「グダグダしすぎ」「後任は若い人に」森会長辞任表明に街の声は

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会を巡る問題は12日、森喜朗会長(83)が正式に辞任を表明した一方、森氏から後任に就任を要請された元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)が受諾を一転して断るなど、ドタバタ劇が続く。大会開幕まであと5カ月あまりで混迷を深める中、新体制への要望や騒動を巡る苦言など、各地でさまざまな声が聞かれた。
森氏の発言を受けて聖火ランナーを辞退した福島県田村市の会社役員、坪倉新治さん(57)は「今回の件を機に、変わっていく日本を国際社会に示す大会にしてほしい」と話した。
東京電力福島第1原発事故後、長く続く風評被害と今回の件が重なって見えたこともあって声を上げたという坪倉さん。「きちんと謝罪して辞めることについては評価する」と語り、「大会の成功を心から願っている。福島県が復興に向けて一生懸命歩みを進める姿を世界中の人に見てもらえるように配慮してもらえたらうれしい」と組織委の今後の対応に期待を込めた。
聖火ランナーとして大阪市内を走る同市の会社員、島津真理さん(57)は、日本がボイコットした1980年モスクワ五輪出場を水泳で目指していた。森氏について「森さんの頭の中には、女性は常に自分よりも立場が低いという意識があったのではないか。トップに立つ人間ではない」と受け止めた。五輪開催を切望してきたが、コロナ下での開催に否定的な声や、森氏の発言が明るみに出たことで「私自身も開催に期待していないのでは、と思うようになった」と話した。
東京・有楽町を行き交う人々からは苦言や理解の声が上がった。後任人事を含めて一連の騒動に「グダグダしすぎてあきれる」と話したのは東京都練馬区の会社員男性(35)。「後任にふさわしい人は誰もいないんじゃないか。東京五輪はいっそ中止した方がいい」と憤りを隠さなかった。
一方、千葉県我孫子市の梅木洋子さん(58)は、森氏が川淵氏を指名したことについて「森さんなりに後の事をきちんとしなければと思ったのかも」。森氏の発言については「みんながモヤモヤを抱えているこの時期だからこそ慎重にものを言わなければいけなかった」と苦言を呈しつつも、「功績もありながら、失言で許されないのは怖いと感じた」と話した。
後任については、透明性のある方法での選出や、柔軟に動ける人を求める声が多く聞かれた。
福岡市のクリーニング店経営者の女性(69)は「(後任を)密室で決めるのは問題。川淵さんが50代でJリーグの初代チェアマンになったように、最初から『伸びしろ』のあるアスリート経験者を登用すべきだった」と指摘。
大阪・淀屋橋でベビーカーを押して歩いていた大阪市中央区の主婦(37)は「新型コロナで五輪自体の開催が危ぶまれているのに、余計に暗いイメージが付いた。性別は関係なく、現場が分かって動ける若い人が会長になってほしい」と望んだ。【林田奈々、磯貝映奈、荻野公一、吉川雄策】

真相リポート 「川淵会長」の談合は「森院政」発言と「あの疑惑」で吹っ飛んだ

「東京五輪のドン」である森喜朗氏の女性蔑視発言から始まった五輪組織委員会の後任会長選びは、森氏が後継指名した川淵三郎・元日本サッカー協会会長の就任が突然、白紙撤回された。何があったのか。 「森さんは後任選びで目立ちすぎたし、川淵さんはしゃべりすぎた。これじゃ森院政のイメージが強くなりすぎて世論の批判をかわせないから、官邸から“待った”がかかった」(組織委関係者) 菅義偉・首相は森氏の失言を国会で追及されると、「私が判断する問題ではない」「(組織委は)独立した組織だ」と逃げ回ったが、自らが矢面に立ちたくないだけなのは誰が見ても明らかだった。ある自民党幹部は、後任会長人事をめぐっては、森氏と菅義偉・首相の間には最初から亀裂があったと語る。 「総理としては、国際的批判に答えるためには後任は女性会長が望ましいという意向を森さんに伝えた。しかし、森さんは耳を貸さなかった」 このままでは“わきまえない”女性会長が選ばれかねないと焦ったのか、辞任を覚悟してからの森氏の動きは早かった。正式な辞任表明の前日(2月11日)に、川淵氏と会談して会長就任を要請すると、川淵氏は記者団に「残る人生のベストを尽くしたい」と就任受諾の意向を表明、2人だけでさっさと後継のレールを敷いた。川淵氏は組織委員会評議員で選手村村長を務めている。森氏と近い“五輪ムラ”の住人に会長ポストを禅譲しようとしたのだ。 森氏は、2000年に小渕恵三・首相の急死で首相に就任する際、自民党内の正式な手続きを踏まずに、党実力者たちの「密室の談合」で選ばれたと批判され続けたが、組織委員会の後任選びも「密室」で決めようとした。しかし、その川淵氏がしゃべりすぎた。 まだ組織委から正式なオファーもないのに、「自分が(会長を)受けるならば、森さんには相談役でサポートしてほしいとお願いした」と、会談で森氏の延命まで相談していたことを記者団にペラペラと明かしてしまった。 そもそも川淵氏はツイッターで「無観客は開催の意味がない」(1月13日)と発言するなど、「無観客開催」を視野に入れているバッハIOC会長とは意見の違いがあり、IOCとの交渉力が問題視されていたが、「森院政」発言が致命傷になった。 翌12日朝、橋本聖子・五輪相が閣議後会見で、川淵氏の就任について「全く決まっていない」「何ら決定していない」と強調。「多くの皆さんの意見を聞きながら決定されていくという、どの公益財団法人にもあるような正式な手続きを踏まれていくことが望ましい」と、川淵後継に難色を示した。
「東京五輪のドン」である森喜朗氏の女性蔑視発言から始まった五輪組織委員会の後任会長選びは、森氏が後継指名した川淵三郎・元日本サッカー協会会長の就任が突然、白紙撤回された。何があったのか。
「森さんは後任選びで目立ちすぎたし、川淵さんはしゃべりすぎた。これじゃ森院政のイメージが強くなりすぎて世論の批判をかわせないから、官邸から“待った”がかかった」(組織委関係者)
菅義偉・首相は森氏の失言を国会で追及されると、「私が判断する問題ではない」「(組織委は)独立した組織だ」と逃げ回ったが、自らが矢面に立ちたくないだけなのは誰が見ても明らかだった。ある自民党幹部は、後任会長人事をめぐっては、森氏と菅義偉・首相の間には最初から亀裂があったと語る。
「総理としては、国際的批判に答えるためには後任は女性会長が望ましいという意向を森さんに伝えた。しかし、森さんは耳を貸さなかった」
このままでは“わきまえない”女性会長が選ばれかねないと焦ったのか、辞任を覚悟してからの森氏の動きは早かった。正式な辞任表明の前日(2月11日)に、川淵氏と会談して会長就任を要請すると、川淵氏は記者団に「残る人生のベストを尽くしたい」と就任受諾の意向を表明、2人だけでさっさと後継のレールを敷いた。川淵氏は組織委員会評議員で選手村村長を務めている。森氏と近い“五輪ムラ”の住人に会長ポストを禅譲しようとしたのだ。
森氏は、2000年に小渕恵三・首相の急死で首相に就任する際、自民党内の正式な手続きを踏まずに、党実力者たちの「密室の談合」で選ばれたと批判され続けたが、組織委員会の後任選びも「密室」で決めようとした。しかし、その川淵氏がしゃべりすぎた。
まだ組織委から正式なオファーもないのに、「自分が(会長を)受けるならば、森さんには相談役でサポートしてほしいとお願いした」と、会談で森氏の延命まで相談していたことを記者団にペラペラと明かしてしまった。
そもそも川淵氏はツイッターで「無観客は開催の意味がない」(1月13日)と発言するなど、「無観客開催」を視野に入れているバッハIOC会長とは意見の違いがあり、IOCとの交渉力が問題視されていたが、「森院政」発言が致命傷になった。
翌12日朝、橋本聖子・五輪相が閣議後会見で、川淵氏の就任について「全く決まっていない」「何ら決定していない」と強調。「多くの皆さんの意見を聞きながら決定されていくという、どの公益財団法人にもあるような正式な手続きを踏まれていくことが望ましい」と、川淵後継に難色を示した。

コロナワクチン特例承認、国内初 厚労省部会、17日から先行接種

米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、厚生労働省の専門部会は12日、有効性と安全性が確認されたとして、国が審査手続きを簡略化して特例承認することを了承した。国内で初めて実用化される新型コロナワクチンとなる。田村憲久厚労相が14日にも正式に承認し、17日から安全性確認を目的に同意を得た医師らへの先行接種が始まる。
日本への供給第1弾は12日、ベルギーのブリュッセルから成田空港に到着した。今後、必要な量の確保や、希望する人に滞りなく接種できる体制の整備が課題となる。
接種の対象年齢は16歳以上で、妊婦も接種対象に入っている。

釧路でクラスター発生、外国人研修生7人感染 江別の障害者施設も

北海道は12日、新型コロナウイルスの新たなクラスター(感染者集団)が釧路市の外国人職業研修施設と石狩地方・江別市の障害者支援施設の2カ所で発生したと発表した。いずれも濃厚接触者を特定できているとして、施設名を公表していない。道が感染経路などを調べている。
道によると、釧路市の外国人職業研修施設の感染者は10~20代の外国人研修生7人で、いずれも症状はない。7人は1月初めの入国前後と2週間の健康観察後の計3回の検査を受け、3回とも陰性と確認された上で釧路へ移動した。
研修生1人が就業予定先の求めで任意の民間検査を受け、陽性と判明。道が今月10日、施設に滞在していた研修生や職員ら計71人を一斉に検査した。感染が確認された7人は同じ国籍で、施設滞在中は日用品の買い物など必要最小限の外出しかしていなかった。
また、江別市の障害者支援施設の感染者は職員2人と入所者3人の30~50代計5人で、いずれも軽症か無症状。今月9日に入所者1人と職員1人が陽性と判明。道が入所者や職員ら計105人の検査を実施した。
北海道では12日、2人の死亡と75人の感染が確認された。札幌市の酒類を提供するパブで感染者6人のクラスターが発生しており、この日道内で発生が確認されたクラスターは計3件。
道内の死者は計632人、感染者は延べ1万8402人(実人数1万8357人)となった。12日午後6時時点の患者数は1005人で、このうち重症者は16人。
12日に死亡が確認されたのは、いずれも道発表分の80代女性と性別や年代が非公表の1人。新たな感染者は、札幌市49▽旭川市1▽函館市4▽釧路市7▽石狩地方9(千歳市3、江別市2、恵庭市1など)▽後志(しりべし)地方5(倶知安町3など)-の75人。

県立高の校長がひき逃げ「人だと思わなかった」、ひかれた78歳男性が死亡

鳥取県警米子署は11日、島根県立高校校長の男(58)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の両容疑で逮捕した。
署の発表によると、男は9日午後6時10分頃、鳥取県米子市別所の県道で軽乗用車を運転し、路上にいた近くの農業前田好則さん(78)をひいて死亡させ、通報などを怠った疑い。男は「事故時には人だと思わなかった」と供述しているという。
署によると、男は住民の通報で警察官が駆けつけた時、現場に戻っていたという。署は前田さんがひかれる前に道路に倒れていたとみて調べている。

新会長選び、与野党から注文=自民・二階氏、森氏の功績強調

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が12日に辞任を正式表明したことを受けて、与野党各党からは後任の選び方について、透明性の確保などを求める声が出た。自民党の二階俊博幹事長は森氏のこれまでの活動をたたえた。
二階氏はコメントを発表し、「新会長の下、より一層、五輪の理念と精神に基づいた運営を期待する」と表明。森氏については「招致から一貫して大会成功に向けてご尽力いただき、功績は大変なものだ」と強調した。
新会長の選出に関して、公明党の石井啓一幹事長は記者団に「透明性を確保し、多くの国民が納得する形で選んでいただければと思う」と指摘。立憲民主党の泉健太政調会長は記者会見で「身を引かざるを得ない前会長が後任人事を色濃く内定させるかのような行為は好ましいとは言えない」と述べた。
共産党の志位和夫委員長も会見で「密室指名のような形では厳しい批判は免れない」と語った。国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「密室で決まったとのそしりを受けないようにすることが大事だ」と注文を付けた。
[時事通信社]

警察で取り扱ったコロナ感染遺体、1月急増132人 警察庁

医療機関以外で体調が悪くなり変死などとして全国の警察が取り扱った遺体のうち、新型コロナウイルスに感染していた遺体は、2020年から今月10日までの累計で261人に上ったことが警察庁への取材で判明した。今年は1月に132人と急増し、20年中の計122人を単月で超えていた。今月に入ってからは7人で確認された。
1月の132人のうち、生前に感染が判明していたのは56人で、死後のPCR検査で陽性が分かったのは76人。場所は、自宅や宿泊施設、会社の寮、老人ホームなどが123人、勤務先や自宅近くの駐車場など外出先が9人だった。
性別は男性95人、女性37人。年代は、80代が37人と最多で、70代36人、60代25人、90代16人、50代11人、40代4人、30代2人、20代1人。都道府県別では東京の46人が最多で、神奈川19人、千葉15人、大阪10人と続いた。
警察が取り扱った遺体でコロナの感染が確認されるようになったのは20年3月から。4月は21人、5~11月は10人以下で推移し、12月は56人になっていた。これまでに27都道府県で確認されている。【町田徳丈】

8年前の男性殴打死容疑で逮捕 53歳の男、容疑認める

8年前に東京都江戸川区のアパートで男性を殴り死亡させたとして、警視庁葛西署は傷害致死容疑で、東京都新宿区北新宿、アルバイト、沼田三起正容疑者(53)を逮捕した。調べに対し、「脇腹付近を何回か殴った」などと容疑を認めている。
逮捕容疑は、平成25年2月11日午前2時ごろ、当時沼田容疑者が住んでいた江戸川区中葛西のアパートの廊下で、隣人の無職、星野詩郎さん=当時(63)=に馬乗りになり、胸などを複数回殴打する暴行を加え、外傷性出血性ショックで死亡させたとしている。
同署によると、沼田容疑者は事件発生当初から関与が浮上したが、高次脳機能障害があり、供述の信憑(しんぴょう)性の確認などを慎重に進めてきたという。同署は2人の間にトラブルがあったとみて、詳しい動機を調べる。

【メディア大崩壊】日本も他人事ではない“SNS追放劇” ネットニュースの世界に暗雲…リベラル論調好む傾向、業界的な自主規制なく

ドナルド・トランプ前大統領の退任間際に起きた米国内の騒乱は、ツイッターで大統領選での敗北を決して認めようとせず、支持層を煽り続けた末のことだった。結局、トランプ氏のアカウントは、ツイッターや、フェイスブック、ユーチューブで続々停止となった。SNSでは、大統領退任を待たず「罷免」された。
トランプ氏が最後のよりどころにしたのが“保守系ツイッター”として近年注目されるパーラーだった。しかし、パーラーにサーバーを提供していたアマゾンが、騒乱拡大を防ごうとサービスを遮断した。パーラーは使用不能に追い込まれ、トランプ一派のネット上の手足はもぎ取られた。
いわば、「トランプ一派」と「IT大手」の全面戦争だが、突然のことではなく予兆はあった。
パーラーが誕生した背景には、保守派のSNSでの発信内容が削除されたり、アカウントが停止されたりするなどの問題が頻発していたことがある。共和党では、すでに昨年の議会でのプラットフォーム(PF)規制審議で、「SNS上の言論の自由」に関する問題を取り上げていた。
日本も他人事ではない。アゴラ編集長時代、有名な執筆者が大手SNSで何年も前に韓国の話を論評した投稿について、特に差別的な内容でなかったにもかかわらず、運営側からクレームが入り、アカウントの一時停止処分をくらったことがある。
ネットニュースの世界にも暗雲が漂う。
新聞、テレビ、出版など国内既存メディアの大半から記事や動画を配信しているPFは、以前からリベラルな論調を好む傾向が指摘されている。実際、アゴラで野党議員の「二重国籍」疑惑を追及したとき、そのPFのニュース編集部が、同議員の言い分を一方的に流す独自記事を出してきたことは以前書いた。保守政治家が攻撃されたとき、同じように弁明の場をつくり出すのだろうか。
政治問題は、利害や意見が錯綜(さくそう)して紛糾しやすい。影響力のあるテレビは、放送法で政治的公平性を求められることで、一定の偏向抑止にはなっている。しかし、今や世論形成力においてテレビ、新聞に匹敵するだけの力を持ち始めたPFに対して、政治報道に関する法規制はない。新聞協会に相当するネットニュースの業界団体にも、このPFは未加盟のため、業界的な自主規制にもかかっていない。
ここにきて、大手PF同士の経営統合の動きもある。ニュース市場における寡占の弊害はほとんど指摘されていないが、米国でネット上の言論の自由が問われたなかで、日本でも影響は出てくるのだろうか。
■新田哲史(にった・てつじ) 報道アナリスト、メディア起業家。1975年生まれ。読売新聞記者、PR会社、言論サイト「アゴラ」編集長などを経て現職。ネット世論やネットの政局動向に詳しい。著書・共著に『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)、『朝日新聞がなくなる日』(同)など。

中国船の領海侵入「無害通航ではない」 外務省幹部が明言 専門家「海上保安庁と防衛省の連携強化を」

日本政府は、中国海警局の船が、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入する行為について、国際法で認められる「無害通航ではない」という認識を示した。海警局が中国の最高軍事機関である中央軍事委員会の指揮下に入ったことなどを踏まえ、外務省幹部が明言した。中国は1日、海警局に武器使用を認める海警法を施行するなど、軍事的覇権拡大を進めている。自民党内では法整備を求める動きが強まっている。

「外務省幹部は『中国海警船が日本の領海に侵入した瞬間、無害通航ではない状況になる』と明言した。海警法施行を契機に、大きくステージが変わったという認識も共有された」
自民党の大塚拓国防部会長は9日、外務省幹部の注目発言があった、自民党外交部会と国防部会などの合同会議後、こう語った。
「無害通航権」とは、国連海洋法条約(第19条など)で認められた船舶の航行をめぐる権利だ。他国の領海に入っても、通り過ぎるだけであれば国際法上、問題はない。
ただ、中国側は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である尖閣諸島について「自国領土だ」と強弁し、周辺海域で日本漁船を追いかけ回してきた。以前から「無害通航権の乱用、違反に該当する可能性が極めて高い」と指摘されてきた。
合同会議直前の6、7日にも、海警船が尖閣周辺の領海に侵入し、日本漁船に船首を向けて接近しようとする動きを見せた。海警法施行直後だけに現場は緊張した。海上保安庁の巡視船が漁船の安全確保に当たった。
会議に出席した自民党中堅議員は「海警船の無断侵入に及び腰だった政府側に『無害通航は認めない』と言わせるのに、何年もかかった。今回の見解は、中国の暴走を食い止める第一歩だ」と語った。
外務省の見解を受け、どう変わるのか。
合同会議では、出席者から海上保安庁法の武器使用に関する規定(第20条)や、海保が軍事的任務に就くことを禁じた規定(第25条)の見直しを求める意見が出たという。
前出の大塚氏は「国際法を守る認識がない相手にどう順守させるのか。政府と党で密に連携し、必要な方策を練り上げたい」と語る。
識者はどう見るか。
東海大学海洋学部の山田吉彦教授(海洋政策)は「中国側による尖閣周辺でのエスカレートは度が過ぎている。日本の領土・領海を守ろうとする国民の意識も強まり、日本政府も明確に『海警船の無害通航権を認めない』と、当然の発信をすることになったのだろう。菅首相は『縦割り行政を無くす』と掲げている。海洋安全保障でも、海上保安庁と防衛省が連携を強め、中国を排除する方策を備えることが急務だ。『情報戦』でも、もっと『日本はこうする』という発信を強化すべきだ。相手に武器を使われてからでは遅い」と語っている。