群馬・みなかみ町の関越自動車道下り線で56台が絡む多重事故 77歳女性死亡26人けが 上下線とも一部区間が通行止め

きのう夜、群馬県みなかみ町の関越自動車道下り線で乗用車やトラック56台が絡む事故があり、女性1人が死亡し、26人がけがをしました。
56台が絡む多重事故 1人死亡 26人けが
きのう午後7時半ごろ、群馬県みなかみ町の関越自動車道下り線で乗用車や大型トラックなどが相次いで衝突し、あわせて56台にのぼり、このうち10台以上が燃えました。
この事故で、東京・調布市の無職・脇田美雪さん(77)が亡くなったほか、26人がけがをして、うち5人が重傷です。
トラックがスリップして停止 後続車両が次々と…
警察によりますと、水上インターチェンジの出口付近で中型トラックがスリップして車線をふさぐように横向きに停止したところに大型トラックが衝突。後ろから来た車が、それを避けようとして次々と衝突したということです。
事故当時、群馬県みなかみ町には大雪警報が出ていて、路面が凍結していたとみられます。
ブレーキ踏むんですけど止まらなくて
事故に遭った人 「ブレーキ踏むんですけど止まらなくて、ハンドル操作ができないような状態で、どんどん(車が)突っ込んでいった」
関越道は新潟県の湯沢インターチェンジと群馬県の月夜野インターチェンジの間の上下線で通行止めとなっています。
警察は事故車両をレッカー移動する準備を進めていますが、解除の見通しは立っていません。

本州唯一の「クマなし県」、縄文時代まで遡っても痕跡確認されず…「仮に来ても定着しない」

東北地方を中心にクマによる人身被害が深刻化する中、千葉県は本州で唯一、クマが生息していない。過去の生息情報もない。クマがいる近隣都県の山林と県境の間には広大な市街地が広がっており、クマが県内に来にくい状況にあることなど、様々な理由が考えられる。(岡田優人)
「千葉にクマはいません。今後入ってくる可能性も低い」。県立中央博物館(千葉市中央区)の研究員・下稲葉さやかさん(45)はこう指摘する。下稲葉さんによると、県内では捕獲情報や、生息を裏付けるまとまった骨の出土など、クマに関する記録がない。明治から昭和の郡町村史や民話などにも生息情報は見当たらないという。
国内の野生のクマは、北海道のみに生息しているヒグマと、本州以南にいるツキノワグマの2種類。ツキノワグマは九州でかつて生息していたが、絶滅したと考えられている。四国では個体数が少なく、絶滅が危惧されている。
本州では本県のほか、隣の茨城県、大阪府はクマがいないとされていた。だが、茨城では2006年、車にはねられたとみられる死骸が見つかり、その後も目撃情報などがある。大阪では14年に初めて捕獲された。「クマなし県」は本州で千葉のみとなった。
県内では縄文時代にまで遡ってもクマの痕跡が確認されていない。
貝塚など、県内の縄文時代の遺跡からは、シカやイノシシなどの骨が出土している。全身の骨がまとまって出てきており、当時から遺跡の近くに生息していたと推測される。だが、クマについては、装飾品とみられる骨の一部は出ているものの、まとまった骨は出ていないという。
理由として、気温上昇で海水面が高くなる「縄文海進」の影響で、房総半島は当時、本州から孤立した「島」だったためとの説もある。だが、下稲葉さんは「よくわからないというのが正直なところ」と話す。
今後、クマがいるとされる東京都や埼玉県の西部、茨城県北部などから県内にたどり着く可能性も低い。県境は生息に適さない平野部であるうえ、市街地が広がっている。こうした「ハードル」を通過して県内に入るのは困難とみられる。
仮にクマが県内にたどり着いても、生息適地とされる森林面積が狭く、個体数を維持できるかは疑問という。県内の森林を構成している樹種には餌になるものがあるが、定着するには面積が十分ではないという。
下稲葉さんは「クマの能力を考えると偶発的に県内に来る可能性はゼロではないかもしれないが、仮に来ても定着しない」と指摘している。

火災発生もシャッター開かず…消防団車両が出動不能に 暗証番号一致せず 北海道・恵庭市消防

北海道・恵庭市消防本部は12月25日、島松出張所で車庫のシャッターが開かず、消防団車両が出動できなくなる事案があったと発表しました。
恵庭市消防本部によると12月23日、火災のため恵庭市南島松にある島松出張所に消防団員が集まり、消防団車両が格納されている車庫のシャッターを開けて入ろうとしたところ、扉の暗証番号が一致せず、出動することができなかったということです。
火災にはすでに別の部隊が出動していたため、消防団が出動できなかったことによる影響はありません。
恵庭市消防本部によると、電子盤の操作ミスにより暗証番号が変更されていた可能性があり、その影響でシャッターが開けられなかったということです。
今後は車庫から入る方法以外に、出張所の正面入口から入る方法を消防団に共有し、対策を講じるとしています。

《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」

12月19日、西東京市の一軒家で意識不明の野村由佳さん(36)ら親子4人が見つかり、搬送先で亡くなった事件。警察は当初から、無理心中をはかったとして捜査を進めていたが、事件から3日後に急展開があった。
事件後の家宅捜索で、警察が一家の自家用車から賃貸借契約書を押収。由佳さんが、住んでいた家とは別にマンションを借りていたことが判明した。さらに捜査官が3月から彼女の名義で借りられていたというマンションの一室を捜索したところ、クローゼットの中で会社員・中窪新太郎さん(27)が遺体で見つかったのだ。
捜査の鍵になった一家の車について、近隣住民はこう話していた。
「2~3年前までは黒のワゴン車に乗っていたと記憶しています。それがここ最近は、赤の軽自動車っぽい車が家の前に置かれるようになって、お母さんもそれに乗って出かけているのを何度かお見かけしましたね。彼女が使いやすいように乗り換えたのかもしれません」
中窪さんが亡くなった事案について大手紙社会部記者が話す。
「部屋のソファーには牛刀が残されており、中窪さんの遺体には10か所以上の刺し傷がありました。クローゼットはテープで目張りがされており、遺体には服が何枚もかけられた状態だったそうです。近くには消臭剤も置かれており、何者かが発見を遅らせようとしていた可能性もあります」
社会部記者によれば中窪さんは「奈良県出身で、都内の”中堅ゼネコン”勤務」だったといい、この部屋とは別の場所にも居住場所があった。野村由佳さんとは数年来の付き合いがあり、夫とは別の”交際相手”だったこともこれまでにわかっている。
発見当時、マンション居室には外から施錠がされており、鍵を持っている人物による犯行と推定された。捜査関係者は現在も、この殺人事件と親子4人死亡の関連を調べているという。
「腐敗が進んだ中窪さんの遺体を司法解剖した結果、死後10日程度が経過していることが判明した。防犯カメラなどを調べた結果、12月14日前後に死亡した可能性が高いということです。
一方で、16日には中窪さんの社用携帯電話から勤務先に『体調不良で休む』旨のメッセージが送信されています。何者かが生存を装ったとも考えられている」(同前)
警視庁が犯人の特定を急ぐなか、明らかになってきているのは野村由佳さんの”事件への関与”を示唆する不可解な行動だ。キー局社会部記者が言う。
「中窪さんの社用携帯電話が、野村さん一家の車の中から見つかっています。さらに遺体発見の5日前、野村由佳さんがマンションを出入りしている姿が確認されている。捜査関係者によると、由佳さんは空気清浄機のようなものを持ってマンションを訪れており、これと同じ清浄機と思われるものが、遺体発見時にも室内で稼働していた」

学習能力が極めて高いクマ、人の味も覚えるのか 専門家が語る特性

木の実の不作や人口減少などによって秋に市街地に大量出没し、人身被害ももたらした東北各地のツキノワグマ。今年の出没の背景や対策について学ぶ「医療と健康を考える集い」(大曲仙北医師会、仙北市医療協議会など主催)が11月、秋田県仙北市で開かれた。あきた森づくり活動サポートセンター情報専門員の菅原徳蔵さんがクマの特性を説明した。【構成・工藤哲】
「熊」という漢字は、「能」力のある四つ足動物であることを示している。つまり知能・学習能力が極めて高い。悪い学習をすればとことん悪いこともする。極めてまれだが、人の味を覚えると人を襲って食べるようにもなる。つまり「人食いグマ」にもなってしまう。
クマは絶えず学習するため、行動が変化する。箱わなの踏み板を踏むことなく餌だけ盗んだり、電気柵を突破したりする個体も出てきている。知恵がつくので、悪い学習をさせない対策が重要だが、残念ながら近年は悪い学習をされっぱなしなのが実情だ。
一度「おいしい食べ物」を学習すると、その食べ物に強く執着するようになる。トウモロコシや蜂蜜、スイカ、メロン、稲、米ぬか、玄米、精米、くず米、飼料用米、ブルーベリー、比内地鶏、牛の飼料、ソバの実、モモ、ブドウ、リンゴ、柿や栗も大好きだ。
こういう食べ物を口にすると、「人里にはおいしい食べ物が山ほどある」と学習する。(ブナの実が凶作だった)2023年と今年で多くのクマがこれを学習してしまった。
クマは食肉目に分類され、植物だけでなく、雪崩などによって死んだ鹿の肉なども食べるし、腐った肉も食べる。まず内臓を食べ、草木で餌を隠した後は何度もそこにやって来て食べる。またクマは、他のクマが糞(ふん)の形やにおいで何を食べているかを推測し、新たな味を覚えて広がっていくと言われている。
12年、岩手県遠野市で開催された「マタギサミット」では、ニホンジカが増え、クマが待ち伏せしてシカを襲って食べている、という「クマの肉食化」が話題になった。肉食化すると、家畜や人を襲うことにもつながりかねない。懸念が出た4年後の16年、秋田県鹿角市で4人がクマに襲われて死亡した。こういう「人食いグマ」は防御不能で極めて危険なため、現場周辺は現在も「入山禁止区域」になっている。
23年には、秋田市新屋や北秋田市の市街地にも出没するようになった。川伝いにやってきたとみられる。いったん市街地に出ると、隠れる場所や逃げ場がなくなったクマはパニック状態に陥る。そうなると行動が予想できなくなり、防御も捕獲も難しいので、多くの人を巻き込む多重事故が起きやすい。
今年も秋田県湯沢市中心部で4人が連続で負傷した。市街地でクマが動き回ると恐ろしい事態になる可能性がある。今年の人身被害は山ではなくほとんど人里で起きている。これまでとは次元が違う状況だ。年々クマが人に慣れ、人の食べ物への依存を深めることで、人身被害もエスカレートしてきている。
すがわら・とくぞう
秋田県横手市出身。京都大農学部を卒業後、1978年に秋田県庁に入庁し、2013年に山本地域振興局長で退職。山釣りの会「秋田・源流釣友会」を設立するとともに、全国のマタギが集う「マタギサミット」にも参加してきた。

どちらかが信号無視の可能性…2人乗りのバイクと車が交差点で衝突 バイクの10代後半位の男性2人が重体か

名古屋市名東区の交差点で27日朝早く、2人乗りのバイクと車が衝突する事故がありました。バイクに乗っていた男性1人が意識不明の重体、もう1人も重体とみられています。 警察によりますと、名東区の「名東本通4丁目」の交差点で27日午前4時半ごろ、2人乗りのバイクと普通乗用車が出合い頭に衝突しました。 バイクには17歳の男性2人が乗っていて、1人は意識不明の重体、もう1人も重体とみられています。車を運転していた女性(32)にケガはありませんでした。 現場は信号のある交差点で、警察はどちらかが信号を無視した可能性があるとみて、事故の原因を調べています。

「黒潮大蛇行」終息も伊勢エビ戻らず “天敵”ウツボが増えた…伊勢志摩の海の異変 アワビやサザエが姿消した“磯焼けの海”は回復するのか

今や災害級の暑さとなった日本の夏。
(街の人) 「40度は慣れられない。体が悲鳴をあげている」 「常に焦げそう」
夏の平均気温は3年連続で観測史上最高に。
そして海は…
(鈴木ダイビングサービス・鈴木勝海さん 三重・志摩市 ことし8月) 「全然冷たくない。生ぬるい」
(和具地区漁業権管理委員会・小川吉高委員長 三重・志摩市 ことし8月) 「(海水温が)30度あるぞ」
海水温上昇で「海に異変」
三重県志摩市の和具漁港周辺には、以前は少なかったサンゴ、沖縄の海にいるはずのグルクンなど南の魚が。日本近海は世界で最も海水温の上昇が激しく、それは海に異変を引き起こしています。
(和具地区漁業権管理委員会・小川委員長) 「海藻でこの辺もいっぱいだったけれど昔は…もう何もないわ。15年前くらい前からぼちぼち始まって、この10年で完全になくなった」
「海の砂漠化」でアワビやサザエが姿を消す
海藻を食べるウニや魚が増えたことで、海底が砂漠のようになっていく「磯焼け」が急速に進み、漁にも大きな影響が。
(海女・北井寿々美さん) 「1990年(平成2年)くらいからアワビが消えて、ことしはサザエがとれなかった。10月と11月は伊勢エビ漁も行っていたが(去年は)もうダメだった」
和具で例年、40トン近い水揚げだった伊勢エビは、去年わずか2トンに激減しました。
伊勢志摩で特に海水温が上がった原因と考えられるのが、2017年から7年余り続いてきた「黒潮大蛇行」という現象。
暖かい黒潮が紀伊半島沖で大きく南に蛇行して伊勢志摩周辺に流れ込み、この辺りの海水温を押し上げていたと考えられています。
「黒潮大蛇行」終息で海水温に変化は
そんな中…
(気象庁 大気海洋部・髙槻靖予報官 ことし8月) 「大きな蛇行になった所が、2025年4月で終息した」
ことし4月に「黒潮大蛇行」は終息していたと気象庁が発表。
4年前から海水温や藻場の状態の調査を続けている、三重大学の松田浩一教授は「大蛇行の終息で海水温が下がり始めている」と指摘します。
(三重大学 水産実験所・松田浩一教授 ことし8月) 「大蛇行がピークの時には、30度ほどあった水温ですので、ことしはずいぶん低いかなと」
“大蛇行の終息”で伊勢エビは?
海は元に戻るのか…12月11日、和具の伊勢エビ漁師・小川さんは漁に出ていました。
(和具地区漁業権管理委員会・小川委員長) 「波消しブロックが沈めてあるような場所。伊勢エビが生息している所で、以前はようけとれよった」
三重県の伊勢エビ漁は例年10月1日解禁ですが、小川さんたちはことし、資源管理のため解禁を3週間ほど遅らせました。前日に仕掛けた網を引き揚げてみると…
Q.今のところ伊勢エビどうですか? 「だめですね」
やはりほとんどとれません。
伊勢エビの天敵ウツボが増加
その一方で…
「あぶないよ。ウツボ、ウツボ」
網にかかるのは暖かい海にいるウツボ。伊勢エビの天敵です。
(和具地区漁業権管理委員会・小川委員長) 「ウツボここ多い。脱皮した伊勢エビとかが(ウツボに)食われることが多い」
この日の伊勢エビの水揚げ量は、和具漁港全体で61キロほど。去年よりは少し戻っていますが、全盛期に比べれば8割近く減ったままです。
伊勢志摩の海は戻るのか…
(和具地区漁業権管理委員会・小川委員長) 「自然だから仕方がない。戻ってこいと言うわけにもいかないし。これだけ少なかったら(伊勢エビは)”超”高級食材になってくる」
伊勢志摩の海は戻るのか…
(三重大学・松田教授) 「アラメとかカジメ(などの海藻類)は、胞子を海に放出するが、近くに親の海藻がないと種も届かないので、なかなか回復には時間がかかる」
海水温の上昇は、地球規模で今も進んでいます。

掃海艦、増やします!「けらま」進水で見えた海自の新方針 もがみ型護衛艦の“弱点”めぐる見直し

2025年12月、JMU横浜事業所の鶴見工場において、新たな掃海艦「けらま」が命名・進水しました。ただ、12隻調達したもがみ型護衛艦にも掃海機能が付与されていたはず。なぜ、もがみ型とあわじ型の平行整備になったのでしょうか。
もがみ型護衛艦を掃海に用いる際のウィークポイントとは
JMU(ジャパンマリンユナイテッド)の横浜事業所鶴見工場で2025年12月18日、海上自衛隊向けとなる掃海艦「けらま」の命名・進水式が実施されました。艦名の由来は沖縄県の慶良間諸島で、宮﨑政久防衛副大臣が同艦の命名書を読み上げています。
「けらま」は、あわじ型掃海艦の5番艦として、2022年度予算で建造が決まりました。建造費用は約134億円。2026年度中に就役する予定で、2025年度末に新編される「水陸両用戦機雷戦群(仮称)」への配属が計画されています。
あわじ型は当初、木造のやえやま型掃海艦3隻を代替するために計画されました。船体サイズなどがほぼ一緒なため、一見するとあまり変わっていないように映るかもしれませんが、最大の特徴は船体材料にFRP(繊維強化プラスチック)複合材料を採用している点です。
FRP製掃海艦は腐食に強いため、耐用年数が木造掃海艦の20年程度から、同艦では約30年まで伸びています。また、耐久性の向上に加えて、船体の軽量化とそれに伴う燃費改善も実現。そのため、やえやま型と全長や全幅などはほぼ変わらないものの基準排水量は1000トンから690トンへ大幅に減っています。
海自は、機雷の探知や掃海について、浅深度はもがみ型護衛艦が、深深度は掃海艦が担うことを目指しています。木造のすがしま型掃海艇(基準排水量510トン)に関しては、任務の一部をもがみ型FFMで代替できるため、隻数を減らしていく予定です。
ただ、もがみ型FFMは専用の掃海艦艇と比べて船体が大きく、小回りが利かないため、機雷が設置されているリスクが高いエリアで作業するには、掃海艦の方が向いています。加えて、もがみ型は船体が鋼製であるため、磁気に反応する機雷への対策が、木製やFRP製の専用に設計された掃海艦艇よりも劣っているという弱点も抱えています。
こういった点は、USV(水上無人機)やUUV(無人水中航走体)などで構成される無人機雷排除システムを持っていても拭い切れない、もがみ型のウィークポイントといえます。こうした点から掃海艦という艦種は今後も残り続けることが決まっています。
あわじ型の継続調達は日本造船界にとっても大事!
実際、防衛省は2022年末に策定した「防衛力整備計画」の中で、機雷戦能力を強化するため、掃海用無人アセットを管制する掃海艦艇を増勢する方針が明記されています。これらの方針に基づいて、あわじ型は2年に1隻ずつ整備が進められており、2024年度予算では6番艦の建造費263億円を計上。2026年度の概算要求には7番艦の建造費用342億円が盛り込まれています。
1番艦「あわじ」から3番艦「えたじま」までは2017年から2021年にかけて順次就役していましたが、4番艦「のうみ」が就役したのは2025年3月と建造の間隔が4年ほど開いています。このためJMU鶴見では、3番艦の竣工から4番艦の建造決定まで手持ち工事量が一気に減少する事態も起きていました。あわじ型はJMU鶴見が建造する最大の船種であることから、継続的な受注は操業の安定にもつながるでしょう。
今回、進水した掃海艦「けらま」は機雷戦装備として使い捨ての自走式機雷処分用弾薬(EMD)や新型可変深度式探知ソナー(VDS)システムOQQ-10、機雷捜索用水中無人機(UUV)OZZ-4などを搭載。これらに加えて情報収集ROV(隔操作型無人潜水機)も装備すると見られます。
海上自衛隊は2025年度末に護衛艦隊と掃海隊群を統合し、地方隊に所属していた艦艇も組み込んだ水上艦隊を新編する大規模な改編を行います。自衛艦隊の下に置かれる水上艦隊は第1から第3までの3個水上戦群と水陸両用戦機雷戦群、哨戒防備群などで構成されます。もがみ型FFMやさくら型哨戒艦は哨戒防備群へ配属され「けらま」をはじめとした掃海艦は水陸両用戦機雷戦群へ配属されることになります。
こうした将来の動きを鑑みると、次代の日の丸掃海部隊を背負って立つのが、「けらま」を始めとした、あわじ型掃海艦と言えるでしょう。(深水千翔(海事ライター))

仕留めたハンターが証言「毛が逆立って頭の大きさが倍に…しくじったら俺は」新聞配達員の命を奪ったヒグマと対峙した緊迫の瞬間 警察への通報は北海道で過去最多の5249件

2025年は、北海道だけでなく、本州各地でクマによる深刻な被害が相次ぎ、かつてないほどの死傷者が出ました。北海道では8月、知床の羅臼岳で登山客の男性が襲われて死亡。クマとの危険な遭遇は、もはや森の奥だけに留まりません。
住宅街や公園、そしてスーパー、動物園に至るまで、これまで安全と信じてきた日常のすぐ近くで、クマの存在は脅威となりつつあります。
北海道南部の福島町では2025年7月、新聞配達中の男性が、民家のすぐ前で襲われ、クマの犠牲となりました。緊張が強いられる現場で、クマと対峙した地元のハンターが、初めてテレビカメラの前で取材に応じました。
《「クマも興奮しているから毛が逆立って」男性を襲って草むらへ…》
2025年7月の朝、当たり前だった日常が突然、壊れました。居るはずのない脅威が、住宅地に現れたのです。
麻原衣桜記者(2025年12月取材)「今年7月、クマに襲われた死亡した男性の遺体は、この草やぶの中で見つかりました」
2025年7月、北海道南部の福島町で、新聞配達員の男性(52)が、住宅の前でクマに襲われ、命を失いました。男性を襲ったクマは、そのまま男性を近くの草やぶの中に引きずり込み、死亡させた後、姿を消しました。
クマが駆除されるまでの間、福島町は緊張を強いられることになったのです。
クマを駆除したハンター(70)「クマも興奮しているから、毛が逆立って、普通の頭の倍ぐらいの大きさで近寄ってきていたもんだから」
北海道ではヒグマの出没が相次ぎ、本州では東北や北陸地方などで、ツキノワグマによる被害が急増。死傷者は全国で230人を数え、2025年は、かつてない深刻なクマ被害と直面することになりました。
《「あり得ない場所で襲われた」男性を死亡させ、姿を消したクマ》
クマによる死亡事故を伝えるHBCニュース(2025年7月12日放送)「きょう未明、道南の福島町で新聞配達をしていた男性が、クマに襲われ死亡しました」
男性が襲われたのは、7月12日午前3時前の出来事でした。
目撃した人(2025年7月取材)「目の前にクマが人間の上にかぶさるような状態が見えた…そのうちにクマが人間を引きずって…」
死亡事故を受け、出動要請を受けたハンターの男性が、カメラの前で初めて取材に応じました。クマの駆除に携わり20年ほど。これまでに120頭以上を仕留めてきました。
クマを駆除したハンター(70)「驚きですね、まずは驚きました。まさか家のすぐ前で…というのがあって。(町では)ありえないところで襲われたっていうのが、率直な気持ちじゃないかな」
どこに潜んでいるのか、再び襲ってくるかもしれない。駆除までの間、福島町は、張り詰めた時間の中に置かれることになりました。
クマを駆除したハンター(70)「私の場合は(被害が発生した日から)ほぼ寝ている時間は2時間か、そんなもんかな…それぐらい現場と役場には詰めていました」
《畑を荒らし、金属製の扉も破壊…住宅地で出没を繰り返す》
7月12日に男性の命を奪ったクマ。襲撃後、その姿を潜める一方で、町の至るところに痕跡を残していました。畑を荒らしたり、住宅の間を歩き回ったり。人の暮らしのすぐ傍で、クマは出没を繰り返したのです。
クマに倉庫を荒らされた店長「主に段ボールとかプラスチックとか、食べ物と間違って(クマが)引きずっていっているのは間違いない」
クマにこじ開けられた金属製の倉庫の扉は、激しく壊れ、鍵の部分も大きく歪んでいました。
クマを駆除したハンター(70)「藪の中に入っている分に関しては、まだ何とか(駆除の対応が)できるかなという考えもあったんだけれど、家と家の間を縫うようにして歩くとか、そういう状況で発砲ができるかって言ったら、それはとても難しい話で…」「二度三度とチャンスはあったんだけれど、やっぱり発砲できないという難しさはありました」
住宅地での発砲はリスクもあり、簡単ではありません。福島町でクマによる死亡事故が起きた当時は、人命に危険が迫っていると、警察官が判断し、命じなければ、原則、発砲することができませんでした。
《「しくじったら俺はもうやられる」クマと対峙した緊張の瞬間》
取材カメラマン(2025年7月18日取材)「警察官などが集まっている状況で、あの林の中で確保されたという情報もあります」
事態は7月18日、死亡事故から6日後に動きました。ハンターの男性は、男性の命を奪ったクマと正面から向き合うことになったのです。
クマを駆除したハンター(70)「駆け付けたところ山の中で、バリバリバリバリ音がしていたから、ここにもう間違いないなということで…」
ハンターの男性が指示して、役場の車とパトカーが、現場付近を包囲。3メートルほどの距離まで、クマを引きつけたと当時を振り返ります。
クマを駆除したハンター(70)「クマも興奮しているから毛が逆立っているから、普通の頭が倍ぐらいの大きさで近寄ってきていたもんだから…。『でかい』という感じと『しくじったら俺は、もうやられるな』っていう感じがあった…できるだけクマを近づけました」
そして、ハンターの男性は、接近したクマと対峙して、躊躇うことなく引き金に手をかけ、発砲したと話します。
《「絶対に敵を取ってやる…」4年前に女性を襲撃したクマと判明》
福島町の防災無線(2025年7月18日)「ただいま、月崎地区にてクマ一頭を確保したのでお知らせします」
駆除されたクマは、体長2m8cm、体重218kgもある大きなオスでした。DNA鑑定の結果、新聞配達員を襲った個体であることが確認されます。それだけではありませんでした。4年前、当時77歳の女性を死亡させていたことも明らかになりました。
クマを駆除したハンター(70)「DNAの結果が一致したと言われたときには、正直言葉がなかったですね。(4年前に事故が発生した)あの時、おばあさんと約束した『絶対、敵(かたき)を取ってやるぞ』っていう…それが4年経ってようやく約束を果たせた」
《襲撃された登山客が死亡…札幌では男性が襲われるなど、被害相次ぐ》
そして、福島町での死亡事故から約1か月後のことでした。
中明寛人カメラマン(2025年8月14日取材)「道警のヘリコプターが引き揚げているのは担架に乗せられた人でしょうか」
8月14日、北海道東部の羅臼岳で、登山客の男性(26)が、クマによって命を奪われました。そして9月、札幌・西区の住宅街では、散歩中の男性が公園で、親子のクマに襲われ、重傷を負う事故が発生。
さらに11月には、札幌・中央区にある円山動物園にもクマが侵入。園内で大きな足跡が見つかり、動物園の防犯カメラには、クマの姿が記録されていました。
人の日常に接近し、脅威となりつつあるクマ。北海道警察に寄せられたクマ関連の通報は、2025年だけで5249件と過去最多にのぼり、道内の死傷者は6人となっています。
《「クマの分布は恒常的に市街地まで…」メスの割合上昇が影響》
こうした状況の中、道立総合研究機構では、体毛やフンなどからDNAを分析し、クマの分布や行動の変化を追跡しています。札幌の市街地や近郊に生息するクマのDNA鑑定を詳しく分析し、研究した結果、興味深いデータが浮かんで来ました。
2014年までの5年間、メスの割合は30%でした。ところが直近の5年間では53.5%までに上昇。この割合の変化に、いま研究者は注目しています。
道立総合研究機構自然環境部釣賀一二三シニアアドバイザー「最初は分散過程の若いオスが、市街地周辺に出てくるのが普通ですが、メスの個体がたくさん出て来るということは、かなり市街地までクマの分布が恒常的な形で迫っていることになります」「生まれる子供はメスと行動するので、例えば、メスがあまり人を気にしない個体だったり、家庭菜園に定着したりすると、その行動は子供に伝わっていくので、問題を起こすことになっていきます」
《「生態も行動パターンも変わってしまった」クマが日常の脅威に…》
北海道南部の福島町で2025年7月、そして4年前に人を襲い、2人の命を奪ったクマ。仕留めたハンターも警戒を強めています。
クマを駆除したハンター(70)「クマはもう生態も行動パターンも変わってしまっているから、それに、われわれは何とか追いついていかなきゃない。その難しさっていうのはありますね」
クマは、人の暮らしのすぐそばに、日常の脅威として存在し始めている。2025年は、その事実を突きつけられた1年となりました。
道立総合研究機構の釣賀一二三シニアアドバイザー(自然環境部)は、クマとの危険な遭遇や事故を防ぐために、次のような指摘や注意を呼びかけています。
▽市街地周辺だとしても、短期間にすべて排除することは難しい。▽周辺にクマがいることを前提に、しばらくは生活する必要がある。▽生ごみの管理などを徹底して、クマを寄せつけないこと。▽早朝や夜間など、クマが動き回る時間帯の活動を控えるなど。
【2025年12月26日(金)「今日ドキッ!」にて放送】

「出国税引き上げは不公平?」拭えぬ実質増税懸念

観光振興の財源確保のため、政府が出国税(正式名称:国際観光旅客税)を導入したのは2019年1月のことだ。出国税の税額は1人1000円とした。
しかし、最近、主にオーバーツーリズム(観光公害)問題対策の財源を確保するため、政府・与党が、2026年度から3000円に引き上げる案を軸に検討しているとマスコミ各社が報じている。ビジネスクラス以上の座席の利用客は5000円に引き上げるよう検討するとも報じられた。
出国税導入の際に、政府が公表している「国際観光旅客税の使途に関する基本方針」では、以下の3つの分野に税収を充当するとしている。
① ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備
② 我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化
③ 地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上
日本人にも出国税がかかる
24年度は訪日客が急増した効果で、過去最高の524億円の税収があった。出国者数が引き続きこの水準であれば、税額の引き上げにより年間1500億円規模の税収が見込める。
しかし、これに対して日本人からは不満の声が上がっている。出国税は日本人、外国人にかかわらず日本を出国する際にかかるからだ。航空機や船のチケット代に上乗せして徴収されている。
出国税がオーバーツーリズム等の対策にあてられるとすれば、なぜ日本人も支払わなければならないのかという疑問の声が上がるのも無理はない。
外国人専用の観光地はほとんどないであろうから、オーバーツーリズムによる問題の一因に日本人もかかわっていると言える。しかし、日本人が国外に出国する際に、国内のオーバーツーリズム対策費用を負担するというのは腑に落ちない。
また、外国人に税を課すなら常識的に考えて入国時が妥当ではないかと思うが、なぜ出国時なのかの疑問もわく。
空路で海外に出かける場合に、航空運賃のほかに空港使用料等が加算されて航空券の代金と一緒に支払うのが通常だ。出国税を設ければ、これに上乗せする形になり、徴収業務を航空会社に行わせることができる。徴収コストや手間がかからず、また徴収もれもない。しかし、入国時にこのような課税をするシステムは設定しづらい。
国際ルールで差別的扱いは禁止されている
では外国人だけ徴収することはできないのであろうか。これは国際ルール上できないとされている。差別的扱いとみなされうるからだ。シカゴ条約(国際民間航空条約)、IATA(国際航空運送協会)の運用ルールにより、国籍別課税はできず、また航空券システム上も非常に困難なのだ。