特殊詐欺使用の「凍結口座」から不正に現金引き出し コンサル会社経営者ら男3人逮捕

特殊詐欺に使われ凍結された口座から不正に現金を引き出したとして、警視庁犯罪収益対策課は、詐欺と公正証書原本不実記載・同行使の疑いで、コンサルティング会社「スタッシュキャッシュ」(東京都渋谷区)の実質的経営者、林竹千代容疑者(61)=横浜市神奈川区=ら男3人を逮捕した。犯収課は認否を明らかにしていない。
ほかに逮捕したのは、スタッシュ社代表の井上達雄容疑者(73)=東京都杉並区=と、システム関連会社「Recrutas(リクルタス)」(東京都台東区)元代表の中国籍、李小暢容疑者(37)。
逮捕容疑は令和6年8月、共謀の上、スタッシュ社が、リクルタス社に貸し付けたとする虚偽の公正証書を公証人に作成させた上、凍結されていたリクルタス社名義の口座を差し押さえる強制執行を裁判所に申し立てて、約610万円を詐取したとしている。
振り込め詐欺救済法に基づき、特殊詐欺などに悪用されたと判明した銀行口座は凍結される。犯収課によると、リクルタス名義の口座は投資詐欺などの被害金が振り込まれていたとして、6年3月に凍結されていた。
犯収課は林容疑者らが同様の手口で凍結口座からの強制執行を繰り返し、手数料名目で利益を得ていたとみており、詳しい資金の流れを調べている。

「グリ下」から消えた若者、300m西の「浮き庭」が新たな溜まり場

大阪・ミナミの「グリ下」に若者が集まって犯罪やトラブルに巻き込まれないよう、塀が設置されて4か月が過ぎた。長時間滞在する若者は減ったが、一部は近くの別の場所に移り、滞留している。
週末の26日午後8時半頃、記者がグリ下を訪れると、椅子代わりになっていた段差部分に塀(高さ約2・4メートル、長さ約16・5メートル)が仮設され、たむろする若者の姿はなかった。
一方、道頓堀川沿いを西に約300メートル進むと、デッキや階段に20人以上の若い男女の姿があった。近くの浮庭橋にちなみ、「浮き庭」と呼ばれている場所だ。男性(20)は「月に何度か来ている。日中は日陰があるのでグリ下が多いけど、広い階段もあるので、夜は浮き庭に移る」と話した。
浮き庭では、6月中旬の夜に訪ねた際も20人以上の若い男女が集まり、ダンスを踊ったり、缶酎ハイを手に談笑したりしていた。
目を強調した「地雷系」と呼ばれるメイクをした女性は18歳。SNSで知り合った友達に誘われてグリ下に通っていたが、最近、この場所に移動したという。記者に「家や学校が嫌いだから、逃げ場を作らないと。ここは楽しい」と語った。
グループには、金髪の20歳代の男性の姿もあった。男性によると、トラブル防止のため、互いに「界隈(かいわい)名」というあだ名で呼び合う。市販薬を過剰摂取するオーバードーズ(OD)やリストカットは、他のメンバーの前ではやらないという自主的なルールも決めているという。
その後、巡回中の府警南署員5人が訪れ、若者らを見知った様子で、界隈名で呼びながら身元確認を始めた。若者らも面識のある警察官の名前を呼んだり、「初めて見る人や」と口にしたりしていた。高校生とみられる少女は署員に促されて家族に電話をかけた後、家族の迎えを待つために署へ向かった。署員は記者に「親が迎えに来ない場合は署で保護します」と話した。
グリ下が若者の溜(た)まり場になるのを防ごうと、大阪市が塀を設置したのは3月26日。市によると、5月9日~6月2日に塀付近に滞留した若者の人数は延べ363人で、前年同期(同511人)に比べて3割減ったという。
グリ下にはコロナ禍で飲食店が休業した2021年頃から、家庭や学校で悩みを抱える少年少女がSNSなどを通じて集まるようになった。性犯罪や過剰摂取を目的とした薬のトラブルに巻き込まれるケースが相次ぎ、大阪府・市、府警などが23年から「グリ下会議」を開き、課題や対策を協議している。
市は当初、大阪・関西万博の閉幕後に塀をいったん撤去し、代わりに段差部分にパネルを設けて座れなくする計画だった。だが、会議で「若者らの排除につながりかねない」との意見が出たことを踏まえ、この方針を改めて検討しているという。
南署によると、浮き庭では元々、少人数の若者がたむろすることはあったが、塀の設置後に増加したという。同署幹部は「多い日には20人を超え、補導される未成年も多い」と話した。
◆グリ下=道頓堀の観光名所、グリコの看板近くにある戎橋下の遊歩道。近年、東京・歌舞伎町の「トー横」などとともに、悩みを抱える若者が集まる場所として知られるようになった。

歌手の女性を襲撃 服役中のファンに7600万円の賠償命令 東京地裁

東京都小金井市で2016年5月、歌手活動をしていた冨田真由さんがナイフで刺されて一時重体になった事件で、冨田さんと母親が、加害者の岩崎友宏受刑者=殺人未遂罪などで懲役14年6月の実刑=に約7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、約7600万円の賠償を命じた。
訴状によると、岩崎受刑者は14年ごろ、雑誌で冨田さんを知ってファンになり、一方的に好意を募らせるようになった。16年に入ると、ライブ会場でプレゼントを渡したり、連絡先を教えてもらおうとしたりしたが、いずれも拒否され、交流サイト(SNS)に「死ね」などと冨田さんに危害を加えることを示唆する内容を書き込むようになった。
冨田さんは「殺されるかもしれない」と警視庁に相談したが、岩崎受刑者はライブ会場付近で冨田さんを襲い、全身34カ所をナイフで刺して瀕死(ひんし)の重傷を負わせた。
冨田さん側は訴訟で、極めて深刻な後遺障害が残ったと主張。受刑者は反論する書面を全く提出しなかった。
この事件をきっかけに、それまでメールや電話を規制対象としていたストーカー規制法にSNSが新たに加えられた。【安元久美子】

大阪・浪速のロシア人女性遺体 21歳息子を強盗殺人容疑で逮捕

大阪市浪速区のマンションの一室で6月にロシア人女性の遺体が見つかった事件があり、大阪府警は28日、女性を暴行して殺害したとして息子で会社員の伊藤金木(かねき)容疑者(21)=静岡県御前崎市=を強盗殺人の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は6月26日、母親でロシア国籍のイトウ・エレナさん(50)の顔や頭を数十回にわたって殴ったり、首を絞めたりするなどして殺害。現金約1万5000円を奪ったとしている。黙秘しているという。
捜査1課によると、6月27日夜に別の場所に住む夫が部屋を訪ね、ベッドの上で倒れているイトウさんを発見した。
死因は熱中症だったが、顔などに複数回殴られた痕があり、イトウさんが何者かに暴行を受けて動けなくなったとみて捜査していた。
伊藤容疑者は6月26日に、イトウさんが住むマンションの隣にある集合住宅に正当な理由なく侵入したとして7月7日に邸宅侵入の疑いで逮捕された。その後の捜査で容疑者が暴行に関与した疑いが浮上したという。
イトウさんの部屋の玄関は施錠されており、府警は伊藤容疑者がが集合住宅の共用部分からベランダに飛び移って室内に侵入したとみて詳しい状況を調べている。【斉藤朋恵、大坪菜々美】

首相「政治空白生まず」=続投表明も退陣要求相次ぐ―自民両院懇

自民党は28日、参院選大敗を受けて両院議員懇談会を党本部で開いた。石破茂首相(党総裁)は「国家国民に対し、決して政治空白を生むことがないよう責任を果たす」と続投する意向を表明。ただ、衆参両院で過半数を失ったことから首相ら執行部の責任を問う声は強く、出席者から退陣を求める声が相次いだ。
首相は冒頭、参院選について「多くの同志が議席を失い、深く心からおわび申し上げる」と陳謝した。その上で、日米関税合意に触れ「合意の着実な実行に全力を尽くし、万全を期したい」と強調。「一切偽りのない心で国家国民のために尽くす。その思いでこれから先、臨んでいきたい」と続投に理解を求めた。
森山裕幹事長は、参院選の敗因を分析して課題を洗い出すために「総括委員会」を設置し、8月中をめどに報告書をまとめると説明。「報告書がまとまった段階で自らの責任を明らかにしたい」と述べ、自身の進退を明確にする考えを示した。
懇談会は約4時間半に及び、予定の2時間を大幅に超過。約60人が意見を述べ、退陣を求める声が多かった。小林鷹之元経済安全保障担当相は「組織のトップとして責任の取り方を考えてほしい」と要請。青山繁晴氏は「衆参両院で民意が示された。すぐに辞職するべきだ」と迫った。
一方、船田元氏が「少数与党として、野党との話し合いで重要法案を通した実績を評価している」と続投を支持するなど、首相を擁護する声もあった。中曽根康隆青年局長は記者団に「進退の話はたくさん出たが、党をどう立て直すかが中心だった」との認識を示した。
首相は懇談会後、記者団から「続投方針に変わりはないか」と問われ、「ございません」と明言。報道各社の世論調査で続投支持の意見があることを念頭に「国民世論とわが党の考え方が一致することが大事だ。そういうことも総合的に踏まえて適切に判断したい」と述べた。
旧茂木派の笹川博義農林水産副大臣は記者団に、首相の責任を問う両院議員総会の開催を、29日以降に要求すると表明。森山氏はこうした動きを踏まえ、同日の役員会で早期開催を諮る考えを示した。
総会は党大会に代わる意思決定機関。ただ、懇談会で党の幹部職員は「総会で総裁の身分を決めることはできない」と説明した。 [時事通信社]

【速報】徳島市の病院内で入院患者が変死 殺人容疑で40歳男を逮捕 徳島県警 何らかの方法で首を締めつけたか

今年1月下旬に徳島市内の病院で、50代の入院患者が変死しているのが見つかった事件をめぐり、徳島県警は7月28日、市内に住む40歳の男を殺人容疑で逮捕しました。
7月28日、殺人の疑いで逮捕されたのは、徳島市の無職・安楽健司容疑者(40)です。
徳島県警によりますと、安楽容疑者は今年1月26日の午後9時ごろから翌27日の午前7時半ごろまでの間に、徳島市の「城南病院」の病室で、50代の男性入院患者の首を何らかの方法で締めつけ、窒息死させた疑いが持たれています。
1月27日午前7時半ごろに、朝食を運ぼうと病室を訪れた看護師が異変に気づき、事件が発覚しました。
安楽容疑者は当時、男性と同じ病棟に入院していて、事件前に2人の間にはトラブルがあったということです。ただ、トラブルと事件との因果関係は現時点では確定的ではないということです。
調べに対し、安楽容疑者は「わからない」と容疑を否認しています。

【学歴詐称疑惑】伊東市・田久保市長が31日会見し改めて進退明らかにする意向表明…片や伊東署が市長に対する公選法違反での刑事告発受理(静岡)

7月中に辞職する意向を示していた、静岡・伊東市の田久保市長。28日の会見で、進退については明言を避け、改めて31日に会見を開いて進退を明らかにすると話しました。
(伊藤 薫平 キャスター)
「午前9時前です。田久保市長、伊東市役所に登庁です」
(記者)
「おはようございます。一言お願いします」
(伊東市 田久保 真紀 市長)
「…」
渦中の人物は報道陣の問いかけに答えることなく無言で登庁しました。
(伊東市 田久保 真紀 市長)
「卒業は確認ができませんでした。除籍であるということがその場では判明がいたしました」
この会見より前に、議長らに“チラ見せ”したという卒業証書とされる文書が波紋を呼ぶことに。百条委員会は卒業証書とされる文書の提出を求めたものの田久保市長は提出を拒否。さらに、本人の出頭も求めていましたが…。
(伊東市 田久保 真紀 市長)
「あしたの百条委員会の出頭要請に対する回答書になります」
「回答が事実上不可能な内容を含む」などの理由で、出頭を拒否する
「回答書」を提出しました。この対応に議長は。
(伊東市 中島 弘道 議長 )
「出頭拒否っていうのも、道義的、社会的な責任として本当に許されることではないと 思っております。本人は辞意 を表明しているので早く辞職をしていただきたいと思う」
田久保市長は、7月中にもいったん辞職し、“出直し選挙”に臨む意欲を見せていましたが、辞職の時期については明言を避けてきました。
先週7月25日 金曜日、改めて進退について問われた田久保市長は…。
(伊東市 田久保 真紀 市長)
「(辞職の)考えとしては持っているので、はっきりできる時点でしっかりしなければいけないと思う。週末、いろいろなところと各方面とも相談してどのように把握するかも決めていきたい」
登庁から30分後、政策会議に出席した田久保市長。会議は10分ほどで終了し、市役所に殺到している苦情などに対応する専用の電話窓口を市長が独自に開設したことなどが共有されたといいます。一方で、進退については。
(伊東市 近持 剛史 企画課長)
「進退についての話は一切なかった」
(伊藤 薫平 キャスター)
Q.「定例会見の会場には多くのメディアが集まっています。マイクが向けられた先で何を語るのでしょうか 」
記者からは出頭拒否を追及する質問が相次ぎました。
(伊東市 田久保 真紀 市長)
「結局、私が調べて除籍だと分かり、確かにその『広報いとう』に表示された事実と後から分かった事実が違っていたという部分に関しては非常に申し訳なく思っていて、そこの部分については今後の改善が必要であると、事務手続きには、思うが、つまり何を求められて今回、百条委員会に出頭しなければいけないのか、また、その証書を出さなければいけないのかという面も、もう少し、百条委員会に細かく示していただきたい」
(伊東市 田久保 真紀 市長)
Q.市民への裏切りでは?
「今後の再発防止については、やはりきちんと卒業証書だけではなくて、卒業証明書を付記するということをしていくべきであると、私の反省も含めてそのように考えております」
(伊東市 田久保 真紀 市長)
Q.出席した上で説明すべきでは?
「在籍期間証明書というものを大学の方から取り寄せをしております。それは、一応3通取り寄せをいたしまして、1通は自分用に開封をいたしました。で、あとの2通については減封という形でまだ封印をしたまま置いてあります。正式に要請がございましたら議会の方にも提出する予定でおります」
Q.いつ辞職?
「31日に改めて会見を開かせていただきまして、そこできちんと事実関係を整理した上でお伝えをしていきたいと思います」
Q辞職しない可能性は
「31日までにはしっかりと皆さんにお伝えできる体制が取れるかと思っておりますので」
Q.すでに辞職を表明しているが?
「すべて31日にしっかりとした形でお示ししたいと思っておりますので…、私としては回答書にしろ何にしろ、文書でしっかりとお示しするという、そういったことを心がけております。最終的に文書で出したものに関して、しっかり事実関係として示すことで、それも踏まえ、31日までにしっかり伝えられると思う」
辞職の時期は明らかにせず、7月31日木曜に会見を開き、改めて進退に関することに言及するということです。
さらに、28日、田久保市長が就任してから、市の教育長が空席のままになっていることから、早急に選任するよう教育長の職務代理者が市長に要請する場面も見られました。
こうした中、新たな動きが…。
(刑事告発した建設会社の社長)
「7月7日に出した刑事告発について、本日7月28日、伊東警察署で受理をされた」
伊東市の建設会社の社長は、当選目的で自らの虚偽の経歴を公にしたとして、7月7日、公職選挙法違反の疑いで伊東市長を刑事告発。28日、告発が受理されたということです。
(刑事告発した建設会社の社長)
「伊東市は夏が一番お客さんに来ていただける時期。 市政が止まっていることが一番いけない。今の田久保市長では伊東市は良くならない」
改めて31日に会見を開き、進退を明らかにするという田久保市長。29日、4回目の百条委員会では田久保市長から卒業に関する話を聞いたという市民が証人として出席する予定です。

自民大敗、首相だけの責任でない=「石破降ろし」違和感―関経連会長

関西経済連合会の松本正義会長は28日の記者会見で、参院選での自民党大敗の責任を石破茂首相が問われていることについて、「彼だけの責任ではない」と述べた。選挙結果は「(裏金問題など)長い間自民党がやってきたことに国民がネガティブな反応をした」ことが要因と指摘。同党内での「石破降ろし」の動きには「はたから見ると恥ずかしい」と違和感を示した。 [時事通信社]

【強盗殺人】ベトナム国籍の男の寮と現場は50メートル 男は逃げた母親を追いかけたか 被害女性は「どこの国の人とも友人になれる人柄」

佐賀県伊万里市の住宅で26日に親子が男に襲われた強盗殺人事件で、警察はベトナム国籍の男を逮捕し、28日午後、送検しました。閑静な住宅街で起きた凶行。一体なぜ、親子が狙われたのでしょうか。
事件が発生したのは26日夕方です。
■平山翼記者
「佐賀県伊万里市の住宅街です。今は規制線が張られていて中に入ることはできませんが、この道の先に事件があった現場があるとみられます。」
26日午後4時半ごろ、伊万里市東山代町の民家に男が押し入り、住人の椋本舞子さん(40)と70代の母親をナイフで切りつけ、逃走しました。
閑静な住宅街で突然起きた凄惨(せいさん)な事件。現場には、痛ましい痕跡も残っていました。
椋本さんは、首や腹を刺され、玄関で血を流して倒れていて、その場で死亡が確認されました。死因は失血死でした。70代の母親も首などを切りつけられましたが、命に別条はありません。
男は逃げた母親を外まで追いかけてきたといいます。
■通報した人
「椋本さんの母親がケガされて私のところに逃げてきたから、私が隣の人に協力を求めた。それからしばらくしたら、犯人の男がのぞいていた。(隣の人が)走って追いかけたから、(犯人が)逃げたか隠れたか分からない。」
近所に住む女性は、母親の応急処置に当たりました。
■近所の人
「近所の方の声があまりにもただ事じゃない、どうしたと思って行ったら、手で首を押さえて血だらけになっていた。とにかく娘さんのことを心配されていたんですよ。舞子、舞子が中におるって。怖いというよりも、娘さんのことが精いっぱいやったですよね。」
「何でこういうところで事件が起きたかなって。夜もろくに眠れないです。」
「小さい子どもが多いところですので、早く捕まってほしいですね。」
亡くなった椋本さんは、中国の大学で日本語の講師として働いていました。近所の人は、休暇で実家に帰っていて被害にあったのではと話しています。
去年10月に椋本さんと中国で知り合って仲良くなったという、人形作家の清水真理さん。通訳の仕事をお願いすることもあったといいます。
■椋本舞子さんの友人・清水真理さん
「(椋本さんは)どこの国の人とも友人になれるような人柄でした。きのうは感情の整理がつかなくて、人がいないと泣いてしまう状況だったのですが、本当に偉大な損失というのが本音で、女性で単身で、中国に溶け込んで、しっかり仕事をされていた。」
勤務先の中国の大学の関係者は。
■椋本さんの勤務先・景徳鎮陶資大学の職員
「いま、事実確認中です。」
そして、28日未明。
■伊万里警察署・平川博幸 署長
「先ほど、伊万里市内居住の男、24歳を逮捕しました。」
強盗殺人などの疑いで逮捕されたのは、伊万里市東山代町のベトナム国籍の技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)です。
警察によりますと、カン容疑者は椋本さんの自宅のインターホンを鳴らし、母親がドアを開けるとナイフを突きつけ「財布を見せろ」などと脅しました。
椋本さんが現金1万円を渡すとさらに金を要求し、1000円を強奪。その上、家の中に押し入ろうとして、椋本さんに抵抗されナイフで切りつけたということです。椋本さんの自宅内では、土足で物色した形跡も確認されたといいます。
カン容疑者は警察の調べに対し、「何も話したくありません」と容疑を否認しています。
■森野里奈記者
「こちらがカン容疑者が住んでいた寮です。この寮から奥に進むと坂があり、その先が現場となった民家で、歩いて1分ほどの距離です。」
勤め先の食品加工工場が用意した寮に、複数の技能実習生と一緒に住んでいたというカン容疑者。
■近所の人
「(Q.寮には何人くらい住んでいた?)5・6人いたんじゃないですかね。(Q.事件のあとは?)いつもだったら上から下から電気をつけっぱなしで、にぎやか。でも電気は消えているし、住んでいるのかなと思うくらい。ただ、人の話し声は聞こえている。」
工場の関係者は、カン容疑者についてFBSの取材に対し「これまでにトラブルはなかった」としています。
一体なぜ、犯人は椋本さん親子を狙ったのか-。椋本さんの母親は犯人の男と面識はないと話していますが、椋本さんとカン容疑者の間に面識があったかどうかは分かっていません。
警察は、カン容疑者の動機について調べるとともに、椋本さんの母親に対する強盗殺人未遂の疑いについても捜査する方針です。

「玉木雄一郎首相」を自民が担ぐ…あり得るのか 自公連立に国民民主が加わる可能性とリスク

「石破続投」をめぐる政局の混乱は、2025年7月28日の自民党・両院議員懇談会後もしばらく続きそうだ。衆参両院の「少数与党内閣」が、どこまで続くのかも、見通せない。そんななかで、「国民民主党の玉木雄一郎代表を首班に担ぐ」という話があちこちから聞こえて来る。自民党内には、それでいいという議員が多いなどという話がまことしやかに伝わり、週刊誌が取り上げたりしている。しかし、連立はそう簡単ではない。実際には、いくつもの高い壁が立ちはだかっている。
世論調査では連立への期待感がある
朝日新聞の世論調査(26、27日実施)では、「石破首相は辞める必要はない」が47%を占め、自民・公明に「野党が加わる」連立政権への期待感が56%に上っている。ただ、出自の異なる複数の政党での連立政権の構築作業は簡単でない、選挙区や政策の調整をはじめ、とくに政権党との協議には、様々な難問が横たわる。
朝日調査では「石破首相は辞めるべきだ」が41%と下回った。「自民全体に問題がある」が、自民党支持層でも81%を占めた。一方で、野党政権による政権交代を望む回答は21%しかなく、自民・公明に「野党が加わる」連立政権に56%の期待が集まった。どの党との連立が望ましいか?「国民26%、立憲19%、維新12%」の順となった。
トップの国民民主党と連立する場合、首相候補は自民党でなく「玉木首相でどうか」という説が、今回もささやかれている。
自公連立では選挙区調整で「連立解消」の危機もあった
しかし、その最大の壁は、所属国会議員の「選挙区の調整」である。国民民主党も、旧民主党が12年に政権崩壊した後の分裂騒ぎの流れの末に、20年に結成された時は13人の小所帯だった。この1年足らずの衆参2回の選挙で、一気に50人近く(衆院27人)まで膨らんだ。「玉木首相」にするかは別としても、仮に「自公国」政権で総選挙に臨むとすれば、その選挙区調整をしなければならない。
自民・公明の連立政権(1999年、当初は自由党も参加)が成立した直後の総選挙(00年6月)では、両党の公認調整がつかずに、「自公直接対決」など10選挙区近くで混乱した。東京17区では、平沢勝栄氏(自民)と後に公明党代表となる山口那津男氏が対決。平沢氏が当選、山口氏はこの後、参院へ転じることになる。自公がともに落選したり、公明公認候補者を優先したため自民の公認が得られなかった候補が無所属で出馬、当選した事例などもあった。
その後、直接対決はほとんどなくなったが、連立が20年を経過しても、公認調整をめぐって「連立解消か」との騒ぎになった。選挙区の1票の格差是正のための「10増10減」では、23年に新設された東京28区で公明党側が「候補者擁立は最終決定だ」といきなり通告。受け入れない岸田首相に対して公明側が「東京の自民候補全員に推薦を出さない」と強気に出て、一時は連立解消か、との緊張が両党に走った。結局は自民候補を公認、隣の29区で公明候補を自民は推薦するなどの結末になった。「選挙区調整」は「永遠の爆弾」である。
リスクを考えるとハードルが高い
公明党が「連立の25年」で失ったものも少なくない。「平和の党」を看板としながら、14年に集団的自衛権の行使容認が閣議決定された時は、党内や創価学会に強い反対意見がありながら、容認した。「平和の党」のイメージが大きく傷ついた。今回の自民党の裏金事件や企業団体献金改革の処理もうまく行かず、「クリーンな政治」の信頼も失われ、24年秋の総選挙では8議席減の24議席に後退した。
「連立のリスク」は国民民主や野党各党にとっても想像以上に大きい。
玉木代表自身は今のところ、「約束を守らない石破政権と協力をすることはない」と連立の可能性を否定している。が、岸田文雄政権時代に、岸田氏や茂木敏充元幹事長らと、連立をめぐって水面下で接触をしてきたことは、よく知られている。自民党関係者も、国民民主党の支持層の電力総連やUAゼンセンら労働組合の票をにらんでいる。ここまで急激に膨らんだ有権者の期待が、「自民党との連立」でどうなるか、のリスクを考えるとハードルが高い。
選挙・政治アドバイザーの久米晃さん(自民党元事務局長)に連立の可能性について聞いた。答えは、「きわめて難しい」だった。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)