「愛子さまのルーティンが見たい」巨額“予算”が投じられる宮内庁公式YouTubeチャンネルの実態

《愛子さまが愛犬と散歩される様子とか、ワンデールーティンとかも見てみたい》
《ゲーム実況もやっていただきたい》
《皇居内のルームツアーしてほしい》
《定番のメントスコーラなどもぜひ……》
こうしたコメントが寄せられているのは、4月1日から運用が開始されるという宮内庁の公式YouTubeチャンネルについて。3月28日に、チャンネルの開設が発表されるや否や、SNS上では“皇族の方々にやっていただきたい企画”が多数寄せられている。
ただ、実際にアップされるのは、上記のコメントで挙げられたようなYouTubeの定番企画といった内容ではないようだ。
両陛下の日々を投稿する予定の宮内庁
「チャンネルでは、天皇陛下の誕生日にあたっての記者会見などを投稿する予定だそうです。また、宮内庁の公式インスタグラムですでにアップされている動画も、順次YouTube上でも公開していく予定とのこと。皇族の方々が面白い企画をなさるというよりは、若い世代を含め、より多くの人が皇室の活動に関心を持てるよう、両陛下の日々のご活動を紹介する予定だと言います」(皇室ジャーナリスト、以下同)
宮内庁の新たな取り組みには、
《YouTube楽しみです!》
《プラットフォームが増えるのはいいこと》
《絶対チャンネル登録します》
《自然体なお姿を拝見できるのが楽しみです》
など、好意的な意見が寄せられた一方、
《そんな予算あるの?》
《製作費けっこうかかるんじゃ……》
と、予算面への懸念の声も上がっている。というのも――、
「宮内庁広報室は、皇室に関する情報発信強化のため、’25年度は2700万円もの予算を計上しています。この額は前年度の約10倍に値するのです。’24年は公式インスタグラムの開設や、ホームページのリニューアル、’25年は皇居で謎解きイベントを始めるなど、広報活動に力を入れています。今回のYouTube解説に当たっても、人員を新たに3名増員するそうで、必要な予算が増えるのは仕方のないことと言えます。しかし、この情報発信が本当に必要なことなのか、疑問視する声も上がっているのです」
コメント欄は閉鎖
また、YouTubeチャンネルのコメント欄は閉鎖される見通しだそうで、これについても
《おかしなコメントが相次ぐだろうから、コメント欄は閉じて正解》
《攻撃的なコメントは見たくないから、コメント欄閉鎖はありがたい》
といった意見もある一方、
《コメント欄も開けて欲しい。宮内庁には国民の声をしっかり聞いてもらいたいです》
《インスタに続いてYouTubeもコメントできないのか……残念》
といった声も上がり、賛否が分かれている。
突如発表された宮内庁の公式YouTubeチャンネル開設。果たして、より多くの人が皇室に関心を持つ糸口となるだろうか――。

週間天気予報 関東周辺は明日も雨 来週にかけて徐々に気温上昇

関東周辺 新年度はじめは連日の雨
関東や東北では明日2日(水)にかけても雨が降りやすくなります。3日(木)も上空の寒気の影響で大気の状態が不安定となるため、雨の降るところがあります。雷や突風にも注意が必要です。新年度は連日の傘の出番となりそうです。
北日本では内陸部を中心に雪となり、3日(木)は低気圧が発達しながら北海道の東の海上を北へ進むため、道東を中心に風も強まる見込みです。荒れた天気に注意してください。
週末は再び天気下り坂 日曜は雨か
週間天気図
西日本では週中頃から、東日本でも4日(金)頃は晴れてお花見日和となりそうです。北日本では雨や雪の降るところがあります。
5日(土)になると湿った空気の影響を受け始め、西日本や東日本も天気が下り坂に向かいます。6日(日)は西から進んでくる低気圧の影響で雨の降るところが多くなる見込みです。お花見を予定している方は開花状況だけでなく、週間天気予報からも目が離せません。
来週はじめにかけて暖かさ戻る
今日4月1日(火)は平年より気温の低いところが多く、特に関東では真冬並みの寒さとなります。徐々に気温は上がっていきますが、明日もひと月ほど前の気温で、寒さを感じられそうです。西日本や東海では平年並みの気温に戻ります。
週末になると関東周辺でも平年並みの気温となり、来週はじめにかけては各地で平年より暖かくなる見通しです。
4月はじめの一週間は気温変化が大きくなるので体調管理にご注意ください。

クローゼットから遺体…無職の男(21)を緊急逮捕 愛知県一宮市

自宅のクローゼットに遺体を遺棄したとして愛知県一宮市の21歳の無職の男が逮捕されました。
警察によりますと、3月31日午後11時前、警察が一宮市木曽川町の住宅のクローゼットから性別や年齢の分からない一人の遺体を見つけました。 警察は、この家に住む21歳の無職の男を死体遺棄の疑いで緊急逮捕しました。 警察の調べに対し男は「間違いありません」と容疑を認めているということです。 警察は遺体の身元の確認を急ぐとともに詳しいいきさつを調べています。

だから政治家は「裏金」をやめられない…国会議員を縛る政治資金規正法が「ザル法」と言われる理由を解説する

「政治とカネ」を語るうえで、よく混同されるのが政治家個人のお金と、政治家が管理している政治団体や政党支部のお金の違いです。ここまで紹介した年2回の期末手当を含む歳費、調査研究広報滞在費(旧文通費)は政治家個人へ入るお金です。以降は、主に、政治団体や政党支部に入るお金について、説明したいと思います。
その説明をするために、2023年から2024年にかけて話題になった政治資金パーティー収入の裏金問題の話を、簡単に触れたいと思います。というのも、この問題でも、政治家個人が受け取ったお金なのか、政治家が管理する政治団体が受け取ったお金なのかが、曖昧となっていたからです。
もし、派閥の政治団体から、政治資金パーティー収入のキックバックを、政治家個人が寄付として受け取っていたとすれば、これは違法行為です。政治資金規正法上、政治家個人は寄付を受けてはいけないからです。
寄付はすべて政治団体が受けるとして定められています。政治団体がお金を受け取り、それを議員の政治活動に使う。その代わり、政治団体はお金の出し入れを政治団体の政治資金収支報告書にすべて記載し、公開しなければなりません。
ただし、政治団体が受け取った以上、この収支報告書に記入しないと「不記載」という違法行為になります。寄付の総量や1人あたりの上限といった規制はあるのですが、規制の範囲内でなら、政治団体が献金を受け取ってもいいとされています。
くだんの裏金問題のお金について、ある議員は「金庫にしまっていました」、別の議員は「引き出しにしまっていて忘れていました」とそれぞれ弁明しました。しかし、そのお金が政治家個人でもらったのか、政治家が管理する政治団体がもらったのかをはっきりさせませんでした。
これは、個人がもらったなら、もらった時点で違法行為ですし、政治団体がもらったのなら、政治資金収支報告書に書いてないことが違法行為にあたるからでしょう。
そこで、こうしたケースでは、政治団体がもらっていたが、政治資金収支報告書に記載していなかった、という言い訳がたびたび使われてきました。政治団体の代表は議員ですが、会計責任は秘書など別の人が担当しています。
議員は「会計責任者が書き忘れた」という理由で、責任を逃れるのです。結局、会計責任者だけが罪を問われるという、理不尽な構図になっており、政治資金パーティー収入の裏金問題も、ほぼそのようになりました。
政治家が、合法的に政治資金を捻出する一つの方法が、寄付を受けることです。政治活動への寄付は、自身が代表を務める政党支部や、自身の資金管理団体や後援会といった政治団体であれば、受け皿になれます。
図表1は、寄付の総枠制限と個別制限になります。個人からは、政党や政党支部、政党が指定する政治資金団体に対しては、年間総計2000万円以内の寄付が可能です。たとえば、Aさんが、政党の立憲民主党と日本維新の会、自民党の政治資金団体・国民政治協会と国民民主党の同・国民改革懇話会に、それぞれ500万円を寄付することが可能です。
個人から、公職の候補者が指定する資金管理団体や、それ以外の後援会などの政治団体に対しては、年間総計1000万円以内の寄付が可能です。ただし、資金管理団体、「その他の政治団体」については、それぞれ個別に年間150万円以内という上限もついています。たとえば、Aさんが、政治家Bさん・政治家Cさん・政治家Dさん・政治家Eさんの資金管理団体にそれぞれ150万円、政治家Dさん・政治家Eさん・政治家Fさん・政治家Gさんの後援会にもそれぞれ100万円を寄付することが可能です。
ちなみに、政治家個人の歳費や収入・預貯金を、自身が代表を務める政党支部や自身の資金管理団体に寄付することもできます。その際、政党支部を含む政党へ寄付した場合は、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれるという、税控除の仕組みも使えます。資金管理団体や自身の後援会に寄付した場合は、この税優遇は受けられません。
政治家ではない一般の方が、寄付して税控除を受けられることは理解されますが、政治家が自身が代表を務める政党支部に寄付して税控除を受けるのは、「制度の悪用」と指摘する声が根強くあります。(※15)
政治家が自身の資金管理団体に寄付する場合は、税優遇はないのですが、先に挙げた個別制限の150万円が取り払われます。総枠制限の年間1000万円までの寄付が可能になります。たとえば、政治家Bさんが、自身の資金管理団体に800万円、自身の後援会に150万円、懇意にしている政治家Cさんの後援会に50万円を寄付することが可能なのです。
また、企業や労働組合などの団体からは、政治家個人の資金管理団体やそれ以外の政治団体への寄付は禁止されています。しかし、政党・政党支部、政党が指定する政治資金団体であれば、寄付することができます。資本金や組合員の数で金額が変わりますが、年間750万円から1億円の寄付が合法的にできるのです。さらに政治団体から政治団体への寄付もできます。
政治家個人に対する寄付の制限は厳しいのですが、例外が二つ存在します。
一つは、政治家個人への寄付でも、「選挙運動」に関するものは例外になっていることです。国会議員などの公職の候補者個人に対しては、年間150万円以内なら金銭による寄付も可能です。これが俗に「陣中見舞い」といわれるものです。簡単にいえば、選挙の際に出すお金を指します。これは、「選挙運動費用収支報告書」で報告され、公開されます。
もう一つが、政党支部含む政党から政治家個人への寄付が認められていることです。議員個人が政党から受け取る「政策活動費」「組織活動費」が、それに該当します。この場合、支払った政党の政治資金収支報告書には額や支払い先の議員名などを記載する義務がありますが、受け取った側は、議員個人が受け取るため、政治団体ではないですから、収支報告書への記載義務がありません。これは合法的な裏金システムであるという疑惑があります。
国会議員に限らず、知事・市長や県・市議会議員といった政治家は給与として手にしているお金のほかに、政治活動に必要なお金を調達しなければ、政治活動を継続することができません。会社員でいえば経費にあたる部分ですが、そういった経費をどうやって捻出しているのか。これまでに説明してきたように、国会議員は、歳費とは別に、旧文通費や立法事務費など、さまざまな名目で税金が個人に対して充てられていました。
また、国から政党に対しては、政党交付金(政党助成金)と呼ばれる活動資金が支給されています。第3章で触れますが、1980年代から1990年代にかけて、政治家と企業の間の金権スキャンダルが多発した際、政治にお金がかかりすぎることが問題視されました。そこで、政党が税金で運営できれば、企業献金や団体献金といったものに頼らず、特定の企業や団体との癒着を防げ、政党が健全に政治活動できる、ということで、政党助成金が新たに創設されたのです。国が政治活動の原資を保障することで、政治活動の公明と公正の確保を図り、民主政治の健全な発展に寄与する、という建前です。
赤ちゃんを含む国民1人あたり250円分の税金が投入され、毎年300億円を超すお金が政党に割り振られています。
2024年度における総額は315億3600万円(100万円以下は切り捨て。2024年4月1日時点)。そのうち与党第1党の自民党は160億5300万円(同)、野党第1党の立憲民主党は68億3500万円(同)となっており(※16)、大政党ほど政党助成金が多く支給されています(図表2)。
政党本部に入った政党助成金は、政党で働く職員の人件費や事務所の家賃に使われますが、所属議員が代表を務める政党支部にも、寄付の形で流れていきます。
政党助成金は政党に支給される活動資金なので、無所属議員には支給されません。政党に所属することは、活動資金面でも保障されることを意味し、活動資金が保障されることで国会議員たちは「金儲け」を気にすることなく政治活動に専念できる、という建前になっています。
通常なら毎年1月1日を基準日として年4回に分けて支給されますが、政党に所属する議員数・選挙の得票数に応じて支給額が異なるので、衆議院選挙・参議院選挙が実施された年は、選挙後に選挙基準日が設けられて、以降の交付額を改めて算定します。
同制度は1995年に創設されて30年ほどとなりますが、自分が支持しているわけでもない政党に対しても自分の税金が充てがわれることになるため、たびたび憲法が保障する「思想信条の自由」に違反しているとの指摘がなされてきました(※17)。日本共産党は、政党助成金の存在理由が憲法違反だとして、政党助成金の交付を申請しておらず、受け取っていません。
政党には政党助成金が支給される仕組みになっていますが、だからといって誰でも政党を結党して政党助成金を受け取れるわけではありません。政党助成金を受け取るには、政党助成法が定める政党要件を満たす必要があります。
一つは、衆・参の国会議員が5人以上いること、という条件です。これは、ひと目でわかる基準です。たとえば衆・参で4人しか国会議員がいない政党は、政党助成金を支給されません。1人足りないだけで本来なら年間で数億円が支給されるはずなのに、それがゼロになるわけです。
もう一つは、所属国会議員が一人以上で、前回衆院選の選挙区または比例代表、前回もしくは前々回の参院選で選挙区または比例代表の得票率が2%以上になる、という条件です。
国会議員にとって、政党要件を満たすことは、所属の政党が政党助成金を得られるか否かという死活問題です。自分が所属している政党に不満があっても、飛び出して新党を旗揚げする動きがなかなか出ないことは、政党助成法が定める政党要件が満たせずに政党助成金を受け取れないからという事情も関係しているでしょう。
政党助成金制度は私たちの税金が原資になっていますが、前述したように、制度創設から事あるごとに「憲法違反」の指摘がされてきました。それだけではありません。企業・団体からの献金依存から脱却するために、政党助成金を創設する、という議論をしていたはずなのに、現状では、企業・団体献金が温存されたまま、政党助成金も受け取れるという「二重取り」の状態になっているのです。
これは、政治家自身もおかしいと思っている人がおり、自民党の大物議員であり、「政治とカネ」の事件で逮捕された金丸信氏ですら、政党助成金のことを「盗人(ぬすっと)に追い銭になる」と批判するほどでした。
では、どんな企業・団体献金が行われているのか。与党は政治を動かす立場にあることから、企業や団体の献金が集まりやすいことは、誰でも想像できます。与党第1党の自民党の政治資金団体・国民政治協会は、日本医師連盟、日本自動車工業会、日本電気工業会、日本鉄鋼連盟など、数々の業界団体から献金を受けています(※18)。一般企業でいえば、住友化学、トヨタ自動車、日立製作所、キヤノンなど、有名企業が名を連ねます。(※19)
なお、業界団体が、その関係者の政治家や、政治家の後援会を金銭面で支援することもよくあります。たとえば、四国電力労働組合政治連盟は、四国電力労組の関係者である徳島市議会議員、高知市議会議員、高松市議会議員、松山市議会議員の後援会に、それぞれ数百万円を献金していました。(※20)
このような企業や団体の献金は、政党や政治家の活動を支える一方、政党や政治家が企業・団体献金に依存する危険性を孕んでいます。政党・政治家が、一般国民の声を聞かず、業界団体や企業の代弁者となってしまえば、民主主義を歪(ゆが)めることになりかねません。
※15 東京新聞TOKYO Web2024年6月23日「改正政治資金規正法が見逃した政治家の合法的な『税逃れ』 党支部寄付の『悪用』は、いつまで許されるのか」
※16 朝日新聞デジタル2024年4月1日「2024年の政党交付金、9党に315億円 総務省が決定」
※17 参議院 第203回国会請願の要旨
※18 会社四季報オンライン2024年4月3日「『自民党へ1000万円以上の献金をした諸団体』最新13団体 断然トップは2億円の日本医師連盟」
※19 会社四季報オンライン2023年2月13日「最新版『自民党への献金額が大きい上場企業』トップ26社 1社を除いて日経平均銘柄が独占」
※20 四国電力労働組合政治連盟 政治資金収支報告書(令和5年2月14日)
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(ジャーナリスト 鮫島 浩)

酒酔いで保護した男性を14時間放置、意識不明の重体に…署員3人を容疑で書類送検

香川県警高松北署で昨年10月、酒に酔った状態で保護した50歳代男性を長時間放置し、意識不明の重体にさせたとして、県警が当時の当直責任者ら署員3人を業務上過失傷害容疑で書類送検した。別の署員1人も、報告書に虚偽の記載をしたとして、有印公文書偽造・同行使容疑で書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。いずれも2月28日付。
捜査関係者らによると、当直責任者の50歳代警部ら3人は、同署で保護中の男性の様子を十分確認せず、一時重体にさせた疑い。別の1人は、男性の様子を確認したように装った報告書を作成した疑い。
男性は昨年10月26日未明、高松市の路上で酒に酔って頭を打ち、倒れているところを署員に保護された。当時、意識はあり、本人が病院搬送を拒んだ。当直の署員は男性を署内の一室に約14時間放置。同日夕に交代した署員が男性の意識がないことに気付いた。男性は救急搬送され、急性硬膜外血腫などと診断された。約2週間後に意識を取り戻したが、脳に障害が残ったという。
県警は2月28日付で4人を訓戒などとしたが、詳細を公表していない。佐脇伸宏首席監察官は読売新聞の取材に「事案を重く受け止める。関係者が一日でも早く回復されることを願っている」とした。

わずか1ページのノースサファリ動物移送計画、札幌市「飼育の全貌見えない」…「搬出済み」は検証困難

札幌市南区の動物園「ノースサファリサッポロ」の無許可開発問題を巡り、違法建築の全面撤去に向けて運営会社が市に提出した飼育動物の「移動計画書」の中身が判明した。市があらかじめ要求していた移送先などの具体的な情報はなく、担当部署が3月31日に市役所で開いた記者会見では、近日中に園への立ち入り調査を行う方針が示された。
「飼育状況の全貌(ぜんぼう)がまるで見えてこない」。午後3時半から記者会見に臨んだ市幹部の一人は、運営会社「サクセス観光」の計画書をこう評した。
会見での説明によると、提出された書面はわずか1ページ。「哺乳類421、鳥類126、爬虫(はちゅう)類93」という2024年末時点の飼育動物の大まかな内訳と数のほか、計210匹の搬出を終えていたり、25年度に計95匹の移送を予定したりしていることがうかがえる一覧表だけが記載されていた。市は3月中の提出を求めており、市動物愛護管理センターの担当者が31日朝に週末の受信メールを確認中、28日夜に送られていたものを発見したという。
市は2月28日に行政指導で計画書の提出を求める際、全ての飼育動物の種類とそれぞれの数、移送先と移送予定日などを明らかにするよう指示し、記載すべき項目を一覧表にまとめた「様式例」も示していた。だが、市幹部によると、同社からは情報公開請求で計画書が第三者に開示され、動物の移送先が明らかになるのを避けるため、所定の様式には従わない意向が事前に伝えられていたという。
同社側からは31日にも口頭で「半数以上は受け入れ先が決まっていない」との説明があり、市は状況把握のために近く園の立ち入り調査や従業員らの聞き取りを開始する。一方、「搬出済み」とされた動物については、いつ、どこに移送されたのかを市が検証することは困難だという。会見で千葉司・同センター所長は「(サクセス観光を)信じるしかない」と話した。

全国で増え始めた公立中学制服の無償化 平均5万円、家計を圧迫する「隠れ教育費」にメス

公立中学校の制服を無償化する自治体が増えている。北海道北斗市が昨春の新1年生、奈良県香芝市や熊本県御船町が今春の新1年生から導入したほか、東京都品川区は来春の新1年生からスタートする。背景には数万円かかる制服代が保護者らの負担になっている状況がある。専門家は「制服は無償のはずの義務教育で保護者が負担する『隠れ教育費』の中でも高額で、その無償化は大きな前進」と評価する。
8割が「制服を安く」
国際非政府組織(NGO)の日本組織「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が困窮世帯の中学1年生、高校1年生と保護者を対象に昨年実施したアンケート(回答者計798人)によると、制服代は平均で中1が5万6331円、高1が7万615円(いずれも保護者が回答)。入学に必要なお金のことで悩み事があったかとの問いに、子供の56・8%が「ある」と回答。このうち、「制服を買う・そろえるのが大変」とする項目を、「よくあてはまる」「ややあてはまる」とした回答が計84・2%を占めた。
また卒業・新入学にかかる費用についてどんな支援が必要だと思うかとの問い(選択式の複数回答)では、「制服・運動着などを安く買うことができるようにすること」が子供、保護者とも約80%を占めた。
品川区は1930人
制服の負担感が高まる中、人口4万人余りの北斗市は子育て支援策として、市立中学校5校で昨年4月入学の1年生から制服を無償化した。制服はデザインが統一され、男女とも3万4100円(夏用のスカートとスラックスは対象外)。代金は市が業者に支払い、保護者らが販売店で受け取る。
大阪のベッドタウンとして知られる香芝市では、昨年5月に初当選した三橋和史市長が「制服が家計を圧迫している」として小中学校入学時の制服無償化を公約。9月の市議会で約4400万円の事業費を計上した予算案が可決され、今年4月の小中新1年生から適用となった。
市立中4校、市立小9校が対象で、上限は中学校4万円、小学校2万円だが、ほぼこの額でまかなえるという。制服がない市立小1校は、申請すれば児童1人あたり1万6千円が給付される。
一方、品川区は、それぞれ来年4月の区立中学校9校の新1年生と、小中一貫の区立義務教育学校6校の新7年生らについて制服を無償化する方針を決め、約1億140万円の事業費を入れた予算案が今年3月の区議会で可決された。区内外の特別支援学校に通う中学部新1年生(区内在住)も対象で、想定する対象者は1930人。各中学校・義務教育学校の制服は令和5年度の販売額で3万~5万円程度と幅があったが、上限はない。
品川区は子育て支援に力を入れ、5年度に給食、6年度に学用品、7年度の中学校の修学旅行をそれぞれ無償化した。
制服無償化は熊本県では、南小国町が昨年4月に町立中学校(1校)で制服を変更したのを機に1~3年生で始めたほか、御船町も今年4月の町立中(1校)新1年生と県内私立中に通う町内在住の新1年生から適用した。
いずれの自治体も制服無償化は1回のみとなっている。
制服は果たして必要か
憲法は義務教育を無償としているが、実際には制服や体操服、文具、副教材などの費用や給食費がかかり、「隠れ教育費」という批判がある。
名古屋大大学院の内田良教授(教育社会学)は「『隠れ教育費』の中で制服はあまりに高額だが、3年間着用したらそれ以上着ることは少なく持続可能性に欠ける」とし、「無償化は大きな前進だ。家計負担を抑えるよい取り組みで、全額でなく一部補助でも意味がある」と評価する。その一方で、「そもそも高額な制服が果たして必要なのかという根本的議論もしていくべきだろう」と指摘する。(張英壽)

石破内閣半年、側近不在で目立つ場当たり的な意思決定…日米首脳会談で一定の成果も商品券問題で「貯金消し飛んだ」

石破内閣は1日で発足から半年を迎えた。側近不在で首相官邸の意思決定の形をいまだ確立できておらず、調整力不足を露呈する政権運営も目立つ。内閣支持率は発足直後から20ポイント下落し、局面転換は急務だが、政策の打ち出しなどで打開を図れるかは見通せない。(山口真史、服部菜摘)
「多くの方々にお支えいただき、ご努力いただき、内閣を続けることができた」
石破首相は31日夕、首相官邸で記者団にこう述べ、半年間の政権運営は楽ではなかったとの思いをにじませた。石破内閣は発足直後こそ支持率は51%に上ったものの、直近では31%まで下落した。自民党内では「内閣への信頼感が下がったことが背景だ」(ベテラン)との声が出ている。
石破内閣では、霞が関の官僚組織ににらみを利かせ、与党の内情を把握した上で首相に意思決定の材料を提供する右腕が不在だ。岸田政権では元経済産業次官の嶋田隆首席首相秘書官と木原誠二官房副長官が、政策や政治的判断の両面で岸田文雄前首相を支えたが、首相が政策、政局双方で頼りにする側近は見当たらない。
「チーム石破」の不在は、場当たり的な意思決定にもつながっている。
患者負担を抑える「高額療養費制度」の見直しを巡っては、首相は一度実施を決めたが、結局は見送りを決断した。患者負担増は参院選に悪影響との与党の声を重視したためだが、当初から見送りを求める声はあり、「官邸は党の本音を把握できていない」(自民幹部)と不満が漏れる。
側近不在で首相が意思決定の前面に出る結果、調整不足の思いつきとも取れる言動も散見される。
内閣発足直後の10月には「(日銀は)追加の利上げをする環境にない」と発言し、株式市場を混乱させた。3月には公明党の斉藤代表との会談で、2025年度予算案の審議中にもかかわらず補正予算編成を示唆する「強力な物価高対策」に言及、謝罪に追い込まれた。
首相は2月のトランプ米大統領との首脳会談で、事前の入念な準備の結果、日米同盟の強化など安全保障面で一定の成果を上げたが、その後は自民党衆院議員への10万円分の商品券配布問題もあり、「貯金は完全に消し飛んだ」(政府高官)との受け止めが広がる。
首相周辺は「政策実現で潮目を変えたい」と語るが、内閣支持率が低迷し、少数与党で首相が政策遂行の主導権を握るのも難しい中、局面を打開できる政策の打ち出しが可能かは不透明だ。

だから「斎藤元彦」「石丸伸二」は誕生した…「想定外の選挙結果」を次々に生んだ「SNS選挙」の本当の問題点

※本稿は、郷原信郎『法が招いた政治不信 裏金・検察不祥事・SNS選挙問題の核心』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
自民党が派閥政治資金パーティーをめぐる「裏金問題」で、国民の厳しい批判を受け、2024年4月の衆議院3補選で全敗(うち2選挙区では公認候補者を立てられず)するなど、大きく支持を落とす状況で行われた7月の東京都知事選では、元安芸高田市長の石丸伸二氏が165万票を超える大量得票で2位となり、
11月の兵庫県知事選では、県議会で不信任決議案が全会一致で可決されて失職した斎藤元彦氏が再選、さらに、名古屋市長選でも、4党相乗りの大塚耕平(おおつかこうへい)氏を破って減税日本の広沢一郎(ひろさわいちろう)氏が当選するなど、予想外の選挙結果となる事例が相次ぎ、その度にSNSが選挙に与える影響が注目された。選挙でのSNSの活用が公選法違反の刑事事件で捜査の対象となる事例も相次いでいる。
兵庫県知事選挙をめぐっては、私と神戸学院大学教授の上脇博之氏による斎藤知事らを被告発人とする買収罪についての告発状が、神戸地方検察庁と兵庫県警察本部に受理され、稲村和美(いなむらかずみ)候補に関して大量のデマ投稿が行われたことについての虚偽事項公表罪等の告発状(被疑者不詳)が兵庫県警に受理されている。
12月2日に提出した告発状で、斎藤知事らについて公選法違反(買収罪)の嫌疑の根拠としたのは、
(1)11月20日に、PR会社の代表取締役社長が、インターネットのブログサイトnoteに行った投稿の内容によれば、PR会社の社長として、同社の社員ともに、斎藤氏の知事選挙においてSNS広報戦略を全面的に任せられてその運用を行ったものと認められること
(2)社長のnote記事投稿の信用性が、投稿前後に斎藤氏の選対の主要メンバーであった市議会議員らのX投稿によって裏付けられていること
(3)斎藤氏に代わって行われた代理人弁護士の会見での、PR会社に対する71万5000円の支払を認めた上での「PR会社にはポスター制作等を依頼しただけでSNS運用を任せておらず、PR会社社長は斎藤氏のPR会社訪問後、個人のボランティアとして選挙に関わっていたとする説明」が不合理であり信用できないこと
の3点であった。
これらにより、代理人弁護士が支払を認めた71万5000円は、PR会社へのSNS運用という選挙運動の対価を含むものと判断したものだった。
このような告発状を提出したことを、オンライン会見を行って公表し、告発状をネットで公表したところ、告発人の私の下に兵庫県民から様々な資料、情報が提供された。それらを逐次、捜査機関側に提供するなどしていた。
それも早期告発受理の一因になったものと考えられるが、さらに、2025年2月7日、神戸地検と兵庫県警がPR会社の複数の関係先に対して家宅捜索を行ったことが報じられた。告発事実についての買収の嫌疑が、強制捜査の実施が相当と考えられるほどに高まっているということだと考えられる。
昨年の一連の選挙を機に、公職選挙においてSNSが大きな影響を与えることが認識され、その実態に即して公職選挙法のルールを改めるべく、法改正に向けての議論が始められている。
公選法改正の議論を適切に進めていくためには、選挙で実際に何が起きていたのか、現行法の罰則ではどの範囲が処罰の対象になり、どのような行為が処罰の対象ではないのか、現行法と現状との間にどのように乖離(かいり)が生じているのかを把握することが重要となる。
兵庫県知事選挙でのSNSに関する公選法違反の告発が契機となって、他の選挙に関しても、同様の問題が表面化している。
2024年10月の衆議院議員選挙徳島2区で当選した自民党公認の山口俊一氏の陣営が選管に提出した選挙運動費用収支報告書で、SNS運用委託費として業者に150万円を支払っていたことが明らかになり、徳島新聞が、業者側の取材の結果から公選法違反の疑いがあることを報じた。
業者側も、山口氏を応援するプラカードを支援者に持ってもらって、写真撮影してインスタグラムに投稿することを企画したり、インスタライブを提案して実行したりしたことを認めており、主体的・裁量的にSNSを運用した疑いがある。
一方、山口氏の事務所では、撮影や編集を一任していたことは認める一方、「動画撮影と加工」「撮影写真のピックアップ(選択)と補正」といった業務を記した指示書を毎日、業者側に渡しており、編集された動画をチェックし、映っている人の顔を消したり、音楽を差し替えたりするよう指示をし、配信も山口事務所側が行っていたことから、裁量権は山口氏側にあったとして、公選法違反を否定している。
毎日、候補者側から業者に対して「指示書」が出されていた事実があり、それが単に、選挙運動への対価支払についての「言い訳」にしようとしただけのものか、実質的に陣営側の主体性・裁量性で行われていたといえるのかが公選法違反の成否に関するポイントとなる。
この件については、本稿執筆の最終段階の3月3日に、私と上脇氏とで、SNS業務委託と報酬支払の当事者等を徳島地方検察庁に公選法違反で告発した。
私も上脇氏も、この件で徳島新聞からの取材を受け、公選法違反の成否についてコメントを行っているが、その取材の過程で知り得た情報から、山口陣営から業者への「指示書」は、具体性を欠き、業者側の主体性・裁量性を否定するものと言えない可能性が高いと考えられる。
山口陣営において本件SNS運用委託を行った背景には、自民党本部から衆院選の各公認候補者に対してSNSを積極的に活用するよう指示があり、その際、公選法違反に問われることを防止するための対策として業者側に対して業務内容の指示を行うよう指導がなされていた事実もあるようだ。
これらからすると、SNS業務委託が公選法違反に該当する可能性は十分に認識されていたと考えられ、同衆院選における他の自民党候補者にも同種の問題がある可能性がある。これらの事情からすると、今後のSNSに関する公選法改正の議論にとっても重要だと考え、山口陣営によるSNS業務委託の問題について告発を行うことにした。
また、2025年2月に入り、週刊文春で、昨年の東京都知事選挙で小池百合子氏に次ぐ2位となり、SNSの活用が注目された石丸伸二氏に関して、投票日の2日前の決起集会のYouTubeチャンネルでライブ配信された映像の撮影と配信を担当した業者に対して、石丸氏側が97万7350円を「ライブ配信機材キャンセル料」の名目で支払っていたことが買収罪に該当する疑いが指摘された。
石丸氏側は、ライブ配信はキャンセルしたが、業者側がボランティアで行ったと説明している。しかし、一応契約はキャンセルしたとしても、実際に、映像の撮影と配信が行われたのであれば、キャンセル料の支払が、その対価ではないかが問題になる。
「キャンセル料」の金額が、事前に合意されていて、ライブ配信を行っても行わなくても、契約上支払は免れないという場合でなければ、実質的にライブ配信の対価に該当し買収罪が成立する可能性がある(すでに、市民団体と上脇氏が、公選法違反で刑事告発を行っている)。
このように、選挙でのSNSの活用をめぐって、様々な事例が問題となり、それが刑事事件として捜査処分の対象となって、事例が積み重なっていくことで、SNS運用に関する公選法改正の議論が深まっていくことになる。
公選法は、選挙運動の自由、表現の自由の保障との関係から、選挙に関する発言や表現の内容自体に対しては基本的に寛大である一方、選挙運動に関する金銭、利益のやり取りに対しては、「選挙運動ボランティアの原則」から厳しい態度で臨んでいる。
本来、選挙運動は、候補者本人と、その候補者を支持・支援する選挙運動者によって行われるものである。選挙運動にとって不可欠なポスター、チラシの制作等が公費負担の対象とされ、選挙カーの運転、ポスターの掲示等の機械的労務や、車上運動員(ウグイス嬢、手話通訳者)に対する所定の金額の範囲内での報酬支払が認められているが、それ以外は、選挙運動はボランティアで行うのが原則である。
判例上、買収罪との関係において、「選挙運動」は、「当選を得しめるため投票を得若しくは得しめる目的を以て、直接または間接に必要かつ有利な周旋、勧誘若しくは誘導その他諸般の行為をなすこと」とされている。
その定義によれば、特定の候補者の当選を目的として主体的・裁量的に行う(自分の判断で主体性を持って行っている)行為はすべて「選挙運動」であり、それに対して報酬を支払えば、告示の前後を問わず、上記例外を除いて、すべて、買収罪が成立する。
選挙運動は立候補届出前に行ってはならないという「事前運動」の規制との関係では、立候補予定者等が選挙準備として行う行為は、それを行わなければ立候補すること自体が困難なので、主体的・裁量的に行う行為であっても、「事前運動」の規制の対象にはならないが、それに対して対価を支払えば買収となる(逐条解説公職選挙法改訂版〈中〉129条〈事前運動の禁止〉)。
このように、選挙運動に対する対価の支払に対しては、現行法は極めて厳格であり、現行法上は、選挙コンサルタントやPR会社などが、有償で「業務として選挙に関わること」は、その実態が明らかになれば、大半が違法ということにならざるを得ない。
このような状況を受けての公選法の運用や立法論に関して重要となるのが、SNSを含めた選挙戦略に関わる選挙コンサルタントやPR会社に対する報酬の支払の事態である。それらのうちどの範囲が選挙運動の対価に当たり買収罪が成立するのかが問題となる。
投票の秘密が保障されて自由に投票できるのが選挙人の権利であるのと並んで、特定の候補者への支持を外形的に表現する選挙運動を行うことも国民の権利である。しかし、投票や選挙運動という権利は、誰からも利益を得ることなく行うことが大前提であり、それを有償で行うことは禁止されるというのが公選法上のルールであり、特定の候補者を当選させるための選挙運動を「業務として」行うことには、公選法上、大きな制約がある。
選挙コンサルタントというのは、「候補者に適した選挙キャンペーンのプランニング、アドバイス等を行うことで有権者の支持を拡大し、当選を果たすための、合理的な選挙戦略の策定をサポートする仕事」であり、それは、まさに「業務として選挙に関与し報酬を得る」という職業である。
それが、公職選挙に立候補しようとする者自身に対する助言・指導だけではなく、候補者の当選のため、選挙陣営内部に入り込んで、選挙全般にわたって、選挙参謀的に関わるようになると、選挙運動に限りなく近くなり、報酬の支払が買収罪に当たる可能性が生じる。PR会社が公職選挙における広報戦略を担う場合も同様だ。
選挙コンサルタントの活動に対する公選法違反の疑いが表面化したのが、2022年2月の長崎県知事選挙であり、前述したとおり24年11月の兵庫県知事選挙ではPR会社の選挙への関与が公選法違反の問題となった。
従前は、選挙コンサルタントは、「告示後は報酬を受け取れば公職選挙法違反になるので、告示前までは政治活動へのアドバイスに対する報酬」「告示後はすべてボランティア」という説明で通してきた。しかし、活動全体がボランティアというのであればともかく、候補者の当選をめざす一連の活動を、「告示前の選挙準備活動は有償」「告示後はボランティア」と切り離せるものではない。告示後の選挙期間中も選挙運動に直接関わることを前提に、告示前に報酬を支払ったのであれば、選挙運動者にその対価を供与したことになり、買収罪が成立する。
だからこそ、従前は、選挙コンサルタントの活動は、基本的に表に出ない形で候補者自身に対する直接の助言・指導が中心で、特に、告示後の選挙運動には直接関わらないのが鉄則だった。証拠が残らないようにすれば、「選挙運動には当たらない“告示前の活動”に対する報酬しか受け取っていない」と主張することができるからだ。それが、選挙を“生業(なりわい)”とする選挙コンサルタントの常識であり、身を守る術すべでもあった。
ところが、2つの知事選挙では、選挙コンサルタントやPR会社社長などが、業務としてSNSを含む選挙戦略の策定・実行に関わって候補者を当選に導いたことを公言し、それによって、公選法違反疑惑が表面化することになった。
かつては選挙のやり方は、選挙広報、法定の範囲内でのポスター、チラシ、街頭演説、選挙カーによる連呼、地縁・血縁を使った投票依頼など、限られたものでしかなかった。そうした中で、金銭を提供して有権者に投票依頼する「投票買収」を摘発・処罰することが、選挙違反の取締りの中心だった。
インターネット選挙が解禁されて10年あまり、選挙で有権者の支持を得る手段が多様化し、その中でSNSなどの活用が特に重要な手段になるのに伴って、そのような業務を専業とする業者が活動する余地が広がり、そのためのノウハウ、スキルを持つ業者の付加価値も大きくなっていく。それに対して有形無形に支払われる対価が大きなものになっていくのは必然だ。
そのような事態を放置すれば、専門業者に多額の報酬を支払えるかどうかで、選挙の勝敗が決することになり、公職選挙の目的を阻害することになりかねない。「業として選挙に関わること」を野放しにすることができない理由はそこにある。
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(郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原 信郎)

中井やまゆり園でまた虐待が発覚 侮辱的な発言や引きずり行為

神奈川県は31日、県立知的障害者施設「中井やまゆり園」(中井町)で、50代の男性職員2人が30代男性入所者の尊厳を傷つける発言をするなど三つの行為が虐待として認定されたと発表した。園では過去にも虐待が相次ぎ、外部アドバイザーを入れて支援の改善を図っていた。
県によると、2月12日午前、50代男性職員が、入所者が頻繁にトイレに向かう様子を見て「(犬などがする)マーキングなんてやめてよ」と発言。さらに別の50代男性職員と一緒に入所者の手足を持ち、居室の方へ約10メートル引きずった。その際に下着などがずれ落ち、下半身が露出したが放置して立ち去った。
目撃した職員から上司に報告され、園が障害者虐待防止法に基づき入所者が元々住んでいた自治体に通報。3月27日にこれら三つの行為が心理的・身体的虐待、ネグレクトと認定されたという。
記者会見した井上一園長は「(行為は)人権上問題がある。利用者を人間として見られていない状況だったと認識している」と述べた。
園では利用者を汚い環境で生活させたり、利用者の肛門にナットが入っていたりしたことなどが明るみに出て、2022年4月から利用者支援の改善に当たっている。【蓬田正志】