終戦から80年の節目を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で行われた。全国から集まった約3800人の参列者は戦禍に倒れた家族に思いを致し、不戦を誓った。
正午の時報に合わせて1分間の黙(もくとう)がささげられた後、天皇陛下は「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います」と述べられた。
石破茂首相も就任後初めて参列し、「悲痛な戦争の記憶と不戦の誓いを継承し、恒久平和への行動を貫く。世界の分断を排して寛容を鼓し、より良い未来を切り拓きたい」と述べた。
遺族を代表して追悼の辞を述べた埼玉県川越市の江田肇さんの父は、引き揚げ中に船が沈没して亡くなった。「国を思い、最愛の家族の幸せを願い、故郷の友や山河を懐かしみながら散華した多くの戦没者がいることを私たちは決して忘れることはない」と語った上で、「争いの虚しさや復興の難しさ、平和の尊さを世界へ訴えることが求められている」と強調した。
参列遺族の最高齢は北海道の長屋昭次さん(98)、最年少は三重県の片山純矢くん(3)だった。
年月の経過とともに戦争体験者は少なくなり、遺族の高齢化も進む。戦没者の父母の参列は平成22年を最後に途絶え、昨年は2人が参列した配偶者も今年はいなかった。