延べ棒状の金塊に偽の刻印を施し正規品として販売したとして、警視庁特別捜査課は、詐欺などの疑いで、中国籍の会社役員、楊暁東容疑者(39)=東京都渋谷区=ら男女8人を逮捕した。特捜課は8人の認否を明らかにしていない。昨今の金価格の高騰に乗じたとみられる。
特捜課によると、楊容疑者のグループは、海外から密輸したり、特殊詐欺でだまし取ったりした金塊を複数のチームに分かれて業者に転売していたとみられる。同様の手口で3~7月、計約95億円を詐取したとみて捜査している。楊容疑者はグループをまとめる「指示役」とみられる。
楊容疑者ら8人の逮捕容疑は3~4月、共謀して、東京都千代田区の業者2社の店舗で、実在する業者の偽造刻印を施した金塊(計約37キロ)を売却し、両社から計約6億円をだまし取ったとしている。
特捜課によると、今年に入り、都内で発生した金塊を買わせる特殊詐欺事件を捜査する過程で、楊容疑者らが偽造刻印の入った金塊を販売している疑いが浮上。輸入する際に必要な消費税を納付せずに利益を得たほか、特殊詐欺で得た金を売却することでマネーロンダリング(資金洗浄)しようとしたとみている。
転売で得た利益の多くは暗号資産に換えられていた可能性もあり、特捜課は実態解明を急いでいる。
茂木外務大臣「撤回の必要ない」高市総理の台湾有事めぐる答弁で中国の抗議に反論
高市総理の台湾有事をめぐる答弁について、中国外務省が日本の金杉大使を呼び出し発言の撤回を求めたことに対し、茂木外務大臣は「撤回の必要はない」と改めて強調しました。
台湾有事で武力行使があった場合、集団的自衛権が行使できる「存立危機事態になりうる」という高市総理の答弁をめぐり、中国外務省はきのう(13日)、金杉大使を呼び出し厳重に抗議するとともに発言の撤回を求めました。
これについて、茂木外務大臣はきょう(14日)の会見で、「どういう場合に存立危機事態と認定され発動されるか、これまでも審議の中でしっかり説明している」と述べ、「中国の主張は違っていると反論した」と明らかにしました。
茂木敏充外務大臣 「存立危機事態に対する説明っていうのは明確でありまして、それ自体、何ら国際法に反するものでもありませんし、しっかり国会でも審議をして成立している法案でありますから、撤回する必要はないと。それは当然のことであります」
また、中国の薛剣駐大阪総領事がSNSに「汚い首は斬ってやるしかない」などと投稿したことについて、「日中関係の大きな方向性に影響が出ないよう、引き続き、中国側に適切な対応を強く求めていく」と強調しました。
その上で、外交官の受け入れ国が理由を告げることなく滞在を拒否することができる「ペルソナ・ノン・グラータ」について、日本から駐日外国大使館員に過去4件の通告事例があるとしながらも、薛剣氏が該当するかは言及しませんでした。
高市首相「私の代で突破口を開く」拉致問題解決への決意改めて強調 横田めぐみさん拉致からあすで48年
北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんが拉致されて15日で48年になるのを前に、高市首相は拉致問題解決への決意を改めて強調しました。
1977年11月15日、横田めぐみさんは、北朝鮮の工作員によって拉致されました。
高市首相は先ほど記者団の取材に対し、拉致問題解決に向けた決意を述べました。
高市首相(14日午後6時半ごろ、首相官邸)
「あらゆる選択肢を排除せず、何としても私の代で突破口を開きたい思いでいっぱいでございます。やれる限りのことをやってまいります」
高市首相はまた、「拉致問題の解決には一刻の猶予もない」と述べました。その上で、「金正恩委員長と首脳同士で正面から向き合い、具体的な成果に結び付けていきたい」と述べ、日朝首脳会談に改めて意欲を示しました。
立花容疑者の弁護人「自白勧めた」 示談持ちかけるも遺族は応じず
元兵庫県議に対する名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕された政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)について、刑事弁護人の石丸幸人弁護士は14日、容疑者が容疑を認めて謝罪する方針だと明らかにした。
動画投稿サイト「ユーチューブ」の自身のチャンネルで、今後の弁護方針として語った。
立花容疑者は昨年12月に選挙の街頭演説で、元県議の竹内英明さん(当時50歳)について「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」などと発言したとされる。さらに、竹内さんが死亡後の今年1月中旬には交流サイト(SNS)などで「竹内元県議は、どうも明日逮捕される予定だったそうです」と投稿するなどした疑いが持たれている。
容疑者は逮捕前に「違法性が阻却される根拠を持って発言している」と語り、自身の発信内容には真実相当性があったとの認識を示していた。
石丸弁護士は動画の中で「立花氏の一番のメリットになる方法を採るべきだということで、当初から自白を勧めていた」と説明。今後について「真実相当性は争わず、罪を認めて謝罪すべきことはする」と語り、この弁護方針に容疑者も納得しているとした。
その上で、竹内さんの遺族へ示談を持ちかけるほか、竹内さんに関する情報を容疑者に提供した人物に対しても連絡を取り、「立花氏に有利な動きを進める」と話した。
名誉毀損罪は発信内容に関し、真実相当性があれば罰せられないとされる。死後の人に対する罪が成立するには、発信者が内容を虚偽であると認識していた場合に限られる。石丸氏は立花容疑者に虚偽の認識があったかは言及しなかった。
立花容疑者はNHKの受信契約に関する個人情報を不正に取得したなどとして、不正競争防止法違反などに問われ、2023年3月に懲役2年6月、執行猶予4年とした1、2審判決が確定している。新たな事件で拘禁刑以上の実刑が確定すれば、執行猶予が取り消される。
竹内さんの妻の代理人弁護士は、容疑者側から示談を持ちかけられたが、応じなかったと明らかにした。その上で「略式起訴で罰金刑になれば、執行猶予の取り消しは裁判所の裁量になる。そのために示談を持ちかけてきたのではないか」と話した。【木山友里亜】
サッカー日本代表選手にストーカー容疑、65歳を逮捕 千葉
千葉県我孫子市出身で現在はフランスのスタッド・ランスで活躍するサッカー日本代表、中村敬斗選手(25)にストーカー行為をしたとして、我孫子署は14日、自称フリージャーナリストの川野美由紀容疑者(65)=さいたま市浦和区=をストーカー規制法違反の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は9日午後3時~10日午前2時5分ごろ、中村さんに対して交流サイト(SNS)のダイレクトメッセージ機能を使って複数回、好意を伝えたり、性的な関係を要求したりするメッセージを送ったとしている。
我孫子署によると、川野容疑者は「逮捕状に記載されているメッセージを送った記憶はありません」と容疑を否認している。10月に中村選手の関係者から警察に相談があり発覚した。2人は面識がなかったといい、我孫子署が経緯を調べている。
【林帆南】
炎上の車内から遺体 放火容疑の37歳、逮捕前「知人刺した」供述
高速道路で自損事故を起こした乗用車に放火したとして、大阪府警は14日、運転していた奈良県大和高田市の会社員、浜田達也容疑者(37)を建造物等以外放火の疑いで逮捕した。炎上した車内から男性1人の遺体が発見された。容疑者は「ガソリンをまいて火をつけた」と話しており、府警は殺人や死体遺棄容疑などを視野に調べる。
捜査関係者によると、容疑者は逮捕前の調べに「知人男性を刺して殺した」などとも供述しており、府警は車内で見つかった遺体が知人男性の可能性が高いとみて、慎重に裏付けを進めている。
逮捕容疑は3日午前4時40分ごろ、大阪府柏原市の西名阪道上り線で、自損事故を起こして停車中の乗用車に放火して全焼させたとしている。「火をつけて車ごと燃やしたことに間違いありません」と容疑を認めている。
府警捜査1課によると、容疑者は乗用車を運転中、路肩のガードレールに衝突する事故を起こした。その後、車両が炎上したという。
駆けつけた消防隊員が、焼けた車内の後部座席から50~60代とみられる男性の遺体を発見した。司法解剖の結果、死因は不詳で全身が焼損していた。容疑者も事故で負傷して病院に搬送された。
退院後の13日に府警が事情を聴くと、「私が無理やりガードレールに車を衝突させた。車内にガソリンをまいて火をつけた」などと話し始めたという。
府警は知人との間に何らかのトラブルがあったとみて、身元の特定を急ぐとともに詳しい経緯を調べている。
浜田容疑者の親族によると、容疑者は地元で整骨院などを経営する会社に勤め、店舗の院長として働いていた。この親族は取材に「職場の上司とトラブルがあったと聞いている」と話した。【斉藤朋恵、大坪菜々美】
<独自>PR会社が斎藤知事側に送付した見積書は3通あった 請求書にないSNS費用記載
昨年11月の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事の選挙期間中のSNS運用を巡り、陣営から報酬を受け取ったとして公選法違反(被買収)罪で告発され、不起訴となった兵庫県西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」の女性代表側が知事選前に、SNS関連の対価を含む3通の見積書を、斎藤氏側に送付していたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
最高300万円近く、プロジェクト名に「広報」
見積金額はいずれも200万円台で、最高は300万円近く。料金の違いはオプションによるもので、全ての見積書にSNS関連の費用を記載。共通するプロジェクト名として《兵庫県知事選挙に向けたブランディング・広報》と記されていた。
いずれも公表されていない3通の見積書の存在は、兵庫県警の捜査で浮上。結果的に斎藤氏側はSNS関連の費用を一切含まないポスターデザイン制作などの費用として計71万5千円をメルチュ側に支払った。この支出について、神戸地検は選挙運動の報酬には当たらないとして、女性代表と斎藤氏のいずれも不起訴とした。
女性代表が注目を集めるようになったのは、斎藤氏が再選された昨年11月の知事選直後のことだった。斎藤陣営の選挙戦を振り返る形で「広報全般を任せていただいた」と、投稿プラットフォーム「note(ノート)」に長文の記事をアップ。記事にはX(旧ツイッター)やインスタグラム、ユーチューブなどのSNS運用の方針が詳細に書かれていた。
ノート投稿記事炎上
選挙におけるSNS運用や戦略的広報の重要性を知ってほしいという女性代表の投稿は、その意図とかけ離れたところで炎上した。対価を得て広報=選挙運動を行っていれば公選法違反(買収、被買収)に当たるのでは、と疑惑を指摘する声がネット上で相次いだ。
自身の疑惑告発文書問題で失職に追い込まれ、それでもSNS世論を味方につけて知事に返り咲いた斎藤氏は喜びもつかの間、女性代表の投稿により、再び守勢に立たされることになった。
斎藤氏は「法に抵触することはしていない」と強調。後日会見した代理人弁護士も、女性代表が選挙期間中に行った陣営のSNS運用は、斎藤氏を支持する選挙運動員の一人としてボランティア(無償)で行われたもので、違法性はないと主張した。
斎藤氏の後援会からPR会社に支払われた71万5千円について、斎藤氏側はチラシやポスターのデザイン制作費など、いずれも支払いが許される「政治活動、立候補の準備活動の費用」で、知事選期間中のSNS運用の対価は含まれていないと強調した。
このとき、公表された請求書は5項目の費用から成り、それぞれの単価はPR会社から後援会に送られた見積書の1通と同じだった。
大きな相違点は、見積書に記載されていたユーチューブ用の動画撮影やインスタグラム投稿デザインといったSNS関連の費用が、請求書では除外されていること。プロジェクト名からは《ブランディング・広報》の文字が消え、《デザイン制作》に置き換わっていた。
有償から無償に…〝心変わり〟なぜ
公選法に抵触するかどうかは別として、PR会社から提案のあったSNS関連のオプションについては、単純に契約合意に至らなかったとみることもできる。
ただ、女性代表は見積もり段階で有償としていたSNSで使える動画の撮影や編集を、選挙に入るともっぱらボランティアとして無償で行ったことになる。これまで女性代表側は取材に応じておらず、これらの経緯は明らかになっていない。
斎藤陣営から支払われた71万5千円に、本当にSNS運用の対価の趣旨は含まれていなかったのか-。県警や神戸地検の捜査ではこれが大きな焦点になったが、地検は最終的に不起訴処分を決めた。ある検察幹部は「(SNS運用の対価という)交換条件があるような支払いをした形跡は、捜査の結果認められなかった」とした。
斎藤氏はこの間、女性代表との具体的なやり取りについて、自らの口ではほとんど説明してこなかった。
文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務めた奥谷謙一県議は、今回の不起訴処分について「詳細は把握していないので、知事からの説明を聞きたい」と話した。
また斎藤氏は、告発文書を作成した元県幹部の私的情報漏洩問題に関与したとする地方公務員法違反罪でも告発され、地検の捜査は続いている。
「腹はへこみ内臓は全部食べられていた」愛犬“ダイくん”をクマに殺された飼い主の慟哭「ダイを返せ、クマが憎い」「なんでこんな死に方してしまうんだよ……」
秋田県で飼い犬がクマに襲われる事態までが起きている。今年10月30日秋田県大館市で、クマに襲われ変わり果てた姿になった愛犬を、飼い主の男性が自宅敷地内で発見した。すでに死んでおり、内臓がすべて食べられていたという。飼い主はクマに対しての憤りを隠せないいっぽうで、「こんなことが起きるなんて前代未聞。次は自分かもしれない」という恐怖心もあると明かす。
【画像】空になった“ダイくん”の犬小屋、手前には血痕も。“ダイくん”が横たわっていた現場
「落ち葉をどかしてみると腹がへこんでいた」
10月30日午前6時半ごろ、秋田県大館市の北部にある民家で飼い犬がクマに襲われた。変わり果てた姿で見つかったのは、17歳でオスの柴犬・ダイくんだった。飼い主の60代男性Aさんは、「突然、日常がなくなりました。なぜうちの犬が……」と肩を落とす。
「敷地内にある農機具小屋の中に犬小屋を設置していて、ダイが夜は外でトイレするので開けたままにしていたんです。いつも朝5時半に30分くらい散歩へ連れて行んですけど、その日は私の仕事が休みだったもので午前6時半に散歩へ連れて行こうとしたんです。
小屋の前には小さな畑があって、ダイがそこに横たわっていた。いつも小屋の中にいるはずなのに、変だなと思った。お腹に落ち葉がかぶさっていて、落ち葉をどかしてみると腹がへこんでいた。内臓が全部食べられていたんです」
ダイくんの首輪につけられたリードはのび切っており、犬小屋の前にはダイくんのものと思われる血がついていた。ダイくんが横たわっていた畑には、クマのものとみられる足跡やフンがあった。
「ダイが横たわっているのを発見したとき、何が起きたんだってびっくりして言葉も出なくなった。実家の秋田に戻ってきて10年経つ。クマがここら辺に出ることはよくあったが、犬が襲われたりなんて一度も聞いたことがなかった。でもフンとか足跡を見て『クマがきたんだ』と理解した」
Aさんと同居する母親は午前2時ごろ、動物の悲鳴を聞いたという。だが、それが飼い犬のものとは思わなかったと話す。
Aさんは、ダイくんの遺体を発見後、すぐ近くの大館警察署に電話し、警察官2人が駆けつけてきた。その後、警察から連絡を受け、市の職員が1人遅れて来た。そして10人ほどの市の職員やハンターが集まり、Aさん宅の付近に箱罠を仕掛けたという。
市の職員らが何度も自宅を訪問し、署が付近の住民に注意を呼びかけるなど、「その日はバタバタした」とAさんは振り返る。
そして落ち着いたとき、ふとに涙が流れ始めたという。「なんでこんな死に方してしまうんだよ」と愛犬がいなくなった実感が湧き始めた瞬間だった。
「次に襲われるのは自分かもしれない」
ダイくんは、Aさんの父親が知人から引き取ってきた。Aさんは当時東京で勤務しており、帰省するたびにダイくんを可愛がっていたと言う。
「10年前にこっちに戻ってきて、そこから365日、毎日ダイの散歩をしていた。ハチャメチャな性格で、17歳なのに庭を駆け回って一人でも元気に遊んでいた。とにかく動き回ることが大好きで、近くに行くと『遊ぼうよ』『いつ散歩行くの』と甘えてきていた。朝散歩に行ったばかりなのにですよ。
もう歳だし、いつポックリいってもおかしくないけど、そんな衰えを感じさせないほど元気な犬でした。トイレは小屋を自分で出てちゃんと外でするし、賢い子でもありました」
ダイくんを襲ったクマの行方はいまだ不明だ。Aさんは、「相手は動物ですけど、やっぱり許せない気持ちはある。ダイを返せ。クマが憎いです」と憤りを隠せない。
そのいっぽうで恐怖心もあると明かす。
「次に襲われるのは自分かもしれないし、恐怖でいっぱいです。外に出るときがとにかく怖く、熊鈴や爆竹などを持っていますが、それも効果がない場合もあると聞く。ここまでクマが人里に来るのは初めてですよ。
もともとここら辺ではクマ除けのために犬を飼っている家も多い。クマはもうそろそろ冬眠間近ですが、よっぽどお腹を空かしていたのではないでしょうか。数年前から、チワワも1匹飼っていますが、チワワはまだダイがいなくなったことを認識していない。寂しいですよね本当に……。相棒だったのに……」
ダイくんは数日後、火葬され、骨は骨壺に入れられて家の仏壇に置かれているという。
秋田県でクマが犬を襲ったのは、今年度でダイくんが初めての事例だ。ただ、11日の午前11時ごろ、秋田市内では70代女性が飼っていた柴犬(4歳・メス)がクマに連れ去られたと110番通報があった。
秋田東署の発表では、70代女性が飼い犬の鳴き声を聞いて外を見ると、体長約1.2メートルのクマが犬小屋を引きずっていたという。
人だけでなく、大切なペットも襲うクマ。さらなる対策が必要だ。
※「集英社オンライン」では、クマについての情報、ご意見を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
老人施設で起きた高齢者35人なりすまし投票偽造 悪用の不在者投票制度、性善説は限界
7月投開票の参院選を巡り、大阪府内の住宅型有料老人ホームの関係者が、入所者35人になりすまして不正投票したという公職選挙法違反事件が発覚した。ここまで大規模な投票偽造事件の摘発は異例だが、福祉施設では過去にも同様の事件が起きている。外部の目が届きにくい〝密室〟的な環境で不在者投票制度が悪用されている形だ。専門家は「第三者の監督が必要」と性善説に基づく制度の限界を指摘する。
特定の候補者名記載
舞台となったのは、運営会社が同一の大阪府八尾市と同府泉大津市の住宅型有料老人ホーム。大阪府警が公選法違反(投票偽造)容疑で、両施設を統括していた元エリアマネジャーの30代男性ら関係者3人を書類送検していたことが、10月中旬に明らかになった。
男性の書類送検容疑は共謀し、両施設の50~90代の計35人の入所者になりすまして投票用紙に無断で特定の候補者名を記載し、選挙管理委員会に送ったとしている。男性らは入所者が不在者投票制度の利用を希望したと偽り、選管に投票用紙の交付を申請していた。
なぜこれほど大がかりな不正投票に手を染めたのか、動機などは明らかにされていない。
不在者投票は、投票日に仕事などで都合のつかない人が利用する印象が強いが、選管から指定を受けた病院や老人ホームの入所者も施設内で投票できる。
総務省によると、令和4年の参院選における、全国の指定施設は計約2万4千カ所。うち老人ホームは約1万3千カ所だった。大阪府内では今年7月時点で1247カ所の老人ホームが指定されている。
「立会人」細かな資格要件なく
こうした施設で不在者投票を実施する場合、入所者は「立会人」のもとで投票用紙に記入する必要があるが、立会人は選挙権があれば足り、細かな資格要件が定められているわけではない。
選管職員や選管が選任した人物が施設に赴く「外部立会人」の活用も推奨されているが、あくまで努力義務。複数の自治体関係者は「外部立会人の利用は、ほとんどない」と明かす。
八尾、泉大津の両市選管によると、今回の事件でも両施設は外部立会人を利用していなかった。施設の運営会社は事件について「(書類送検された3人の)独断による行為で、当社として指示・関与した事実はない」とするコメントを出しており、取材に対し、両施設の不在者投票の運用状況は「把握していない」とする。
仮に施設関係者が立会人となっていた場合、監視機能の形骸化は避けられない。こうした投票偽造事件は過去にも繰り返されてきた。
平成21年の衆院選では、入所者の意思を確認せず不在者投票制度を利用したとして、兵庫県警が公選法違反(投票偽造)容疑で介護福祉施設の副施設長ら2人を逮捕したほか、令和3年の衆院選でも、静岡県伊東市の高齢者施設の男性職員が同様に不在者投票制度を悪用したとして静岡県警に同法違反容疑で書類送検されている。
「施設内の監督、機能不全」
選挙制度に詳しい日本大法学部の安野修右(のぶすけ)准教授は、現状の仕組みでは「性善説に基づいた運用で、施設内への監督がほぼ機能していない」と指摘する。対策として、カメラなどを通じて選管側が施設内での投票の様子を遠隔で監督する仕組みの導入が考えられるとし、「外部立会人の利用をより促進することも含め、第三者が適正な投票が実施されているか確認できる環境を整備しなければ、不正を排除するのは難しい」と話している。(土屋宏剛)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
「『親権が…』『どうしよう、どうしよう』といつも悩んでいました。子どものことはしっかり考えていたと思っていたのですが、まさか自分で手にかけるとは……」──そう語るのは11月4日、生後3か月の長女・優愛ちゃんを自宅で殺害したとして逮捕された鈴木沙月容疑者(28)の知人である。
警察の取り調べに対して、「夫と離婚協議が進んでいて、親権を取られるくらいなら娘を殺して私も死のうと思った」などと供述している鈴木容疑者。聞けば、事件を起こす数日前に犯行につながるとみられる”ある出来事”があったという──。
大手紙社会部記者が話す。
「4日6時40分ごろ、所轄の警察署に容疑者本人から『赤ちゃんをやってしまった。私は死ねなかった』などといった通報があった。職員が世田谷区にある自宅アパートに駆けつけたところ、浴室の風呂蓋の上に乳児が横たわっており、その場で死亡が確認されました。遺体には包丁による数十か所の切り傷が認められた。
捜査関係者によれば、事件数日前も夫とのトラブルをめぐって110番通報があったそうです。警察は無理心中しようとしたとみて捜査を進めている」
警察発表では「職業不詳」とされているが、容疑者はYouTubeやTikTokで動画配信をするインフルエンサーだった。先天性骨形成不全症という病を患っており、車椅子生活だった。
今年3月には自身のSNS で、現在の夫と結婚したことを公表したばかりだったが、供述内容からもうかがえるとおり、夫婦生活は順調とはいえなかったようだ。冒頭の知人が明かす。
「警察沙汰にはもう1回なっているの」
「先月に入ってから『旦那から離婚したいと言われているけど、したくない。子どもがいるから』と相談がありました」
その後も、鈴木容疑者はこの知人に弱音を何度か吐いたという。
「”辛い”とか、何度かメッセージを送ってきたりもしたのですが、そこまで深刻な事態になっているとは思わなかったし、私もアドバイスくらいしかできることはなくて。相当、思い詰めていたんですね……」
容疑者と同じアパートの階層で暮らす住民は、夫婦関係についてこう話す。
「ご夫婦のことは春先から、数回見かけています。旦那さんが車椅子を押していることもありましたよ。怒鳴り合いや喧嘩とか、そういう目立ったトラブルはなかったですけどね……」
鈴木容疑者がファンに出産を報告したのは9月。子どもが生まれた後もSNSの投稿内容は前向きなものばかりで、特に変化は見受けられない。しかし心の内には闇が巣食っていたのか。今月に入り、鈴木容疑者の精神は限界を迎える。
知人に届いた「最後のSOS」