政府の観光支援事業「Go Toトラベル」の対象に東京発着が追加された昨年10月に東京都心部にある15の主要シティーホテルの平均客室稼働率が23・1%、昨年11月は31・0%となり、追加前の昨年9月(14・6%)から大きく上昇していたことがホテル業界の内部資料で分かった。宿泊代金の最大で半額相当が割引になる効果が顕著に現れ、15ホテル全ての稼働率が10、11両月にそれぞれ上がった。
だが、新型コロナウイルス感染拡大を背景に昨年12月28日から「Go Toトラベル」が全国で一時停止となり、東京と埼玉、千葉、神奈川の首都圏一都三県の緊急事態宣言発令によってホテル幹部は「再び奈落の底に突き落とされた」と悲鳴を上げる。(共同通信・大塚圭一郎)
▽開始前の京王プラザ稼働率は7%
筆者が入手した内部資料は、ホテルの稼働率や1室当たりの客室単価、宿泊売上高、宿泊者のうち外国人や団体の比率をまとめている。この資料によると、新型コロナ感染者数が多かったのを受けて東京発着が「Go Toトラベル」に含まれていなかった昨年9月の15ホテルの平均稼働率は前年同月の76・5%から61・9ポイント低下した。最も低い京王プラザホテル(新宿区)は7・0%に落ち込み、最高だったパレスホテル東京(千代田区)も27・2%にとどまった。
京王プラザホテル=2019年6月、東京都新宿区
京王プラザホテルは2019年9月の外国人比率が79・7%と15ホテルで最多で、新型コロナによる入国制限で外国人宿泊者が急減したのが大きな要因。昨年9月の外国人比率はわずか1・2%だった。また、客室稼働率は販売可能な客室数のうち何%が売れたのかを集計しているため、1455室とホテルニューオータニ(1479室)に次いで多い京王プラザホテルは「今回の新型コロナのように需要が急減すると、どうしても客室を埋めるのが難しくなる」(関係者)のも不利に働いた。
昨年9月は京王プラザホテルを含めて4ホテルの稼働率が一桁にとどまり、ホテルグランドパレス(千代田区)が7・7%、ハイアットリージェンシー東京(新宿区)は8・2%、第一ホテル東京(港区)は9・4%だった。ホテルグランドパレスは日本武道館や東京ドームに近いためコンサートやスポーツ関連行事の参加者や観客の宿泊が多く、新型コロナでそうしたイベントが相次いで中止になったのが足を引っ張ったようだ。
京王プラザホテルのビュッフェレストラン「グラスコート」=2020年10月、東京都新宿区(筆者撮影)
▽宿泊が前年を上回るホテルも
「Go Toトラベル」に東京発着が加わった昨年10月と翌11月は回復が続き、昨年11月で最高だったホテル椿山荘東京(文京区)は67・2%となり、前年同月(73・7%)との差が6・5ポイントに縮まった。昨年9月は22・6%と前年同月の60・7%を大きく下回っていたが、昨年10月は54・2%に上昇して前年同月の23・6ポイント差まで詰めていた。
さらに、ホテル椿山荘東京の昨年11月の宿泊売り上げは2億82万3900円となり、前年同月より12・5%増えた。つまり宿泊売上高では新型コロナ禍前の水準を超えたのだ。15ホテル全体の宿泊売上高は27億4100万8237円と62・6%減っており、前年超えは15ホテルで唯一だ。
ホテル業界関係者はこの要因を「新型コロナの感染防止のため旅行会社などが大人数での団体旅行を催行しにくくなり、代わりに予約している個人客は団体客と比べて宿泊料金の単価が高いためだ」と打ち明ける。確かに昨年11月の15ホテルの全体に占める団体の割合は5・6%と、前年同月の27・9%から大幅に下がった。
ホテル椿山荘東京の1室当たりの客室単価は3万7309円と、前年同月より7078円上昇した。団体の割合は1・2%と、前年同月の35・9%より格段に低く、単価がより高い個人客を取り込んだのが売り上げ増に寄与したのがうかがえる。
ホテルニューオータニのガーデンタワー=2020年10月、東京都千代田区(筆者撮影)
昨年11月にはほかにホテルニューオータニの客室単価も2万8970円と2186円上がり、ザ・プリンスパークタワー東京(港区)も3万1599円と401円上昇した。ホテルニューオータニは団体の割合が前年同月の30・6%から8・6%へ、ザ・プリンスパークタワー東京も24・7%から7・9%へそれぞれ低下した。
昨年11月に稼働率が最も低かったのはホテルグランドパレスの17・9%。ただ、一桁だった昨年9月、京王プラザホテルと並んで最も低かった昨年10月の13・1%からは上昇した。京王プラザホテルの昨年11月の稼働率は18・5%、ハイアットリージェンシー東京は19・3%で、ホテルグランドパレスを含めた3ホテルが2割に届かなかった。
▽「御三家」も大きく改善
昨年11月は「御三家」と呼ばれる名門ホテルでも「Go Toトラベル」の押し上げ効果が目立った。帝国ホテル東京(千代田区)の稼働率は39・3%、オークラ東京(港区)は32・3%、客室単価が前年を上回ったホテルニューオータニは30・2%となり、昨年9月のそれぞれ13・4%、15・7%、17・6%から大きく改善。
これらのホテルからは「特に週末にはレジャー客による比較的高額な1泊8万~10万円の客室や宿泊プランの利用が好調だった。この価格帯だと『Go Toトラベル』のメリットが大きいからだ」という声が聞かれた。中には「新型コロナ禍でずっと自宅に巣ごもりをしていると飽きるので、『たまにはぜいたくをしよう』と泊まりに来た」と話した東京都在住の母親と娘の宿泊者もいたという。
帝国ホテルのロビー=2020年10月、東京都千代田区(筆者撮影)
帝国ホテルの1室当たりの客室単価は3万8897円と前年同月を1582円下回り、オークラ東京は7898円下がったものの5万3331円に達した。オークラ東京は旧本館を建て替えて19年9月に開業したのが高い客室単価に寄与しており、ホテル幹部は「建て替え後のオークラに泊まりたいと思っていた顧客がかなりおり、今年10月以降は『Go Toトラベル』を利用して宿泊する動きが出た」と指摘する。
ホテルオークラの旗艦ホテル「The Okura Tokyo」=2019年9月、東京都港区
オークラ東京を抑えて昨年11月の1室当たり客室単価が最高額だったのは、建て替えて12年に全面開業したパレスホテル東京(千代田区)の5万9387円だった。
▽「Go Toトラベル」一時停止で暗転
新型コロナ禍による旅行者数低迷が直撃し、昨年9月まで「Go Toトラベル」の恩恵を受けられなかった東京のホテル。昨年10月にようやく対象に加わった「Go Toトラベル」が干天の慈雨となったのが内部資料で明らかになった。
しかし、昨年12月28日から「Go Toトラベル」の全国一時停止と、首都圏一都三県の緊急事態宣言発令によって再び暗転した。「Go Toトラベル」に対しては新型コロナの感染拡大の一因になったとの批判もあるが、各ホテルは感染防止策のために入館者に対する体温測定、手指の消毒の徹底、レストランの収容人数の削減といった施策で細心の注意を払ってきたのは確かだ。
大手ホテル幹部は「『Go Toトラベル』に対する批判があるのは承知しているが、私たちホテル業界が事業を続けるのに大きな効果があり、そのおかげで雇用も守ってこられた。一時停止で客室稼働率は再び下がっており、2020年度の決算は多額の赤字は避けられない」と厳しい事情を吐露する。赤羽一嘉国土交通相は今月7日、11日までとしていた「Go Toトラベル」の停止期間を2月7日まで延長すると発表した。政府は新型コロナ感染者数を抑えながらホテル業界を含めた旅行関連業界の業績悪化をできるだけ食い止めるため、どのように針路を取るのか難しい判断を迫られている。
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「安倍に菅あり、菅に菅なし」 加藤官房長官という“失敗人事”
菅義偉首相から不可解な失言が飛び出したのは1月13日の記者会見だった。「国民皆保険。多くの皆さんがその診察を受けられる今の仕組みを続ける中で、コロナがあって、そうしたことも含めてもう一度検証していく必要がある。それによって必要であれば、そこは改正する」
国民皆保険制度の見直しに踏み込んだような発言はネットで即炎上。翌14日、加藤勝信官房長官(65)は「制度の根幹を守る中でどう考えるのか。よく検討していきたいとおっしゃられた」とボスの火消しに追われた。だが普段、官房長官としての存在感がないともっぱらだ。
旧姓は室崎。祖父は島根県議会議長を務め、“参院のドン”青木幹雄元官房長官と親しかった。父親は日野自動車の副社長を務めるなど経済界で活躍。東大から大蔵省へと進んだ勝信氏は加藤六月元農相に秘書官として仕え、その後、長女と婚約。だが破談となったため次女と結婚し、加藤家に婿入りした。政治部記者は「そうまでして政治の道に執着した割に、今も官僚臭さが抜けない」と嘆く。
差し入れに見えた加藤氏の政治センス
政治家らしからぬ逸話は枚挙に暇がない。第二次安倍政権発足時に官房副長官に就いた際、当時の安倍晋三首相や菅官房長官から「お金を使って若手議員らと飲みに行って人脈を広げろ」と助言されたが腰は重かった。厚労相だった2018年の通常国会直後には所属する竹下派のライバル、茂木敏充経済再生相(当時)が、派の実力者だった吉田博美・党参院幹事長(同)に法案成立のお礼に、大量のあんパンを持参。吉田氏が「加藤さんは何も持って来なかった。総理になれないな」と笑っていると、近くにいた加藤氏は頭をかいて謝罪。その後、銀座で高級アイスを大量に買い、慌てて差し入れた様に茂木氏との政治センスの違いを周囲は感じ取った。若手議員との勉強会では「この項目に、なぜ金額が入っていないんだ」と財務省主計官のような指摘を連発する。
「菅氏は、2012年の安倍氏の再登板の際に汗をかいた加藤氏を信頼していたのだが、官房長官抜擢は失敗だった。批判の盾にもなれず調整能力もない」(政治部デスク)。政界では「安倍に菅あり、菅に菅なし」と言われるが、まさに加藤氏の力量不足を指摘している。
加藤氏のネット上でのあだ名は「ライス加藤」。厚労相時代、質問をはぐらかす様子を、「朝ご飯を食べたか」という質問に「(パンは食べたが)ご飯は食べていない」と答える「ご飯論法」に例えられたのがきっかけだ。内閣支持率が下げ止まらぬ中、「ライス加藤」のままでは通常国会を乗り切れまい。菅氏とともに加藤氏も正念場を迎えている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年1月28日号)
女性患者を洗脳、性暴力を加えて自死に追いやる…法律で裁かれない“鬼畜医師”の大罪
《もう一回、病院に通い始めたころからやり直したい》
2014年12月。鹿児島県の倉岡美紀さん(仮名・享年27)はそうメールに記し、自ら命を絶った。送信先は通院先の精神科クリニックの男性医師のY(当時・40代前半)。
Yは医師としての立場を利用し治療と称し、向精神薬を悪用。美紀さんの心身を深く傷つけ、死に追いやった。
遺族は性暴力事件としてYの裁きを望んだが被害届は受理されなかった。
特に精神科を受診している場合や、精神、知的障がい者は性被害を訴えても、諦めるように促されたり、取り合ってもらえないこともある。そこで障がいの特性を踏まえた刑法改正や相談支援態勢の必要などを訴える声も高まる。
美紀さんの両親は実名を公表し、Yの医師免許剥奪、性暴力で罰するための法整備などを求めて訴えを続ける。
「美紀はおしゃれとアリアナ・グランデが大好きな女の子でした……」
そう話すのは母親の祐子さん。美紀さんは穏やかな性格で家族や友人とも仲よく生活していた、ごく普通の女性。
同年3月、Yのクリニックを受診したことで一変する。
当時の美紀さんは、昼は市役所の臨時職員、夜はそば屋でアルバイトをしていた。人間関係に悩みを抱えており、「元気になって頑張って働きたい」と精神科クリニックでの治療を決めた。
適応障害と診断され、大量の薬を処方された。実はターゲットにされていたのだ。
「医師は診察で患者の生育歴や家族、友人との関係も全部聞けます。その中でYは根がまじめで平和主義な女性を中心に自分の話術で騙せそうかを見極め、手を出していった」(祐子さん)
服用を始めて2週間。美紀さんの具合はみるみる悪化していった。昼夜逆転した生活、食事も満足にとれない。仕事に行けなくなり、いつもボーッとしていて、寝ているか起きているか、わからないような状態に。家族は心配してYに相談すると、
「“大丈夫です。治療は進んでいます”と言われました。私たち夫婦も娘の病気を理解するためにカウンセリングを受けたい、とお願いすると“僕と美紀さんがもっと仲よくなったらね”と……」(同)
服用から1か月。心身がますます不安定になった美紀さんのリストカットが始まった。
「娘は抗うつ剤、抗精神病薬、睡眠薬を飲んでいました。でも私たちは薬の意味もわからなくて……。薬を飲んでいるのにリストカットをする。だから薬を飲まなかったらもっと悪くなっていたのかな、と思い、“ちゃんと薬飲んでるの?”と娘に尋ねることもありました……精神医療に無知な私が馬鹿だったんです」
後悔を口にする祐子さん。これが手口だった。
関係者によるとYは患者に当たり障りのない病名をつけ、治療にもならない薬を処方していたという。だが、違法薬物ではない。“治療”と言って処方されれば患者は疑わずに服用する。そこが医師による加害の恐ろしいところなのだ。
Yは投薬でリストカットするほどに精神を落とし、次に“飴”を与え、気分を高めさせた。精神状態が不安定な状況を患者に作り出していた。
「気分が落ち込んでいたら気分が上がる薬を出す。そうすれば体調はよくなる。ハイテンションが続けば落ち着く薬を出す。先生の言ったとおりに薬を飲むと治った、と思うわけですよ」(同)
父親の久明さんも、
「テンションが高いとき、夜中にカラオケに行こう、とせがまれたこともあります」
塞ぎ込んでいた美紀さんが活動的になれば当然、家族は「元気になってきた」と思う。そんな状況が繰り返され、「Yはすごい先生だ」と美紀さんは洗脳されていく。
次にYは自分に依存させるように仕向けていった。
「とにかく口がうまい。“嫌われている”“医師を辞めようと思う”と言って同情を引き、女性たちの心に入り込んで懐柔していく」(祐子さん)
そして家族と対立させ、親子関係を崩壊させた。Yは美紀さんに「体調が悪くなったのは母親が悪い」「父親はこんなことを言った」などあることないことを吹き込んだ。
「娘と妻、妻と私の喧嘩が絶えませんでした」(久明さん)
さらには個人的なメールのやりとりが始まったことで状況は一気に悪化する。Yは性的な内容のメールを送り、関係を迫るようにもなった。
’14年7月。過剰な投薬で正常な判断ができなくなり、家族にも不信感を持っていた美紀さん。「治療するには家族と100キロ離れないとダメ」とYに言われるがまま、実家から遠く離れた鹿児島市内でひとり暮らしを始めた。
家族とも離れさせることに成功したYは『合意』を取りつけ、性的関係を持った。
だが、Yには妻子がいた。不倫が判明すると、傷ついた美紀さんの症状はさらに悪化。ショックで自殺未遂をした。幸いなことに一命を取り留めたがYは謝罪するでもなく、侮辱するメールを送ってきたのだ。
後日、既婚者だったことを黙っていたことをとがめるとYは投薬を強制的に中断した。それは殺人にも等しい非常に危険で恐ろしい行為。医師が知らぬはずはない。
精神医療現場で起きている人権侵害問題に詳しい『市民の人権擁護の会 日本支部』の米田倫康さんが説明する。
「離脱症状、禁断症状といわれる身体的、精神的な苦痛を伴う症状が現れ、ときには死に至らしめます」
美紀さんも離脱症状に苦しんだ。遺品の中にあったメモには《最悪の時間を過ごす。禁断症状との戦い》という言葉や心身の不調、薬を渇望するさまが書き残されていた。
これほどの仕打ちを受けながらもYから離れられなかった美紀さん。自分が悪いと思い込まされ、拒絶に脅し。一方でやさしくもされる。性的な関係と大量の薬による精神の錯乱。依存と後悔、孤独。
美紀さんはYに冒頭のメールを送って自ら命を絶った。
警察は事件性はないと判断したが、祐子さんは「おかしい」と訴えた。遺品のメールやメモなどから医師のYが己の立場を悪用し、患者を性的に搾取、自殺に追い込んだことがわかったからだ。だが、判断は変わらなかった。
祐子さんは独自で事件の調査を続けた。するとYの被害者が次々に名乗り出た。
患者、付き添いの家族、クリニックのスタッフ、高齢者施設の看護師……。Yは気に入った女性には片っ端から声をかけ、美紀さん同様、薬漬けにし、巧妙な話術で依存させ、性的な関係を迫った。
美紀さん含め2人が自殺。30人以上の女性が性的被害を受けていたことがわかった。
診察室でキスや胸を触られたり、性行為をさせられた女性。“拒否したら治療は続けない”“通院している家族に迷惑がかかる”と脅され、関係を持たされた女性もいた。
Yは美紀さんの死まで利用。「患者が亡くなり、つらい」と涙ながらに訴え、女性の気を引こうとしていたのだ。
何十人もの人生が狂い、命を奪われ、家族が壊れた。
関係者によるとYは県内のクリニックを閉じ、妻子と別れ関西に移り住んだ。そこでも同様の手口で加害を繰り返していたという。
だが、現状では処罰する手段はない。服薬や性行為に『合意』があるとみなされれば、罪には問えないからだ。
「私たちは精神科医が地位や関係性を利用していることを問題視しています」
前出の米田さんは訴える。治療中の主治医と患者が恋愛関係になることは本来、医師の倫理的にありえないことだという。特に精神科や心療内科など、弱ったときに心のうちを打ち明ける分野は危うい。
患者が医師に恋愛感情のような気持ちを抱くことがあるからだ。これを『陽性転移』といい、誰でも起こりうる。精神科医はその前提で患者に接しないといけない。
もうひとつの問題はそれにつけ込む一部の悪質な医師が野放しにされていること。
「治療を装った体(てい)のいい性の搾取、Yのようなケースはかなりあると見られます。しかし、日本の行政はよほどの健康被害がない限り、医療行為の内容に口出しできる権限がない。逸脱するような診察をしていても行政や法律では取り締まれない」(米田さん)
本来、悪質な医師たちも医師法では処分することができるはずだ。
「医師法の第7条では、罰金以上の刑が確定した場合だけでなく医師としての品位を損なう行為をしたときには医師免許の取り消しなどの行政処分の対象となることが示されています」(同)
■医師法第7条 医師が第4条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。 一 戒告 二 3年以内の医業の停止 三 免許の取消し
患者への不適切な行為が品位を損なう行為でなければ何が品位を損なう行為なのか。
結局Yを裁いたのは向精神薬を不正に譲渡した麻薬取締法違反(’18年1月逮捕・不起訴)。虚偽の診療報酬明細を提出した不正請求・詐欺罪(共に再逮捕)だった。
鹿児島地裁は’19年3月、詐欺罪で懲役2年、執行猶予4年を言い渡した。Yは控訴したが棄却。最高裁に上告するも裁判所はそれを退け、昨年2月、有罪が確定した。
Yは被害者たちに何を思うのか。入手した電話番号にかけたがつながらなかった。
実は精神障がいに限らず、障がいのある人は性暴力の被害を受けやすい。
障がい児・者への性暴力撲滅を目指すNPO法人『しあわせなみだ』理事長の中野宏美さんは現状を訴える。
「医師や支援者ら顔見知りによる犯行も多い。ただ、被害者は加害者の接近が性行為を目的としていることや、その行為は性暴力だと気づけないこともある。何より、被害に気づいて訴えても周囲に信じてもらえない、障がいゆえの妄想だととらえられてしまうことも多い」
加害者は極めて計画的に犯行に及ぶ。狙うのは周囲に訴えなさそうな、おとなしそうなタイプ。恋愛関係と思わせ、性行為をするための信頼関係を構築する。
美紀さんのように転居させ周囲から切り離すこともある。証拠が残らない、目撃されないような状況に持っていく。身体障がい者はケアの中で、本来不要な身体接触の被害を受けることもある。
「障がいによっては誘導されやすく、司法が求める“証言の信ぴょう性”の担保が難しい場合もあります」(中野さん)
性暴力被害を法廷で証言することはただでさえつらい。精神的に不調だった女性には耐えられない。だから立件を躊躇してしまう被害者も多い。
前出の久明さんは訴える。
「Yの報復を恐れ、泣き寝入りを強いられている被害者は少なくありません!」
祐子さんも声を震わせ、
「私たちが本当に望むのはYが性犯罪者として裁かれることです。もう娘はいません。でも、新たな被害者を出さないためにもYを精神医療現場へ復帰させるわけにはいかない。そして治療という手段で性暴力を働いた医師が2度と医療現場に戻ることができないように法整備がされることを願い、声を上げ続けます」
被爆者ら、日本の不参加「残念に思う」=核兵器禁止条約発効
被爆者の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)は、発効した核兵器禁止条約に日本が参加しないことを批判する。広島市で被爆し、被団協事務局次長を務める児玉三智子さん(82)は「日本は背を向けたまま。残念に思う」と述べた上で、日本同様、条約を批准していない米国のバイデン大統領にも条約への参加を求めた。
21日に東京都内で記者会見した児玉さんは「(条約発効を)亡くなった多くの被爆者に報告し、喜び合いたい」と強調。長崎市で被爆した事務局次長の和田征子さん(77)は「核兵器による力は正義ではない」と指摘し、「条約へ参加することで、日本は被爆国としての強いメッセージを発信できると思う」と語った。
同席した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲国際運営委員(52)は「発効により核兵器への政治的、経済的、社会的な圧力が生じる」と意義を語り、「参加国が100カ国に到達するよう活動していきたい」と意気込んだ。
[時事通信社]
河井案里被告、主張認められず終始うつむき…克行被告公判にも影響
参院選広島選挙区をめぐる大規模買収事件は1つの区切りを迎えた。21日に東京地裁で開かれた判決公判で、一部を除いて「買収」の成立を認める有罪判決を言い渡された参院議員、河井案里被告(47)。「当選祝いだった」などと現金の趣旨を否定した自らの主張とは相いれない判決が読み上げられている間、終始うつむき加減で、耳を傾けた。
午後3時ごろ、案里被告は弁護人に挟まれて座り、傍聴人の入廷を待った。上下黒のスーツ姿で、左胸には議員バッジがつけられていた。裁判長に促されると、ゆっくりした足取りで証言台の前に立った。
「被告人を懲役1年4月に処する」「5年間その刑の執行を猶予する」
高橋康明裁判長が主文を読み上げる間、案里被告は体の前で手を組み、落ち着いた様子だった。
主な争点は提供された現金の趣旨だった。買収の成立を認めた4人について、地裁は、案里被告が参院選公示日の約3カ月前から人目につかない状況で、支援を期待できる4議員に対して現金を提供していたなどと指摘。「選挙情勢や授受の状況、時期などから選挙買収だった」と結論付けた。
無罪となったのは令和元年6月、広島県江田島市の胡子(えびす)雅信市議(50)に渡ったとされる10万円だ。判決では、夫で元法相の衆院議員、克行被告(57)の指示に基づき案里被告の元公設秘書が渡したとして、案里被告の共謀は成立しないと認定された。
検察側は、元秘書と案里被告が電話でやりとりしていることなどから、現金を渡すことを知っていたなどと訴えたが、地裁は「積極的な関与や強い影響は認められない」として、無罪とした。
買収と認められた4人のうち、現金の授受が参院選の公示日から最も離れているのは、約3カ月前の岡崎哲夫県議(65)に対する30万円だった。一般的に選挙運動期間から離れるほど、選挙目的と立証するのは難しくなる。
ある検察OBは「3カ月以上前の現金授与を選挙目的の買収と認定されたことはこれまでなかったのではないか」とした上で「同時期に多額の配布をしている克行被告の公判にも大きく影響する」と指摘した。
日本のEEZで韓国漁船が無許可操業、船長を現行犯逮捕…奄美大島沖
第10管区海上保安本部は21日、鹿児島県・奄美大島西方約300キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で操業したとして、韓国のはえ縄漁船の船長で韓国籍のキム・スフン容疑者(47)を漁業主権法違反(無許可操業)容疑で現行犯逮捕した。
発表によると、この漁船は「第808チョンナム」(44トン、9人乗り組み)で、キム容疑者は21日午後3時20分頃、EEZ内で日本政府の許可を受けずに操業した疑い。海上保安庁の巡視船が停止を求めたところ、応じたという。
変異種確認で静岡県専門家会議「若者に対策周知を」
静岡県内での新型コロナウイルス変異種感染確認を受け、医師らで構成される静岡県感染症対策専門家会議(座長=倉井華子県立静岡がんセンター感染症内科部長)が20日夜に開かれ、感染経路は従来種と変わらないことから、感染防止対策はこれまで通りでよいとの見解でまとまった。ただ、若い世代が感染しやすいとのデータもあるとして「小中学生を含む若い世代に対策を徹底する必要がある」などと訴える声が上がった。
変異種は感染力が高く、飛沫などから排出されるウイルス量が多いとの指摘もあり、マスクの着用はより入念に必要だとされた。会議は近く、専門家としての県民へのメッセージを発信することにしている。
若い世代への情報発信には無料通信アプリ「LINE(ライン)」などよく利用される媒体が効果的だとし、県がコロナ関連の情報発信ツールとして昨年開設したLINE公式アカウントを「もっと周知してほしい」との要望があった。
医療提供体制に関しては、新型コロナ対応病床の県東部での逼迫(ひっぱく)が顕著と指摘。当面の措置として、感染力がなくなった後も入院が必要な患者は別の病院が受け入れ、病床回転率を上げる対応が提案された。2割程度におさまっている軽症者用宿泊療養施設の利用率を高める意見も出た。
感染者急拡大で業務増 休日返上で対応に追われる保健所に危機感
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い福岡県など7府県に緊急事態宣言が再発令されて1週間が過ぎた。市民からの健康相談や入院先などの調整に対応する保健所は、感染の急拡大で業務が増えていることに加え、療養先が決まらないなどで自宅にいる感染者の健康確認も新たにのしかかり、多忙を極めている。
「何時くらいだったら検査に行けますか。調整します」。19日午後、福岡県糸島市の糸島保健福祉事務所では、職員らが発熱などの症状がある市民の電話対応に追われていた。市民や医療機関などから電話はひっきりなしにかかってくる。「今日はお昼ご飯を食べる時間があったのでまだいい方です」。保健衛生課の松尾寿子課長が苦笑した。
13日に国の緊急事態宣言の対象地域に追加された福岡県では、2020年12月から増え始めた感染者が今年に入って急拡大し、1月6日からは4日連続で300人超を記録。同16日には過去最多の411人を数えた。
感染者が多く出ている福岡市が通勤通学圏の糸島市も例外ではなく、20年10、11月は20~30件だった1日当たりの相談件数が、最近1週間は60~70件と急増。保健福祉事務所では、看護師や保健師資格を持つ臨時の相談員や他の部署からの応援を加えた主に10人前後で新型コロナの対応に当たっているが、年末年始は交代で1、2日休んだ程度で休日返上の体制が続く。
また福岡県では、入院先や宿泊療養施設が決まらないなどで自宅待機する感染者が20日現在、過去最多の2836人に上った。病院や施設につなげれば感染者を医療従事者らに引き継げるが、自宅の場合は引き続き保健所が感染者の健康確認をすることになる。
県がん感染症疾病対策課によると、自宅にいる感染者には保健所が1日1回、体調を確認し、症状が悪化すれば県の調整本部に連絡し、入院調整する流れになっている。全国で自宅待機中の感染者が死亡するケースも相次いでいる。佐野正課長は「自宅で死亡した事例は県内ではない。軽症でも高齢者や基礎疾患がある人は優先的に宿泊療養のホテルに入れるようにしている。しかし、ここにきてホテルを確保できず滞っているのが課題だ」と話す。
緊急事態宣言の対象地域ではない自治体でも、保健所は対応に追われている。
宮崎県は20年12月末時点で19人だった自宅にいる感染者が1月17日発表時点で266人と急増。県内の保健所では、1人暮らしの高齢者を優先して毎日午前中に電話を入れ、体調の確認をしたうえで医師の往診を勧めたり、入院調整したりしている。県福祉保健部は「昨年末からの『感染爆発』で自宅にいる感染者が一時10倍以上に急増し、保健所の業務が増えている」と危機感を募らせている。【谷由美子、吉住遊、上入来尚】
太宰府主婦暴行死 元暴力団員、死体遺棄は無罪 恐喝未遂は有罪 福岡地裁判決
福岡県太宰府市で2019年10月に主婦の高畑瑠美さん(当時36歳)の遺体が見つかった事件を巡り、死体遺棄と恐喝未遂の罪に問われた同県筑後市の元暴力団員、田中政樹被告(47)に、福岡地裁は21日、死体遺棄罪について無罪を言い渡した。高畑さんの夫への恐喝未遂罪は有罪とし、懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年6月)とした。
田中被告は、19年10月20日朝、山本美幸被告(42)=傷害致死罪などで起訴=らと共謀し、高畑さんの遺体を車に乗せて福岡市内から太宰府市内の駐車場に運んだほか、19年8~9月ごろには、高畑さんの夫裕(ゆたか)さん(35)から現金を脅し取ろうとしたとして起訴された。田中被告は遺体を乗せた車に乗っておらず、山本被告から電話で相談を受けただけで死体遺棄罪が成立するかが争点だった。
足立勉裁判長は、高畑さんは車の後部座席に自ら乗り、そのまま死亡したと指摘。車内で遺体を移動させたり物をかぶせたりしていないことから「隠匿するための積極的な動作は何らしていない」として死体遺棄罪自体が成立しないと判断し、田中被告の共謀も認めなかった。裕さんへの恐喝未遂罪は「暴力団員を装って強烈な脅迫文言を告げており、重要な役割を果たした」と非難した。
死体遺棄罪を巡って、弁護側は「山本被告らは車の後部座席に遺体を乗せて走行しただけで、隠す意図はなかった」と主張。山本被告らとの共謀についても否定していた。
福岡地検は「判決内容を詳細に検討し、上級庁とも協議の上、適切に対応する」とのコメントを出した。【一宮俊介】
女子高生60%超が「コロナワクチン受けたくない」? 物議の記事を「不適切と判断」…配信元のオリコンが削除
新型コロナウイルスのワクチンについて、女子高生の6割超が「受けたくない」としたアンケート結果を紹介したウェブメディア「オリコンニュース」の配信記事が、いたずらに不安を煽らないでと専門家らから批判を受け、その後削除された。
削除した理由について、オリコン側は、「内容が不適切だった」と説明している。
産婦人科医「充分な情報提供もなしに取ったアンケートをニュースに」
「受けたくない 怖い」。2021年1月20日配信の記事には、こう訴える高校1年の女子生徒の顔写真も載っていた。
タイトルは、「新型コロナワクチン、6割超『受けたくない』 女子高生100人にアンケート」。記事では、政府が2月下旬までに接種を始めるとされ、河野太郎氏をワクチン相に任命した状況を受けて、100人にアンケート調査を行ったとした。
調査は、女子高生のマーケティング事業をしている広告代理店の協力を受けた。その結果、「早期に接種を受けたいですか?」との質問に対し、34人が「受けたい」、66人が「受けたくない」と答えた。接種を受けたい理由については、家族や友達にうつしたくないという回答が多かった。
一方、受けたくないが6割超に達し、理由について、副作用などの安全性に不安があるといったものが多かった。記事では、厚労省が副作用の例をサイト上で紹介しているとし、「政府が臨床試験を重ね、安全性を確保してから接種を開始することは間違いない」と指摘はしていた。
ところが、ツイッター上などでは、「正しい情報を報じず、不安をあおるだけ」「ワクチンの有用性正しく広めるのがマスコミの使命では?」との疑問も出て、産婦人科医の宋美玄さんは20日、こう投稿した。
「チェック体制の不備で掲載されてしまった」
一方で、ワクチンの効果や副作用について慎重に見極めるよう訴える専門家もおり、オリコンニュースの記事について、「普通に不安ある」「副作用が怖いってのはまっとうな意見だ」などと理解を示す向きもあった。
最近、週刊誌などでは、医師の接種希望が少ないようなタイトルの記事を載せたり、ワクチンの感染予防効果が疑問視されていると指摘したりして、専門家らの間でも論議になっている。
今回の記事について、ニュース配信をしているグループ会社のオリコンNewS社は1月21日、J-CASTニュースの取材に対し、次のようにコメントした。
記事は、大手新聞サイトなどにも配信されていたが、毎日新聞の公式ツイッターは1月21日、配信元のオリコン側は内容が不適切と判断して記事を削除したとして、「掲載にあたり内容の確認が不十分でした」と投稿した。記事を取り上げたツイートも削除するとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)