逮捕の21歳長男は以前から金を無心か 大阪・ロシア人女性遺体

大阪市浪速区のマンションの一室で6月、住人のロシア国籍の女性が遺体で見つかり、大阪府警は28日、女性を殺害して現金を奪ったとして、長男で派遣社員の伊藤金木(かねき)容疑者(21)=静岡県御前崎市=を強盗殺人の疑いで逮捕した。黙秘しているという。
逮捕容疑は6月26日、母親で飲食店従業員のイトウ・エレナさん(50)の顔や頭を数十回にわたって殴ったり、首を絞めたりするなどして殺害。現金約1万5000円を奪ったとしている。
別の場所で暮らすイトウさんの夫が翌日の夜に部屋を訪ね、ベッドの上で倒れているイトウさんを発見した。直接の死因は熱中症だったが、府警は容疑者の暴行で動けなくなり死亡した可能性があるとし、強盗殺人容疑で逮捕した。
容疑者は以前からイトウさん方に無断で押し入り、金の無心をしていたとの情報があるといい、府警が詳しい経緯を調べている。
府警捜査1課によると、容疑者は事件直前、イトウさんが住むマンションの隣の集合住宅に侵入したとして、邸宅侵入の疑いで7月7日に逮捕された。
その後の捜査で「(イトウさんを)何発か殴って両手で首を絞めて折った」と暴行への関与を供述。イトウさんの部屋の玄関は施錠されており、府警は容疑者が集合住宅の共用部分からベランダに飛び移って室内に侵入したとみている。【斉藤朋恵、大坪菜々美】

《証拠メール入手》参院選当選の参政党・安藤裕(60)が美熟女タレントと泥沼W不倫

「週刊文春」が報じた党ナンバー2代議士・鈴木敦氏(36)の“期日前不倫” に続き、今回、新たに参政党の不倫スキャンダルが明らかになった。疑惑の当事者は、今回の参院選で比例区から出馬し、当選した安藤裕氏(60)だ。
「2012年に自民党から出馬して当選し、衆院議員を3期務めた、いわゆる“魔の3回生”。しかし2021年の衆院選には不出馬。女性問題が理由とされました」(政治部記者)
このとき不倫相手とされたのが、京都府を中心に活躍する美熟女タレントの大奈(だいな)氏だ。マルチタレントとして京都のラジオ局で冠番組も持つ。安藤氏にも大奈氏にも家庭があり、W不倫とされた。
当時、「週刊文春」もW不倫疑惑について報道した。このとき安藤氏は記者の直撃に、「不倫はない」と真っ向から反論。その後も、疑惑を一貫して否定してきた。
だが――。今回、「週刊文春」は不倫を裏付ける「証拠メール」を独自入手。そこでは、男女の関係をほのめかす赤裸々なやりとりが交わされていた。
安藤氏を直撃した。
――メールの内容に身に覚えは?
「ないですね」
大奈氏にも尋ねた。
――不倫関係ではないと言い切れる?
「はい。先生とは支援者同士の関係で、もう昔から変わっていません」
さらに「週刊文春」は、安藤氏と妻の離婚訴訟の判決文も入手。安藤氏はこの判決を不服として控訴している。
判決文の詳細や、不倫関係の証拠となる2人がメールで交わしたやりとりの中身などは、現在配信中の「 週刊文春 電子版 」で読むことができる。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)

無差別襲撃か、6人重軽傷=刃物切り付け、殴打―殺人未遂容疑で男逮捕・水戸

28日午後6時10分ごろ、水戸市南町の路上で「高齢者が血だらけになっている」と110番があった。茨城県警によると、20~70代の通行人の男女6人が刃物で切り付けられるなどして重軽傷を負った。いずれも意識はあり、命に別条はないという。
県警は、6人のうち東京都東大和市の男性(70)の顔や右手首などを切り付けて殺害しようとしたとして、殺人未遂容疑で、いずれも自称で近くに住む職業不詳、塩原弘和容疑者(48)を現行犯逮捕した。同容疑者と6人に面識はないとみられ、無差別に襲った可能性があるとみて詳しい経緯や動機などを調べている。
県警は、一部に血の付いた種類の異なる刃物4本を押収した。同容疑者は「自宅近くの道路で人を刃物で切り付けた」と容疑を認めている。
県警によると、襲われた6人のうち東大和市の男性と、右手首を切られた水戸市の男性会社員(65)が重傷。切り付けられた女性(75)と男性会社員(54)、後頭部を殴打された女性会社員(57)と病院職員の男性(27)は軽傷だという。
事件を目撃した近所の住民は「サバイバルナイフのような刃物を両手に持った男が路上で通行人を切り付けた」と話した。
現場はJR水戸駅の北西約700メートルのオフィスや店舗などが立ち並ぶ地域。 [時事通信社]

「けじめを」神奈川の自民議員からも首相の責任論相次ぐ 辞任意思示されず危機感あらわ「ガス抜きにもならない」

参院選大敗を受けて28日に自民党本部で行われた両院議員懇談会では、「衆院選、東京都議選、参院選と3連敗」の石破茂首相(党総裁)に対して批判が噴出した。しかし、首相は辞任などの明確な意思を示さずじまい。出席した神奈川県関係議員は「ガス抜きにもならない」などと危機感あらわだった。
会長の小泉進次郎農相(衆院神奈川11区)をはじめ所属議員から閣僚5人を出す同党県連だが、23日には梅沢裕之幹事長らが党本部を訪ね、首相の事実上の退任を迫る要請を行った。要請については小泉会長も了承。副総裁の菅義偉元首相(2区)に加え、小泉氏以外の県内閣僚4人も黙認状態で、神奈川からも首相の外堀が埋まりつつある状態だ。
懇談会は非公開で開かれ、県関係からは河野太郎(15区)、三谷英弘(比例南関東)、牧島かれん(17区)、1期生の草間剛(19区)の4氏が発言。牧島氏は党改革の必要性を訴えたが、他の3人は首相の責任を追及。しかし、首相ら執行部の答弁は「『重く受け止める』などのレベルにとどまった」(出席者)という。
出席者によると、草間氏は参院選で首相が県内に2度入り応援した新人脇雅昭氏が辛勝できたことに「感謝している」と前置きしつつ、自民大敗の結果に触れ「神奈川からは5閣僚、菅副総裁も政権を支えているが、それでも県連から文書が出る重みを受け止めてほしい」と指摘。「組織としてけじめをつけなければならない」と訴えた。
三谷氏は参院選で与党過半数割れとなったものの、続投の理由を「比較第1党としての責任」と掲げた首相に対し、「開票の途中から比較第1党と軽々しく言わないでほしい。しっかり責任を取るべきだ」と批判。「過半数を取るという責任。過去の発言を覆す理由を話してほしい」と迫り「政権を死守し、下野などすべきではない」と訴えた。

農家は怒り「ひどい話だね…」 自慢のトウモロコシ900本が盗難被害 数日前に畑に異変も 新潟・十日町市

新潟県十日町市で収穫直前のトウモロコシが盗まれる被害がありました。その数、およそ900本。農家自慢の品でした。
記者リポート 「こちらが被害にあったトウモロコシ畑です。21日の朝、収穫にきたところ、ほぼ全てが無くなっていました。その数日前には、獣防止の電気柵に異変があったということです」
盗難の被害にあったのは、十日町市仁田にある小嶋武夫さん(76)のトウモロコシ畑です。
わくわくファーム代表 小嶋武夫さん 「『奥まで1本もない』なんて従業員に言われて」 「ひどい話だね…」
21日午前5時、今シーズンの収穫を始めようとしたところ、実っているはずのトウモロコシがないことに気付いたそうです。
被害はおよそ900本、金額にして13万5000円相当です。
異変はその数日前にありました。畑は人里から離れた場所にあり、夕方から朝にかけて動物が近づかないよう手前の道に電気柵を設けているのですが…
わくわくファームのスタッフ 「土曜日の朝、こういう風に(電気柵がクロスした状態に)なっていた。おかしいですよね。普段、従業員だって分かること」
何者かがいじったのでしょうか…
小嶋さんの作るトウモロコシは甘味が強く、新発田市や新潟市など遠方からも客が求めにくるという自慢の品です。
わくわくファーム代表 小嶋武夫さん 「人が汗かきながら作ったものを、ただで持っていくというのはいかがなものかと。どういう性格しているのかなと思っている。ひどい社会だなと」
収穫の時期を分けて段階的に栽培していて、幸い、今後収穫予定のトウモロコシに被害はありませんでした。
警察が窃盗事件として捜査を進めていて、見慣れない人や車を見かけた際は通報するよう呼びかけています。

国道の陥没・空洞10年間で1100件超、「破損管に土砂」44%…「1km内で複数」半数近く

全国の国道で2015~24年度の10年間に見つかった陥没・空洞は計1100件超に上り、その4割強が半年前の埼玉県八潮市の道路陥没事故のように埋設管などの破損による土砂の「吸い込み」で起きていたことが読売新聞のデータ分析でわかった。地盤の締め固め不足などの「施工不良」も約2割に上った。さらに、1キロ以内で複数起きているケースが半数近くあることも判明。専門家は、国による維持管理の強化の必要性を指摘している。
読売新聞は、国直轄の国道(約2万4000キロ)を管理する国土交通省の8地方整備局と北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局に情報公開請求を行い、15年度以降の10年間に見つかった陥没・空洞の発生日時、場所、規模、原因、修理方法などを記録した調書を収集、分析した。調書は未作成だが公表されている事例も加えた。
その結果、陥没・空洞は少なくとも計1157件(陥没730件、空洞427件)あり、都道府県別では高知78件、石川63件、鳥取62件、千葉59件、島根55件の順で多かった。
原因別では、埋設管の腐食・破損や接合部の劣化により周囲の土砂が管に流れ込み、地下に空洞が生じる「吸い込み」が509件(44%)に上った。「施工不良」は259件(22%)で、その大半が道路建設時や管路埋設時の地盤の締め固め不足だった。吸い込み、施工不良以外では、木の根の腐食、周辺の斜面の崩壊、地震や台風などが計276件(24%)あった。
同じ路線の1キロ以内で別の陥没・空洞が起きている事例は全体の4割強(521件)を占めた。埼玉県越谷市にある国道4号の「大間野交差点」では22~24年、同じ排水管の腐食・破損による陥没が計3件発生していた。
今回の分析結果を受け、国交省幹部は「国として道路下の陥没・空洞の実態を十分つかめていないのが現状で、早急に調査するとともに、道路下の状況を早期把握できる体制作りを進める」としている。
道路陥没に詳しい桑野玲子・東京大教授(地盤工学)は、「国道は災害時の緊急輸送路に指定されている所も多く、陥没のリスクを放置すれば地震時に頻発して救助や支援が遅れる危険もある。国は地下インフラの管理者と連携して、国道の維持管理の体制を強化する必要がある」と指摘する。
◆埼玉県八潮市の道路陥没事故=1月28日朝、県道交差点で陥没が発生。1983年に埋設された下水道管が破損して管の中に土砂が流入し、空洞ができたのが原因とみられ、陥没は最大幅40メートル、深さ15メートルに拡大した。陥没発生直後に通りかかったトラックが転落し、運転手の男性が死亡したほか、県内12市町で一時、下水道の使用を自粛するよう求められた。

陥没・空洞の発生マップを読売新聞オンラインで公開しています。アクセスはこちらから。

コンビニの店内で女性客を突然ハンマーで殴ったか 28歳の無職男を現行犯逮捕

26日夜、京都市南区のコンビニの店内で女性客をハンマーで殴ったとして、28歳の男が現行犯逮捕されました。

傷害の疑いで逮捕されたのは、京都市南区の無職近藤錬八朗容疑者(28)です。
警察によりますと、近藤容疑者は26日午後9時ごろ京都市南区のコンビニでレジの前にいた54歳の女性客を鉄製ハンマーで殴り、頭部に陥没骨折を負わせた疑いがもたれています。
近藤容疑者と被害者の女性の間に面識はなく、防犯カメラには近藤容疑者が突然、ハンマーで殴る様子が記録されていました。
店内の男性客が近藤容疑者を取り押さえ、警察に引き渡したということです。
近藤容疑者は警察の調べに対して「女の人をハンマーで殴ったことは間違いない」と容疑を認めているということです。警察は詳しい動機について調べる方針です。

硫黄島からの手紙、検閲かいくぐり家族へ 遺族保管の17通、初公開

太平洋戦争の激戦地、硫黄島(東京都小笠原村)で戦死した兵士が内地の家族に送ったはがきと手紙計17通を、京都府宇治市の遺族が80年以上、大切に保管している。激戦地からの私信がこれほど多く残るのは珍しく、戦史研究の専門家は「兵士として最前線に送られた庶民の心情が伝わってくる、一級史料だ」と話している。
小さなはがきに1000字以上
はがきを書いたのは、佐々木巍(たかし)さん。1913年、東京生まれ。青山学院大神学部を卒業し牧師となった。38年、陸軍に徴兵された。翌年、ノモンハン事件で右胸に負傷したが命は取り留めた。42年5月に満期除隊。横浜市の教会で牧師を務め、29歳で愛さん(当時33歳)と結婚した。
44年6月9日、長女の寛子さんが誕生。9日後の18日、巍さんに「赤紙」と呼ばれる召集令状が届き、2日後に再び出征した。所属していた混成第2旅団独立速射砲第8大隊は、同年6月30日、硫黄島に渡った。
軍事郵便で送られたのは、16通のはがきと封書1通。はがきは縦14センチ、横9・2センチで、コメ粒より小さな文字で1000字以上が書かれているものもある。
「寛の写真が良くとれたものだ。(中略)病気もせずすくすく育っていることを感謝しています」(同年9月21日着)、「寛に手がかかるし(中略)教会も忙しさに身体も疲労する事と思う過労に渡らぬように充分に気をつける様に」(10月6日着)、「約百日大分大きく可愛くなったね」(11月9日着)などと、夫不在の家を支える妻への感謝と、生後間もなく別れた娘への愛情をつづっている。
検閲かいくぐり家族に伝えた「居場所」
軍事郵便で上官の検閲を受けるため、巍さんは自分の居場所や現地での状況など詳細を書くことはできなかった。また渡島したころから、米軍による空襲や艦砲射撃が激しくなっていった。
戦史研究の第一人者で「日本軍兵士」などの著書がある吉田裕・一橋大名誉教授は「軍務の合間、灯火管制(敵の空襲を避けるために夜間に明かりを控えること)の下で書いたのだろう。これほどびっしり書いているものは見たことがない」と驚く。
同年7月30日に出され、8月15日に届いた「第3信」には、「伊藤氏、大塚、島津兄によろしく」と書かれている。巍さんの妹、節子さんが戦後50年の95年に書いたと思われる文書で「兄は、自分の行き先は人の名前の頭文字をつなげたら分かると言って出た。皆で硫黄島と判読した」などと回顧している。
吉田さんは「限られた機会を最大限使って、家族に少しでも重要なことを伝えようと努力していたことが分かる」と話す。
一家は戦時中、愛さんの出身地、愛媛に疎開。寛子さんは戦後、進学を機に京都に移り住んだ。今年、81歳となった寛子さんは、母から受け継いだ「硫黄島からのはがき」を、ずっと読むことができなかった。「つらかったから」。それでも戦後80年の今年、記者に見せることを思い立った。「二度と戦ってはならない。父からのはがきを記事にしていただくことで、少しでも(平和の)役に立てば」と話している。【日高沙妃、太田裕之、栗原俊雄】
硫黄島の戦い
米軍の爆撃機B29の基地があったサイパンなどのマリアナ諸島と日本本土までの距離は約2500キロで、硫黄島はその中間にあった。米軍にとっては故障したB29や護衛戦闘機の基地として、また日本本土侵攻の拠点としても重要な島だった。1945年2月19日、米軍が島に上陸。兵力で圧倒的に勝る米軍は5日程度で占領する予定だったが、日本軍守備隊との激戦が1カ月以上続き、3月26日に組織的戦闘が終わった。日本軍兵士は2万人以上が戦死。今も1万体以上の遺骨が見つかっていない。

運転士「人が列車の正面に…」踏切で14歳男子中学生が急行電車にはねられ死亡 上下線で一時運転見合わせ

愛知県江南市の名鉄・犬山線の踏切で7月26日夜、男子中学生が電車にはねられ死亡しました。 警察によりますと、26日午後10時半ごろ、江南市宮後町天神の名鉄犬山線の踏切内で河和発・新鵜沼行きの急行電車に人が衝突しました。 はねられたのは江南市に住む中学2年生の男子生徒(14)で、心肺停止の状態で病院に運ばれましたが、およそ1時間半後に死亡が確認されました。 電車の乗客およそ100人や男性運転士(31)にケガはありませんでした。 運転士は、「遮断機の内側にいる人が歩いてきて列車の正面に入ってきたため、急ブレーキをかけたものの衝突した」と話しているということで、 男子中学生は遺書のような書き置きを残していて、警察は自殺の可能性もあるとみて、身元の確認を進めています。 この事故の影響で、名鉄犬山線は、布袋駅から犬山駅の間の上下線でおよそ2時間にわたり運転を見合わせました。

「捕まらなければ、エンドレスで事件を…」座間9人殺害事件で死刑執行の白石隆浩・元死刑囚が記者との面会で語った犯行動機の変遷

「捕まらなければ、エンドレスで事件を起こしていた」。2025年6月に死刑が執行された白石隆浩・元死刑囚(34)が生前、記者に語った言葉だ。SNSで自殺をほのめかす人たちを狙い、相次いで9人を殺害した白石・元死刑囚は、死刑判決の日まで記者の面会に応じていた。犯行の動機やSNSを使った理由を、詳細に明かしていた。(本文中敬称略)
※前編・後編のうち前編
SNSで自殺志願者に「一緒に死のう」とウソ
2020年8月。立川拘置所(東京・立川市)の接見室に現れた白石は、両手を太ももにつけて深く頭を下げた。肩まで伸びた長髪が印象的だった。顔を上げると、緊張している記者の顔を一瞥し、「あなたは真面目そうだから、ちゃんと取材に答えますよ」と笑った。
「筋トレや写経をして過ごしている」と世間話に応じた白石は、当時29歳。どこにでもいるような若者で、凶悪な事件を起こした人物とは、とても思えなかった。
事件が発覚したのは、2017年10月。行方不明となっていた東京・八王子市の女性(当時23)の捜索で、神奈川県座間市にある白石の自宅アパートに警視庁の捜査員が踏み込んだ。部屋にあった複数のクーラーボックスから、9人分の頭部が見つかった。
犯行を認めた白石は、女子高校生を含む15歳から26歳の男女9人を殺害したなどとして、強盗強制性交殺人などの疑いで逮捕、起訴された。9人の殺害現場はすべて、白石の部屋。8月から10月までの、わずか2か月間の犯行だった。
事件が注目を集めたのは、被害者の多さだけでなく、その手口だ。
白石は、SNSで自殺をほのめかす書き込みをした女性たちに、「一緒に死のう」などとウソのメッセージを送って自宅に誘い込んでいた。女性には性的な暴行を加えて、殺害。金品を奪い、遺体は部屋の浴室で解体し、ごみとして捨てていた。
精神的に弱った人たちを食い物にした犯行は、社会に衝撃を与えた。
「白石はなぜ、9人を殺害したのか」。その答えを聞くため、白石との面会を続けた。
「金から性欲へ」変遷する動機
「目的はお金。手っ取り早くお金を得るために、女性からもらおうと考えて。ずっと、専業主夫になりたかったんです」
白石はこの事件を起こす前、女性を風俗店に違法に紹介したとして逮捕、起訴され、執行猶予中の身だった。実家で過ごす日々のなかで、同居する父親と折り合いが悪く、「自立した生活を送りたい」と考えていたという。
白石の言う「自立した生活」とは、「女性のひも」になることだった。
「一人目の被害者を口説いているうちに、お金を持っていることが分かったんです。ちょうど、部屋を借りたいと思っていたので、2人で不動産屋に行ったんです。でも、自分は無職だし、貯金も無いので、断られてしまって」
一人目の被害者から50万円を借り、それを元手にアパートでの生活を始めた。しかし、生活はすぐに行き詰まる。
「その子には彼氏がいたので、自分に興味が無くなってしまうかも知れない、そうなるとお金を返さないといけない。執行猶予中でしたから、恐喝とかで捕まったら困ると考えたんです。それで、殺害まで一気に飛んでしまった」
「金を返したくない」という理由から、女性を殺害したと明かした白石。執行猶予中に再び罪を犯せば、刑務所に収監されてしまう。ならば、事件が発覚しないよう証拠を隠滅すれば良い。そう考えたというのだ。
「人を殺すことに抵抗がなかったかというと、ウソになると思います。でも、犯罪を犯すという方針は『生きる糧』でしたから。生きる上で、お金をもらうために女性を口説いて、お金をせしめて、お金をもらえなければ性欲の対象とするって方針を立てたんです。『生きる糧』だと決めてからは、抵抗はなくなりましたね」
その言葉通り、白石は次々と事件を繰り返していく。当初の「金を得る」という目的は、次第に性欲を満たすことに変わっていった。
犯行を容易にしたのは、SNSの存在がある。白石にSNSを使った理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「Twitterはかかりが良くて、めっちゃ便利でした。『死にたい』とか『寂しい』とか、つぶやいている人に手当たり次第にメッセージを送りました。ばれなければいいやと、ブレーキを掛けられずにいました。逮捕された時に、警察にも言われたんですよ。麻薬と同じだって。ダメだって分かっているのに、やってしまう。快楽を覚えてしまって、やめられなくなった」
一方で、自宅に招き入れたものの、殺害せずに帰した人もいた。
「極悪非道だと思うでしょうけど、お金をもらえた人は、帰していたんですよ。帰した人は、3人。一人はフラれてしまって、一人とは性行為ができましたが、もう一人はキャバクラで働いている人。みんなお金をもらえていたから、帰したんです」
名前を知らない被害者が求めたこと「『殺してくれ』と言う人はいなかった」
9月30日の初公判で、白石は起訴内容の全てを認めた。裁判では事件の経過が明らかとなり、被害者のなかには、白石と出会って数時間も経たずに殺害された人もいた。
ある日の面会で、白石はこんなことを明かしていた。
「被害者の名前ですか?一人目の女性は、部屋を借りるときに免許証を見せてもらったけど、ほかの人は殺害前は知りませんでした。殺して、荷物を漁っているときに、免許証とか生徒手帳とかで、初めて知りました」
殺害された9人は、何を求めていたのか。
「9人は『何か』を求めていたのだと思います。『何か』って、言葉で説明ができないんですけど、『死にたい』とか言っているけど、そうではなくて。記者さんが言う通り、誰かに話を聞いて欲しかったんだと思う。『死にたい』と言っている人になぜ?って聞くでしょ。答えは『寂しいから』が多かった。『なんで寂しいの?』と聞くと、『友達がいないから』とか『人と会うのが苦手だから』だと。じゃあ『僕が友達になるよ』って、話を聞いてあげていた。だから、『殺してくれ』と言う人は、一人もいませんでしたよ」
裁判では、白石の主張と弁護側の主張が食い違っていた。起訴内容の全てを認めた白石の主張とは違い、弁護側は、被害者は白石に殺害を依頼したという「承諾殺人」が成立すると主張した。白石は、この食い違いを気にしていた。
「争っている感じに見せたくない。遺族からすると『死にたくない(死刑になりたくない)のか』『罪を認めないのか』と思われるじゃないですか。そんなのは嫌なんですよ」