生活保護費、1人月千円増額へ 26年10月から、物価高踏まえ

政府は、長引く物価高を踏まえた生活保護費の特例加算について、2026年度から1人当たり月千円を増額する方向で調整に入った。関連費用を26年度予算案に盛り込み、来年10月から実施する方針。関係者が23日、明らかにした。
特例加算は23年度に月千円で始まり、25年度は500円上乗せして月1500円とした。政府は、食材費や光熱費などが上昇していることを考慮し、さらなる増額が必要と判断した。今回千円引き上げられれば、特例加算は月2500円となる。
具体的に増額となるのは、生活保護費のうち生活費に充てる「生活扶助」。

男女参画計画、年内策定見送り=旧姓法制化巡る調整難航―政府・自民

政府・自民党は、第6次男女共同参画基本計画の年内策定を見送る方針を固めた。計画のベースとなる男女共同参画会議の答申案に、高市早苗首相の掲げる「旧姓使用の法制化」が急きょ盛り込まれ、関係者間の調整が難航。年明け以降も文言修正を含め議論を継続する。複数の政府・自民関係者が23日、明らかにした。
同計画は、男女が性別にとらわれず個性と能力を発揮できる社会の実現に向け、今後5年間の政府方針、目標を定めたもの。閣議決定の越年は、2000年に1次計画が策定されて以来、初となる。
当初は、12日の参画会議で首相への答申を予定していた。しかし、事務方の判断で「旧氏使用に法的効力を与える制度の創設の検討」との文言が追加されたため、会議メンバーの芳野友子連合会長が「説明を受けていない」などと反発し、見送りとなった。
関連する22日の有識者会議でも、出席者から策定プロセスへの「疑義」が呈された。
答申案の扱いは、同会議議長を務める木原稔官房長官に一任となったものの、「高市カラー」の強い内容に、自民内でも異論が浮上。同計画を議論する23日の内閣第1部会などの合同会議は取りやめとなった。芳野氏は同日、首相官邸を訪れ、木原氏と面会した。答申案も話題になったとみられるが、芳野氏は内容を明らかにしなかった。
党関係者は「文言追加の手続きもおかしい。問題になっている部分は修正も検討している」と述べた。首相側近の一人は「越年は仕方ない。そんなに急ぐ必要もない」と語った。 [時事通信社]

コンサル会社代表を起訴=2.3億円脱税―大阪地検

法人税や消費税計約2億3700万円を脱税したとして逮捕されたコンサルタント会社「即決営業」(大阪市)代表の堀口龍介容疑者(49)について、大阪地検特捜部は23日、法人税法違反などの罪で起訴した。認否は明らかにしていない。
起訴状によると、堀口容疑者は経営する4社で販売促進費を架空計上するなどして法人税計約1億8600万円を免れたほか、架空の課税仕入れを計上する手口で即決営業の消費税約5100万円を脱税したとされる。
特捜部は、虚偽の請求書を堀口容疑者側に渡したとして知人の会社役員の男性(46)も逮捕していたが、不起訴(起訴猶予)とした。 [時事通信社]

自民と選挙協力「不可能」=維新・藤田氏、定数減巡り不満

日本維新の会の藤田文武共同代表は23日、東京都内で講演し、次期衆院選での自民党との協力は現時点で「不可能に近い」との認識を示した。衆院議員定数削減法案の審議が来年の通常国会に先送りされたことに関し、自民の対応を問題視した。
藤田氏は自維両党が多くの小選挙区で既に競合している点に言及。維新の対応として「(候補を)降ろしたり選挙区を変えたりすることは難しい」と述べ、候補者調整に否定的な考えを明らかにした。
定数削減に関しては、自民内に多数の反対意見があったとした上で「いったん決まったら関係者全員が実現に向けて取り組むのが信頼関係ではないのか」と指摘。「自民の皆さんには胸に手を当てて考えていただきたい」と訴えた。通常国会で法案成立を目指す方針も重ねて強調した。 [時事通信社]

「ふげん」でトリチウム水漏れ 作業員被ばくなし、福井・敦賀

日本原子力研究開発機構(原子力機構)は23日、廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)で、放射性物質「トリチウム」を含む水が漏れたと発表した。近くにいた作業員3人に被ばくはなく、外部への影響もないという。
原子力機構などによると23日午後3時20分ごろ、原子炉補助建屋3階で試験装置の解体作業中、作業員が配管を切断したところ、約20ミリリットルのトリチウムを含む水が漏れた。
漏れた水のトリチウム濃度は不明。このトラブルにより室内の放射能量は、国への報告が必要な基準の約10倍まで上昇したとみられる。室内はビニールで養生していた。
原子力機構によると作業の再開時期は未定だが、2040年度までの廃炉完了に影響はないとしている。

次席検事「虚偽と言えるか疑義ある」 大川原冤罪、告発対象の報告書に

化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件の捜査を巡り、検察審査会が「不起訴不当」と議決した警視庁公安部捜査員(当時)の3人について、東京地検は23日、再び不起訴処分(容疑不十分)とした。虚偽有印公文書作成・同行使容疑での刑事告発に対する捜査は終結した。民事訴訟では違法捜査が認定されたが、刑事事件として個人の責任が問われることはなくなった。
地検の市川宏次席検事は取材に、告発の対象となった報告書が「虚偽と言えるのか疑義がある」と理由を説明した。
大川原化工機側は①捜査を指揮した警部と部下の巡査部長が不正輸出の対象となった装置の温度実験で、立件に不利な結果が出た回収容器の実験データを報告書から削除した疑い②元取締役の取り調べを担当した警部補が供述調書を過失で破棄したとする虚偽の報告書を作成した疑い――で刑事告発した。
地検の不起訴処分に対し、①を審査した東京第6検察審査会は9月、公安部の捜査を「立件ありき」と指摘し、虚偽の公文書が作成されたと認定した。また、②を審査した東京第4検察審査会は2月、「調書の破棄は過失」とした警部補作成の報告書の内容について「虚偽」と言及した。
地検が①で報告書を虚偽として捜査員を起訴するには、回収容器が「装置の内部」ということを立証する必要があった。地検は捜査員には「装置の内部」という認識がなかったとし「実験データが必ず報告書に記載すべき事項だったとは認められない」とした。
②も報告書を虚偽とするには、警部補が故意で調書を破棄し、それを隠すためにうその内容を書いたことを立証する必要があったが、地検は「隠蔽(いんぺい)や虚偽記載の意図を認定するのは困難」と説明した。
捜査終結を受け、大川原化工機の大川原正明社長(76)は「検察は組織を守るために身内の悪に目をつぶったのだろうか。残念であきれるばかりだ」とコメント。代理人の高田剛弁護士は「不起訴不当でも強制起訴を可能とする制度改正が必要」とした。
民事訴訟では公安部の逮捕や地検の起訴を違法とし、東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた東京高裁判決(5月)が6月に確定した。警視庁と最高検はそれぞれ検証報告書を公表し、幹部が大川原化工機側に謝罪した。【岩本桜、北村秀徳】

「ふげん」トリチウム水漏れ、配管切断中にしたたる 外部へ漏れなし

福井県と日本原子力研究開発機構は23日、廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」(同県敦賀市)で、配管を切断する作業中に放射性物質「トリチウム」を含む水が漏れたと発表した。作業員は二重の手袋を着用するなどしており、被ばくはなかった。
県などによると、原子炉補助建屋内でこの日午後3時18分、不純物の測定などに使う装置の配管を切断した際、配管内に残っていたトリチウムを含む水約20ミリリットルがしたたり落ちた。漏れた放射能量は、国への報告基準の約10倍の4000万ベクレルと推計している。作業現場はビニールハウスで覆っており、外部への放射性物質漏れはない。
装置は1994年以降使われておらず、配管内の水抜き作業は済んでいた。【高橋隆輔、萱原健一】

【原発】再稼働「地元同意」も…山積する課題 避難道路の整備や東電の信頼性は《新潟》

花角知事が再稼働を容認する前提として国に求めた7つの項目。「地元同意」が完了してもなお避難道路の整備など課題は残されたままです。
赤沢経済産業相と面会した花角知事。手渡した回答書には国に求める7つの項目が記されていました。
〈花角知事〉
「最終的には7つの項目について国の対応を確認したうえで了承するということに結論に達した次第」
柏崎刈羽原発の再稼働を容認する前提として花角知事が挙げた7つの項目。その一つが避難道路の整備です。原発から6方向の放射状に延びる避難道路については全額国費で整備することが決まっています。ただ、完成まで10年以上かかることも予想されています。とくに懸念されるのが大雪と原発事故が重なる複合災害です。
2022年12月には大雪の影響で柏崎市の国道8号で大規模な車の立往生が発生。避難の課題が浮き彫りとなりました。花角知事は「避難路の整備促進」や「除雪体制の強化」などを国に求めています。
〈赤沢亮正 経済産業相〉
「避難する経路の整備促進や、除排雪体制の強化などに向けて県、関係省庁と連携しつつできる限り速やかに整備を推進してまいります」
さらに花角知事が求めたのは東京電力の信頼確保に向けた取り組みです。東京電力をめぐってはIDカードの不正使用や核セキュリティの不備など問題が相次いで明らかになりました。
〈東京電力 小早川智明社長(2021年当時)〉
「大変なご心配をおかけしましたことにつきまして会社を代表して心よりお詫び申し上げます」
〈花角知事(2021年当時)〉
「東京電力の信頼性現状でも信頼性はなかなか回復していないと思っています」
県が行った調査では「東京電力が柏崎刈羽原発を運転することは心配だ」と答えた県民は約7割に上ります。
赤沢大臣は内閣官房副長官をトップとする「監視強化チーム」を新たに設置したことなどを花角知事に伝えました。
〈花角知事〉
「ぜひとも着実に、そして確実に実施していただきたい、取り組んでいただきたい」
1月にも再稼働が見込まれる柏崎刈羽原発。避難道路の整備や東京電力の信頼回復など課題は残されたままです。

特別支援学校生の除外、半世紀前から 史料に「少数例外者でしか…」

文部科学省が特別支援学校(特支)の卒業者数を除外した18歳人口で大学進学率を算出していた問題で、同様の算出方法が遅くとも1972年には導入されていた可能性が高いことが毎日新聞の調査で判明した。
これまで文科省は99年には不適切な算出が始まったとの認識を示していたが、半世紀以上前までさかのぼることになった。
旧文部省の施策などを取りまとめた72年発行の「学制百年史」に記載された大学進学率も、特支(当時の盲・ろう・養護学校)卒業者を除外して算出していた。
学制百年史は著作権を旧文部省が所有し、帝国地方行政学会(現ぎょうせい)が発行。高等教育の普及状況を紹介するページで、大学進学率について「71年度における大学および短期大学の入学者の同一年齢層に占める比率は26・8%に達した」との記載がある。
この数値は「大学・短期大学入学者」を「3年前の中学卒業者」で割って算出されている。
学校基本調査によると、68年度の「中学卒業者」は184万6787人で、特支中学部卒業者は4738人。特支を分母から除外して計算すると百年史記載の26・8%になり、特支を含むと0・1ポイント下がって26・7%となる。
学制百年史には、障害のある児童生徒の教育に関して「何といっても少数例外者でしかない障害児たち」という表現もあった。差別的と読み取れ、障害児が軽視された時代背景が算出方法に影響した可能性もある。
92年発行の「学制百二十年史」にも大学進学率について「大学学部入学者数を3年前の中学校卒業者数で除した(割った)比率」との定義が記載され、特支の卒業者を含まない数値で進学率が算出されていた。
特支卒業者を除外した大学進学率は99年度の学校基本調査報告書で初めて登場。54年度分までさかのぼって掲載されている。
99年に旧文部省幹部だった元職員は毎日新聞の取材に対し「99年以前から同様の算出方法が続いており、前例踏襲した」と証言した。
文科省は54~2024年度の71年間に除外された特支卒業者の総数は約46万人いるとし、18歳人口に特支卒業者を含む形で過去にさかのぼって再集計している。また、18歳人口のほかにも複数の調査や統計で特支の児童生徒が対象になっていないケースがあることも判明した。【斎藤文太郎】

銃口の50センチ先にクマの顔、「やられる」と片手で発砲し命中…緊急銃猟で出動の隊員「こんなところに出てこなければ」

「銃口の50センチ先にクマの顔が迫った――」。今年、富山県内で相次いだクマの緊急銃猟。実際の現場は、どのようなものなのか。11月に砺波市の納屋に入り込んだクマを撃った猟友会員や市職員らの証言を基に、緊迫した当時の模様を再現した。(源一秀)
11月10日午前6時15分頃、庄川町古上野でのクマの目撃情報があった。市は、非常勤公務員として市の「鳥獣被害対策実施隊」に参加する猟友会員にSNSなどを通じ出動を要請。男性隊長を含む5人が応じた。
クマが出没したのは民家が散在する田園地帯。警察官約10人、市職員6人とともに、5人は一帯の捜索にあたった。ほどなく田んぼにクマの足跡が見つかる。足跡が続く先の民家に急行した。
午前7時5分頃、男性隊員が、民家の生け垣に潜む黒い影を発見した。この隊員は狩猟歴37年。これまでにクマを3頭仕留めたベテランだが、許可が出るまでは発砲できない。
冷静にスマートフォンを取り出し、SNSで他の隊員らに「いました」と報告。「役に立たないだろう」と思いつつ持ってきた護身用のスコップを握り直し、物陰に身を隠した。
一同が集結した時、クマの姿はなかった。だが、民家の敷地のどこかにはいるはずだ。緊張が高まる。
午前8時5分、緊急銃猟が許可された。慎重に敷地内を調べると、納屋の中にクマの気配が確認された。
納屋の入り口は2か所あり、開いていた引き戸から侵入したようだ。隊長が様子をうかがいながら、素早く戸を閉め、納屋に閉じ込めた。
「君がやってくれ」。最初にクマを見つけた隊員が隊長から指名された。
隊員は納屋の地上約1メートル80の高さにある小窓からクマを狙うことにした。撃ち損じてもクマの向こう側に壁があり、弾が突き抜けても射程内にほかの民家はない。また、撃ち下ろせるポジションなので、撃ち手もある程度安全だ。
納屋には鶏舎だった小屋が隣接している。小窓に近づくため、隊員は脚立で鶏舎の屋根によじのぼり、腹ばいになった。「クマが動いても動かなくても、見たら撃て」と隊長。ハンターに人気の高い米国製猟銃「レミントン1187」を握り、大型獣に使う一発弾「スラッグ弾」2発を込めた。
小窓を開け銃口を先に突っ込み、そっと中をうかがうが、いない。
そう思った瞬間、真下の棚の陰からクマが立ち上がった。完全な死角だった。
「やられる」。クマの牙、爪の鋭さ、俊敏さは熟知している。不意をつかれ、「左手が銃を握っていない状態」で、反射的に右手で引き金を引いた。その一弾はクマの顔に命中。あおむけに崩れ落ちた。
納屋に入ると、クマの体はわずかに動いていた。別の隊員がとどめの1発を頭部に放ち、午前8時35分、任務は完了した。全長約1メートル30、体重70キロのメスの成獣だった。
「かわいそうだな。食ってやることもできない」。そんな感慨が隊員の頭をよぎった。通常の狩猟の獲物は食卓に上るが、市鳥獣被害対策実施隊で駆除したクマは焼却か埋却処理される決まりだ。
当時、敷地内の2本の柿の木には、実がたわわに実っていた。腹をすかせて食べに来たのだろうか。「こんなところに出てこなければ」。隊長も、どこかむなしさを感じたという。
市農業振興課によると今月19日現在で、市内での過去5年間の銃によるクマ駆除は2件目。今年は9年ぶりに山間部でわなによる捕獲も実施し、これまでに6頭を処分したという。