自民党総裁選の最有力候補とされる小泉進次郎農水相(44)。9月25日、小泉陣営で事務局長代理を務める小林史明衆院議員が記者団の取材に対し、週刊文春が報じた「ステマ指示」について事実関係を大筋で認めた。一体、「ステマ指示」とは、どのようなものだったのか。 「週刊文春」の記事 を再公開する。
9月22日に告示された自民党総裁選。その最有力候補とされる 小泉進次郎 農水相(44)の陣営が、ニコニコ動画に“ステマ”コメントをするよう指示するメールを出していたことが「 週刊文春 」の取材でわかった。
“ステマ”コメントをするよう指示するメールの送り主は牧島かれん事務所。牧島氏の父の故・牧島功元神奈川県議会議長は、小泉家に長年仕えてきた人物。娘の牧島氏も選対の「総務・広報」として、今回の小泉氏の総裁選を支援している。陣営関係者が語る。
「事務所からメールで『ニコニコ動画でポジティブなコメントを書いて欲しい』と、ヤラセの書き込みをするよう要請があったんです」
つまり、好意的な意見を書き込んでおくことで、世間にあたかも小泉人気が圧倒的だと思わせ、「だったら応援しよう」と仕向ける作戦だ。いわゆるステルスマーケティングの一種と言っていいだろう。
〈石破さんを説得できたのスゴい〉〈泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね〉
小誌はそのメールを入手。すると、そこには書き込んで欲しい〈コメント例〉として、
〈あの石破さんを説得できたのスゴい〉
〈泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね〉
などの歯の浮くような文言が、計24パターンも羅列されていたのである。そして何より目を引くのが、高市早苗候補への誹謗中傷とも取れるコメント例だ――。
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9月24日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および25日(木)発売の「週刊文春」では、総裁選の候補者の資質を徹底検証。小泉氏のステマ疑惑に加え、高市早苗氏に2千万円を寄附した男性の正体、林芳正氏が政治資金でフグやステーキ会食を頻繁に行っていたことなどを詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年10月2日号)
小泉氏陣営、称賛投稿を要請 文春報道、事実関係認める
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎農相の陣営が、インターネット上の配信動画に小泉氏を称賛するコメントを投稿するよう要請するメールを陣営関係者に送っていたことが25日分かった。今週発売の週刊文春が報じ、小泉氏陣営の事務局幹部を務める小林史明衆院議員が国会内で記者団に事実関係をおおむね認めた。
報道によると、小泉陣営の広報班長を務める牧島かれん元デジタル相の事務所が陣営関係者に「ニコニコ動画」にポジティブなコメントを書いてほしいとメールで要望。「総裁まちがいなし」や「泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね」などのコメント例を紹介した。
小林氏は「陣営としてルールを守ってやっていく方針を共有している」と述べた。
報道では、「ビジネスエセ保守に負けるな」という文例もあったとした。小林氏は「(総裁選候補で保守派の)高市早苗前経済安全保障担当相を批判したという意味では全くないと牧島氏も言っている」と語った。
クマが店舗出入り口に体当たり、盛岡駅から東に400mの市街地…けが人や店舗に被害なし
25日午後2時半頃、盛岡市大沢川原の市街地にクマ1頭が出没し、マンションに併設された店舗の出入り口に体当たりした。クマは南に立ち去り、けが人や店舗への被害はなかった。
盛岡東署や市によると、クマは体長約1メートルの成獣とみられ、ガラス張りの出入り口から店舗内に侵入しようとしたという。同日午後3時頃には、現場近くを流れる北上川の河川敷を南進するクマの目撃情報が同署に寄せられた。
今月からは市街地で猟銃を使ってクマなどを駆除する「緊急銃猟」が始まったが、盛岡市は「個体を確認できなかった」として、猟友会への出動要請などはしなかった。
現場はJR盛岡駅から東に約400メートルの市街地で、周辺にはマンションや子どもたちが通うスイミングスクールなどがある。同署は警戒を呼びかけている。
旧安倍派の会計責任者「還流再開を要望したのは下村博文氏」、大野被告公判で証言…下村氏は「事実全くない」
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた前参院議員・大野泰正被告(66)らの公判が25日、東京地裁(福家康史裁判長)であった。旧安倍派の松本淳一郎・元会計責任者(78)(有罪確定)が証人出廷し、同派から議員側へのパーティー収入の還流を再開するよう要望したのは下村博文・元文部科学相(71)だったと認めた。
同派では、パーティー収入のノルマ超過分を派閥から議員側に還流するなどし、派閥・議員側の双方が政治資金収支報告書に記載しない運用が続いていた。2022年4月に派閥会長だった安倍晋三・元首相の意向で中止が決まったが、同8月の幹部協議後に再開された経緯がある。
この日の公判で松本氏は、還流再開の経緯について、大野被告の弁護人の質問に答える形で説明した。「下村氏から議員にお金を返してあげてほしいと言われたか」と問われた松本氏は「はい」と述べた。「『(再開を)安倍氏が了承した』と下村氏から言われたか」との質問にも、「そうですね」と答えた。
その上で松本氏は、幹部協議で、下村氏が池田佳隆・前衆院議員(59)(政治資金規正法違反で起訴)への還流を要望したとし、再開が決まったとの認識を示した。
自身の公判で松本氏は、還流再開を要望した人物について「ある幹部」と述べるにとどめ、名前を明かしていなかった。
下村氏は今年5月、参考人として招致された衆院予算委員会で、還流再開を求める議員がいることを松本氏と安倍元首相に報告したとし、安倍元首相は「そうですか」と答えたが、それ以上のコメントはなかったと説明。その上で、「再開を求めるということではなかった」と述べていた。
下村氏は25日、自身のX(旧ツイッター)に、還流再開を要望した事実は全くないと投稿。「ノルマ超過分の還付(還流)を受けられないかとの声を松本氏に報告したが、還付再開を指示・決定する立場ではありませんでした」などと記した。
一方、松本氏はこの日、議員側に還流した資金について「政治活動や選挙に使ってもらいたかった」と語った。ノルマ超過分の還流を希望する議員が「結構な数いた」とし、大野被告についても「いた気がする」と述べた。
起訴状では、大野被告と元秘書の岩田佳子被告(62)が共謀し、18~22年に同派から受け取った計約5100万円を大野被告の資金管理団体の収支報告書に記載しなかったとしている。両被告は無罪を主張している。
山林に猟銃を放置したまま行方不明になった男 約2か月後に警察署に現れ無事確認…「私が銃を放置した」 銃刀法違反の疑いで逮捕
北海道函館市の恵山で7月、山林に猟銃を放置した疑いで、25日、52歳のハンターの男が、逮捕されました。
銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは、北海道北斗市に住む52歳のハンターの男です。
男は、7月15日午後5時ごろ、北海道函館市の恵山の山林に猟銃1丁を放置したままその場を離れ、自ら適切に保管しなかった疑いが持たれています。
警察によりますと、猟銃はライフル銃で、実包が1発が残されていたということです。
男は7月15日午前11時ごろ、「山に行く」と家族に告げて外出しました。
その後行方不明となり、捜索中の警察官が山林でケースに入っていない猟銃を発見しましたが、男の発見には至らず、捜索は7月17日に打ち切られました。
ところが、約2か月後の9月9日、男が「遭難者として捜索されていたので来ました」と函館中央警察署に訪れたことで無事が確認されていました。
警察は、山中に残された猟銃と男について捜査を進め、25日、容疑が固まったとして男を逮捕しました。
取り調べに対し男は、「私が銃を放置して、適切な保管をしなかったことに間違いはありません」と容疑を認めているということです。
警察は遭難の経緯や猟銃を放置した理由などについて、さらに調べを進めています。
オーバーツーリズムに困惑…各地でトラブル 「勝手に玄関を開けてくる」住宅の敷地“無断立ち入り”も
秋分の日の23日、東京・渋谷は深夜になってもかなりの人でにぎわっていました。ただ、今、一部の観光地ではオーバーツーリズムによる問題が起きているということです。地元住民からは困惑の声が聞かれました。
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23日は秋分の日。夜まで人であふれかえった東京の人気スポット。そんな中でも目立っていたのは、外国人の数です。
記者
「竹下通りは夜になっても道いっぱいの人でにぎわっています」
「渋谷のスクランブル交差点。多くの人でごったがえしています」
神奈川から遊びにきた人
「人が多いですね。外国人の方もすごく多い」
「もう半分以上は、そう(外国人)だと思う」
アメリカからの観光客
「ロサンゼルスやサンフランシスコも人は多いけど、ここは比べものにならない。100倍以上です」
外国人などの観光客が集中し、悪影響を及ぼしてしまう、いわゆる「オーバーツーリズム」。各地でトラブルも起きています。
23日、神奈川県鎌倉市にある、人気バスケ漫画「スラムダンク」の聖地には、写真を撮ろうとする多くの人の姿がありました。
「道路に出ないでください」と複数の言語で促す注意書きがありますが…。
記者
「歩道から出て撮影してしまっています」
「クラクションが鳴っています」
道路に出る人が続出し、危険な場面もありました。
オーバーツーリズムは、全国で問題になっています。
京都市中心部から、車でおよそ2時間。“日本のベネチア”とも称される、伊根町。近年「映えスポット」として観光客が急増するに伴い、住民を悩ます、ある問題が…。
記者
「今、正午を過ぎたところですが、細い道路を車が続々とやってきます。長い列もできています」
道幅が狭くなっている場所では、車のすれ違いでひやりとする場面も。歩行者のすぐ横を車が通る様子もありました。
去年は、人口のおよそ270倍、48万人が訪れたという伊根町。休日には“交通渋滞”が起きているのです。
地元の自治会長
「やはり(道が)狭いということは問題。私の家も車が出られないくらい車が混雑したり」
困りごとは車だけでなく…。住宅の敷地に無断で立ち入り、座り込む観光客の姿がありました。
地元漁師
「のんびりと暮らせません。家の前にも勝手に玄関を開けてくる外国の方もいますし」
町は、私有地に入らないよう注意を呼びかけています。
日本政府観光局によりますと、先月、日本を訪れた外国人の数は342万8000人で、8月として過去最高に。
東京・渋谷にある“外国人観光客向け”のバーは連日、大盛況だといいます。
バーの副店長
「毎日にぎわうので(店を)やってよかったなと」
訪日外国人の増加により繁盛する一方で、問題も起きているといいます。
バーの副店長
「(ゴミの)ポイ捨てとかがあったりして。オープン前にゴミを捨てるのが大変」
「日中はここ道になっていて、ポイ捨てはよくありますね」
(9月23日放送『news zero』より)
《占い師・濱田淑恵被告(63)の信者2人が証言》入水自殺させた信者の遺族年金880万円を偽装して受け取り…“創造神”が夜中の海で叫んだ「まさかの一言」
和歌山県で男性信者のAさん、Bさん2人に自殺をそそのかし、死亡させたなどとして逮捕された自称占い師・濱田淑恵被告。その信者である滝谷奈織(なぽり)被告は自殺ほう助などの罪に、寺崎佐和子被告は有印私文書偽造・同行使などの罪に問われ、それぞれ逮捕・起訴されていた。そして9月10日、滝谷、寺崎両被告の第2回公判が大阪地裁で開かれた。
信者だった両被告は、”創造主”を自称する濱田被告の強い精神的支配の下にあったといい、濱田被告の指示のもと、入水自殺の幇助や被害者の遺書の偽造などの犯罪に加担した。濱田被告は信者の前で性交してみせるなど、常軌を逸した行為をすることもあったという。
濱田被告に入水自殺を持ちかけられた時、滝谷被告は命令に従い、寺崎被告は断ったという。2人の話の内容からは、濱田被告による異様な支配の様子や、被害者2人の無念が浮き彫りになった裁判ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第3回。第1回から読む】
カルマの清算に2000万円
滝谷被告や寺崎被告ら、信者たちの生活費は、当初、濱田被告のカウンセリングによる収入によるものだった。しかし濱田被告の金遣いの荒さもあり、その後、信者たちは濱田被告の指示のもと、親族らに金を無心することとなった。
寺崎被告によると、「両親や寺崎被告のカルマの清算」などとして2000万円強、その他の用途も併せて合計で約3000万円を濱田被告に上納したという。逮捕時も濱田被告に渡すためとして、1500万円を用意していた。
またその間、技術者として高名であった被害男性・Aさんを中心に、オーディオの会社を設立していた。従業員はみんな信者であり、会社の売り上げは信者たちの生活費となった。後に寺崎被告が代表取締役を務めることとなったが、大型の案件が停止したことにより、事件前より経営は苦しくなっていた。
寺崎被告によると、濱田被告の身体には地球の神が降臨しており、人類と地球のカルマを清算していた。しかし、ある時から濱田被告のパートナー男性の身体に宇宙の神であるエロヒムが入ったことで、カルマの清算ができなくなったという。
弁護人は被告人らが信仰する世界について一つ一つ丁寧に質問していく。一般には理解が難しいと思われる内容であったが、寺崎被告はなんとか伝わるよう詳細に答える。その様子から、濱田被告が説いていた世界観は、確かに被告人らの中にある──あるいはあったのだろうと感じさせた。
無人の軽トラの下敷き、81歳死亡…ごみステーション近くの緩い坂道
23日午前6時5分頃、兵庫県加西市別府町の市道で、近くの無職男性(81)が自身の軽トラックの下敷きになっているのを近所の人が見つけた。駆けつけた消防隊員が救助したが、搬送先で死亡が確認された。
加西署の発表では、現場は緩い坂道。付近にごみステーションがあり、男性がごみを捨てている間に無人の軽トラがひとりでに後退し、車体の下敷きになったらしい。同署はサイドブレーキが十分にかかっていなかった可能性もあるとみて調べている。
「当たり前のように」我が子を滝つぼに 母娘、極限状態の引き揚げ
滝つぼに、生後間もない弟が着ていた水色の着物が見えた。「洋一、洋一だ!」。思わず叫ぶと、普段は明るく社交的だった母が、恐ろしい形相でにらみつけてきた。
「大きな声を出すな。おまえも落とすぞ」
山形県鶴岡市の斎藤幸子さん(86)は今でもこの光景が頭に焼きついて離れない。
先の大戦末期、日ソ中立条約を破棄して旧ソ連が攻め込んできた満州(中国東北部)から逃げる時の出来事だ。おなかをすかせた幼子が泣けば敵に見つかるかもしれない。生き残るため、親たちは我が子を滝つぼに投げ落とした。
斎藤さんは1939年、山形県庄内地方出身の両親が入植した満州で生まれた。両親は、食料増産やソ連との国境強化などのために国が送り込んだ農業移民「満蒙開拓団」の一員だった。山形県からは、最も多かった長野県に次ぐ約1万7000人が入植した。
同じ庄内出身の約20戸が集まる永安屯(えいあんとん)山形村で、一家は農業に従事した。次女と三女も誕生し、広大な草原に建ち並ぶれんが造りの平屋で暮らした。農耕用の馬がいて、豚や鶏を飼い、近くに住んでいる中国人たちが朝作ったシューマイを届けてくれた。穏やかで平和な毎日だった。
そんな生活が暗転したのは、優しかった父が44年3月に軍に召集され戦死してからだった。戦況は悪化し、45年8月9日には村にソ連兵が攻め込んできた。
過酷な逃避行が始まった。生まれたばかりの弟を抱え、着の身着のままで隣近所と馬車に分乗し、隊列を組んで集落を離れた。降り注ぐ爆弾と四方八方からの集中砲火に遭い、長老の命令で集落に引き返したが、家は壊され家財道具は何も残っていなかった。
再び集落を出てコーリャン畑を走り抜けていた夜、爆撃は妹2人が乗っていた馬車の馬に命中した。翌朝になって傷だらけの2人を見つけたが、母と背負って逃げる途中で息を引き取った。小さな亡きがらを前に悲しんでいる時間はなく、そばに生えていた野菊を供えて手を合わせただけで列に戻った。
銃撃のたびに次々に人が倒れ、母に手を引っ張られておびただしい死体をかき分けるようにして進んだ。生まれたての赤ちゃんがか弱い声で泣いていたり、人が木の下で首をつっていたり、自爆して集団で死んでいたりするのを見た。「終わりのない地獄のようでした」
持っていた食料は底をつき、雑草や木の葉を食べ、山ブドウのつるをかんで空腹をしのいだ。水たまりの泥水をはいつくばってすすり、おなかを壊した。
母親たちは飢えで母乳が出なくなり、空腹で乳児が泣けば敵兵に見つかると周囲にとがめられた。その場にいた4人の母親全員が一斉に、我が子をどーんと滝つぼに投げた。「自分の子を。それが当たり前みたいに」。斎藤さんは涙ながらに当時を振り返る。
6人家族は、斎藤さんと母の2人だけになった。逃避行の途中、母に肩車してもらって深い川を渡った先で、ぬれた着物を石の上で乾かしていると、突然、ソ連兵が発砲しながら接近してきて母に銃を突きつけた。
両手を挙げた母は「この子だけは助けてくれ」と叫んで懇願した。ここで死ぬんだと覚悟したが、捕まって捕虜になった。何時間も歩かされ、貨物列車に押し込められて移動を繰り返し、ハルピンの収容所に連行された。
夜になるとソ連兵がしのびこんで女性を連れていくため、母は髪を丸刈りにし斎藤さんを離さずに抱いて夜を過ごした。
しばらくして2人は解放された。石炭を拾って売ったり、物乞いをしたりして生活した。精米所に働きに出かけた母は、こぼれたわずかなコメを拾い集めて持ち帰り、空き缶でご飯を炊いた。
ようやく引き揚げ船に乗れることになり、日本に戻ったのは46年9月。旧満州の村を脱出して1年余りが過ぎていた。満蒙開拓団約27万人のうち、約8万人が戦闘や集団自決、餓死などで犠牲になったとされる。
故郷の山形に戻っても、苦労は続いた。母の実家に身を寄せたが、大家族の中での肩身の狭い暮らしだった。母は身を粉にして働き、斎藤さんは小学校に通いながら家事や農作業を手伝った。
中学を卒業して地元神社に就職した後、25歳で結婚したが、子に恵まれなかった。引き揚げ途中の劣悪な栄養状態に伴う発育不全が原因と分かり、打ちのめされた。
斎藤さんは「遺骨も何もない家族を供養したい」という思いから、92年に遺族会が主催した墓参りに初めて参加し、中国に渡った。家があった場所には何もなく、そこの土を持って帰ると、母は抱きしめて泣き伏した。
引き揚げの体験を口にしたがらなかった母は「命を大切にし、引き揚げてきた意義をよく考えることだ」という言葉を遺した。決死の思いで自分を連れ帰り、再婚もせず一心に育ててくれた母の強さをかみしめる。
斎藤さんは毎朝欠かさず、仏壇にご飯と水を供え、「洋一、ごめん」と手を合わせている。親が我が子を手にかけざるを得なかった極限状態。「戦争は弱い者を犠牲にする。二度と繰り返さないで」と訴える。
今ある平和の大切さが身にしみているからこそ、体験した事実を語り継いでいくと心に決めている。【長南里香】
斎藤元彦・兵庫県知事への不信任、県議会5会派が「適切」…「告発者捜し」は4会派が「問題」
斎藤知事の内部告発問題を巡り、読売新聞は兵庫県議会全6会派の代表者にアンケートを実施したところ、1年前に県議会が可決した斎藤知事への不信任決議について、5会派が「適切」「どちらかといえば適切」と回答した。このうち4会派が内部告発に関する斎藤知事の対応を問題だと指摘したが、再度の不信任決議案を検討しているのは1会派のみだった。
アンケートは今月3~16日、会派の代表者を対象に書面や対面で実施した。最大会派・自民党(36人)は「会派として統一見解を出せない」として各設問に対する回答理由(自由記述)は未記入で、一部の質問は無回答だった。
県議会は昨年9月19日、斎藤知事に対する不信任決議案を全会一致で可決。内部告発問題を調査する県議会百条委員会と県の第三者委員会はその時点で結論を出せていなかった。
不信任の判断が適切だったかどうかについては、自民と立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」(8人)と共産党(2人)の3会派が「適切」、第2会派・維新の会(18人)と第3会派・公明党(13人)が「どちらかといえば適切」と回答した。
県民連合の上野英一幹事長は「新年度予算編成は任せられないということで、タイムリミットが9月だった」と強調。自民のある県議は「当時は不信任案を出さざるを得なかったというのが本音だ」と語った。
「適切でなかった」としたのは、躍動の会(3人)。増山誠幹事長は、第三者委が今年3月に公表した調査報告書で斎藤知事の10件の行為をパワハラと認定したことなどを踏まえ、「第三者委員会の結論を待ってから出すべきだった」とした。
第三者委はパワハラの認定以外にも「告発者捜し」など県の対応を公益通報者保護法違反だと指摘したが、斎藤知事は「対応は適切」と違法性を否定している。
こうした斎藤知事の対応については、維新と躍動以外の4会派が「問題だ」「どちらかといえば問題だ」とした。公明の越田浩矢幹事長は「告発文の対応について、利益相反する知事自身が判断すること自体に大きな問題がある」とした。共産の庄本悦子団長は「自己保身しか考えていないと言わざるを得ない」とした。
維新は「どちらともいえない」と回答。佐藤良憲幹事長は「双方に傾聴すべき点があり、判断は難しい」と答えた。「問題ではない」とした躍動の増山幹事長は「最終的には司法の判断。知事が違法性を否定するのは考えがあってのことだ」と語った。
再度の不信任決議案などを検討しているかを尋ねたところ、共産が「不信任決議案を検討している」と回答する一方、維新と公明、県民連合、躍動の4会派は「検討していない」とした。ただ、県民連合は県議会で辞職を求めるべきだとして「最終的には不信任を出すべきだと思っている」と言及。自民の谷口俊介幹事長は「現時点では判断できない」として無回答だった。
議会とのコミュニケーションについて、斎藤知事は17日の記者会見で、「議会とは政策の対話が重要だ」と強調。県議会の代表質問や一般質問を挙げ、「そういった議会の場を通じてコミュニケーションを取っていくことも大事だ」と語った。