首都高6人死傷事故、運転手に懲役7年6月の判決 渋滞にトラック追突

首都高速道路で2024年5月、大型トラックが渋滞の列に突っ込み、3人が死亡、3人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などに問われた元トラック運転手、降籏(ふりはた)紗京(さきょう)被告(29)に対し、東京地裁は4日、懲役7年6月(求刑・懲役8年)の実刑判決を言い渡した。
公判では、降籏被告が事故前日に不倫相手と深夜まで無料通信アプリ「LINE(ライン)」でやりとりし、十分な睡眠を取らずに運転していたことが明らかになった。事故で夫の杉平裕紀さん(当時42歳)を亡くした智里さんは「懲役8年の求刑は決して十分とは言えないが、少しでも重い量刑が言い渡されて事故が一件でも減ってほしい」と願っていた。
起訴状によると、降籏被告は24年5月14日朝、体調不良だったにもかかわらず、大型トラックを運転。埼玉県戸田市の美女木ジャンクション(JCT)付近の首都高5号池袋線下りで、渋滞の列に時速75~80キロで追突して計6台を巻き込む事故を起こし、6人を死傷させたとされる。
検察側は公判で、降籏被告が事故の2日前から38度台の発熱や頭痛など風邪の症状があり、眠気を引き起こす成分を含んだ風邪薬を服用していたと指摘。事故直前、体調不良の影響で蛇行運転を繰り返していただけでなく、運転中に不倫相手にラインする「ながら運転」をしていたと主張した。
被告は公判で「たくさんの人の命を奪ってしまったことは重い責任がある」と謝罪。弁護側は被告が深く反省しており、勤務していた運送会社の勤務管理にも問題があったとして、寛大な判決を求めていた。【安達恒太郎】

厚労省の医師検索サイトなのに名前は出てこず…医師の「現況届」、免許登録者の4割が未提出

医師法で義務付けられている厚生労働省への現況届「医師届出票」の提出を怠る医師が相次いでいる。氏名や勤務先などを報告するもので、医師免許を取得して国に登録されている医師のうち、4割近くが提出していない。厚労省は「死亡などの事情があることも考えられる」として個別に催促などは行っていないが、届け出た情報は医師の偏在などの把握にも活用されるため、厳格な運用を求める声も上がる。(柏原諒輪)
厚労省は8月、診察していない患者に薬の処方箋を出したとして罰金刑を受けた99歳の男性医師に対し、医業停止2か月の処分を出した。厚労省の資料などによると、この医師は東京都港区のクリニック院長を務めていた2019年に、5回にわたって診察していない数人の薬の処方箋を出したとして医師法違反に問われ、東京簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。
関係者によると、この医師は医師届出票を提出しておらず、今回の処分が出るまでは厚労省の医師検索サイトで名前を調べても見つからなかった。港区によると、クリニックの運営実態を確認できなくなった上、院長とも連絡がつかなかったため、区が22年9月に廃院の手続きを取ったという。厚労省関係者は「当時、医師としての勤務実態はなかったようだ」と話した。
医師資格は取得して国に登録すれば生涯有効となり、更新の手続きなどは必要ない。その一方で、医師法は医師に2年ごとに、氏名や勤務している医療機関などの現況を記した医師届出票を厚労省に提出するよう義務付けている。
厚労省は届け出をもとに医師の業態や分布を正確に把握し、施策に活用している。厚労省が開設している医師検索サイトも届け出の情報がもとになっており、提出していない医師の情報は、処分者を除けば原則として検索しても出てこない。

だが、男性のように届け出を怠る医師は少なくないとみられる。厚労省によると、22年12月末時点で現況届を出した医師は約34万人だったのに対し、免許を取得して国に登録された医師数は約54万人に上る。届け出ていない約20万人の中には、死亡後や閉業後に登録抹消の手続きをしていない人も多数含まれると考えられるものの、厚労省幹部は「単に届け出を怠っている医師も相当数いるだろう。届け出義務が形骸化している」と話す。

厚労省、個別催促は行わず

厚労省はオンラインでも現況届を受け付けており、医師会などを通じて医師たちに提出するよう促している。ただ、未届けの医師たちへの個別催促などは行っていない。
この10年ほど提出していないという福岡県の40歳代の男性医師は「最初は忙しくて出すのを忘れただけだったが、催促もなかったのでずっと出していない」と明かす。一方、都内の40歳代の男性医師は届け出が義務だとは知らなかったといい、「確認したら勤務先が提出してくれていた。自分ではやったことがない」と話す。
医師法は届け出の義務違反者には50万円以下の罰金を科すと定めている。ただ、厚労省の担当者は「事件化された例は把握していない」としており、実際に未届けの医師が立件された例はないとみられる。
医師の倫理に詳しい元金沢大付属病院特任教授の野村英樹医師は、都市部などに医師が偏在する問題を解消する上でも、政府が国家資格である医師の実態を正確に把握する重要性を指摘。「一般市民からすれば、自分や家族が診てもらっている医師が厚労省のサイトで出てこなければ不安になるだろう。長期にわたって届け出義務に違反する医師には法に基づいて罰金を科すことなども検討すべきだ」と話す。

首相、定数削減「幅広い賛同を」 与野党で協議訴え、衆院本会議

高市早苗首相は4日の衆院本会議で、衆院議員定数削減について「できるだけ幅広い賛同を得ることが重要だ。各党とも真摯な議論を重ねていきたい」と述べ、与野党での議論の必要性を強調した。防衛費と関連経費を合わせて国内総生産(GDP)比2%増額目標を2025年度に前倒しする方針に関し、自衛隊の人的基盤強化などの経費が一定額に達するとして「結果として達成する」と明らかにした。
ガソリン税や軽油引取税の暫定税率の廃止に関し、与野党6党の税制実務者が廃止で合意した点に触れ「議論の結果をしっかりと踏まえて対応する」と明言した。給付付き税額控除の導入は「政府、与党だけでなく、野党も交え丁寧な議論を進める。さまざまな論点について早期に検討を進め、実現を目指す」とした。
核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加に関し「国際社会の情勢を見極めつつ、安全保障の確保と核軍縮の実質的な進展のために何が効果的かとの観点から、慎重に検討する必要がある」と述べた。

名古屋主婦殺害の安福容疑者…部活OB会で夫と会話し土曜不在を把握、持参した刃物で犯行か

名古屋市西区のアパートで1999年11月、高羽(たかば)奈美子さん(当時32歳)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された安福久美子容疑者(69)が、持参した刃物で刺したとみられることが愛知県警への取材でわかった。安福容疑者は、奈美子さんの夫が不在のタイミングでアパートを訪れており、県警は計画性があったとみて調べている。
県警によると、奈美子さんの死因は首などを刃物で複数回刺されたことによる失血死だった。当時アパートにあった包丁などの刃物は、使われたり持ち出されたりした形跡はなかったという。県警は2日に安福容疑者宅を捜索したが、凶器に使われたとみられる刃物は見つからなかった。
安福容疑者は奈美子さんと面識がなかったとみられるが、夫の悟さん(69)とは高校の同級生で同じ部活に所属していた。
関係者によると、事件5か月前のOB・OG会で安福容疑者と悟さんは二十数年ぶりに再会した。当時、不動産関係の会社に勤めていた悟さんは会合の中で、「土、日は仕事で火、水が休み」「結婚している」と話していたという。
悟さんによると、この時に安福容疑者は「私も結婚して仕事も家事もばりばりやっている。やりがいがある」と生き生きした様子で話していたという。県警はOB・OG会での悟さんらの発言を把握しており、安福容疑者も悟さんが不在の日を聞いていた可能性が高いとみている。
事件が起きた99年11月13日は土曜で、悟さんは仕事で留守だった。自宅は奈美子さんと当時2歳の長男の2人きりで、奈美子さんだけが襲われた。部屋にはむきかけのミカンやカップ麺があり、来客を待っていた様子ではなかったという。

首相、定数削減「幅広い賛同重要」=給付付き控除の実現目指す―高市政権で初の代表質問

高市早苗首相の所信表明演説に対する各党代表質問が4日、衆院本会議で始まった。自民党と日本維新の会が連立政権合意で掲げた衆院議員定数の削減について、首相は「できるだけ幅広い賛同を得ることが重要だ。各党各会派とも真摯(しんし)な議論を重ねていきたい」と表明した。給付付き税額控除について「早期に検討を進め、実現を目指す」と述べた。立憲民主党の野田佳彦代表への答弁。
高市政権の発足後、初の国会論戦。野田氏は自民の派閥裏金事件を踏まえ、企業・団体献金の受け皿を政党本部などに限定するよう迫った。首相は「自民と維新で政党の資金調達の在り方について議論する協議体を今国会中に設置する」などと述べるにとどめた。
野田氏は裏金事件に関係した自民議員7人を副大臣・政務官に起用したことを問題視した。首相は「それぞれの議員が丁寧に説明責任を尽くしてきた」と説明。裏金事件について「自民総裁として心よりおわびする」と語った。
野田氏は食料品の消費税率ゼロ実現への協力を呼び掛けたが、首相は慎重な考えを示した。事業者のシステム改修に時間がかかることなどを理由に「物価高対策としてすぐに対応できることを優先すべきだ」と述べた。
維新の藤田文武共同代表は与党入り後、初めて質問に立ち、維新の看板政策「副首都構想」の実現に向けた首相の基本姿勢をただした。首相は「早急に与党による協議体を設置する」と強調。「日本国国章損壊罪」制定への決意を問われたのに対し「実現に向けて政府として必要な取り組みを進める」と語った。
首相は憲法改正について「少しでも早く賛否を問う国民投票が行われる環境をつくれるよう粘り強く全力で取り組む」と述べ、重ねて意欲を示した。自民の小林鷹之政調会長への答弁。
首相が掲げる「責任ある積極財政」を巡り、立民の城井崇政調会長代行は財源を追及した。首相は「『経済あっての財政』の基本的な考え方の下、今後具体化していく」と明言を避けた。 [時事通信社]

「親権とられるくらいなら」生後3カ月の娘を包丁で殺害、容疑で母親を逮捕 心中試みたか

東京都世田谷区の自宅で生後3カ月の娘を殺害したとして、警視庁北沢署は4日、殺人の疑いで、職業不詳の鈴木沙月容疑者(28)を逮捕した。容疑を認めている。
北沢署によると、鈴木容疑者は夫と娘と3人暮らしだったが、夫は事件当時不在だった。鈴木容疑者は湯を張った浴槽内で、包丁を使って娘を殺したと説明しており、「主人と離婚協議中で、親権をとられてしまうくらいなら、娘を殺して自分も死のうと思った」などと話しているという。4日午前6時40分ごろ、「ごめんなさい。私は死ねなかった。赤ちゃんをやった」と自ら110番通報し、事件が発覚した。
逮捕容疑は3日深夜、自宅で、生後3カ月の娘、優愛(ゆあ)ちゃんの首や腹など十数カ所を刃物で切りつけて殺害したとしている。

維新・吉村代表「適法だが疑義もたれる」 藤田共同代表の“還流疑惑”について取材に応じる 「秘書の会社への業務発注禁止」党の内規新設の考え

日本維新の会の藤田文武共同代表の管理する政治団体の一部の支出が「税金の還流では無いか」と指摘されていることについて吉村洋文代表が取材に応じました。
吉村代表は「適法ではあるが、疑義をもたれる取引」だとして今後、日本維新の会に新たな内規を作る考えを示しました。
藤田共同代表は自身の秘書が代表を務める会社に2017年から24年までの「ビラの印刷」などの業務を発注し8年間で合計2100万円を支払っていたと認めています。
10月29日、しんぶん赤旗日曜版は、秘書が自身の会社から多額の報酬を受けていたことから「公金を還流している疑惑」があると報じました。
藤田共同代表は自身SNSなどで秘書の「兼職届」を衆議院事務局に提出しているなどとして「法的にも適正である」と発信しつつ、4日午後5時から記者会見を開き、改めて説明をする予定です。
吉村代表は藤田共同代表から直接説明を受けたといい「業務実態があり、法律の範囲内である」「藤田議員に共同代表の辞任などは求めない」としています。
一方で、秘書の会社への業務発注は「疑義が生じうる取引」だとして今後、日本維新の会に「秘書が代表を務める会社への業務発注は行わない」などとする内規を新設する考えを示しました。

西目屋村役場に子グマ侵入=すぐ逃走、被害なし―青森

4日午前9時50分ごろ、青森県の西目屋村役場1階ロビーにクマが侵入した。体長約50センチの子グマで、すぐに屋外に逃走した。1階執務室には来庁者や職員ら約20人がいたが、けが人や物的被害はないという。
村によると、住民課などが入る1階執務室にいた職員が、正面玄関の自動ドアに何かがぶつかる音に気付いてロビーに出たところ、外へと逃げる子グマの姿を確認したという。 [時事通信社]

AIや造船、17分野に重点投資=来夏に成長戦略、新会議を設置―高市首相「供給力を抜本強化」

政府は4日、高市早苗首相が掲げる「強い経済」の実現に向け、全閣僚による「日本成長戦略本部」の初会合を首相官邸で開いた。人工知能(AI)や造船など17分野を重点投資対象と決定。関係閣僚と有識者で構成する「日本成長戦略会議」を設置し、官民連携の投資促進策を検討する。来年夏に新たな成長戦略をまとめる方針で、一部の施策は策定を急ぐ総合経済対策にも盛り込む。
首相は戦略本部の初会合で「成長戦略の肝は危機管理投資だ」と強調。「リスクや社会課題に対して、先手を打って供給力を抜本的に強化する」と表明した。
17分野は、AI・半導体や造船のほか、航空・宇宙、フュージョンエネルギー(核融合)、防衛産業など。経済安全保障の強化や国土強靱(きょうじん)化につながる危機管理投資の対象として重点的に支援する方針だ。アニメやゲームといったコンテンツも日本の成長をけん引する産業として投資を強化する。 [時事通信社]

松江支部は「違憲状態」=参院選1票の格差訴訟

「1票の格差」が最大3.13倍だった7月の参院選は投票価値の平等に反し違憲だとして、升永英俊弁護士らのグループが選挙無効を求めた訴訟の判決が4日、広島高裁松江支部であり、寺本昌広裁判長は「違憲状態」と判断した。選挙無効請求は棄却した。
二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部に計16件の訴訟を起こしており、「違憲状態」は4件、「合憲」は4件となった。
最高裁が合憲とした2022年の前回参院選から制度の見直しはなく、格差が最大3.03倍からやや拡大したことの評価が焦点だった。
寺本裁判長は3倍程度の格差が9年間にわたって継続しているとして「是正すべき責務を国会に課すことが相当だ」と指摘。一方で「合理的な成案に達するにはなお一定の時間を要することが見込まれる」として、違憲状態にとどめた。 [時事通信社]