13日午前3時50分頃、沖縄県・宮古島の南東757キロ・メートル沖合で、パナマ船籍の貨物船「YONG FENG」(乗組員22人、1万3880トン)から「浸水が発生し、沈没の恐れがある」と救助を要請する通報があった。けが人は確認されていないという。
第11管区海上保安本部の発表によると、同貨物船には、中国人14人、バングラデシュ人8人が乗っている。那覇航空基地の航空機が現場で監視警戒を行うとともに、那覇海上保安部の巡視船も対応に当たっている。
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競輪場「20万」的中券にミスで「200万」払い戻す→無事返還 返さなければいけないの?
静岡競輪場で20万200円の的中券に対し、200万2千円を払い戻してしまった問題で、払い戻しを受けた男性が1月9日、警察署に申し出たのち、差額の180万1800円を静岡市に返還した。市は、過払いについて1月8日に公表していた。
静岡新聞などの報道によれば、2020年12月31日、別の競輪場で開催された前日のレースの的中券について払い戻す際にミスが発生。現金を用意する人に手渡す伝票にケタを一つ間違えて手書きしたという。その結果、本来の10倍にあたる配当金を払い戻していた。
男性が差額を返還したことで、公金で穴埋めするつもりだったという市側としても事なきを得たというところだろう。しかし、仮に任意で返還されなかった場合、市側は泣き寝入りするしかなかったのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。
差額分は法的にどのような扱いなのでしょうか。
民法は、法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受けた場合などについて、「その利益の存する限度」において、返還する義務を負うことを定めています(703条)。
さらに、利益を受けた人に「悪意」があった場合は、その受けた利益に利息をつけて返還する義務を負うことも定めています(704条)。ここでいう「悪意」とは、法律上の原因がないことを知っていることです。
今回のケースで、仮に差額が返還されなかった場合どうなるのでしょうか。
差額の「180万1800円」については、受け取る側にとって根拠のない払い戻しです。法律上の原因がない利益といえますので、市側は法的に返還を求めることができます。
ただし、法律上の原因がないことを知らずに受け取った際は、「その利益の存する限度」で返還することになります。
たとえば、遊興費として費消した場合には、その部分については返還義務を負いませんが、生活費として費消した場合には、本来の自分の財産は費消されずに残っているため、なお返還義務を負うことになります。
【取材協力弁護士】田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所事務所URL:http://www.uc-law.jp
ホットケーキやスパゲティ「品切れさせない」 緊急事態宣言で京都のスーパーなど在庫確保へ
政府が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を京都府など関西3府県に再発令する方針を決めたことを踏まえ、京都や滋賀のスーパーやドラッグストアは、食品や衛生用品の在庫の十分な確保に努めている。昨春の宣言時と異なり、今回は学校の一斉休校は求められておらず、消費者による買いだめは限定的とみられる。各社は「在庫は豊富にあるので安心して買い物を」と呼び掛ける。
スーパーマツモト(京都府亀岡市)では、緊急事態宣言が東京など1都3県に再発令された8日ごろから、買いだめの動きが一部で見られるが、在庫は十分に発注しているという。
昨春の発令時は、スパゲティやホットケーキなどの特定品目に需要が集中して品薄になったが、松本隆文社長は「今回は昨春の経験からメーカーも大量に生産している。品切れはない」と語る。
平和堂や京都生活協同組合(京都市南区)、イオンリテール、ライフコーポレーションなども、カップ麺や冷凍食品などを中心に在庫を多めに準備する。平和堂の平松正嗣社長は「昨年の緊急事態宣言を経験した消費者側も、今回はそこまでの買いだめはしないだろう」とみる。
ドラッグストアも同様だ。繰り返し使える布マスクが市場に普及していることもあり、フジタ薬局(伏見区)の藤田哲社長は「今回は品薄にはならない」と話す。
コロナ分科会経済専門家・小林慶一郎氏 政府の伝え方に「8時まではいいみたいな現象をつくってしまった」
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーで、経済が専門の東京財団政策研究所・小林慶一郎研究主幹が13日、日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜前8・00)に出演。急速な新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることに言及した。
国内では12日に新たに4539人の新型コロナウイルス感染者が確認された。東京970人、神奈川906人、千葉415人など。徳島、佐賀は過去最多を更新した。厚生労働省によると、重症者は前日から17人増え、881人で最多を更新した。死者は大阪10人、愛知と兵庫で各9人など計64人。
小林氏は「メッセージに伝え方が非常にまずい状態になっている」と指摘し、「緊急事態宣言を1都3県に出した時も外出の自粛、移動の自粛っていう言葉がふわっと書いてあるんですが、政府の方針の中には誰かの家に集まって家族以外の大人数で会食をするというのもやめて下さいというのが意味としては入っている。そして県境をまたいだ移動も自粛して下さいというのも意味としては入っている」と説明。さらに「これは政府の諮問委員会の場で私自身も質問して確認している。政府もそういう方針だというのは分かっているんです。だからそもそも8時以降の外出ではなく昼間も朝も外出は自粛して下さい、これは当然ですと。さらに特に8時以降は徹底して下さいっていうのがもともとのメッセージだったんです」と力を込め、「夜8時以降の外出自粛徹底ってことだけが取り上げられて、それ以外は、8時まではいいみたいな現象をつくってしまった。これは非常に問題だった」と自身の見解を述べた。
「ステージ4」相次ぐ九州・沖縄、熊本も「要請検討すべき状況」…宮崎は独自に発令
新型コロナウイルスの感染拡大で、福岡県が13日に緊急事態宣言の対象区域に追加される見通しとなった。九州・沖縄のその他の県でも感染状況を示す複数の指標が最も深刻な「ステージ4」(爆発的な感染拡大)に達しており、緊迫した状況が続いている。
「いずれ病床逼迫」
政府が緊急事態宣言の対象区域に福岡県を追加する方針を固めたことを受け、県庁では12日夜、職員らが感染症対策本部に詰め、県の対策のたたき台となる資料の作成業務などの対応に追われていた。
県内の感染者数は今月6日から300人を超え、7日の388人をピークに4日間300人台が続いた。県の幹部は「今の感染状況だと、いずれは病床が
逼迫
( ひっぱく ) するのは目に見えていた。宣言が出されれば、政府の方針に沿った対策をとることになるだろう」と話した。
発令の判断材料
指標は政府の分科会が示したもので、感染ピーク時に確保を想定する病床の使用率やPCR検査の陽性率、感染経路が不明な感染者の割合など七つ。感染状況が最も深刻な「ステージ4」は、緊急事態宣言の発令などの対応を検討する段階とされ、7日の1都3県への発令でも判断材料の一つとなった。
読売新聞は12日、九州・山口・沖縄の9県に対し、把握する最新の数値について尋ねた。その結果、宣言が発令される見通しの福岡県に加え、熊本、沖縄両県は五つの指標で、宮崎県は四つの指標でステージ4に達していた。全入院者の病床使用率では、熊本県62・4%、福岡県57・4%、沖縄県54・4%と3県がステージ4の水準となる50%を超えたほか、他の6県もすべて「ステージ3」(感染急増)に達していた。
北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長は「認知症など患者の状態によっては、介護などで人手がかかる。ベッドを確保したといっても、満床まで受け入れるのは難しい」と指摘。同病院ではコロナ専用病床の9割が埋まる日もあり、「現場の感覚では、実際の病床使用率はもっと高い」と話す。
独自の宣言
福岡県同様、五つの指標がステージ4の熊本県は、蒲島郁夫知事が11日の対策本部会議で「国に緊急事態宣言の要請も検討すべき状況だ」と述べ、隣県の福岡、宮崎両県と意見交換しながら検討を進める考えを示していた。
県内全域を対象に独自の緊急事態宣言を7日に発令した宮崎県では、9日から22日まで外出自粛や時差出勤など5項目について県民に協力を要請。初めての平日となった12日には、宮崎銀行(宮崎市)が本店と隣接する別館の会議室に職場を分散するなど、企業や学校などで感染防止の取り組みが強化された。
県の担当者は「県独自の緊急事態宣言を発して県民に協力をお願いしており、まずはこの様子を見守りたい」としながらも、「(要請について)検討の余地はあると思っている」とした。
経済へ影響は
一方で、緊急事態宣言の発令による経済への影響を指摘する声もある。九州経済調査協会(福岡市)の松嶋慶祐・主任研究員は「発令されれば、飲食店以外の業種を含めて全般的に消費マインドは落ち込む。ビジネス客の減少で低迷が続く宿泊業なども、さらに影響を受けるだろう」としている。
安倍晋三氏は「米国憲政史上最悪の大統領を支えた総理大臣」として記憶される
立岩陽一郎【ファクトチェック・ニッポン!】
1月6日にアメリカで起きたことは憲政史上の汚点として長く歴史に刻まれることになる。この日、議会では次期大統領と次期副大統領を確定する最後の手続きが議員によって行われていた。そこにトランプ支持者が入り口を壊してなだれ込み、手続きが中断された。
そのきっかけをつくったのが、トランプ大統領が同日ホワイトハウス前で行った演説であることは動画で残っている。「ペンシルベニア通りを進め」とたきつける大統領。その先にあるのは議会だ。そして議会になだれ込むトランプ支持者。この状況を見ていた多くの人が、目の前で起きている事実に言葉を失ったはずだ。CNNテレビの中継でその推移を日本時間の早朝から見ていた私が最も驚かされたのは、騒動が既に全米で報じられても静観し続けた大統領だった。
結局、トランプ大統領が言葉を発したのは、バイデン氏が緊急会見を開き、「大統領は出てきて発言すべきだ」と悲痛な声で呼びかけた後だった。ホワイトハウス前で収録されたと思われる動画がTwitterに掲載された。しかしその内容に再び驚かされた。「家に帰る時だ」と乱入者をねぎらい、「君らを愛している」とまで言った。警察官1人を含む5人が死亡したことが明らかになった今、その動画は削除されているが、その無責任な対応という事実は削除できない。
この事態に閣僚が次々に辞任。CNNは、共和党幹部の中で大統領は就任式前に辞任すべきとの考えが強まっていると報じている。トランプ大統領は、「議会に乱入したデモンストレーターはこの国の民主主義を汚した。暴力と破壊に関わった人々はアメリカを代表していない。法律を破った者は罰せられる」との動画を急きょ公表したが、時既に遅し。下院はこの記事が出る時には大統領弾劾の手続きに入っている可能性がある。この大統領にとって2度目の弾劾手続きとなる。
20年11月3日の選挙から2カ月余り経って初めて敗北を認めた大統領は、バイデン氏の大統領就任式に出ないことを公表。しかし弾劾されれば、そもそも式に招待されないだろう。
この一連の騒動を見ていて、私は一人の日本人のことを考えずにはいられなかった。安倍晋三氏。前総理大臣だ。主要国の首脳がその就任当初からトランプ大統領との距離の取り方に苦慮する中、迷うことなく大統領のイエスマンとなった。その異様とも言える追随ぶりは突出していた。この大統領が民主主義も国際政治も理解していないことは、その言動から明らかだったが、安倍氏は最大の支持者となり、アメリカのメディアからもそう見られている。
それは「外交の安倍」の象徴として扱われ、自民党はそれを強固な日米関係の基礎として誇ってきた。「各国がうらやましがっている」との発言もあった。もちろん、菅総理もそう評価してきた。
今、それはアメリカ憲政史上最悪の大統領を支えたのは日本の総理大臣だったとして記録され、記憶されることになった。あらためて菅総理と安倍氏に問うべきだ。これは日本にとって良いことだったのか?
※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
[email protected]
(立岩陽一郎/ジャーナリスト)
39歳美人産業医が自宅を放火…リフォーム直後に犯行の不可解
「自分でガソリンをまいて火をつけた」
美人産業医はこう供述しているというが、リフォームを終えたばかりの自宅に自ら火を放った動機は謎だらけだ。
自身が所有する空き家に火をつけたとして、栃木県下野市の医師、鈴木瑞穂容疑者(39)が7日、非現住建造物等放火の疑いで県警小山署に逮捕された。
3日午前5時ごろ、鈴木容疑者は1階南側のリビングにガソリンをまき、火をつけた。不可解なのはその後の行動だ。わざわざご丁寧にも玄関のカギをかけ、その場から立ち去った。火は約2時間半後に消し止められた。鈴木容疑者は昨年12月に築13年の中古住宅を購入。年末の12月30日にリフォームを終え、31日から空き家になっていた。
「家の所有者が鈴木だと分かり、当日、警察が連絡を取ったが、所在が分からなかった。当初は容疑を否認していたが、近所の防犯カメラに犯行時、鈴木の姿が写っていたことから、容疑を認めました。右手や足に、やけどを負っているため、本格的な調べには時間がかかりそうです。購入した自宅は、鈴木と自らが経営する『みずほ産業医事務所』の共有名義になっています」(捜査事情通)
■一流企業の専属産業医
事務所のHPによると、鈴木容疑者は東京農業大バイオサイエンス学科卒後、米留学を経て滋賀医科大医学部に学士編入。自治医科大などに勤務後、2016年、みずほ産業医事務所を設立。山崎製パン、テンプスタッフで専属産業医、本田技研工業では非常勤産業医を勤めている。
近隣住民がこう言う。
「出火当時、『(鈴木の家には)人がいないのになんで火が出たのかな』と近所の人と話していました。長い間、空き家になっていた隣家の木が敷地内に侵入していたのですが、奥さん(鈴木)はそれまで何もしてくれなかった市に掛け合い、伐採させた。医者になる前は学費を稼ぐために不動産会社を経営していたそうで、必要書類や手続きに詳しかった。『近所にこんな人が来てくれて、頼もしいね』って喜んでいたのですが……」
鈴木容疑者に子供はおらず、夫と2人暮らしでチワワを4匹飼っていた。夫は職業不明で警察も把握していなかったという。
「リフォーム中は毎日隣の下野市からやって来て、あれだけ完成を楽しみにしていた奥さんが、家が燃えたというのに一向に戻ってこなかった。だから『おかしいねぇ』って不思議に思っていた。ユニットバスを入れ替え、エアコンを全部取り換えてたのに、一体、何の目的で家に火をつけたのでしょうか。渋谷区代々木にもマンションを持っているそうですから、お金には困ってないでしょうしね」(別の近隣住民)
計画的犯行だったのだろうか――。
親友トランプは今や犯罪者扱い…安倍前首相は何を思う?事務所に聞くと
大統領任期中に2度目の弾劾訴追となれば前代未聞だ。
米下院民主党は11日、トランプ大統領が支持者らによる連邦議会議事堂の襲撃・占拠事件を扇動したとして、トランプ氏を罷免するため弾劾訴追決議案(起訴状に相当)を提出した。
弾劾訴追決議案では、トランプ氏が昨年11月の大統領選での敗北に関し「大規模な不正の結果であるとする虚偽の主張を繰り返した」と断じたほか、今月6日の上下両院合同会議の集会の直前、ホワイトハウス前で支持者らに対し「反乱を扇動した」「在任させると国家安全保障、民主主義と憲法への脅威となる」と強調。弾劾決議案の本会議での採決は早ければ13日に行われ、過半数の賛成でトランプ氏は弾劾訴追される。
「お前はクビだ」。バラエティー番組の司会者で注目を集め、米国第一主義を掲げて大統領の座に就いたトランプ氏。「偉大な米国を取り戻す」とも言っていたが、結局、この4年間の“実績”は「米国民の分断」と「民主主義の破壊」だったと言っていいだろう。すでに米国から「石もて追われる」状態だが、そんなトランプ氏と「親友」だったのが安倍前首相だ。
トランプ氏の大統領就任が決まるや否や、ゴルフクラブを土産品に持参してトランプ氏を訪ね、早々に「信頼できる指導者だ」と持ち上げていた安倍氏。各国首脳がトランプ氏に対して冷ややかな視線を送る中でも、「ドナルド」と親しみを込めて呼び、仲良くゴルフを楽しんでいたのは記憶に新しい。
一方、トランプ氏も昨年8月に安倍前首相が辞任を表明した際、「我々は素晴らしい関係にあり、辞任を本当に残念に思う」「首相は私の大の親友であり、素晴らしい男だ」と記者団に語っていた。
まさに大親友と言っていいトランプ氏が今や“犯罪者扱い”され、弾劾訴追されるのだから、安倍氏にとっても自分のこと以上に苦しいはずだ。親友であれば相手がピンチの時こそ助けたいと思うだろう。果たして安倍氏は今、窮地に立たされているトランプ氏をどう思っているのか。
トランプ氏が大統領を退任する際には「今でも大好きだよ ドナルド!」なんてコメントを出すのか。安倍事務所に問うと、「紙(質問用紙)を送ってください」と言っただけで、回答は得られなかった。
君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず――。
鹿児島の養鶏場で鳥インフル 高病原性疑い、殺処分へ
鹿児島県は13日、簡易検査で陽性反応が出た同県さつま町の養鶏場の鳥インフルエンザについて、遺伝子検査の結果、高病原性の疑いがあると発表した。この養鶏場で飼育されている約3万3千羽の殺処分を始めた。県内の養鶏場では今季初、国内で15県目。
12日に養鶏場から「普段より多くの鶏が死んでいる」と通報があり、県は13日、周辺3キロ圏内を鶏や卵の持ち出しや持ち込みを禁じる移動制限区域に、3~10キロ圏内を搬出制限区域に設定。県によると、10キロ圏内には計41の養鶏場があり、計約195万5千羽が飼育されている。
畜産統計によると、鹿児島はブロイラー飼育数で全国2位。
都構想コスト増試算は捨て身のクーデター説
既得権益を死守しようとする「中之島一家」の影がちらついた。大阪都構想の住民投票(昨年11月1日)直前に「大阪市を4分割すれば、218億円のコスト増になる」との試算を市財政局が報道機関に提供した問題をめぐり、財政局幹部3人が減給の懲戒処分を受けた。なぜ都構想のデメリットにつながる試算を示し、関連する公文書廃棄などの隠蔽(いんぺい)に手を染めたのか。産経新聞の取材や市への情報公開請求で、組織の闇が浮かび上がった。
「お疲れ様です。お問合せいただきました件名についてです。(中略)試算したところ、218億円となりました」(原文ママ)
一連の問題で処分を受けた前財務課長(48)が昨年10月9日、大阪市を4分割した場合のコストについて尋ねた毎日新聞記者らに回答したメールだ。試算の根拠となる詳細なデータも添えられていた。市が開示した文書によると、財政局と記者らとの綿密なやり取りはこの後も続いた。
局内で交わされたメールも中立性を疑わせるものだった。記者について「非常に意識が高く勉強家のようです」と持ち上げるかのような記載も。毎日記者からの記事の草稿の確認要請にも応じ、財政局長(61)は「当初見せてもらった記事の趣旨から随分と分かりにくくなっている気がします。記者が消化不良になっているのかも」などと思いを巡らせていた。
報道機関と一体となって練り上げた、とも取られかねない試算の記事が最初に掲載されたのは、同26日の毎日の夕刊1面だった。複数のメディアが同様の内容を報道した直後、財政局長は「試算は妥当。(都構想の)特別区と絡めて切り取られて報道された」と主張したが、同29日に開いた記者会見で「誤った考え方に基づき試算した」と謝罪し、試算を撤回した。
投票行動に影響
毎日の記事掲載から6日後、住民投票が否決されると、都構想を推進していた大阪維新の会による財政局への責任追及が始まった。
市議会委員会で答弁した前財務課長は、試算提供について「世論を(都構想)反対に誘導するというような意図はなかったし、政治的な意図もなかった」などと釈明。財政局長らも神妙な面持ちを見せていたが、悪質さを感じさせる新たな事実も発覚する。
幹部3人は共有していた草稿について、維新市議から提供を求められた直後、公文書と認識しながら一部を廃棄。その中には都構想のデメリットに関する財政局の見解が記されていた。
市の聴取に対し、上司2人に廃棄を持ちかけた前財務課長は「(記事が毎日との)共作と思われるのではないかとの恐怖心に駆られた」と説明したという。
結局、幹部3人には12月24日付で、いずれも減給10分の1(3~6カ月)の懲戒処分が下った。市人事室は理論上の数値でしかない試算を報道機関に提供し、「市民に誤解と混乱を生じさせた」と判断。「(都構想が目指す)特別区に移行した場合のコストの問題と受け止めた人がおり、(投票行動に)影響があった」との認識を示した。
エリート集団の策謀
憲法の規定で、公共の利益のため職務に取り組む「全体の奉仕者」であるべき地方公務員の3人は、なぜ一線を越えてしまったのか。そこに、大阪市役所の所在地にちなみ「中之島一家」と呼ばれた強固な体制の影を見たとの声もある。
行政当局と市議会の与党会派、職員労働組合が三位一体で市長を担ぎ、市政を長年にわたり掌握。こうした体制による恩恵を既得権とみなし、最終的に都構想に行き着く行政改革を掲げてきたのが維新だった。
財政局は総額3兆円規模の予算編成を担うエリート集団であり、外部の干渉が及ばない聖域と化していたことは想像に難くない。
特に、処分された3人は財政畑を軸にキャリアを重ねてきた。財政局長は在職38年間のうち23年、前財務課長は同25年間で19年、同局で勤務。財務部長(51)に至っては同28年間で局外勤務はわずか1年しかなかったという。
どのような組織でも人員が入れ替わらなければ仲間意識が凝り固まり、既得権を守る方向で組織が硬直化してガバナンス(統治)が機能しなくなりがちだ。
「人事も含めた根深いところで、都構想が否決されるよう仕向ける体制ができ上がっていたのではないか」(市政関係者)
都構想可決で大阪市が廃止されれば、予算規模は縮小し、権限も「中核市並み」にとどまるはずだった。市役所の一部では一連の問題について、強大な権限を手放したくないがための、捨て身のクーデターだったとの見方も出た。
産経新聞が市に求め続けていた内部文書がようやく開示されたのは、市役所が仕事納めの同28日。批判や問い合わせを避け、幕引きを図ろうとしているのではないかと邪推したくもなるタイミングだった。大阪市役所にすむ“亡霊”は一掃されたのだろうか。