厚労相が「反省の意」 国として初 生活保護費減額「違法」判決巡り

厚生労働省が過去に実施した最大10%の生活保護費の減額処分を違法として取り消した最高裁判決を巡り、福岡資麿厚労相は15日の閣議後の記者会見で「判断の過程や手続きに過誤、欠落があったと指摘されたことについては、真摯(しんし)に反省する」と述べた。国として反省の意を示したのは初めてとなる。
最高裁は6月、厚労省が2013年に生活保護費を引き下げた際に根拠とした物価下落率を反映させる「デフレ調整」について、生活保護基準を検討する専門家部会にも諮られていないことなどから違法と判断。処分を取り消した。
福岡氏はこれまで「司法の最終的な判断を真摯に受け止める」と述べるにとどめていた。
福岡氏は、厚労省が対応を検討するため13日に設置した専門委について、「原告らからの意見を伺った上で、できるだけすみやかに結論をいただけるよう進めていきたい」と述べた。
原告側は早急な謝罪と適正な生活保護基準との差額の追加支給を求めており、専門委の設置にも反対する姿勢を示している。【肥沼直寛】

全国猛暑日、9日ぶり100地点超=また高温少雨傾向―気象庁

東・西日本は15日、高気圧に覆われて晴れ、35度以上の猛暑日になる所が多かった。気象庁によると、三重県桑名市で38.2度、埼玉県久喜市で37.7度、同県鳩山町と高知県四万十市・江川崎で37.6度を観測。猛暑日地点数は全国914地点中の130地点(午後5時時点)と、9日ぶりに100地点を超えた。
16日は東海と西日本の大半の府県に熱中症警戒アラートが出された。同庁は屋外の活動を短時間にとどめ、冷房を使うなどして熱中症を防ぐよう呼び掛けている。
14日発表の1カ月予報によると、平均気温は全国で平年より高く、今月後半は猛暑日になる所が多い。降水量は東・西日本で平年より少なく、北日本(北海道と東北)の太平洋側で平年並みか少ない。北日本の日本海側と沖縄・奄美地方はほぼ平年並みと予想される。 [時事通信社]

追悼式最高齢98歳の長屋昭次さん「参列は使命」 最年少3歳の片山純矢君「戦争は駄目」

全国戦没者追悼式に最高齢の98歳で参列した長屋昭次さん=北海道網走市=は先の大戦で8歳上の兄、保さんを亡くした。
家電修理などの仕事をしながら家族を支えていた保さんが、臨時召集されたのは昭和17年。「戻ったら、進学させてあげる」。昭次さんに、そんな言葉を残していった。
保さんの出征後、昭次さんは16歳で少年飛行兵に志願した。終戦後、保さんが中国・天津の病院で戦病死したことを知った。26歳だった。
追悼式に参列することは自分が果たすべき「使命」と語った昭次さん。「平和を守るため、若い人たちにも、国防への関心を持ってもらいたい」と思いを込めた。
「戦争はやったら駄目」。参列した遺族で最年少の片山純矢君(3)=三重県いなべ市=は家族とともに、32歳で戦死した高祖父の伊藤正夫さんを思った。
特攻兵だった正夫さんは20年2月、フィリピン・コレヒドール島の沖合で米軍との交戦中、戦死した。純矢君とともに参列した曽祖母の伊藤早苗さん(85)によると、純矢君は正夫さんが戦死したことを伝えても、よく理解できない様子だったが、追悼式に誘うと、「行く」と元気に答えたという。
家族5人で臨んだ追悼式。早苗さんは、「いつかは、国を守るということを考えられるようになってほしい」と語った。(三宅陽子)

公園で連続自販機荒らし 札幌・百合が原公園内11台のうち4台破壊「男2人が犯行に及んでいる」目撃者から110番通報 市内5か所でも被害

15日朝早く、札幌市北区の公園で自動販売機が壊され、現金が盗まれているのが見つかりました。
取り出し口が壊され、機械がむき出しになっています。
15日午前4時すぎ、札幌市北区の百合が原公園で「男2人が自動販売機で犯行に及んでいる」と目撃者から警察に通報がありました。
公園の管理者によりますと、園内に設置されている自動販売機11台のうち4台が壊され、中にあった現金が盗まれたということです。
札幌市内の公園では、自販機が壊される被害が連続で起きていて、百合が原公園では6月にも2台、そのほか5か所の公園でも同様の手口による被害が起きています。
警察は、窃盗事件として15日目撃された男らの行方を追っています。

【身元判明】知床半島の羅臼岳で発見の遺体は東京在住の26歳男性 家族が確認 クマに襲われて死亡 北海道警察

北海道・知床半島の羅臼岳でクマに襲われて死亡したのは、東京に住む会社員の26歳の男性と判明しました。
警察によりますと、遺体で見つかったのは東京都墨田区の会社員、曽田圭亮さん26歳です。
曽田さんは14日午前、知床半島の羅臼岳を友人と下山中にクマに襲われ、行方が分からなくなっていました。
そして15日午後1時半ごろ、捜索に当たっていた警察が登山道の近くで遺体を見つけました。
遺体の発見現場近くでは親子のクマ3頭も見つかり、駆除されました。
遺体は斜里警察署に運ばれ、家族が確認し、曽田さんと判明したということです。
遺体が見つかった付近では、3頭の親子のクマが駆除されていて、警察などは、男性を襲ったクマか調べることにしています。

九州の大雨被害 各地でボランティアが本格化 センター開設も

九州北部を襲った記録的大雨で、熊本市は15日、災害ボランティアセンターを開設した。県内の他の多くの自治体でも開設が進んでおり、浸水した家屋の片付けや土砂の撤去を援助するボランティア活動が本格化している。
熊本市のセンターは西区の花園まちづくりセンターに設けられた。市内の床上・床下浸水被害は140軒に上っており、この日から現地へのボランティア派遣を開始した。センターではスタッフが支援を求める被災者からニーズの聞き取りにあたっていた。
被災者からのボランティア派遣の要請は、市ホームページの入力フォーム(https://logoform.jp/f/eoGbb)か専用電話(080・9704・6805、同6928、午前9時~午後4時)で受け付けている。一方、ボランティアへの参加申し込みは市のスマートフォン用の公式アプリ「くまもとアプリ」のみでの受け付けとなる。
センター開設は24日までを予定。森口真由美・副センター長は「一人暮らしの方や障害のある方など、自分だけでは片付けができない被災者が多くいる。協力をいただきたい」と呼び掛けた。
熊本県によると、八代、玉名、天草、上天草、宇城、美里、玉東、氷川、甲佐、長洲の各市町にも災害ボランティアの窓口が設置されている。申し込み方法や参加条件は各自治体や社会福祉協議会のホームページで案内している。【中村敦茂】

友人、必死の抵抗かなわず ヒグマ襲撃時、素手で殴る

北海道・知床の羅臼岳で東京都墨田区の会社員曽田圭亮さん(26)が登山中にヒグマに襲われた際、一緒にいた友人の男性は曽田さんを助けようと素手で殴って必死の抵抗をした。しかし、ヒグマは曽田さんを引きずって茂みの中へ姿を消したという。
この友人から襲撃時の状況を聞き取った道警によると、友人は別の登山者を挟んで、曽田さんの約200メートル後ろを歩いていた。「助けて」と叫んで自分の名を呼ぶ曽田さんの声に慌てて駆け寄ると、曽田さんは茂みの中に引きずり込まれていった。
友人は「クマを素手で殴った。殴った腕が血だらけになった」と話したという。ヒグマには既に曽田さんの血がついていたとみられる。
友人は身の危険とすぐに助けを求める必要性を感じ、登山道に戻って通報した。

大川原冤罪、起訴5日前の内部通報明らかに しかし監察部門機能せず

警視庁公安部による冤罪(えんざい)「大川原化工機事件」で、逮捕された大川原化工機社長らが起訴される5日前の2020年3月、公安部の捜査員が警視庁の監察部門に対し、捜査の過程で違法行為があったと内部通報していたことが判明した。しかし、監察は動かなかったとみられ、捜査は止まらなかった。捜査に問題があることが起訴前、監察部門に伝わっていたことが明らかになるのは初めて。
訴えられた三つの問題点
この冤罪について警視庁が7日に発表した検証報告書では、公安部の指揮機能不全が背景にあったとしたが、監察も機能していなかったことが判明し、警視庁の組織ガバナンスに疑義が生じた格好だ。
この内部通報は、通報した捜査員が毎日新聞の取材に証言した。公安部外事1課が社長ら3人を外為法違反(不正輸出)の疑いで逮捕したのは20年3月11日。捜査員によると、15日後の26日朝、監察部門がある人事1課の窓口に電話で匿名の通報をした。
通報内容は、大川原元取締役の島田順司さん(72)を逮捕した際の取り調べを巡る問題。具体的には①容疑の認否などを記す調書「弁解録取書」(弁録)を取調官の安積伸介警部補(当時)が廃棄した②取り調べに立ち会った巡査部長の証言で廃棄が24日に明るみに出たが、安積警部補が巡査部長に「これが公になると大変なことになるので、黙っていろ」と口止めした③弁録廃棄について外事1課幹部らがもみ消しに走っている――という内容だった。
警察内で調書の廃棄は「文書事故」として扱われ、監察事案になるとされる。もし故意に廃棄したとすれば、公用文書毀棄(きき)罪に問われる可能性もある。
捜査員は約20分間にわたり問題点を伝え、31日が社長らの勾留期限だとして「今すぐ動かないと検事が起訴してしまう」と訴えた。電話対応した男性は「上に報告します」と答えた。
人事1課から連絡なく
捜査員は通報後も連絡を取れるようにするため、私有のメールアドレスを伝えて電話を切った。通報の5時間半後、「今朝相談した者です。念のため、メールを送ってみます」と人事1課の窓口に送信した。しかし、その後に人事1課から一度も連絡はなく、外事1課を調べた形跡もないという。
安積警部補は25日、弁録廃棄は「過失」とする報告書をまとめ、外事1課も過失と結論付けて不問に付した。監察部門が動けば、捜査が見直されて起訴が見送られた可能性もあったが、東京地検は31日、社長ら3人を起訴した。
東京高裁は「違法」と認定
社長らの起訴は翌21年7月、地検が「起訴内容に疑義が生じた」として初公判の4日前に突然取り消した。大川原側は国家賠償請求訴訟を起こし、東京高裁は25年5月、「犯罪の成立に関する判断に基本的な問題があった」として捜査が違法だったと認定し、判決が確定している。
裁判では、内部通報された島田さんの取り調べも争点になった。判決によると、安積警部補は、不正輸出を否認していた島田さんを欺き、容疑を認める弁録を作成。内容を確認した島田さんから抗議された後、シュレッダーにかけた。
判決は、この弁録作成を「偽計的な方法を用い違法」と認定。公安部の見立てに沿った弁録を「安易に廃棄することはおよそ考えがたい」とし、廃棄は過失だったとする警視庁側の主張を「不自然」と指摘した。
弁録廃棄について、検察審査会は2月に「不起訴不当」と議決。東京地検は公用文書毀棄容疑は改めて不起訴としつつ、廃棄は過失とする報告書を作成した虚偽有印公文書作成・同行使容疑については再捜査している。
警視庁は取材に「内部通報は性質上、その有無を前提として答えることは差し控える」と回答した。
【遠藤浩二】

筑紫野市のJR踏切で成人男性が倒れているのが見つかる 電車と衝突か JR鹿児島線で一時運転見合わせするも再開

14日早朝、福岡県筑紫野市にあるJR鹿児島線の踏切で、成人男性が倒れているのが発見されました。男性は意識があるものの、病院に搬送されています。電車と衝突した可能性があるとみて、警察が事故の原因を詳しく調べています。
警察やJR九州によりますと、14日午前5時20分ごろJR鹿児島線都府楼南駅~二日市駅間にある筑紫野市塔原の踏切で「人が倒れている」と目撃者から110番通報がありました。
倒れていた成人男性は、意識はあったものの、けがをしていたため、病院に運ばれました。今のところ、年齢や詳しい容体などはわかっていません。
男性が電車と衝突した可能性があるとみて、警察が詳しく調べています。
この影響で、JR鹿児島線は、一部区間で運転を見合わせをしていましたが、現在は運転を再開しています。

万博直結の地下鉄がストップ 帰宅困難者、会場で一夜

13日午後9時半ごろ、大阪・関西万博の会場につながる唯一の鉄道路線、大阪メトロ中央線で電気系統のトラブルが発生し、運転を見合わせた。大勢の来場者とスタッフが帰宅できなくなり、会場内で一夜を過ごした。中央線は14日早朝に全線で運転を再開。日本国際博覧会協会(万博協会)は14日の開場を1時間遅らせ、午前10時にすると発表した。
会場内では13日深夜、複数のパビリオンが休憩用に開放された。来場者が帰宅できない事態と、開場を遅らせるのは、いずれも4月13日の開幕以来初めて。
大阪市消防局と大阪府警によると、14日朝までに気分不良や熱中症の疑いで36人が救急搬送された。いずれも軽症という。警察官が駅周辺の雑踏警備や会場内の警戒に当たり、大きなトラブルはなかった。
中央線は8月13日夜、コスモスクエア(大阪市住之江区)―阿波座(同市西区)間で運転を見合わせ、会場東ゲートに直結する夢洲駅に来場者が集中、一時構内への入場を規制した。