。ところが、病床の8割を占めるのは民間の病院であり、コロナ禍のような非常時に政府や自治体が民間病院に対して指揮・命令できるような規定はない。結果として現場任せになってしまう。

全国保健所長会会長は現場の負担が大きいことから、新型コロナを感染症法のエボラ出血熱や結核などと同等の1、2類相当から、季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げてほしいと厚労相に要請したが、法的に隔離等の措置が必要だということで、1、2類相当の取り扱いが1年延長されることになった。尖閣の防衛と同じく、新型コロナ対策でも現場が困らないような手当てが必要ではないか。

◆支持率低迷の中で総選挙をどう戦うのか

――昨年9月の自民党総裁選では圧倒的な支持で菅政権が誕生。だが、コロナ対応での迷走や自民党内で相次ぐ不祥事、森喜朗前東京五輪・パラリンピック組織員会会長による「女性蔑視発言」などで、支持率は低迷している。近づく総選挙をどう戦うのか。

石破:今の自民党では、私がなにを言っても響かないのだろうが、総裁選で自分たちが選んだ首相なのだから、責任をもって支えよう、と言いたい。選挙が危ないとなったら、すぐに手のひらを返そうとするのであれば、それは不愉快の極み。

私自身は5度目の総裁選に出るのか、とよく聞かれるが、総裁選出馬のギネス記録に挑戦しているわけではない。尖閣防衛や新型コロナ対策だけでなく、日本は1年に人口が50万人も減少する非常事態にある。これに立ち向かうためにも、選挙で選ばれた政治家が逃げるわけにはいかない。

危機にこそ、政治家の真価が問われる。

◆上陸は重大凶悪犯罪「危害射撃」が可能に

政府は2月25日、自民党の国防部会・安全保障調査会の合同会議で、外国公船から乗員が尖閣諸島に上陸を試みた場合、重大凶悪犯罪とみなし、海上保安庁が阻止するために「危害射撃」が可能との見解を示した。

同様に海上自衛隊も海上警備行動が閣議決定されれば、正当防衛以外でも武器使用が可能となる。

<取材・文/齊藤武宏 村田孔明(本誌)>
※週刊SPA!3月2日発売号より

飲酒後に駅で寝込み、タクシーで基地へ…「1分遅刻」で空自隊員処分

業務開始時刻に「1分」遅刻したとして、航空自衛隊航空総隊は1日、芦屋基地(福岡県芦屋町)の航空救難団飛行群芦屋救難隊整備小隊の30歳代の3等空曹を戒告の懲戒処分にした。
発表では、空曹は昨年2月7日、米グアム島周辺空域で行われる日米豪共同訓練に参加するために、別の基地で行われる業務の開始時刻に1分遅刻した。空曹は前日の夜に飲酒をした後、同基地の最寄りの駅で寝込んだという。同7日朝に同僚からの電話を受け、空曹はタクシーで基地に向かったが、開始時刻に間に合わなかったという。空曹は訓練に参加できず、別の隊員を派遣した。
航空総隊司令官の内倉浩昭空将は「事案を

真摯
( しんし ) に受け止め、隊員の規律の維持に努める」としている。

ワクチン円滑供給に「?」五輪は本当に… 問題続発、苦しい菅政権

菅義偉首相の苦境が続いている。この1カ月余りの間にも、政権を揺るがす問題が続発。新型コロナウイルス緊急事態宣言の全面解除が近づいてきたものの、コロナの完全収束とワクチンの円滑供給は見通せず、東京五輪の開催もどうなるのか予断を許さない。今後も多くのハードルが待ち受ける中、首相に政権を安定軌道に乗せるすべはあるのだろうか。
衆院予算委の集中審議で答弁のため挙手する菅首相=1日
▽「コロナ・五輪・4月選挙」
短期間にこれほど頻繁に不祥事に見舞われる政権は珍しい。自民、公明両党幹部らによる銀座クラブ会食問題、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言と後任を巡るドタバタ、菅首相長男らによる総務省幹部の接待問題がそれだ。
菅首相の記者会見で司会を務めた山田真貴子内閣広報官(当時)=首相官邸
3月1日には、重用した山田真貴子内閣広報官が辞職に追い込まれた。
菅政権は発足以来、日本学術会議会員の任命拒否問題や、「桜を見る会」問題を巡る刑事処分、後手に回ったコロナ対応などで批判を集め、内閣支持率が急落。吉川貴盛前農相の収賄事件や、河井克行前法相夫妻による買収事件もあり、さらなるダメージを受けた。
緊急事態宣言の段階的解除に加え、3月2日の衆院通過で2021年度予算の年度内成立が確実になるなど、成果も出てきたとはいえ、菅首相が綱渡りの政権運営を強いられている状況は変わらない。この先、コロナ収束と五輪開催決定、議員辞職などに伴う4月の国会議員補欠選挙・再選挙に、政権の命運が懸かっているのは間違いないだろう。
▽ワクチン供給力アップに活路
まずはコロナだ。首都圏の1日当たり感染者数は微増の傾向がでてきた。緊急事態宣言を期限の3月7日に全面解除できるのか不透明だが、焦点は解除後、感染拡大の「第4波」をいかに防ぐのかに尽きる。政府は改正特別措置法に基づく飲食店への「時短命令」なども検討しているが、最大の切り札がコロナワクチンの円滑供給にあるのは論をまたない。
しかし、2月17日に医療従事者への先行接種が始まった米ファイザー製ワクチンは、世界で争奪戦となっている。政府は、65歳以上の高齢者3600万人への接種を4月から3カ月で終える計画だが、早くもスケジュールの繰り下げを余儀なくされた。
医療従事者への先行接種に使用された、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン
計算上、1人2回接種で80万回分を90日間続けて確保する必要があるのに、当面は週に1便程度しかワクチンが空輸されず、必要量が全く足りないからだ。
河野太郎担当相は2月26日、6月末までに各自治体に全高齢者分の配送ができるよう、ファイザーと大筋合意したと発表した。だが、具体的な日程や数量は未公表のため、「本当に供給されるのか」(立憲民主党幹部)との疑念が残る。
2月5日に承認申請された英アストラゼネカ製ワクチンは、4月にも特例承認されれば、兵庫県の製薬会社で原液が委託製造され、「国産ワクチン」として供給される見通しだ。ただ臨床試験でのデータ不足から、65歳以上への接種を見送る国が相次ぐ。
政府が契約を結ぶもう一つの米モデルナ製ワクチンは、1月に国内治験を始めたばかりで、承認は早くて5月だ。
結局、ファイザー製が頼りなのだが、なかなか代替が利かないだけに、供給が滞れば接種は一層遅れ、国民の政権批判が強まることになりかねない。
一方で、アストラ製が承認されれば、65歳未満への一般接種が開始できる。モデルナ製も加われば、五輪を前に接種スケジュールの加速が可能だ。菅首相が活路を見いだそうと、ワクチンの供給能力アップに全力を注ぐのは間違いない。
▽このまま五輪に突き進む?
東京五輪・パラリンピック開催はどうなるか。世界の1日当たり感染者数は1月のピーク時に比べて大幅に減少し、ワクチン接種も進んでいるとはいえ、五輪実施への反対論や懐疑論は国内外でなお強い。組織委員会を巡る混乱で国民の信頼も低下した。
だが、国際オリンピック委員会(IOC)は開催方針を堅持している。
スイス・ローザンヌのIOC本部=24日(ロイター=共同)
3月10日からの総会では準備状況が報告される予定で、中止や延期が議題になる雰囲気はない。今後は海外観客の受け入れの是非などが議論される見通しで、あくまでも開催が前提だ。
五輪に強い影響力を持つ米国や、次期開催国のフランスを含む先進7カ国(G7)の首脳は2月19日の電話会議で、開催を目指す日本の決意への支持を打ち出した。
こうした状況から菅政権は、五輪開催は既に支持されているとして、可否の「最終判断」を仰ぐこともなく、このまま開催に向けて突き進もうとしているのではないか。3月25日には聖火リレーを予定通りスタートさせる構えだ。
だが、コロナを抑えたという明確なファクトがなければ、国内外の理解は得られず、土壇場で中止となる最悪の展開にならないとも限らない。五輪開催も、コロナの感染抑止とワクチンの円滑供給、さらには国民からの十分な支持と協力が得られるかどうかに懸かっている。
▽4月の国政補選、7月には東京都議選
政権の命運を占う三つ目の要素は4月選挙だ。吉川前農相の議員辞職に伴う衆院北海道2区、立憲民主党の羽田雄一郎氏死去を受けた参院長野選挙区の2補欠選挙と、河井案里元参院議員の失職による参院広島選挙区の再選挙で、25日に投開票される。
自民党は、候補を立てない北海道は不戦敗で、長野は苦戦が必至だが、広島は「野党が強くなく、総力戦なら勝てる」(選対関係者)ともくろむ。候補一本化を模索する野党をよそに、自民党は元経済産業省課長補佐を公認し、2月末には選対本部も立ち上げた。ただ買収事件への有権者の批判は根強く、前回参院選と次期衆院選での候補擁立を巡る党本部と県連とのあつれきは残ったままだ。
野党は統一候補の擁立を模索しており、そうなれば、自民党は広島も取りこぼす可能性がある。3戦全敗となれば政権運営において、首相が被るダメージは計り知れない。
日経平均株価は30年半ぶりに3万円を超えるなど、菅首相に追い風も吹く。不安視された国会答弁も、コツをつかみつつある。政策面では「脱炭素」と「デジタル化」の旗を振り、反転攻勢の青写真も描く。とはいえ「今が最大の正念場」との覚悟と決意を持って、全力かつ謙虚な気持ちで政権運営に当たらなければ、ここを乗り越えることはできないだろう。
東京都の小池百合子知事
ただ乗り越えたとしても、7月には東京都議選という大きな政局のヤマ場が待ち受ける。立ちはだかるのは、官房長官時代も含め、何かと首相とぶつかり、衆院選へ野心も秘めるとされる小池百合子都知事だ。苦難の道は続く。

【独自】妻を投げ落とした男、ベランダにイス置く…飛び降り自殺を偽装か

妻を自宅のベランダから転落死させたとして、東京都国立市の会社員

高張
( たかはり ) 潤容疑者(44)が殺人容疑で逮捕された事件で、現場のベランダに食卓の肘掛け椅子が置かれていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、高張容疑者が飛び降り自殺を偽装するために置いたとみている。
発表によると、高張容疑者は昨年11月29日夜~30日朝、当時住んでいた国立市泉の都営アパート9階の自宅で、無職の妻、

麻夏
( あさか ) さん(41)の首を絞め、ベランダから投げ落として殺害した疑い。容疑を否認している。
捜査関係者によると、見つかった椅子は高さ約50センチで、外の方を向いて置かれていた。高張容疑者は事件直後、警察官に「朝起きたら妻がベランダの下で倒れていた。育児ノイローゼ気味だったので自殺だと思う」と話したが、椅子の座面から足跡などは見つからなかった。ベランダの手すりなどにも乗り越えた痕跡はなかったという。
麻夏さんは事件前日、翌12月にアイドルがオンラインで配信予定だった美術作品展の視聴チケットを購入していた。事件当日にも翌月の予定について兄とLINE(ライン)でやり取りしていたという。

創価学会の選挙担当が辞めた…菅・佐藤“SSライン”消滅の大波紋

「サトウ、学会やめるってよ」
2月10日頃から永田町ではこんな情報が飛び交った。サトウとは公明党の支持母体・創価学会で選挙実務を長らく取り仕切ってきた佐藤浩副会長だ。
「自民党が下野していた09年頃に菅氏と知り合い懇意になった。12年末から安倍政権で菅氏が官房長官になると、2人の太いパイプは『SSライン』と称され、菅氏が力を増すにつれ、佐藤氏の影響力も増す関係だった」(政治部記者)
表向きは2月の誕生日で60歳となったために学会職員を定年退職するというが、額面通りに受け取る者は少ない。嘱託で残る職員が数多いる上、今年は都議選と衆院選を控えているからだ。公明党関係者が語る。
「遠山清彦前議員が緊急事態宣言下の銀座行きを文春に書かれたのが決定打だった。佐藤氏は遠山氏を高く買って比例九州ブロックから神奈川6区に国替えさせた。神奈川の学会が総力を挙げている最中の醜聞に神奈川の婦人部出身の学会婦人部総合長が激怒。原田稔会長に“佐藤氏にも責任がある”とねじ込んだそうだ」
佐藤氏退任にホッとしているのは……
一方、19年の参院選後から「自分は60になったらスパッとやめる。居座ると後進が育たない」と公言してきた佐藤氏は、そうした怒りの声に嫌気がさしたのか、一部の慰留の声にも耳を貸さなかった。
「佐藤氏退任にホッとしているのは山口那津男代表(68)ら公明党幹部だ」(政治部デスク)
幹部らは佐藤氏に翻弄されてきた。19年参院選前には山口氏が突然「身を切る改革」として議員歳費1割カットを表明。根回しのなかった党内は大混乱した。元公明幹部は「佐藤氏の一声に山口氏は言いなりだったようだ」と振り返る。
「SSラインの消滅で、最近目立つ自公間のきしみは、ますます激しくなる可能性がある」(前出・デスク)
衆院広島3区では河井克行元法相の後釜をめぐり、公明が斉藤鉄夫副代表擁立を強行。自民党広島県連は納得せず、宮沢洋一県連会長が辞意表明。さらに3月の千葉県知事選では、ラウンジ通いで自民を離党した白須賀貴樹衆院議員(千葉13区)の問題を受け、公明は自民推薦候補の推薦を見送る意向だという。
背景にあるのは強い危機感だ。公明は地方選挙で公認候補が落選したり、当選しても得票が大幅減。コロナ禍で学会員によるローラー作戦ができないことが大きいが、菅氏の不人気も理由の一つだ。08年に福田康夫首相が退陣する契機は公明による水面下での「福田降ろし」だった。自公間のきしみが、総選挙前に公明主導の「菅降ろし」につながる可能性もある。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年3月4日号)