外国人規制の強化を訴える高市早苗首相への世間の期待は大きい。しかし、長期的な経済低迷により、日本そのものが外国人に「選ばれない国」になりつつあるのも事実だ。
「中国から来る技能実習生は激減しています。日本はもはや魅力がなくなっているのです」
アジア各国から技能実習生を受け入れ、日本企業に紹介している協同組合(東京都)の30代の男性理事は匿名を条件に明かした。
「技能実習1号」の中国人は2015年に3万8327人いたが、23年は3分の1以下の1万1347人まで減った。同じ時期に2倍以上増えて7万7634人となったベトナム人とは対照的だ。
彼らが日本で働く場合、給与は17万~18万円ほど。寮費や保険代などを引かれれば13万円から14万円ほどの手取りとなる。そこから母国に仕送りするのは数万円程度だ。
「中国だけでなく、カンボジアなどでも頭がいい人は、母国でも十分な給料をもらえるようになった。わざわざデカセギのため日本に来る必要がないんですよ」
この組合が近年力を入れているのはインドネシアだ。日本企業の担当者からも「まじめで素直だ」と評判がいい。ただ、「首都のジャカルタから来る人は減りましたね。もっと地方か、(辺境の)島の出身者が大半になっています」。
アジア各国の経済成長が著しい一方、日本は長らく不況に苦しむ。長期的な円安も続く。
最低賃金が上がったと日本で大きなニュースになったが、「シンガポールや台湾、韓国よりも賃金は安いままですよ」。
日本に来る技能実習生の質も下がりつつあると男性理事は指摘する。
「優秀な人が日本に来る理由はないです。全員がそうとは言わないが、能力が低い人、頑張らない人が増えているイメージは残念ながらあります」
技能実習生を雇うコストも高くなりつつあるが、それでも日本の企業から問い合わせは絶えない。
「日本では若い人がいないですからね。うちは北関東や愛知、岐阜などの企業に紹介することが多いです。企業の方からは、どの国でもいいから欲しいと言われてます」
主にフィリピン人を仲介している「ハヤテ・ジャパン」の木下龍二社長も抱える事情は同じだ。
「日本は稼げないということが広まってしまった。バブル経済の頃はみんな日本に行きたがったが、今は欧米やニュージーランドなど英語圏が人気です」
木下さんによれば、欧米の企業に採用されるには、日本で働いた経験が有利になることが多い。そのため、いったん日本で働こうと考えるフィリピン人が少なくないという。
「日本はあくまで通過点なんですよ。日本で働くフィリピン人の8割はそうだと思っています」
賃金の高い国で働きたいと外国人が考えるのは自然なことだ。ただ、日本の労働力不足は深刻である。外国人に「選ばれる国」になれるのか。
「今後中国人が増えることはないでしょう。中国そのものが発展しているから日本で働くメリットがない。最近増えつつあるのはスリランカやネパール、インド。その後はアフリカ系でしょうね。日本に来る外国人はどんどん変わっていくと思います」【川上晃弘】
【日米首脳会談】「懐に入り込んだ瞬間」も大きな懸案“先送り” 「日本は大口投資家」トランプ氏の狙いは
28日、高市首相は、アメリカのトランプ大統領と初めての対面外交に臨みました。日本テレビ・政治部官邸キャップの平本記者と国際部・ワシントン支局の山崎支局長に1日を総括するキーワードを聞くと、それぞれ「懐に入り込んだ瞬間」「日本は大口投資家」ということでした。どういうことなのか詳しく解説します。
28日、「懐に入り込んだ」象徴的なエピソードが2つあります。
1つ目は、異例とも言える会談前の野球観戦でした。ある外務省幹部は「首脳会談前に、野球を見る大統領もあまりいないが、それを距離を縮めるチャンスと、とっさに横に座って見たのは高市流の距離を縮める戦略だ」と話していました。
2つ目は、トランプ大統領の横で跳びはねた姿です。
空母ジョージ・ワシントンの上で演説に2人は立ちました。トランプ大統領の演説を盛り上げるかのように、横で跳びはねていた高市首相の姿は印象的でした。
取材をすると「はしゃぎすぎ」といった批判も出ました。ただ、首相周辺は、「これは高市流コミュニケーションで、1日でぎゅっと距離を縮めた」と、トランプ大統領には「刺さった」とみています。
ある政府関係者は、演説会場でぐっと肩を引き寄せられたシーンを見て「懐に入り込んだ瞬間」と表現していました。
これは、実際にアメリカ軍基地で高市首相と共に行った演説でトランプ大統領から飛び出したフレーズです。トランプ大統領の本音が出たと言えます。「アメリカにたくさん金を落としてくれる日本よ。ありがとう」といった意味です。
今回、トランプ大統領の最大の目的は日本と合意したディールの成果を確実にすることでした。1日のスケジュールを見ても、それが分かります。
首脳会談では、日本が約束したおよそ80兆円の対米投資に関する署名を行い、1日の締めくくりでは、トヨタの豊田会長らおよそ50人の日本企業のトップを招き対米投資に関する署名式を行いました。
そして、アメリカ軍基地の演説でさえも、安全保障の話だけでなく投資の話をしたというわけです。
経済分野での重要テーマは「関税と投資」でした。関税での成果は「協議継続」を確認できたこと、60兆円規模の投資計画の発表です。
安全保障分野での重要テーマは「対中国・対北朝鮮」の戦略です。
実は、トランプ大統領が拉致被害者家族との面会に慎重という情報がありました。しかし、日本側のプッシュで会談が実現したようなのです。ある外務省幹部は「北朝鮮に対し日米は一枚岩と示せた」と話しています。
また、対中国では、米中首脳会談を前に日本の立場をインプットできたと言えます。具体的には「中国と向き合うには同盟国の日本が力になれる。日本を置き去りにしないで」というメッセージをアメリカに打ち込めたと言えます。
一方、取材で見えてきた課題は、大きな懸案は「先送り」になっただけという点です。
首脳会談で象徴的なシーンがありました。机の上に注目すると、日本側は大量の書類が準備されていた一方で、アメリカ側には何もなかったです。ある外務省関係者は「アメリカは今回、米中会談がメーンで、日本と本格的な交渉をする気はなかったのでは」と分析しています。
日本が一番恐れていたのは、想定外の要求、高い球でした。それはなかったものの、ある外相経験者は「これで終わったと思わない方がいい」と述べています。日米間の大きな懸案は残っています。
●懸案1 投資の具体的な実施計画
28日の投資の合意について、ある経産省幹部は「将来に向けた道筋を示しただけ」と指摘しています。つまり、アメリカ側がいつまでにいくら、など具体的な実施を求めてくれば日本にはつらい問題です。
●懸案2 ロシア産のLNG輸入
アメリカは輸入規制を求めています。これは、日本としてはエネルギー不足に陥って、冬を迎える前に電気・ガス料金値上げにつながりかねない問題です。
アメリカは、今回はこうした問題を要求しなかったものの、言い換えれば「先送り」されただけとも言えます。
高市首相は28日、「懐に入り込んだ」という成果を出したかもしれません。ただ、それは手段であって目的は日本の国益を守ることです。高市外交の真価が問われるのは、信頼関係をベースに今後、飛んでくるであろう高い球をかわしていけるかと言えます。
――大統領専用ヘリに高市首相を乗せたり、空母で演説を促したりと異例とも言える対応の狙いは?
今回のトランプ大統領のアジア歴訪で最大の目的は、この後の中国・習近平国家主席との首脳会談です。
中国を意識し、原子力空母に高市首相と立つ姿を見せ、強固な日米同盟を発信したほか、レアアースの輸出規制でアメリカを揺さぶる中国に対抗するため、レアアースの供給網を強化する合意文書に署名しました。
米中首脳会談の前に、日本とやるべきことをやったというスタンスです。
――トランプ大統領が会談後に高市首相を「タフ」と表現するかがポイントだということですが、どうだったのでしょうか
トランプ大統領が親近感を感じた相手に使う表現が「タフ」で、「なかなか手ごわい相手」という意味です。
トランプ大統領は首脳会談後、高市首相について「我々は長く良い関係を築き、その過程を楽しむだろう。ただ楽しくないこともある。彼女は交渉相手としてタフだ」と表現しました。一定程度、信頼関係を築くことができたとも言えます。
――アメリカ側の訪日の成果は?
日本によるおよそ80兆円の対米投資の具体化が最大の目的でした。今回、日米両政府によるおよそ60兆円規模の計画を発表しました。
また、トランプ大統領が日本企業との間で交わしたアメリカへの投資に関する署名を次々と披露するなど、日本からの投資の呼び込みをアピールしました。
まさに、自らの手腕で“これだけの利益をアメリカにもたらした”と国内向けにアピールできた形で、トランプ大統領にとって成果と言えます。
ただ、欧米メディアは「トランプ大統領は『対中国』が全てで、日本とは新たな投資さえ確保できれば上機嫌だ」などと指摘しています。
「ダメだ、器が小さすぎる…」国民・玉木代表、支持率低下の中「手柄」アピールにうんざりの声
高市早苗内閣発足前、自公連立解消時には「キーパーソン」と言われていた国民民主党・玉木雄一郎代表。しかしその後、賛意を示していたはずの「議員定数の削減」についてたった1日で意見を翻すなど、その姿勢に非難が集まっている。
国民民主党の支持率は低下
日本維新の会の吉村洋文代表も、出演した『ひるおび』(TBS系)で「すぐ変わりますね。ちょっと前まで賛成って言ってましたよね、明確に。どうかと思う」と、不快感を表した玉木代表の心変わり。そうした経緯もあり、国民民主党の政党支持率は下落しているようだ。
「産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が10月25日と26日に実施した合同世論調査では、国民民主党の政党支持率は4.6%。前回9月におこなわれた調査と比べると、1.9%減少しました。
今回の首相指名選挙を巡って、玉木氏は公明党との連携を強めたり、吉村氏を“二枚舌”と非難したりと、有権者からたびたび突っ込まれる行動を取ってきていますから、その影響ではないでしょうか」(政治評論家)
一連の動きに、世間からも《本当にコロコロと意見を変える》《意見が変わりすぎてこの人は信用できない》などと不信感を抱かれているが、10月26日には奈良県生駒駅にて街頭演説を実施。ガソリン暫定税率廃止について、高市政権に年内の実現を求めると発言した。
玉木氏の「手柄」アピールにウンザリ
以前から国民民主党が要望していたガソリン暫定税率の廃止について、改めて言及するのは何もおかしなことではない。
しかし、玉木代表は「高市総理の手柄にしてもらっていい」「(自分たちが)何年も前から提案して」「結局実現するのは与党」「手柄のためにやってるんじゃなくて」「もう手柄は誰か取ってください」と、しきりに“手柄”を強調。この姿勢にはネット上から、
《手柄手柄ってうるせえよ》
《手柄って発想が出てくるのがまずおかしい》
《最初に言ったのボクだもんって言いたいんだな》
《ダメだ、器が小さすぎる……》
とブーイングの声があがっている。
「さらに注目を集めているのが、玉木氏が27日にポストしたXの内容です。来たる臨時国会での本会議代表質問で、《今、高市総理に聞きたいこと、お願いしたいことなどあれば、どしどしお寄せください》と募集しているんです。国民民主党の公式アカウントでも同じく募集しているのですが、代表質問の内容を“公募”するというのは、本来の趣旨から外れているのでは……との指摘もありますね」(前出・政治評論家)
案の定、このポストにも、
《やることなすこと軽すぎるの一言に尽きる》
《ただのアピールというのが透けて見えちゃってますよ》
など、呆れる声が続出している。
以前から“大事なところで判断を誤る男”と評判の玉木代表。そろそろ、どっしりと構えた姿を見せてほしいものだ――。
北村晴男氏「NHKは大丈夫か」指摘 高市氏&トランプ氏署名歴史的瞬間に“映像モザイク”状態
北村弁護士こと、日本保守党の北村晴男参院議員(69)が29日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。NHKに言及した。
NHKをめぐっては28日、高市早苗首相とトランプ米大統領の、日米首脳会談後の署名式を生中継した。東京・迎賓館からの中継で、高市氏とトランプ氏がそれぞれの席に座ったあたりから、画像が乱れ始めた。署名する直前の午前10時44分ごろから、両者の顔や上半身など各所にモザイクがかかったような状態になったり、ブレたり、映像が一時止まったように見えたりし、「現在、画像が乱れております」などとアナウンスされた。
署名をしている際も、画面全体にモザイクがかかったような状態や画面が止まりブレるような状態が断続的に起き、両氏の顔や表情が見えにくい状態になった。「少し映像が見えにくくなっていますが、書類とみられるものが両首脳の元に運ばれてきました」などという画像の乱れに対する説明のアナウンスも流れた。結局10時46分ごろまで時折乱れる状態は続いたとみられる。
歴史的な瞬間の生中継において画像の乱れが続いたという事態に、XなどSNS上ではさまざまな厳しい指摘の声も相次いだ。
北村氏は、一部ユーザーがこの状況を伝えたポストを引用。「NHKは大丈夫かな?」と懸念するようにつづった。
北村氏の投稿に対し「自発的スクランブル放送~」「受信料かえしてほしい」「これ程頻繁に起こる事なのか?」「わざとかどうか、NHKはしっかり内部調査して結果を公表すべきだ 同盟国に対してとんでもない大失態でありえない」「ピントもおかしくなるし、ぶれもひどい」「今朝の映像は本当に酷くてTVが壊れたのかと思いましたよ」などと厳しい声が相次いで寄せられている。
「日本語のレベルが低すぎ」NHKニュースのクマ被害の“見出し”が物議、手厳しい指摘続出
『宮城 大崎 クマに庭で飼われていた犬が連れ去られる』
宮城県大崎市で発生したクマによる飼い犬連れ去り事件。この被害を報じたNHKのニュース見出しが、日本語として不適切だとしてSNS上で物議を醸している。問題となったのは冒頭の見出しだ。
NHKニュース、クマが犬を飼う?
NHKの報道によると、25日の朝、宮城県大崎市の住宅で庭先に繋がれていた体長50センチほどのしば犬がクマに連れ去られたというもの。住人によると、庭の方からうなり声が聞こえたため確認すると、体長およそ80センチのクマが飼い犬をくわえて森に立ち去っていったそうだ。
事件の深刻さもさることながら、NHKがXの公式アカウントで報じた見出しの日本語表現に、
《日本語おかしいな…これ。クマが飼い主になってしまってる…》 《日本語のレベルが低すぎませんか?公共放送としての水準にありません》 《こんな違和感のある文章、天下のNHKが出すかね》 《熊よりも先ずは日本語を勉強しろ》 《こんな日本語を書くところに受信料を払わされてるなんて》
など、かなり手厳しい指摘が相次いだ。
問題の見出しとなった『クマに庭で飼われていた犬が連れ去られる』という表現は、文法的に見ると「犬がクマに飼われていた」とも読み取れる構造になっている。「庭で飼われていた犬」という部分が、前にある「クマに」と結びついてしまうためだ。
正しくは「庭で飼われていた犬がクマに連れ去られる」あるいは「庭につながれていた犬がクマに連れ去られる」とすべきところだった。助詞「に」の位置によって、意味が大きく変わってしまう典型的なケースといえる。
「問題となった投稿のリプ欄には、辛辣なコメントと共に深刻なニュースであるにもかかわらず、クマが犬を飼っているようなAI画像が並び『大喜利』のような状態にすらなっていました。深刻な獣害ニュースなだけに、誤解される表現や嘲笑の対象となるのは、信頼を損なう要因になるでしょう」(メディア編集者)
3日、宮城健栗原市の山で女性がクマに襲われ死亡し、6日には大和町で走行中の車がクマとぶつかる事故が起きるなど、宮城県内では近年クマの目撃情報や被害が相次いでいる。
そうした深刻な事態を伝えるニュースだからこそ、正確で分かりやすい日本語で報じることの重要性が改めて問われている─。
「トランプ帰れ」地元団体が抗議 日米首脳、米海軍横須賀基地訪問
トランプ米大統領が28日、ヘリコプターで高市早苗首相と共に米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を訪れ、日米の強固な同盟をアピールした。こうした動きに、地元の平和団体が「トランプ帰れ」と抗議の声を上げた。【福沢光一】
米海軍や海上自衛隊両基地近くにあるヴェルニー公園には両首脳の到着を一目見ようと300人超の人だかりができた。
午後3時半過ぎ、両首脳が搭乗したヘリが到着すると、「ゴーホーム トランプ」などのシュプレヒコールがわき起こる。
海上でも、市民団体「ヨコスカ平和船団」は2隻を連ね、抗議活動を展開。両首脳が演説する米原子力空母「ジョージ・ワシントン」の方向に向けて、「日米首脳の軍拡表明を横須賀市民は拒否します!」のプラカードを船上で掲げた。
横須賀は朝から緊張した雰囲気に包まれていた。米海軍横須賀基地のゲート前を通る国道16号沿いの各交差点には大勢の警察官が立ち、日米艦船を見ながら民間船で港を巡る「YOKOSUKA軍港めぐり」は終日運休だ。
公園では午前11時半から、日米同盟の拡大強化に反対する8市民団体や共産党、社民党、新社会党の関係者約50人が集まり「日米軍事一体化抗議」「戦争はいらない NO WAR」などの横断幕を掲げた。
各団体メンバーが次々とマイクを握り、「横須賀のことは市民が決める。トランプが決めるのではない」「横須賀を海外の戦争の出撃拠点にするな」などと訴えた。
横須賀市民九条の会の岸牧子さん(69)は「トランプ氏の要求に応える形で、高市首相は、国家安全保障戦略など安保関連3文書を前倒しで改定し、日本の軍事費(防衛費)を増額しようとしている。戦争を絶対させないという声を大きくしよう」と呼び掛けた。
一方で、同市の男性会社員(29)は「横須賀の経済は米海軍基地に頼っている」と切り出し、防衛費増額はやむなしとの立場だ。「トランプ氏はビジネスマン出身。経営者としては防衛費で日本の負担増を求めるのは当然だろう。トランプ氏は自分の主張を押し切るので、日本はお金を出すしかない」と諦め口調で付け加えた。
パイプ銃自作の経緯明らかに 火炎瓶襲撃は断念、「銃密売人」には小ばかにされ…山上被告
令和4年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が、29日午後1時10分から奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれる。事件当日現場にいた目撃者の証人尋問などが予定されている。被告はなぜパイプ銃を自作するに至ったのか。前日の初公判で行われた検察側の証拠調べを通じ、その経緯が少しずつ見えてきた。
動機は母親が入信し、総額約1億円もの巨額献金を行った旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)への恨みだった。
愛知で総裁狙うも…
検察側の主張によると、被告は教団最高幹部の殺害を計画。令和元年10月、教団の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が来日した際、火炎瓶を手に愛知県に向かったが、結局実行できなかった。
「より確実に殺害できるものは何か」。それから拳銃の入手を試みるようになった。
被告の自宅から押収したパソコンには、拳銃売買をめぐるやり取りが残されていた。翌年10月9日付、売人からのメッセージ。「薬、武器どんなものでも用意します」
被告は「できれば小型で破壊力があるもの」と返信した。被告は拳銃1丁と実弾1発を注文。仮想通貨のビットコインで20万3千円相当を売人に送金した。
だが、数日たっても拳銃は届かない。しびれを切らした被告は同18日、「明日発送がないなら警察に行く」と警告のメッセージを送った。
「お前と遊びたいんじゃない」怒りのメッセージ
売人からは「こちらは海外拠点であり、結構です。お疲れさまでした」と小ばかにするような返信が来た。
「俺は拳銃が欲しいのであって、お前と遊びたいんじゃない」。そう怒ってはみたものの、後の祭りだった。痛い目を見た被告はここから、自作銃の作成に動き始める。
ネット情報を参考に、弾丸を発射する仕組みの手製パイプ銃の製造に着手。同年12月20日ごろ以降、奈良市内のホームセンターやネット通販で計847点、約60万円分の材料を購入し、奈良市内のアパートなどで試作を重ねた。
試射の様子を動画撮影
犯行当日までに作った手製のパイプ銃は延べ約10丁。28日の初公判では、被告がパイプ銃の性能を確かめるため撮影した動画計8本が法廷で流された。
奈良市内の山中で、被告が20~30ミリのベニヤ板を目がけ、数メートル先から銃を発射する様子が記録されており、リロードしようと何度か引き金を引くも、空打ちとなり「なんや…」と残念そうにつぶやく音声もあった。
クマの生態に異変? 冬眠遅く…12月末まで出没の可能性も 「イベント中止」相次ぐ “遭遇リスクマップ”とは【なるほどッ!】
28日は盛岡市中心部にクマが現れましたが、今や市街地でも出没する事態になっています。これを受けて、各地で秋のイベントが続々中止になっています。専門家によると人を恐れないクマも多く、冬眠が遅くなり、12月末まで出没する可能性もあります。
森圭介アナウンサー
「28日もクマが出没しています。岩手・盛岡市の中心部にある銀行の地下駐車場に1頭のクマが入り込んだということです」
「付近では27日夜から28日未明にかけ、親子連れのクマが出没して2頭が逃げました。そのうちの1頭が地下駐車場に入るのを警察が目撃していたということです。この地下駐車場を閉鎖した後にクマは捕獲され、ケガ人はいないといいます」
「このように、もう今や山間部だけではなくて市街地にも熊が出てきています。こういったクマの影響で、全国の屋外で開催されているイベントが中止となる事態となっています」
森アナウンサー
「まずは北海道・北斗市。非常にきれいなライトアップがある『北斗紅葉回廊』ですが、会場の周辺でクマの痕跡が見つかり、17日から開催予定だったライトアップが中止になったということです」
斎藤佑樹キャスター
「人の命が圧倒的に大事ですから、致し方ないことですよね」
森アナウンサー
「ライトアップになると、夜がメインの時間帯になってくると思いますが、屋外で暗い時間となるとクマの目撃や接近に気づきづらくなるというリスクもあるので、こういった対処になったのかもしれません」
「クマの目撃情報と被害が非常に多い秋田県。大仙市で31日に開催予定だったハロウィンのイベントについて28日、中止が発表されてしまいました」
「ライトアップされた『旧池田氏庭園』で仮装などをして楽しむイベントだったということですが、クマの目撃が増えているということから、中止の判断をしたということです」
「宮城・仙台市の仙台第一高等学校では、16日に開催予定だった『強歩大会』が中止に。コロナ禍でも中止をすることなく続けてきた伝統行事で、今年は60回目の記念行事でした。苦渋の決断だったということですが、安全を最優先に中止となりました」
「仙台を流れる広瀬川の近くでもクマが目撃されたということもありました」
「イチョウが非常にきれいに彩られている写真があります。福島市のあづま総合運動公園で22日から開催予定だったライトアップが中止になったということです。地元では有名なんですね?」
直川貴博アナウンサー
「市街地から車で10分ぐらいの距離で、秋の風物詩として、行きやすいところにあるからこそ人気でした」
森アナウンサー
「屋外で、さらにはライトアップで暗い時間帯になってくるところは共通しています。富山・入善町では26日に開催予定だった駅伝競走大会は、コース周辺にクマの目撃情報が相次いだということで中止になりました」
「屋外でのイベント、スポーツやイルミネーションとさまざまありますが、こういったものの中止が相次いでいます」
森アナウンサー
「クマの被害を受けた自治体では、地域の経済を停滞させないために、対策も開始されているといいます。北海道・福島町では今年7月に、クマによる死亡事故がありました。この死亡事故をきっかけに開催予定だったイベントがすべて中止になりました」
「飲食店には営業時間の短縮の要請などはしていなかったものの、外出の自粛を呼びかけていたそうなので、結果として外を歩く人が減ってしまい、お店などを訪れる方も減ってしまうということで、経済を回すための措置を講じました」
「全町民には町内の飲食店やスーパーなどで使える1万円分の商品券を配布し、町内の飲食店と宿泊業者にはそれぞれ10万円の支援金を支給したということです。クマの(直接的な)被害はもちろん、経済的にも観光業にも影響が出てきているということですね」
山﨑誠アナウンサー
「参加して楽しみたいという方はもちろんですが、このために準備してこられた方々や運営側の方にとっても痛手ですし、切ないことですよね」
森アナウンサー
「(クマ対策では)政府の対応も発表されました。人的被害はもちろんですが、社会的な影響もかなり大きくなってきましたね」
鈴江奈々アナウンサー
「秋の行楽シーズンは人の動きがより活発になります。このタイミングでこういった被害が相次いでいるということで、より影響が拡大しないか心配されますね」
森アナウンサー
「クマの対策というのが重要になってきますよね」
瀧口麻衣アナウンサー
「早急にクマの対策は進めていってほしいなと思いますね」
森アナウンサー
「遭遇した時にどうすればいいのか、クマ鈴などの話は(every.でも)してきましたが、対策を打つにはやはりクマの生態を知るのが最も必要なことになってきます。クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授に、今年のクマについて聞きました」
「クマは12月頃に冬眠して、3月頃に起きるということです。12月末まで市街地などに出没して、冬眠の時期が遅くなるクマが出てくる可能性があると山内さんは話しています」
「今年はドングリなどのエサが凶作で、エサ不足で人里に降りてきたと言われています。エサがないと早く冬眠するんです。逆に言うと、人の生活圏に近いところに生息しているクマは、(食べるものがあるから)冬眠をするまで時間がかかる」
「つまり、エサを探して遅くまで出没する可能性があるといいます。探せば見つかるのであれば、まだ冬眠をしないということなんでしょうか。一度人里に降りてくると、その集落全体をエサ場だと認識するクマの習性があると言われています」
「さらに今年は人間の食べ物などに執着をしているクマが多く、人に慣れている、人を恐れないクマも多いということです。柿の実に誘われてクマが降りてくることもありますが、クマが柿の実に依存すると、なかなか冬眠しない可能性もあるということです」
「実際に現段階で市街地にまで現れているクマがいることを考えると、冬眠が遅くなる、ずっと活動し続けるクマが増える可能性が今年はあるということです」
森アナウンサー
「では、どうすればいいのか。対策も聞きました」
「山下准教授によると、まずクマを寄せつけないのが重要です。そのためには、ゴミを放置しない。ゴミステーションがクマに襲われることもありました。人間にはゴミかもしれませんが、クマにとっては可食部があると、誘い出されてしまうという部分もあります」
「さらには、家の周りの見通しを良くするために、草刈りすることも大事だそうです。家の中にクマがいたというニュースもお伝えしました。防犯対策と同じく、家の戸締まり、車庫や倉庫などの施錠も忘れずに行ってほしいと、山内准教授は言っていました」
「また今年はこれに加えて、クマの目撃情報が出ている地域では、1人で暗い時間に外出しないでほしいとも言っています。野外で夜間に行われるイベントは(各地で)中止になっていますが、こういったことに注意していただきたいと思います」
「最新のクマの情報などが、自治体などからも出ていることがあるので、自治体ホームページなどもチェックしてほしいと話しています」
「さらに連日のクマの被害を受け、気象予報サービスを提供する日本気象株式会社が、AI技術を使った『クマ遭遇リスクマップ』を開発しました。ツキノワグマの生息域である本州全体を対象としたエリアで、どこに危険が潜んでいるのか可視化しているものです」
「(マップ上で)オレンジ色や赤っぽくなっているところは遭遇リスクが高く、いつクマが出てもおかしくないということを指しています。過去のツキノワグマの目撃情報や、山林・山地といった地形などのデータをもとに、遭遇しやすい場所の特徴を分析しています」
「山間部以外の人の生活圏のエリアで、クマとの遭遇のリスクを見ることができます。お住まいの方はもちろん、まだまだ行楽シーズンが続いているので、観光や旅行で訪れる先の参考情報にも使ってほしいということです」
「今後はクマのエサとなるドングリの実り具合なども含めて、リスクの予測ができないか開発を進めていくということです」
(2025年10月28日『news every.』より)
住宅で胸に刺された傷がある73歳母親が見つかり死亡確認 同居する49歳の男を47歳弟の殺人未遂疑いで逮捕 母親の殺害にも関与か
29日未明、福岡県みやこ町の住宅で刃物で刺されたような痕がある73歳の母親が倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認されました。
警察は、同居する49歳のパート従業員(自称)の男を47歳の弟をナイフで刺し、殺害しようとした疑いで現行犯逮捕していて、母親の殺害にも関与した可能性が高いとみて調べています。
29日午前3時すぎ、「兄弟喧嘩をしている血が出ている」とみやこ町田中の住宅に同居する兄弟の叔父に当たる男性から警察に通報がありました。
警察が駆けつけたところ手などに傷を負った47歳の弟が49歳の兄を取り押さえている状態だったということです。
別の部屋では、兄弟の母親にあたる井田てる子さん(73)が胸に刺し傷がある状態で倒れていて、運ばれた病院で死亡が確認されました。
警察は、てる子さん・叔父・弟と同居しているパート従業員(自称)の井田徹容疑者を弟を包丁で殺害しようとした疑いで現行犯逮捕しています。
弟の殺人未遂事件での取り調べに対し、井田容疑者は「間違いありません」などと話し、容疑を認めているということです。
警察は、てる子さんの殺害にも井田容疑者が関与した可能性があるとみて捜査しています。
安倍昭恵さん、被害者参加を利用も出廷せず…再犯防止の支援続け「悲しいけど恨みたくない」
選挙演説中に元首相が銃撃され、社会に衝撃を与えた事件の裁判員裁判が28日、奈良地裁で始まった。殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)は「私がしたことに間違いありません」と起訴事実を認めた。被告の生い立ちが詳述され、焦点となる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が事件に与えた影響の評価を巡り、検察側と弁護側で主張が対立した。
初公判の法廷に、安倍氏の妻、昭恵さん(63)の姿はなかった。昭恵さんは被害者参加制度を利用するが、今後も出廷はしない予定。代理人が公判で、昭恵さんの思いが記された書面を読み上げるとみられる。
昭恵さんは事件前から、被災地や少年院への訪問など社会貢献活動を続けてきた。9月下旬には、出所者らの支援に取り組む一般財団法人「ワンネス財団」が大阪市内で開いた再犯防止のイベントに登壇。時折涙を浮かべ、「主人が亡くなって悲しいけれど、恨みの感情は持ちたくない」と語った。刑務所で講演したり、殺人を犯した受刑者と文通したりしていることを明かし、「少しでも心に響き、『二度と犯罪を犯さない』と思ってくれたら、私の生きていく意味がある」と述べた。
安倍氏の命日の7月8日を「七転び八起きの日」と呼んでいるという。安倍氏が再チャレンジできる社会を提唱していたことに触れ、「本当に改心したいと思っていれば絶対できるし、それを応援したい」と誓った。