館野仁(53)桜井純(45) 金密輸容疑で男2人逮捕 韓国から1トン運び込んだか―警視庁

韓国から金を密輸したなどとして、警視庁生活経済課は21日までに、関税法違反容疑などで、職業不詳館野仁(53)=千葉県習志野市秋津、会社役員桜井純(45)=同県市川市国分=両容疑者を逮捕した。館野容疑者は「密輸するつもりはなかった」と否認し、桜井容疑者は認めている。
同課によると、両容疑者は2023~24年、韓国と日本を計216回往復。計約1トンの金(約108億円相当)を密輸して東京都内の金買い取り店で売却し、計約9億8000万円の利益を得たとみられる。

館野容疑者の逮捕容疑は昨年8月21日、金の延べ棒4本(約4600万円相当)をポーチに入れて韓国から密輸し、消費税の支払いを免れるなどした疑い。

同容疑者は同日、韓国から羽田空港に到着した際にポーチを紛失。同空港に落とし物として届けられたことで発覚した。

その翌日、桜井容疑者がかばんに金の延べ棒9本(約1億450万円相当)を隠し、韓国から密輸しようとしたところを同空港の東京税関職員に見つかった。

両容疑者は韓国で延べ棒を預かり、入国時に消費税相当額を納めないまま日本の金買い取り店で換金し、売却代金を韓国に持ち帰ろうとしていたとみられる。両容疑者が韓国出国時に提出した輸出申告に関する書類には、同一の金の販売先が記されており、同課は韓国に仲間がいるとみて調べている。

鈴木湧万(29) 福島県教委 県立高校の男性教諭を懲戒免職処分

福島県県教育委員会は県立清陵情報高校の鈴木湧万(29)教諭を14日付けで懲戒免職処分としました。 鈴木教諭は2025年7月、郡山市内の商業施設の女性用トイレに盗撮しようと侵入した疑いで警察に逮捕され、その後、罰金10万円の略式命令を受けています。

高市政権が仕掛けた“批判封じ込め”の内閣府人事 「直言型」官僚を追い出し、「能吏型」を抜擢

日本を動かす官僚の街・霞が関から“マル秘”情報をお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「 霞が関コンフィデンシャル 」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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内閣府の新しいミッション
「責任ある積極財政」は高市早苗首相の金看板だ。首相に近い「サナ活閣僚」の間では、食料品の消費税減税が実施される来年4月には「内閣支持率はさらにアップする」(現職閣僚)と期待する声が上がる。だが減税財源を示していない点を懸念する声は絶えず、首相や側近の城内実経済財政相(平成元年、外務省)は、批判を封じ込めるため内閣府の人事を動かした。
政策統括官の阿久澤孝氏(3年、旧大蔵省)が財務省に戻り、日本成長戦略本部の事務局を担当していた「マクロ経済が分かる経産官僚」(官邸筋)とされる木村聡氏(2年、旧通産省)をナンバー2の内閣府審議官に起用し、経済財政の司令塔と位置付けた。
東大経済学部出身の木村氏は「政権の意向に異論を唱えず政策をまとめる能吏型」(経産省中堅)。年末の予算編成に合わせて、税収に直結する2027年度の政府経済見通しをまとめるミッションを取り仕切る。
「物価が上昇すれば税収は膨らむ。減税財源は税収の自然増に頼ればいいと割り切っている」(財務省幹部)官邸にとって、阿久澤氏のように「大臣にも臆せずぶつかる直言型」(同)は、政治家から見れば煙たい存在で、今年1月のハイヤー事故による重傷から復活した木村氏に白羽の矢が立った。
木村氏のもう一つの大きな仕事は、年2回行われる、中長期の経済財政試算の公表だ。旧通産省出身の浦上健一朗政策統括官(7年)とタッグを組み、持続可能な積極財政のシナリオを描く使命を負う。〈 続きでは 、浦上氏のキャリアや新しい事務次官についても触れられています〉
※本記事の全文(約4500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年11月号に掲載されています( 霞が関コンフィデンシャル )。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2026年11月号)

簗農相「予算カット」発言で狙い撃ちされた自治体でうじゃうじゃ沸き立つ“ヤナ評判”

【話題の現場 突撃ルポ】#85
“選挙で自分を支持しなかった首長がいる自治体の予算をカットした”–。こんな発言をした簗和生農相への批判が広がっている。実際に、簗氏の地元・栃木3区内の那珂川町では道路の拡張工事が延期され、那須烏山市でも道路予算が減少。“狙い撃ち”された2つの自治体で、住民は何を思うのか。日刊ゲンダイが現地を歩いた。
■町職員「こんなに減らされるなんて…」
要望した予算の3割程度しか認められなかった那珂川町に問い合わせると、町の担当職員はこう話した。
「これまで予算申請したうちの7~8割が承認されてきた。こんなに減らされることがあるなんて……。拡張工事を延期せざるを得なくなり、不便をかける町民に申し訳ない」
工事が延期された町内の道路を訪ねると、確かに細い。狭いところは大股で3歩半ほど。車2台がすれ違うのは難しいこの道を大型トラックやスクールバスも行き交っている。ここでの運転は避けたい、率直にそう感じた。
道路沿いの工場に勤める職人は、「予算削減が簗大臣のせいだとしたら許せない」と憤った。
農作業中の老夫婦によると、以前には死亡事故もあったという。
「いきなり狭くなる箇所がある。そこが危ない。早く工事を終わらせてほしい」
「あんないけ好かないジジイは初めてだ!」
ところ変わって、夜の那須烏山市。ある飲食店オーナーは、「簗大臣をかつては水害対応の早さで評価していた人もいた」と語った。だが、2024年の衆院選で自民党籍を有する渡辺真太朗氏(無所属)が出馬してから、空気は変わっていったという。
今年2月の衆院選で初当選した渡辺氏は、24年の衆院選では栃木3区全体で178票差で敗れたものの、那須烏山市内では簗氏を4680票上回っていた。「小さな町から出る候補を、みんなで支えよう」と地元で応援の輪が広がったのだ。
「簗大臣は、渡辺氏が初出馬した選挙を機に、すっかり烏山を敵視するようになった。私も参加したある祭事でのこと。簗大臣は各市町のブースを挨拶して回る中、烏山だけを“素通り”したんです。こんなに露骨に差別するなんて、愕然としました。さまざまな会合がある中で私個人のことも烏山の人間だと認識しているから、こちらが挨拶しても当たり前のように無視されます。簗大臣は『敵の顔』はしっかり覚えている。そんな態度だったから、『敵の予算を減らす』ということが起きても驚きませんよ」(前出の飲食店オーナー)

小泉進次郎防衛相『ZIP!』ブチ切れ事件 背景にある「高市首相との良好な関係」細かな案件でも逐一相談、“メディアへの向き合い方”でも首相に同調か

高支持率を追い風に、勢いに乗る高市早苗首相(65才)。その振る舞いに同調するかのように、かつてのライバル・進次郎氏もまた、これまでにない強気をのぞかせている。永田町で変わり始めた2人の関係とは──その内幕を詳報する。【前後編の後編】
小泉進次郎氏が日本テレビに激怒
高市内閣の中で、もうひとり”強気”な姿勢を見せている人物がいる。
「小泉進次郎防衛大臣(45才)です。先日、進次郎氏が日本テレビに激怒するという”事件”が勃発しました」(政治部記者)
事の発端は、内閣改造翌日の9月18日に放送された朝の情報番組『ZIP!』だった。
「今回の内閣改造と党役員人事を前に、自民党内では当選2回以上の衆議院議員に向けた『役職希望アンケート』が配布されていました。番組ではこれを取り上げ、”進次郎氏がアンケートに防衛大臣を留任したいと記入していた”と解説したのです。ところが、進次郎氏はそもそもアンケートを提出しておらず、放送後、自らSNS上で反論するという事態に発展しました」(前出・政治部記者)
進次郎氏はXに《事実とは完全に異なることを一方的に報じていることに驚きました》と投稿。さらに、《日本テレビから私に対して確認や取材は全くありませんでした》と記した。これを受け、日本テレビ側は即座に対応。当日夜の『news zero』、週が明けた21日の『ZIP!』で誤りを認め、謝罪と訂正を行った。だが、進次郎氏の怒りはそれだけでは収まらなかったという。
「進次郎氏は日テレ側にかなり強く抗議し、直接の謝罪を要求。対応次第では今後の日テレの取材を受けないことも匂わせるほどだったと聞いています」(テレビ局関係者)
事実と異なる内容だったとはいえ、一部ではその強硬ぶりに首を傾げる向きもある。
「進次郎氏は日テレへの抗議をつづった投稿文で、”アンケートを提出する代わりに、首相と直接コミュニケーションを取った”という経緯を明かし、《この1年全身全霊をかけて取り組んだ防衛大臣としての想いを総理には伝えさせていただいた》と記しています。つまり、防衛大臣を続けたいという思い自体は、高市首相に伝えていたわけで、留任希望自体は間違っていなかったのでは……」(前出・政治部記者)
当幹部にかわいがられるようになった成功体験
進次郎氏がメディアにここまで強く出る背景に見え隠れするのが、高市首相との急接近だ。
「前回の自民党総裁選ではトップの座を争った2人ですが、進次郎氏は首相のもとで防衛大臣を続投し、”ポスト高市”への動きを封印しています。

「隕石みたいな…火球では」明るく光る物体の目撃相次ぐ その正体は…“飛行機雲”か 北海道

「火の球が落ちてきた」
10月8日、夕空に明るく光る物体の目撃が札幌市内で相次ぎました。
驚いた方も多かったと思いますが、その正体は何だったのでしょうか。
澄み切った空に現れた、一筋の輝く物体。
8日午後5時すぎに札幌市内で撮影された映像です。
まるで火の球が落下するように移動していきます。
(撮影者)「何か燃えている、隕石みたいな見たことないような感じのものが動いていたので。家族は火球じゃないかって言っていましたね」
特に明るく見える流れ星を指す「火球」。
宇宙にある塵などが地球に降ってきた際に見られる現象ですが、8日の謎の物体は果たして火球だったのか。
気象予報士の井坂さんに解説してもらいます。
これは火球ではなく、飛行機雲の可能性が高いです。
火球が見られた時間が午後5時ごろで、ちょうど日の入りの時間、夕焼けの時間にあたっていました。
さらに空気が乾燥していると、空がオレンジ色になるのですが、飛行機雲がオレンジ色に染まったことも火球に見えた要因だったかなと。
この先、火球が見られるチャンスがあります。
火球は流星群がピークのときによく見られる。
10月21日深夜にオリオン座流星群がピークになるので、もしかしたらこのタイミングで火球が見られるかもしれません。

秋田のラブホ職員処分、批判大半 県に意見200件超

ラブホテルからオンラインで報道対応した秋田県職員が8月に受けた停職6カ月の懲戒処分に関し、県に電話やメールで200件超の意見が寄せられたことが10日、分かった。職員への批判が大半。一方で「処分が重すぎる」との同情や基準を知りたいとの声もあった。県には懲戒処分の独自基準がなく、識者は必要性を指摘する。
問題の発端は8月6日。人工知能(AI)向けのデータセンター誘致に関する報道各社への説明で、産業労働部の50代男性幹部(当時)がガウン姿で説明用の大画面に登場した。時折たばこを吸うしぐさが報道され、その様子が交流サイト(SNS)で拡散された。
特に背景に映し出された壁から「ラブホにいたのでは」と疑念が投稿された。男性は当初、県に「体調不良で自宅にいた」と説明したが、その後の県の調査にラブホテルにいたことを認めた。
秋田県は不適切な場所と服装、虚偽説明、SNSでの「炎上」が地方公務員法で禁止される信用失墜行為に当たるとみて、8月14日に停職6カ月、2階級降任とした。

予算カット発言の簗農相への「問責決議案」、参議院6野党の「足並み」そろえば可決される可能性も

参院の野党6党の国会対策委員長は9日、国会内で会談し、衆院選で自身を支援しなかった地元首長の自治体の道路予算を「カットした」などと発言した簗農相に対する問責決議案の提出を検討することで一致した。少数与党の参院で野党が足並みをそろえれば可決される可能性があり、野党は辞任を迫るための圧力を強める方針だ。
立憲民主党の斎藤嘉隆国対委員長は自民党の磯崎仁彦参院国対委員長とも国会内で会談し、こうした対応を伝えた。斎藤氏は会談後、記者団に「問責決議案が出されて反対する野党があるとは思えない。可決も十分視野に入る」と述べた。その上で「そういったことをする前に判断いただきたい」と強調し、早期の辞任を求めた。
問責決議案は憲法や国会法での規定がなく、可決されても法的拘束力はないが、国会審議が滞り、辞任に追い込まれることがある。斎藤氏は磯崎氏に「審議への影響を最小限に抑えるため、どうあるべきか政権側で協議してほしい」と伝えた。公明党の西田幹事長は党会合で「さらなる説明が必要だ。できなければ辞任するしかないという斎藤氏に同意する」と訴えた。
野党は参院農林水産委員会で簗氏の所信聴取に応じない方針を9日の会談で確認した。磯崎氏は「国会運営への影響が及ぶのは避けたい。国民が納得できるよう、きちんと説明してもらうのが大前提だ」との見解を示した。簗氏は閣議後の記者会見で「説明し、襟を正して職責を全うしていく」と語り、改めて辞任を否定した。

どん底のリベラル派、その病と処方箋~カギは「社会保障改革の旗」と「内ゲバ体質からの脱却」~【調査情報デジタル】

秋の臨時国会が始まった。本来なら、「高市一強」に野党側がどう向き合うかが焦点となるが、民主改革の会(冒頭の写真は同会の小川淳也代表)などリベラル勢力は、自らの凋落傾向をどう食い止めるかに追われている印象だ。リベラル派が再結集し、日本政治にとって有益となるカウンターパートとしての存在感を取り戻すことはできるのか。そのための処方箋を永年にわたって日本政治をウォッチしてきた星浩氏(政治ジャーナリスト・TBSスペシャルコメンテーター)が提言する。
「どん底」に落ち込んだリベラル派
高市早苗総理は10月5日召集の臨時国会で所信表明演説を行い、食料品の消費税減税を含む「責任ある積極財政」をアピールした。だが、物価高が続き、人々の暮らし向きは良くならない。中国との関係が行き詰まるなど外交の停滞も続いている。
政権与党に挑むはずのリベラル勢力は、衆院の立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合(中道)が、事実上の解体の危機に追い込まれるなど、どん底に沈んでいる。かつて唱えられた「政権交代のある民主主義」が遠景に退く中で、リベラル派が陥っている病とその処方箋を考えてみたい。
2026年2月の衆院選で惨敗した中道は、参院の立憲民主党、公明党と合流する予定だったが、立憲民主党が公明党との政策の違いなどを理由に合流を受け入れなかった。
衆院側では、立憲民主党出身者が「民主改革の会」を結成、公明党出身者が公明党に戻り、中道には残務処理のために議員一人が残る。この3会派が統一会派「中道」を結成することになった。中道は解体の危機に瀕しているにも関わらず、衆院で第1会派を維持するために「存続」する格好だ。分かりにくい対応に加え、衆院選の結果に基づく政党交付金も満額受け取ることには、自民党などから批判が相次いだ。
9月13日に投開票された沖縄県知事選では、立憲民主党や共産党、社民党などリベラル勢力が支援し3選をめざした玉城デニー氏が、自民党や日本維新の会に加え国民民主党、参政党などが推した新顔の古謝玄太氏に大敗(約27万票対約42万票)した。
玉城氏は米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対し続けてきたが、政府は辺野古移設のための埋め立て工事を強行し、移設は「既成事実化」した。沖縄県内では経済界を中心に経済振興策を求める声が強まり、選挙の争点について、辺野古移設より経済振興をあげる有権者が増えてきた。投票日の出口調査では、多くの若者が古謝氏に投票したことが確認されている。
玉城氏を支えてきたリベラル勢力にとっては大きな痛手となった。衆院選での惨敗、中道への結集の失敗、沖縄県知事選の敗北……。リベラル派は、まさに「どん底」に落ち込んだ。
高市総理は9月に自民党役員人事・内閣改造に踏み切った。麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、片山さつき財務大臣、茂木敏充外務大臣など政権の骨格を維持。2027年の自民党総裁選でライバルとなるとみられる林芳正総務大臣は閣外に追いやった。林氏は財政再建や中国との外交などで高市総理とは距離があるとみられ、今後、自民党内で林氏への支持がどこまで広がるかが自民党内政局の焦点となる。
この臨時国会では、野党側が「高市一強」にどう向き合うかが焦点となるが、民主改革の会などリベラル勢力は、国会論戦よりも自らの態勢立て直しに追われているのが現実だ。
私はこの9月に刊行した『リベラル再起の条件』(岩波書店)で、リベラル勢力が自民党に対抗するための政策づくりや組織運営などを指摘したが、本稿では、より具体的な処方箋を述べてみたい。
非自民勢力内で顕著になった2つの動き
非自民のリベラル勢力は、民主党政権が下野して第2次安倍晋三政権が発足した2012年以降、四分五裂を続けてきた。民進党、希望の党などを経て、立憲民主党が発足したが、保守色の強い議員らは国民民主党に集った。自民党政権が菅義偉、岸田文雄、石破茂各総理に引き継がれる中で、リベラル勢力が結集することはできなかった。
高市総理は内閣発足早々の2026年1月に衆院を解散。立憲民主党と公明党が新党「中道」を結成して対抗したが、自民党が圧勝し、中道は惨敗した。
政権交代の見通しが立たない中で、非自民勢力内では相反する2つの動きが顕著になっている。
一つは、国民民主党の玉木雄一郎代表が掲げる「対決より解決」路線だ。税や社会保険料の負担が増える「年収106万円の壁」の引き上げを訴え、支持を広げた。石破政権などが受け入れ、「壁」の一部が撤廃された。
国民民主党にとっては「成果」だが、自民党にとっても、個別の政策をつまみ食いすることで国会運営がスムーズに進むという「成果」となっている。非自民勢力が政権交代をめざすという構図からは程遠く、一歩間違うと「おねだり政党」に堕する恐れがある。
もう一つは「野党の方が気楽」という症候群である。いまの政権は少子高齢化が進む中で莫大な財政赤字を抱え、外交・安全保障の環境も厳しい。この状況で政権交代をめざすよりも、野党として政権批判をしていればよいという姿勢だ。立憲民主党などの一部に出始めている。
衆参両院の国会議員には年間2000万円を超える歳費が支給され、秘書は3人まで給与が支給され、議員会館の事務所、議員宿舎が提供される。政策で妥協して非自民の塊をつくり、自民党を倒すという困難な道よりも、野党として政権批判をしていれば気楽だという安易な考え方だ。これでは政権交代は夢の彼方である。
政権与党側のポピュリズムも逆風に
加えて、財政や外交のポピュリズム(人気取り)の風潮もリベラル野党には逆風になっている。
物価高が続いて実質賃金が伸び悩む中で、政権与党は人気取りのために減税ポピュリズムに走っている。高市総理が食料品の消費税減税を唱えているのもその一つだ。多くの野党は2026年2月の衆院選で消費税減税を掲げたが、高市政権がその要求を取り込んだ形で、関連法案が国会に提出されている。この臨時国会で可決、成立し、2027年4月から実施される見通しだ。減税に関する与野党の対立軸が消えて、減税による「弱者救済」を求めるリベラル派のセールスポイントが消されている。
ただ、高市政権が打ち出している食料品の消費税8%から1%への引き下げには年間5兆円程度の財源が必要。2029年3月までの2年間限定だが、その財源はあいまいだ。
さらに2029年4月から税率を8%に戻せるのか、与野党に疑問の声がある。リベラル派としては、富裕層増税などを恒久財源として食料品減税を恒久化するための方策を練る必要があるが、野党内の話し合いは進んでいない。
高市総理の外交ポピュリズムは、まず、トランプ米大統領に抱きつき、米国が求める巨額投資などを進めて「日米同盟」をアピールすることだ。日米関係を重視する日本国内の支持を固める狙いがある。
次に、中国との関係である。総理就任直後の2026年11月、高市氏は国会答弁で台湾有事に関連し、安全保障法制の存立危機事態として自衛隊の出動もあり得るとの考えを示した。歴代総理が具体的には答えなかった点に踏み込んだ格好だ。
「台湾は中国の一部」とする中国政府は強く反発。日本への渡航規制やレアアース(希土類)の対日輸出の規制を示唆するなど日中関係はきしんでいる。
ただ、日本国内では、台頭する中国への警戒感から対中感情は悪化。世論調査などでは、高市氏の対中強硬姿勢が支持される傾向にある。
リベラル勢力は、先の戦争での中国への侵略を認め、反省の意を示したうえで日中友好を進めるという立場だ。ところが、高市氏の台湾有事発言を機に、リベラル派に対しては、「媚中派」といった批判が強まっているのが現実だ。
リベラル再生への処方箋~「社会保障改革」と「内ゲバ体質の打破」
リベラル派が政権交代の機運を見出せず、財政、外交のポピュリズムがさらなる逆風になっている中で、どのような展望を切り開いていくのか。思い起こすべきは2009年の民主党による政権交代だろう。
当時の民主党は、小選挙区制導入を柱とする政治改革を訴えて自民党を離党したグループ(小沢一郎、岡田克也、鳩山由紀夫各氏ら)、社会党出身者(横路孝弘、仙谷由人、山花貞夫各氏ら)、市民運動出身者(菅直人、辻元清美両氏ら)の混成チームだった。理念・政策に隔たりはあっても、政権交代をめざすことで一致。自民党との戦いに向けて結束していた。それでも、政権に就いた後は、消費税の増税などをめぐって党内対立が強まり、東日本大震災への対応で危機管理の未熟さが露呈。3年3カ月で自民党に政権を明け渡すことになった。
いまの非自民・リベラル勢力には、かつての民主党勢に公明党も加わっているのだから、その支持基盤は広がっているはずだ。ところが、現実には国民民主党、立憲民主党、民主改革の会、公明党と四分五裂の状態だ。集団的自衛権の行使を容認した安全保障法制や原子力発電所の再稼働などをめぐって各党の見解に隔たりがあり、結束が難しい面はあるが、かつての民主党の試みを考えれば、政権交代をめざすことで共通点を広げていくことは可能だろう。
リベラル再生に向けた処方箋の第一は政策の柱を掲げることだ。
立憲民主党と国民民主党が支援を受けている連合は「労働者福祉」を掲げ、年金・医療・介護といった社会保障の充実を求めてきた。公明党は支持母体の創価学会とともに「大衆福祉」を説き、社会保障を重視してきた。両者が政策のすり合わせを進め、年金の底上げや医療制度の見直しなど社会保障の改革を進めれば、非自民リベラル派の結集軸になるだろう。
第二は非自民リベラル勢力間の協力を強めることだ。
自民党は党内対立があっても、最終的には結束を維持するという作法を身につけている。連立相手の公明党や維新とも政策調整を積み重ねてきた。これに対してリベラル派は身内の論争や対立が激しい。内ゲバ体質である。そこを乗り越えて、自民党に対抗できる大きな塊をつくるという一点でまとまらない限り、政権交代はおぼつかない。
非自民リベラル派が政権交代に向けて勢力を回復する機会は国政選挙だ。直近で予定されている28年夏の参院選は特異な構図だ。6年前の選挙中に安倍晋三元首相が銃撃されて死去。自民党は「弔い選挙」と位置付けて大勝。その当選者が改選を迎えるため、自民党は「議席を減らす可能性が大きい」(選挙対策関係者)と懸念している。
野党にとっては議席を増やす好機でもある。選挙区での候補者調整を進め、自民・維新の与党側とどう向き合うかが課題となってくる。
11月3日投開票の米国・中間選挙の動向も注目される。現在は連邦議会の上下両院ともトランプ政権与党の共和党が多数を占めているが、物価高やイラン戦争に対する有権者の不満が募っており、下院は民主党が過半数を占める勢いで、上院も接戦だが民主党勝利の可能性が出てきたという。
連邦議会で共和党が過半数を失えば、トランプ大統領は任期2年を残して「死に体」となるのは確実。高率の関税をかけたり、国際法違反のイラン戦争に踏み出したりといった暴走を続けてきたトランプ政治にブレーキがかかれば、世界の政治・外交の潮目が大きく変わる可能性がある。日本のリベラル勢力にとっても追い風となるだろう。
臨時国会を反転攻勢の起点にできるか
どん底のリベラル勢力が再生に向けて動き出す機会が臨時国会だ。
消費税減税法案や衆院の定数削減などが焦点となるが、簗和生農水大臣が、自らの選挙に関連して、支援しなかった自治体の道路予算をカットしたという趣旨の発言をしたことが判明。簗氏は発言を撤回し、お詫びしたが、野党側は「予算の私物化という構造的な問題だ」と反発している。簗大臣の去就を含めて高市政権の政治姿勢が問われる場面となっている。
沖縄に駐留する米海兵隊の上等兵が、女性に対する強盗殺人容疑で逮捕された。繰り返される海兵隊関係者の犯罪に、沖縄県内では反発が強まっている。高市総理は「米国政府に強く抗議した」と語っているが、トランプ大統領に抱きつく対米外交に終始してきた高市総理が、米軍の綱紀粛正や基地負担軽減を迫れるのか。臨時国会で大きな争点になるだろう。
このほか、来年度予算編成で予想される防衛費の大幅増額や、半導体など17分野に2040年度までに官民で総額370兆円を投資する計画などが論点となる。さらに(1)8月の終戦記念日の追悼式典で、高市総理があいさつの中で先の戦争に対する「反省」を盛り込まなかった(2)トランプ米大統領がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長に対する制裁を発動したことに、高市総理が「残念」と述べるにとどまった――なども議論されそうだ。
非自民リベラル勢力が、この臨時国会と年明けの通常国会での論争を反転攻勢の起点にできるかどうか。高市政権の帰趨だけでなく、日本の民主主義の行方を左右することになる。
〈執筆者略歴〉 星 浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト・TBSスペシャルコメンテーター 1955年、福島県生まれ。 79年に朝日新聞入社、85年から政治部。総理官邸、自民党、外務省などを担当。ワシントン特派員、特別編集委員などを歴任。 2004~06年、東京大学大学院特任教授。 16年に退社し、TBSへ。「NEWS23」キャスターやコメンテーターを務める。 著書に『自民党幹事長』(筑摩書房)、『官房長官 側近の政治学』『永田町政治の興亡』(いずれも朝日選書)、『リベラル再起の条件』(岩波書店)など。
【調査情報デジタル】 1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。

キノコ採りで1人で山に入った町長が死亡、斜面で発見され体に擦り傷…事故や病気の可能性

9日午後5時20分頃、長野県小海町の山林内で、黒沢弘町長(71)が倒れているのを親族が見つけ、119番した。黒沢町長は病院に搬送されたが、死亡が確認された。
県警佐久署の発表によると、黒沢町長は9日正午頃、キノコ採りのため1人で山に入った。午後5時を過ぎても帰宅しないため、親族が山林周辺を捜したところ、斜面で倒れていた。体に擦り傷があり、同署は事故や病気の可能性もあるとみて詳しい死因を調べる。
町によると、黒沢町長は9日朝に出勤した後、休暇を取っていた。