電波ゴトで命を削ってもパチンコで稼ぎたかった中国人たちの末路

ゴト師という裏稼業をご存じだろうか。その語源は「仕事師」とも呼ばれ、パチンコやパチスロに不正行為を働き出玉を出す連中のことをいう。ゴト師の歴史は古く、手打ちの時代から存在した。磁石を使って玉を誘導して入賞口に入れるという古典的かつアナログな手法から始まり、セル版を使ったり、中には力ずくでスロットのリールを止めてボーナスを揃えるというものもあった。今回はそんなゴト師の使っていたある道具を実際に使ってみた話をまとめてみたいと思う。

今から20年ほど前の話だが、あまりにも強烈な出来事だったので今でも鮮明に覚えている。確か1999年の秋頃だったと思う。業界の一大イベントだった幕張メッセの「パチンコ・パチスロ産業フェア2000」の前だったと記憶している。

◆ゴト師を捕まえたホール店長からの電話

知り合いの店長から携帯(ガラケー)に連絡が入った。

「この前、店に来たゴト師捕まえたんやけど、体感器持っとってな。没収してやったんやけど、ちょっと面白いブツやから見にけぇへん?」

電話越しに聞こえる店長の関西弁は上機嫌だ。その頃、筆者はとある攻略誌の編集をしていた。90年代の初めにパチンコ業界に入ったが、パチンコ店はフィーバー登場以来最大の店舗数を記録し(1995年/18244軒)、CR機と4号機の全盛時代で攻略法も次々見つかるなど、この90年代は本質的な意味でパチンコ業界が一番元気で華やかな頃だった気がする。ただ、96~98年の「社会的不適合機」(※2006年の「みなし機撤去」も含め)の撤去で手打ち、デジパチと続いてきた古き良きパチンコ時代がリセットされてしまったのは、今でも残念でならない。

そんな90年代の終わりは、2回ループCR機がホールの主力となっていた。一方で80年代後半から続いてきた「攻略法」ブームは下火になり、それに反比例して「ゴト」行為が流行り始めていたのである。ゴト自体は「磁石」や「セル」などパチンコの草創期から存在していたが、この頃のゴトは「体感器」がムーブメントの中心だった。当時の体感器は低周波治療器などを改造した専用機が主流で、裏で高値で取引されていた。そのため、体感器のネタはありふれたものになっていたのだが、その没収された体感器が、電波発射装置を組み込んだ代物ということに俄然興味が湧いた。

◆当時は体感器も攻略法だった

一応触れておくと、ファンや関係者にとって「体感器」の使用は、当初「ゴト」ではなく「攻略法」と認識されていた。なので、一部の“熱心な”ファンも巻き込んで体感器は取引されていたが、体感器を効果的に使うには練習も必要で、一般的なファンにはおよそ使いこなすことが難しい道具でもあった。
また、当然ながら体感器は使用禁止の店舗がほとんどで、トラブルも多かった。当時はまだ「攻略」と「窃盗」の線引きは曖昧で、係争中の事案も多く「体感器≒違法」という状況だった。

その後、通常の遊技方法では無いという理屈で「窃盗罪」が適用されるようになり、2007年に最高裁判決が出て「犯罪」になったという経緯がある。それでも内部のプログラムを「自爆消去」する機能のついた体感器で不起訴処分になった事案もあり、ゴト師たちの執念たるや、呆れるしかなかった。

◆中国人ゴト師が持っていた機械

電話をもらって仕事を片付け、現場に着いたのは翌日の夜だった。場所は東大阪のとあるアーケード商店街。約束の時間は0時で、某駅前で店長と落ち合うと、商店街のにあるホールへと案内された。250台ほどの店内はギラギラとやけに明るく、床も当時多かった木床の作りで、油性ワックスと玉研磨のペレットの臭いが漂う、一昔前の「ザ・パチンコ屋」という感じのホールだった。目的のブツは、カウンターの上に無造作に置かれていた。強めのアイパーがやけに似合う強面の店長は、ニヤニヤしながら「これなんやけどな、中国人が持っとったヤツ」とブツを手に取って見せてくれた。それは体感器本体と、大きめのコイル状の物体がアンテナよろしくコルセットにガムテープで張り付けてあるものだった。

「これをな、体に巻き付けとったんや」

手作り感満載のその道具は、コードや線が絡んで一塊の状態だったが、なるほど体に巻き付けられるようになっていた。

◆モンスターハウスがゴト行為で抜かれていた

気になるのは被害に遭った台である。どの台でこれをやったのか聞くと、モンスターハウスだというのだ。「CRモンスターハウス」(竹屋)は当時の大ヒット機種で知っている人も多いだろう。1回ループながら人気が高くほとんどの店に導入されていたが、大当り乱数は狙いやすく、体感器で攻略されている機種だった。

中国人と言えば、このころは「偽造パッキーカード」(※当時はCR機専用磁気カードを購入してプレイしていた。関西はパニーカード)で名を成していた。当時は上野でイラン人たちが「テレカあるよー」と偽造テレカを販売していたのに、いつの間にか彼らに代わって「偽造磁気カード」を捌き、そして電波ゴトで荒稼ぎしていたのだ。この後彼らは「ぶら下がり」や「偽ROM」へとシフトしていくわけだが、それはまた別の話。

◆ゴト行為を実践してみると……

さっそく筆者はカウンターの目の前にあるモンスターハウスの島で、その体感器を使ってみることにした。ちなみに使い方は店長が捕まえた中国人ゴト師から聞き出していた。服の上からその体感器&電波発射装置のコルセットを腹に巻いてみると、コイルが結構突き出る形でえらく不格好だ。なんだこの突き出たコイルは……こんな目立つもので、よくやったなぁと思ったくらいである。

ガラス扉を開けてもらい、手入れでヘソに玉を入れながら大当りのタイミング測っていく。手入れとは言え大当りのタイミングを見つけるのに30分ほどかかってしまった。タイミングがわかると、あとは電波を発射して強制的に大当が発生すると言うのだが……カチカチと電波を発射すると、なぜか保留玉が点灯していく。するとその保留で大当り発生した。半信半疑だったがアッサリと目的を達成してしまった。

ちなみに同一機種が同じ電源で繋がっていれば、乱数のタイミングは同じになっているので、一台大当りのタイミングが判明すれば他の台も同じように大当りを発生させることができる理屈になる。機種の電源は島や列単位で電気回路が分けられているので、同一機種なら朝イチの電源オンで乱数も同じスタートのタイミングになるためだ。店長は仲間がいたのかどうか分からないようだったが、おそらく他に仲間がいたか、もしくは瀬踏みに来たのではないだろうかと話していた。

◆大当たりの乱数を電磁波で狙い撃つ

どうやらこの「電波発射装置付き体感器」は大当りのタイミングを見つけ、電波を飛ばして大当りを仕込む仕組みだったようだ。後にちょっと調べてみたが、コイルは必要な周波数の電波を飛ばすためのものらしい。保留ランプ点灯に必要だったのだろう。

要するに地力で大当たりさせてそのタイミングを見つけ、あとは電磁波を使ってそのタイミングを狙い撃つというわけだ。こうなると、一日中当たりっぱなしも可能……という、破壊力抜群のゴト行為なのである。

◆中国人ゴト師たちの末路

さらに数回やってみたが、やはり大当りが発生する。これはなかなかのものだ。しかし……実は数回連続で電波を発射したところで軽くめまいがしてきたのである。うまく説明できないのだが、明かに体へ影響がある雰囲気だった。筆者は直観的に、この電波はまずいものだと判断し、数回使って大当りを確認した後は、電波発射装置付き体感器をそそくさと外してしまった。

その後でゴト行為に詳しい人物から聞いた話なのだが、この電磁波ゴトで稼いでいた中国人たちは、首尾よくカネを稼いで帰国したものの、その後なぜか内臓疾患などで死ぬ者が多かったという。その理由が、電波発射装置からの強い「電磁波」のせいだと言うのだ。

なお、こうした電波ゴトのせいで、当時はプレイ中に携帯をいじっているとスタッフが飛んで来るなんてことも多かった。実際、当時の機種の中には携帯電話でも反応する機種があったのでしょうがないが、過敏反応のとばっちりはいい迷惑だった。

◆現行の機種では体感器は使えない

体感器は現在、機種の乱数の周期が非常に短くなっているなど周期をつかむことが難しくなっており、有効なものではない。そして体感機の持ち込みは「建造物侵入罪」で使用は「窃盗罪」に問われるので、もはやその手段そのものが無意味になっている。

一方、電波ゴトは今だに被害があるが、当時に比べれば随分と減少した感がある。機種自体や電波感知器などセキュリティが向上しているためだが、0にならないのは残念だ。いつもそうだが、ヤバそうな「事案」には近寄らないのが賢明といえる。小金のために原因不明の病気なんかにはなりたくないものだ。

【麻枝月輝夜】
元パチンコ雑誌編集者。ライター、編集者。パチンコ業界歴は30年近い。現在は業界誌の他WEB媒体に転職系や占い、オカルト系記事なども執筆中

65歳以上のワクチン接種、4月1日以降に…河野氏「供給スケジュール次第で確定」

新型コロナウイルスのワクチン接種を担当する河野行政・規制改革相は27日、ワクチンの優先対象とする65歳以上の高齢者への接種について「早くても4月1日になる」との見通しを示した。東京都内で記者団に語った。
厚生労働省は昨年12月、非公開の自治体向け説明会で、高齢者の接種体制確保のめどを3月下旬としていた。政府は2月下旬にも医療従事者への接種を始め、その後高齢者約3600万人の接種に移る計画だ。河野氏は「(日程が)確定するのは、供給スケジュール次第だ」とも述べた。

偽「SEIKO」に「ルイ・ヴィトン」、ネット販売したイラン人男「違法と思わなかった」

群馬県警は27日、イラン国籍で大泉町東小泉、飲食店経営の男(52)を商標法違反容疑で逮捕した。
発表によると、男は昨年2~12月、インターネットサイトで県内の20歳代男性ら3人に、セイコーホールディングスの「SEIKO」に類似したロゴが記された腕時計2点と、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の偽物のバッグ1点を、計6万6000円で販売した疑い。調べに対し、「偽物と知っていたが、販売が違法だと思わなかった」と容疑を否認しているという。
県警は男の自宅や店、車から類似品の腕時計やバッグなど計36点を押収。入金記録から、2019年12月頃に販売を始めた可能性もあるとみて調べている。

夏の甲子園優勝の元主将、中学同級生から「金を運ぶ仕事」…「強盗とは思わなかった」

千葉県内で住宅に押し入り、住人に重軽傷を負わせたなどとして、強盗致傷などの罪に問われた東京都町田市、無職

千丸
( ちまる ) 剛被告(21)の裁判員裁判の公判が27日、千葉地裁(坂田威一郎裁判長)であり、被告人質問や証人尋問が行われた。
千丸被告は2017年夏の甲子園で花咲徳栄高(埼玉県加須市)が優勝した時の野球部主将。大学進学後、約半年で野球部を退部した理由を弁護人から問われると、「コンクリートの上で正座をさせられて説教を受けたり、火の付いたたばこを押し当てられたりといった先輩からのしごきが毎日あったため」と答えた。
犯行グループに加わった動機については「大学中退後に中学の同級生から『人のいない家からお金を運ぶ仕事がある』と誘われた」と説明。「強盗をするとは思わなかった」と述べた。
この日は、花咲徳栄高の岩井隆監督が情状証人として出廷。事件前、千丸被告から退部の相談があり、「まずは耐えろ」と伝えたといい、「あの時もう少し寄り添っていれば、こんなことにはならなかったと思う」と語った。千丸被告が社会復帰した際には支援していく考えも明らかにした。

生徒の氏名など記載の公文書、路上に4回放置…非常勤講師「学校に不満」で

宮城県警若林署は27日、非常勤講師の男(34)(宮城県加美町)を地方公務員法(守秘義務)違反と業務妨害容疑で逮捕した。
同署の発表によると、男は昨年11月25日~12月9日、同年9月まで勤務していた県立中学・高校(仙台市)の生徒の氏名などの個人情報が記載された公文書のコピー7枚を、仙台市と名取市の路上に4回にわたり放置し、職務上知り得た秘密を漏らすとともに、同校職員の業務を妨害した疑い。調べに対し容疑を認め、学校に対する不満を話しているという。
県教育委員会によると、男は2018年4月から非常勤講師として任用され、同校高等部で勤務。昨年9月に自己都合で退職していた。漏えいした公文書は、会議で配布されたものだという。
県教委は、男の担当科目や学年などについては「受講した生徒がショックを受ける」と明らかにしなかった。
同校の校長は「生徒の権利や情報を守るべき立場の教員がこんなことをしてしまって残念で腹立たしい。学校として、再発防止に努めたい」と話した。

眞子さま 新婚生活のモデルは「ねぇね」と慕う黒田清子さんか

宮内庁への抗議の電話が鳴り止まない日々が続いている。
「多くは“小室圭さんは眞子さまのお相手にふさわしくない”というものです。金銭トラブルを抱える上、何年経ってもちゃんと説明できない人は、皇族のお相手として祝福できないということでしょう。“結婚の一時金を支払うべきではない”という声も少なくありません。税金が小室家側にわたることに嫌悪感を持たれているのです」
ある宮内庁関係者はそう頭を抱える。昨年11月、秋篠宮さまは長女の眞子さまについて「結婚を認める」と表明された。続く12月には宮内庁の西村泰彦長官が小室家側に「説明責任」を求めた。裏を返せば、小室さんが必要充分な説明さえすれば結婚に障害はない、ということだ。
「もともと結婚を疑っていない眞子さまですが、いよいよ、式の日取りはどうするか、納采の儀はどうするか、儀式に必要な小室家側の使者はどうするかなど具体的に考え始めていらっしゃるでしょう」(皇室ジャーナリスト)
もちろん、結婚直前の若い女性が、儀式のあとの新婚生活について、あれこれと夢見ないわけはない。
「眞子さまは、“ねぇね”と慕う黒田清子さん(紀宮さま)を、ご自身の“新生活プラン”のモデルにされているでしょう」と語るのは、ベテラン皇室記者だ。清子さんは上皇陛下の長女で、眞子さまにとっては叔母にあたる。上皇陛下の孫世代で最初にお生まれになった眞子さまにとって、「なんでも相談できるお姉さんのような存在」だったという。
「お子さんのいない清子さんからすれば、眞子さまは娘のような存在でもあります。成年皇族としての公務への取り組み方や大学卒業後の勤務先について、眞子さまが清子さんに相談されたこともあったそうです」(前出・皇室記者)
母の紀子さまとは、ご結婚についての会話がほとんどないという眞子さま。だが、“ねぇね”になら──。
「清子さんは天皇の長女として生まれて、いまは天皇の妹です。眞子さまも、次の天皇の長女であり、将来の天皇の姉ですから、その境遇はほぼ重なると言っていい。また、清子さんの夫の黒田慶樹さんも、小室さんも、どちらも早くに父親を亡くしています。眞子さまにとって、結婚生活を相談できる最適なお相手が身近にいらっしゃることは、ありがたいことでしょう」(前出・皇室記者)
眞子さまにとってよき相談相手というだけではない。
「宮内庁や秋篠宮家の関係者は、眞子さまのご結婚がとどこおりなく進むように心を砕いています。当然、結婚の手続きだけでなく、眞子さまが降嫁後に安定した生活を送られるようなプランも練り上げられつつあります。そのプランのモデルは、立場がよく似ている清子さんの黒田家にほかなりません」(皇室関係者)
“ねぇね”は眞子さまに、どんな言葉をかけているだろうか。
※女性セブン2021年2月11日号

菅首相を評価していた田原総一朗氏「期待外れ」「スピーチもへたっぴいだ」

「影の総理」「危機管理の達人」「叩き上げの苦労人」さらには「鉄壁のガースー」──憲政史上最長の安倍政権を官房長官として7年8か月支えた菅義偉・首相は、昨年9月にコロナ危機のなかで首相に就任すると、手腕を期待され高い支持を得ていた。しかし、後手に回るコロナ対策に国民は失望するばかり。いったい何を間違ったからこうなったのか。菅氏の能力を高く評価していた識者に聞いた。
まずは菅政権の“ご意見番”的存在の評論家・田原総一朗氏だ。田原氏は、「次は菅さんがいい」と安倍晋三・前首相に進言し、就任会見で菅首相が明言した「行政の縦割り打破」について、自身のブログで〈それができるとおおいに期待している〉と評価していた。
しかし現状をこう語る。
「海外では1回目の感染爆発のときに医療体制を大改革したが、日本はそれができず医療崩壊を招いた。安倍政権時代の縦割り行政を継承し、官邸と厚労省、財務省の方針がまとまらなかったことに原因がある。菅さんは縦割りを打破するといっていたが、結局できなかった。ただ、分科会も悪い。菅さんは尾身茂会長の情報を相当信頼している。尾身さんも年が明けたら感染者は減ると考えていたんでしょう。だから菅さんも、緊急事態宣言は出さなくていいと甘く考えていた」
期待外れだったのは政策だけではない。
「スピーチもへたっぴいだよ。安倍さんには優秀なスピーチライターがいて本人も何度も練習していた。だから二階さんにはスピーチライターを変えろ、菅さんにももっと練習するように伝えてくれといっておいたんだ」
そして田原氏は、「菅がいいというより、今の自民党だと他に誰もいないでしょう」と加えた。
「こんなに発信の仕方が下手だとは思わなかった」──そう語るのはネット媒体のコラムで〈叩き上げタイプなので、ついていって頼りになる〉と菅氏に期待を寄せていた経済評論家の山崎元氏だ。
「トップは国民に語りかけることが重要なんです。しかし、菅さんは就任後、日本学術会議の問題が起きると国会を開かないし、記者会見もあまりやらなかった。コミュニケーションのスタイルが自己防衛的過ぎるんでしょうね。批判を跳ね返せるようガードを高くして身構えてしまう。胸襟を開いて周囲の意見を聞く姿勢があってもよかった。
学術会議の人事にしても、有無をいわせず押し切るんじゃなくて、もう一度同じ6人を推薦させて任命したうえで組織改革を進めればよかった」
山崎氏は菅政権誕生時の自身の思考を振り返って、こう話した。
「当時は、安倍政権のタガがだいぶ緩んできていて、“やっている感”を出すばかりになっていた。だから、菅さんだと、もう少し堅実なんじゃないか、という期待が生じたのでしょう」
※週刊ポスト2021年2月5日号

爆問・田中が感染4か月後に搬送「コロナと脳卒中」に関係はあるのか

1日当たり5万人前後の新型コロナウイルス感染者が記録され、死者も1000人を超える日が少なくないイギリスから恐ろしい研究結果が発表された──。感染者数も死者数も、日本とは大きく異なるが、その数字は私たちの気をより一層引き締めることにつながりそうだ。たとえ最初の病状を克服できたとしても、その後に長く、多くの闘いが待っている可能性があるということをもう一度再認識したい。 緊急搬送から1週間。爆笑問題の田中裕二(56才)に笑顔が戻りつつある。 「現在、体調的にはまったく問題ないようですが、退院後しばらく療養に入るので、田中さんの代役を探すことに各番組のスタッフは必死のようですね」(テレビ局関係者) 田中は1月19日に仕事から帰宅後、翌深夜2時頃に頭痛を訴えた。妻の山口もえ(43才)がすぐに119番通報。救急車で搬送され、「前大脳動脈解離によるくも膜下出血」「脳梗塞」と診断された。 入院中の田中の症状について、所属事務所「タイタン」の太田光代社長(56才)は「元気すぎるくらい」と説明し、相方の太田光(55才)も「全然大丈夫」とテレビ番組で明かしたが、ニュースが流れるやいなや、SNS上では新型コロナとの関連を疑う投稿が相次いだ。 《新型コロナ陽性だったが、軽症ですぐに治った患者がその後、脳溢血で倒れたケースがありました。田中裕二さんの症状と非常に似ていて驚いています》(医師のTwitter) 《友人の父親が新型コロナにかかり、退院後に脳梗塞で再入院。(中略)田中さんのケースに似ている》(30代女性のTwitter) 田中は昨年8月末、妻の山口に続いて新型コロナへの感染が判明。2週間の入院を余儀なくされ、頭痛と38℃前後の熱に悩まされたという。それから4か月後のくも膜下出血と脳梗塞の発症は、完治したはずの新型コロナによるものなのか。高知大学医学部教授の横山彰仁さんはこう話す。 「関係があると断定はできませんが、新型コロナが血管の内皮細胞に感染することは間違いないので、否定もできません」 3か月経っても心筋の炎症が続く 新型コロナが国内で確認されて約1年、さまざまな「後遺症」が報告されてきた。実際に田中も退院してからしばらくの間は味覚・嗅覚障害に悩まされていたという。多くの新型コロナの後遺症の患者を診察してきた新中野耳鼻咽喉科クリニックの院長・陣内賢さんが語る。 「うちの病院の統計データでは、過去に陽性と診断されたことのある52人のうち28人が嗅覚障害を訴えています。微熱、倦怠感、筋肉痛や呼吸の苦しさを感じる人も多いです」
1日当たり5万人前後の新型コロナウイルス感染者が記録され、死者も1000人を超える日が少なくないイギリスから恐ろしい研究結果が発表された──。感染者数も死者数も、日本とは大きく異なるが、その数字は私たちの気をより一層引き締めることにつながりそうだ。たとえ最初の病状を克服できたとしても、その後に長く、多くの闘いが待っている可能性があるということをもう一度再認識したい。
緊急搬送から1週間。爆笑問題の田中裕二(56才)に笑顔が戻りつつある。
「現在、体調的にはまったく問題ないようですが、退院後しばらく療養に入るので、田中さんの代役を探すことに各番組のスタッフは必死のようですね」(テレビ局関係者)
田中は1月19日に仕事から帰宅後、翌深夜2時頃に頭痛を訴えた。妻の山口もえ(43才)がすぐに119番通報。救急車で搬送され、「前大脳動脈解離によるくも膜下出血」「脳梗塞」と診断された。
入院中の田中の症状について、所属事務所「タイタン」の太田光代社長(56才)は「元気すぎるくらい」と説明し、相方の太田光(55才)も「全然大丈夫」とテレビ番組で明かしたが、ニュースが流れるやいなや、SNS上では新型コロナとの関連を疑う投稿が相次いだ。
《新型コロナ陽性だったが、軽症ですぐに治った患者がその後、脳溢血で倒れたケースがありました。田中裕二さんの症状と非常に似ていて驚いています》(医師のTwitter) 《友人の父親が新型コロナにかかり、退院後に脳梗塞で再入院。(中略)田中さんのケースに似ている》(30代女性のTwitter)
田中は昨年8月末、妻の山口に続いて新型コロナへの感染が判明。2週間の入院を余儀なくされ、頭痛と38℃前後の熱に悩まされたという。それから4か月後のくも膜下出血と脳梗塞の発症は、完治したはずの新型コロナによるものなのか。高知大学医学部教授の横山彰仁さんはこう話す。
「関係があると断定はできませんが、新型コロナが血管の内皮細胞に感染することは間違いないので、否定もできません」
3か月経っても心筋の炎症が続く
新型コロナが国内で確認されて約1年、さまざまな「後遺症」が報告されてきた。実際に田中も退院してからしばらくの間は味覚・嗅覚障害に悩まされていたという。多くの新型コロナの後遺症の患者を診察してきた新中野耳鼻咽喉科クリニックの院長・陣内賢さんが語る。
「うちの病院の統計データでは、過去に陽性と診断されたことのある52人のうち28人が嗅覚障害を訴えています。微熱、倦怠感、筋肉痛や呼吸の苦しさを感じる人も多いです」

交通刑務所に収容された受刑者たちの生活 加害者の自分と向き合う日々

千葉県市原市の山あいに位置する市原刑務所は、交通犯罪の受刑者を専門に収容する施設で、「交通刑務所」と呼ばれている。受刑者は更生プログラムや刑務作業に日々取り組み、一時の気の緩みで他人の人生を狂わせてしまった現実や加害者としての自分と向き合っている。施設での生活を取材した。(共同通信=永井なずな)
▽代償
「『取り返しがつかない』という言葉ですら表せない」。飲酒運転で死亡事故を起こして服役中の30代男性が昨年11月、刑務所内で記者のインタビューに応じた。服役して1年半が過ぎ、刑期を7割ほど終えた男性。事故時は20代後半で、妻と子どもを持つ「ごく普通の会社員」だった。
交通犯罪の受刑者を専門に収容する市原刑務所
その日、外出先で酒を飲んだ。「酔いが覚めたら車で帰ろう」。そう考えて仮眠を取った後、慣れた道を運転し、高齢者の乗る自転車に追突し、逮捕された。「取り調べで、刑事さんから『落ち着いて聞いて』と言われ、相手の死亡を告げられた。とてもではないが、落ち着いて聞けるわけがなかった。事故を起こさなければ関わることもなかったはずの人から、命をいきなり奪ってしまった」
男性はその後釈放されたが、日常は一変した。事故の時刻になると目が覚めるように。「情けない話、何回も死のうと思った」。仕事を1カ月休職し、自宅に閉じこもった。
復帰後も顧客に会うのは苦しかった。「接客業なので、本来はお客さんに名前を覚えてもらわなければならないが、事故のニュースで実名が出てからは知られるのが怖かった」。職場は電車で通える所へ異動した。
事故当時の状況を記者に語る30代受刑者。飲酒運転で死亡事故を起こし服役している
判決が確定し刑務所に入る時、けじめとして離婚し、今は毎週送ってくれる手紙が唯一の楽しみだ。子どもは小学生と幼稚園児。「僕が見ることのできない成長する姿が書かれている。上の子は事故のことを分かっているようだ。幼くても気付くものですね」
服役中に受けたプログラムでは、対面した別の事故の遺族から「殺人行為だ」と言われた。「加害者である限り言われて当然で、受け入れるしかない」と思う。遺族からは謝罪を拒絶されているが、出所したらまず、しっかり謝りたい。ただ、どんな方法が良いか考えあぐねている。
事故前、酔いが覚めるのを待って車で帰ることがたびたびあった。「ばれなければ」「少しくらい」―。全て甘えだったと今なら分かる。「飲酒の他、携帯電話の操作やあおり運転の事故も聞く。起こしてからでは失うものが多過ぎる」
▽開放的施設
刑務所敷地内のグラウンド脇には、被害者を慰霊し反省と立ち直りを誓う「つぐないの碑」が立つ。約40年前、拾った小石に朝晩手を合わせる受刑者がおり、その姿を見かけた支援者が建立した石碑だ。今も多くの受刑者が立ち寄り、祈りをささげている。
敷地内に建立された「つぐないの碑」と施設を囲むフェンス(奥)。外塀は無く開放的な構造となっている
市原刑務所は警備システムを必要最小限にして円滑な社会復帰を図る「開放的施設」に指定された全国でも数少ない刑務所だ。入所者は昨年11月時点で140人弱(定員500人)。近年事故件数は減少傾向にあり、収容率は27%ほど。平均年齢は39・4歳で最高齢は72歳。全員が初犯の男性で、服役期間は平均2年4カ月、最長7年に及ぶ。4割強が被害者を死亡させている。
取材に応じた別の受刑者は、頭を下げ「本当に申し訳ないことをした」と繰り返した。死亡ひき逃げ事故を起こし、亡くなった被害者が自分と同年代で、子どもが残されたことを後に知ったという。「当然の報いだが、加害者になって非常にみじめでつらい思いをしている。自分みたいな人が一人でも減ってほしい」
職員の一人は「交通犯罪は一瞬の不注意で誰でも起こすリスクがある。(ここにいる受刑者は)自分とあまり変わらないと感じる」と語る。敷地を区切るのは高い外塀ではなくフェンスで、できるだけ一般社会に近い環境を整えている。施錠の箇所や窓の鉄格子は減らし、職員の同行なく敷地を歩くことも許されている。
「開放寮」の居室
刑期が残り3分の1を切り、態度も優良な人が入る「開放寮」では、大部屋を間仕切りで区切った居室で過ごす。談話室もあり、テレビのチャンネル選びは受刑者に任せているという。ある受刑者のスペースでは、寝具や生活用品が整頓して置かれ、枕元には1枚、笑顔を浮かべる家族の写真が飾られていた。作業場では、受刑者が物品の梱包やシイタケ栽培に取り組んでいた。
午後4時半、夕食のため食堂に受刑者が集まってきた。新型コロナウイルス対策で間隔を空けて座り、号令を合図に一斉に箸を動かし始めた。この日は大豆サラダやチキンカツ。受刑者の一人は取材に語った。「食事も着る物も与えられ、ここで生かされている。死のうとしたこともあったが、加害者の自分を受け入れ、償っていきたい」
取材当日の受刑者の夕食
▽「おわびされても命は戻らない」
受刑者は服役中、犯罪の責任を自覚し再犯防止策を学ぶ「改善指導」と呼ばれるプログラムを受講する。「交通犯罪は『事故』という言葉で他の犯罪と区別されがちだが、遺族にとって大切な命を奪われたことに変わりはない」。市原刑務所の山下公一(やました・こういち)教育専門官は、これまで100人近くを指導し、命の重さを伝えてきた。
「飲食店の勤務で注文ミスを連発し、失敗を忘れたかった」「妻とうまくいかず、ストレスがたまっていた」。教室で車座になった受刑者4人が、飲酒事故を起こすまでの心境を順々に明かした。「じゃあ、お酒を飲んだら問題は解決した?」。山下専門官の問い掛けに、全員が首を横に振った。
受刑者を指導する山下公一教育専門官(奥)
「アルコール依存回復プログラム」は対話形式の授業で、飲酒が心身に及ぼす影響などを学ぶ。被害者側の話を聴く回もあり、「おわびされてもお金を受け取っても命は戻らない」(遺族)といったじかの声に向き合う機会となっている。
「孫と同年代の小さな子をひいてしまった高齢者や、実弟が被害に遭った経験があるのに事故を起こした男性など、さまざまな境遇を見てきた」と山下専門官。出所後に再犯したという話を耳にし、力不足を悔やんだこともある。「社会人としての自信を失い、遺族への償い方にも悩んでいる人は多い。事故の責任から目を背けることなく社会復帰を果たしてほしい」と願っている。

なりふり構わぬ転職先への「手土産」…5G情報流出事件、他業種でも高まる懸念

大手通信会社ソフトバンクの第5世代(5G)の移動通信システムをめぐり、ライバル会社の楽天モバイルに転職した技術者の男が、大容量で高速通信が可能な5Gなどに関するソフトバンクの営業秘密を流出させたとして1月、警視庁に逮捕された。業界の技術競争激化の一端も浮き彫りになったが、転職時に情報を「手土産」として流出させる同種事件は後を絶たない。専門家は、社員のモラル意識の醸成に加えて物理的なシステム整備の重要性を訴える。(吉沢智美)
規範意識の欠如
「(業界には)モラルというものがないのか」。捜査幹部がこうあきれるほど、今回の営業秘密の「持ち出し」は、度を超えたものだった。
不正競争防止法違反容疑で警視庁に逮捕されたのは合場邦章容疑者(45)。平成16年7月にソフトバンクに入社し、電気通信関係資格の一つで難関とされる「線路主任技術者」の資格を保有し、携帯電話の基地局整備などを担当していた。
基地局整備を手がけることができる技術者は、業界内では貴重な存在。人材の獲得競争も激しく、合場容疑者にも知人の紹介で楽天モバイルへの転職の誘いが来たとみられる。
犯行は、その誘いを受けてソフトバンクに退社の意向を伝えた令和元年11月下旬から、楽天モバイルに転職する前日の12月31日までの約1カ月間に実行された。自らに与えられた権限でアクセスできる情報を私用パソコンにメールに添付する形で持ち出していたという。アクセスは約30回に上り、持ち出したファイルは約170点に及んだ。
情報は、5Gの基地局整備に関するものなどで、ソフトバンクの高度な「営業秘密」。合場容疑者が楽天モバイルで業務に使っていたパソコンには、こうした情報が保存され、捜査関係者によると、同僚らと共有されていた可能性もあるという。
業界の競争激化も
流出の背景には、業界内の競争激化も一因にあるとされる。
5Gのサービスは、ソフトバンクとNTTドコモ、KDDI(au)の大手3社が昨年3月から運用を開始。一方で、楽天モバイルは半年ほど遅れた同年9月にサービス提供を開始していた。4Gの通信網も整備途中の段階で、業界関係者は「大手3社と比べて明らかに遅れていた」と解説する。
5Gの普及には、より多くの基地局を効率的に張り巡らせることが重要とされており、合場容疑者が持ち出した情報は事業者にとって、「最も囲わなければならない貴重な情報」(関係者)ともいえるという。
今回の事件について、楽天モバイルは「前職により得た営業情報を弊社業務に利用していたという事実は確認していない」としているが、ソフトバンクは「利用された」と主張。利用停止や廃棄を目的とした民事訴訟も検討しているという。
捜査関係者は「現に(楽天モバイルの合場容疑者のパソコンに)持ち出し情報が保存されており、使用の有無は別として、転職の際の手土産とした側面もある」と話している。
事件化「ごくわずか」
こうした転職時の情報の持ち出しは、他の業界や業種でも懸念されている。
警察庁によると、営業秘密侵害事件の摘発件数は平成25年は5件だったが、28年は18件、令和元年は21件と右肩上がりだ。
大手総合電機メーカー「東芝」の半導体研究データが韓国のメーカーに流出した事件で平成26年に警視庁に逮捕された提携先の技術者の男は、給与などの待遇面に不満があり「転職のために持ち込んだ」と供述。31年には、スポーツ用品大手「アシックス」で社外秘のシューズデータを退職前に不正に持ち出したとして兵庫県警が元社員の男を逮捕。男は「退職に際し自分の役に立つと思った」と動機を供述したという。
営業秘密漏えいに関する大型事案が顕在化したことを受けて、不正競争防止法は27年に親告罪から非親告罪へと改正された。捜査関係者は「27年の法改正まで企業側の意識も低かった」と打ち明ける。
営業秘密侵害に関する相談件数も令和元年は49件に上るが、企業の労務管理に詳しい西川暢春弁護士は「事件として世間に明らかになるのはごくわずかだ」と話す。
営業秘密と認められるには、秘密として管理されている「秘密管理性」▽有用な情報である「有用性」▽公然と知られていない「非公知性」の3要素が必要。だが、西川弁護士によると、情報が適切に管理されていないなどで営業秘密の要件を満たさないケースもあり、実際の転職時などに情報が持ち出される数は非常に多いのが現状という。
西川弁護士は「社員が企業のデータベースから情報を持ち出した際に警告が鳴るようなシステムを導入したり、社員への(モラル意識醸成といった)研修を行ったりする必要があるだろう」と指摘した。