<独自>PR会社が斎藤知事側に送付した見積書は3通あった 請求書にないSNS費用記載

昨年11月の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事の選挙期間中のSNS運用を巡り、陣営から報酬を受け取ったとして公選法違反(被買収)罪で告発され、不起訴となった兵庫県西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」の女性代表側が知事選前に、SNS関連の対価を含む3通の見積書を、斎藤氏側に送付していたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
最高300万円近く、プロジェクト名に「広報」
見積金額はいずれも200万円台で、最高は300万円近く。料金の違いはオプションによるもので、全ての見積書にSNS関連の費用を記載。共通するプロジェクト名として《兵庫県知事選挙に向けたブランディング・広報》と記されていた。
いずれも公表されていない3通の見積書の存在は、兵庫県警の捜査で浮上。結果的に斎藤氏側はSNS関連の費用を一切含まないポスターデザイン制作などの費用として計71万5千円をメルチュ側に支払った。この支出について、神戸地検は選挙運動の報酬には当たらないとして、女性代表と斎藤氏のいずれも不起訴とした。
女性代表が注目を集めるようになったのは、斎藤氏が再選された昨年11月の知事選直後のことだった。斎藤陣営の選挙戦を振り返る形で「広報全般を任せていただいた」と、投稿プラットフォーム「note(ノート)」に長文の記事をアップ。記事にはX(旧ツイッター)やインスタグラム、ユーチューブなどのSNS運用の方針が詳細に書かれていた。
ノート投稿記事炎上
選挙におけるSNS運用や戦略的広報の重要性を知ってほしいという女性代表の投稿は、その意図とかけ離れたところで炎上した。対価を得て広報=選挙運動を行っていれば公選法違反(買収、被買収)に当たるのでは、と疑惑を指摘する声がネット上で相次いだ。
自身の疑惑告発文書問題で失職に追い込まれ、それでもSNS世論を味方につけて知事に返り咲いた斎藤氏は喜びもつかの間、女性代表の投稿により、再び守勢に立たされることになった。
斎藤氏は「法に抵触することはしていない」と強調。後日会見した代理人弁護士も、女性代表が選挙期間中に行った陣営のSNS運用は、斎藤氏を支持する選挙運動員の一人としてボランティア(無償)で行われたもので、違法性はないと主張した。
斎藤氏の後援会からPR会社に支払われた71万5千円について、斎藤氏側はチラシやポスターのデザイン制作費など、いずれも支払いが許される「政治活動、立候補の準備活動の費用」で、知事選期間中のSNS運用の対価は含まれていないと強調した。
このとき、公表された請求書は5項目の費用から成り、それぞれの単価はPR会社から後援会に送られた見積書の1通と同じだった。
大きな相違点は、見積書に記載されていたユーチューブ用の動画撮影やインスタグラム投稿デザインといったSNS関連の費用が、請求書では除外されていること。プロジェクト名からは《ブランディング・広報》の文字が消え、《デザイン制作》に置き換わっていた。
有償から無償に…〝心変わり〟なぜ
公選法に抵触するかどうかは別として、PR会社から提案のあったSNS関連のオプションについては、単純に契約合意に至らなかったとみることもできる。
ただ、女性代表は見積もり段階で有償としていたSNSで使える動画の撮影や編集を、選挙に入るともっぱらボランティアとして無償で行ったことになる。これまで女性代表側は取材に応じておらず、これらの経緯は明らかになっていない。
斎藤陣営から支払われた71万5千円に、本当にSNS運用の対価の趣旨は含まれていなかったのか-。県警や神戸地検の捜査ではこれが大きな焦点になったが、地検は最終的に不起訴処分を決めた。ある検察幹部は「(SNS運用の対価という)交換条件があるような支払いをした形跡は、捜査の結果認められなかった」とした。
斎藤氏はこの間、女性代表との具体的なやり取りについて、自らの口ではほとんど説明してこなかった。
文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)で委員長を務めた奥谷謙一県議は、今回の不起訴処分について「詳細は把握していないので、知事からの説明を聞きたい」と話した。
また斎藤氏は、告発文書を作成した元県幹部の私的情報漏洩問題に関与したとする地方公務員法違反罪でも告発され、地検の捜査は続いている。

「腹はへこみ内臓は全部食べられていた」愛犬“ダイくん”をクマに殺された飼い主の慟哭「ダイを返せ、クマが憎い」「なんでこんな死に方してしまうんだよ……」

秋田県で飼い犬がクマに襲われる事態までが起きている。今年10月30日秋田県大館市で、クマに襲われ変わり果てた姿になった愛犬を、飼い主の男性が自宅敷地内で発見した。すでに死んでおり、内臓がすべて食べられていたという。飼い主はクマに対しての憤りを隠せないいっぽうで、「こんなことが起きるなんて前代未聞。次は自分かもしれない」という恐怖心もあると明かす。
【画像】空になった“ダイくん”の犬小屋、手前には血痕も。“ダイくん”が横たわっていた現場
「落ち葉をどかしてみると腹がへこんでいた」
10月30日午前6時半ごろ、秋田県大館市の北部にある民家で飼い犬がクマに襲われた。変わり果てた姿で見つかったのは、17歳でオスの柴犬・ダイくんだった。飼い主の60代男性Aさんは、「突然、日常がなくなりました。なぜうちの犬が……」と肩を落とす。
「敷地内にある農機具小屋の中に犬小屋を設置していて、ダイが夜は外でトイレするので開けたままにしていたんです。いつも朝5時半に30分くらい散歩へ連れて行んですけど、その日は私の仕事が休みだったもので午前6時半に散歩へ連れて行こうとしたんです。
小屋の前には小さな畑があって、ダイがそこに横たわっていた。いつも小屋の中にいるはずなのに、変だなと思った。お腹に落ち葉がかぶさっていて、落ち葉をどかしてみると腹がへこんでいた。内臓が全部食べられていたんです」
ダイくんの首輪につけられたリードはのび切っており、犬小屋の前にはダイくんのものと思われる血がついていた。ダイくんが横たわっていた畑には、クマのものとみられる足跡やフンがあった。
「ダイが横たわっているのを発見したとき、何が起きたんだってびっくりして言葉も出なくなった。実家の秋田に戻ってきて10年経つ。クマがここら辺に出ることはよくあったが、犬が襲われたりなんて一度も聞いたことがなかった。でもフンとか足跡を見て『クマがきたんだ』と理解した」
Aさんと同居する母親は午前2時ごろ、動物の悲鳴を聞いたという。だが、それが飼い犬のものとは思わなかったと話す。
Aさんは、ダイくんの遺体を発見後、すぐ近くの大館警察署に電話し、警察官2人が駆けつけてきた。その後、警察から連絡を受け、市の職員が1人遅れて来た。そして10人ほどの市の職員やハンターが集まり、Aさん宅の付近に箱罠を仕掛けたという。
市の職員らが何度も自宅を訪問し、署が付近の住民に注意を呼びかけるなど、「その日はバタバタした」とAさんは振り返る。
そして落ち着いたとき、ふとに涙が流れ始めたという。「なんでこんな死に方してしまうんだよ」と愛犬がいなくなった実感が湧き始めた瞬間だった。
「次に襲われるのは自分かもしれない」
ダイくんは、Aさんの父親が知人から引き取ってきた。Aさんは当時東京で勤務しており、帰省するたびにダイくんを可愛がっていたと言う。
「10年前にこっちに戻ってきて、そこから365日、毎日ダイの散歩をしていた。ハチャメチャな性格で、17歳なのに庭を駆け回って一人でも元気に遊んでいた。とにかく動き回ることが大好きで、近くに行くと『遊ぼうよ』『いつ散歩行くの』と甘えてきていた。朝散歩に行ったばかりなのにですよ。
もう歳だし、いつポックリいってもおかしくないけど、そんな衰えを感じさせないほど元気な犬でした。トイレは小屋を自分で出てちゃんと外でするし、賢い子でもありました」
ダイくんを襲ったクマの行方はいまだ不明だ。Aさんは、「相手は動物ですけど、やっぱり許せない気持ちはある。ダイを返せ。クマが憎いです」と憤りを隠せない。
そのいっぽうで恐怖心もあると明かす。
「次に襲われるのは自分かもしれないし、恐怖でいっぱいです。外に出るときがとにかく怖く、熊鈴や爆竹などを持っていますが、それも効果がない場合もあると聞く。ここまでクマが人里に来るのは初めてですよ。
もともとここら辺ではクマ除けのために犬を飼っている家も多い。クマはもうそろそろ冬眠間近ですが、よっぽどお腹を空かしていたのではないでしょうか。数年前から、チワワも1匹飼っていますが、チワワはまだダイがいなくなったことを認識していない。寂しいですよね本当に……。相棒だったのに……」
ダイくんは数日後、火葬され、骨は骨壺に入れられて家の仏壇に置かれているという。
秋田県でクマが犬を襲ったのは、今年度でダイくんが初めての事例だ。ただ、11日の午前11時ごろ、秋田市内では70代女性が飼っていた柴犬(4歳・メス)がクマに連れ去られたと110番通報があった。
秋田東署の発表では、70代女性が飼い犬の鳴き声を聞いて外を見ると、体長約1.2メートルのクマが犬小屋を引きずっていたという。
人だけでなく、大切なペットも襲うクマ。さらなる対策が必要だ。
※「集英社オンライン」では、クマについての情報、ご意見を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

老人施設で起きた高齢者35人なりすまし投票偽造 悪用の不在者投票制度、性善説は限界

7月投開票の参院選を巡り、大阪府内の住宅型有料老人ホームの関係者が、入所者35人になりすまして不正投票したという公職選挙法違反事件が発覚した。ここまで大規模な投票偽造事件の摘発は異例だが、福祉施設では過去にも同様の事件が起きている。外部の目が届きにくい〝密室〟的な環境で不在者投票制度が悪用されている形だ。専門家は「第三者の監督が必要」と性善説に基づく制度の限界を指摘する。
特定の候補者名記載
舞台となったのは、運営会社が同一の大阪府八尾市と同府泉大津市の住宅型有料老人ホーム。大阪府警が公選法違反(投票偽造)容疑で、両施設を統括していた元エリアマネジャーの30代男性ら関係者3人を書類送検していたことが、10月中旬に明らかになった。
男性の書類送検容疑は共謀し、両施設の50~90代の計35人の入所者になりすまして投票用紙に無断で特定の候補者名を記載し、選挙管理委員会に送ったとしている。男性らは入所者が不在者投票制度の利用を希望したと偽り、選管に投票用紙の交付を申請していた。
なぜこれほど大がかりな不正投票に手を染めたのか、動機などは明らかにされていない。
不在者投票は、投票日に仕事などで都合のつかない人が利用する印象が強いが、選管から指定を受けた病院や老人ホームの入所者も施設内で投票できる。
総務省によると、令和4年の参院選における、全国の指定施設は計約2万4千カ所。うち老人ホームは約1万3千カ所だった。大阪府内では今年7月時点で1247カ所の老人ホームが指定されている。
「立会人」細かな資格要件なく
こうした施設で不在者投票を実施する場合、入所者は「立会人」のもとで投票用紙に記入する必要があるが、立会人は選挙権があれば足り、細かな資格要件が定められているわけではない。
選管職員や選管が選任した人物が施設に赴く「外部立会人」の活用も推奨されているが、あくまで努力義務。複数の自治体関係者は「外部立会人の利用は、ほとんどない」と明かす。
八尾、泉大津の両市選管によると、今回の事件でも両施設は外部立会人を利用していなかった。施設の運営会社は事件について「(書類送検された3人の)独断による行為で、当社として指示・関与した事実はない」とするコメントを出しており、取材に対し、両施設の不在者投票の運用状況は「把握していない」とする。
仮に施設関係者が立会人となっていた場合、監視機能の形骸化は避けられない。こうした投票偽造事件は過去にも繰り返されてきた。
平成21年の衆院選では、入所者の意思を確認せず不在者投票制度を利用したとして、兵庫県警が公選法違反(投票偽造)容疑で介護福祉施設の副施設長ら2人を逮捕したほか、令和3年の衆院選でも、静岡県伊東市の高齢者施設の男性職員が同様に不在者投票制度を悪用したとして静岡県警に同法違反容疑で書類送検されている。
「施設内の監督、機能不全」
選挙制度に詳しい日本大法学部の安野修右(のぶすけ)准教授は、現状の仕組みでは「性善説に基づいた運用で、施設内への監督がほぼ機能していない」と指摘する。対策として、カメラなどを通じて選管側が施設内での投票の様子を遠隔で監督する仕組みの導入が考えられるとし、「外部立会人の利用をより促進することも含め、第三者が適正な投票が実施されているか確認できる環境を整備しなければ、不正を排除するのは難しい」と話している。(土屋宏剛)

「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》

「『親権が…』『どうしよう、どうしよう』といつも悩んでいました。子どものことはしっかり考えていたと思っていたのですが、まさか自分で手にかけるとは……」──そう語るのは11月4日、生後3か月の長女・優愛ちゃんを自宅で殺害したとして逮捕された鈴木沙月容疑者(28)の知人である。
警察の取り調べに対して、「夫と離婚協議が進んでいて、親権を取られるくらいなら娘を殺して私も死のうと思った」などと供述している鈴木容疑者。聞けば、事件を起こす数日前に犯行につながるとみられる”ある出来事”があったという──。
大手紙社会部記者が話す。
「4日6時40分ごろ、所轄の警察署に容疑者本人から『赤ちゃんをやってしまった。私は死ねなかった』などといった通報があった。職員が世田谷区にある自宅アパートに駆けつけたところ、浴室の風呂蓋の上に乳児が横たわっており、その場で死亡が確認されました。遺体には包丁による数十か所の切り傷が認められた。
捜査関係者によれば、事件数日前も夫とのトラブルをめぐって110番通報があったそうです。警察は無理心中しようとしたとみて捜査を進めている」
警察発表では「職業不詳」とされているが、容疑者はYouTubeやTikTokで動画配信をするインフルエンサーだった。先天性骨形成不全症という病を患っており、車椅子生活だった。
今年3月には自身のSNS で、現在の夫と結婚したことを公表したばかりだったが、供述内容からもうかがえるとおり、夫婦生活は順調とはいえなかったようだ。冒頭の知人が明かす。
「警察沙汰にはもう1回なっているの」
「先月に入ってから『旦那から離婚したいと言われているけど、したくない。子どもがいるから』と相談がありました」
その後も、鈴木容疑者はこの知人に弱音を何度か吐いたという。
「”辛い”とか、何度かメッセージを送ってきたりもしたのですが、そこまで深刻な事態になっているとは思わなかったし、私もアドバイスくらいしかできることはなくて。相当、思い詰めていたんですね……」
容疑者と同じアパートの階層で暮らす住民は、夫婦関係についてこう話す。
「ご夫婦のことは春先から、数回見かけています。旦那さんが車椅子を押していることもありましたよ。怒鳴り合いや喧嘩とか、そういう目立ったトラブルはなかったですけどね……」
鈴木容疑者がファンに出産を報告したのは9月。子どもが生まれた後もSNSの投稿内容は前向きなものばかりで、特に変化は見受けられない。しかし心の内には闇が巣食っていたのか。今月に入り、鈴木容疑者の精神は限界を迎える。
知人に届いた「最後のSOS」

習近平でも、財務省でも、マスコミでもない…これから高市首相の足を引っ張る”一番の厄介者”とは誰か

最近巷では、「サナ活」なるものが流行っているそうだ。
高市早苗首相が記者会見で使ったボールペンと同じものに注文が殺到し、首相が持っているバッグも飛ぶように売れているという。見学者も立ち寄る国会内の売店では、自民党総裁選の後に発売された「早苗ちゃん饅頭」が一時品切れになった。首相の愛用品や関連グッズを購入して高市首相を応援する「推し活」だから「サナ活」なのである。
「サナ活」だけではない。中高年のビジネスマンの間でもアイドル並みの人気があるらしい。メガバンクで生き馬の目を抜くような金融業界を生き抜いてきた知人が、こんなふうに言っていた。
「高市さんのタカ派みたいなところは好きじゃなかったけど、日本経済を強くするというのには共感しますね。この何十年も日本は成長していない。大胆に投資して企業が儲かれば、それが賃上げにつながり税収も増える。それが好循環です。分かっているのに自民党では今までできなかった。要は『やる気にさせられるかどうか』ですから、高市さんがあのキャラで日本を元気にします、というのには期待できる。だから今は私も『サナエ推し』です」
この知人によると、経済界ではそんな「サナエ推し」が多いのだそうだ。
80%を超える驚異的な内閣支持率も公表され、「サナエノミクス」、「サナエトレード」などといった用語が飛び交い、株価も史上最高値を更新した。経済界は久々に活気を取り戻したようにも見える。これも高市ブームの表れなのだろう。
10日公表されたNHKの内閣支持率も66%に上った。小渕恵三内閣以降の歴代内閣の発足時の支持率としては、小泉純一郎内閣81%、鳩山由紀夫内閣72%に次ぐ水準になっている。
第二次安倍晋三内閣の64%をも上回り、岸田文雄内閣49%、石破茂内閣44%と比べるとまさにV字回復だ。
支持構造を見てみると、石破内閣で支持が7割を切っていた自民党支持層で9割近くにまで回復し、無党派層も6割近くに増えている。
目を引くのが、10代から50代までの若い年代の支持が8割近くに上っていることだ。
支持政党別、年代別のいずれでも全体として支持率が上昇しているが、特に若い世代での支持回復が顕著である。女性の支持が男性の支持よりも若干低いことが気になるが、それでも全体として支持率低迷に苦しんだ前政権からすると、劇的な回復と言っていいだろう。
保守強硬派の論客として知られ、安倍元首相の後継者を自任する高市首相である。自民党支持者の間では、参政党や国民民主党に奪われた「岩盤保守層」が、自民党に戻ってきたのではないか、保守的な傾向がある若い世代が自民党支持に移ってきたのではないか、と「保守回帰」への期待が高まっている。
高市首相の周辺では、この久しぶりの追い風のなかで早期に衆院の解散・総選挙に持ち込めば、自民党の単独過半数回復も夢ではないという声も出始めた。
しかし、長年自民党の選挙に関わってきた関係者は「状況は、それほど甘くはない」と警鐘を鳴らしている。確かに高市内閣の支持率は想定以上に高いが、それが選挙結果に直結するとは限らないというのだ。
「各社の世論調査でも内閣支持率に比べて、自民党の支持率はさほど伸びていません。内閣支持率が高いのも、これまでの自民党を変えて新しい政策を進めてくれるのではという期待感の表れです。選挙は実績がないと評価されません。高市さんも選挙よりも実績をあげることが大事だと分かっていると思いますよ」
高市総裁が誕生した直後に行われた宮城県知事選挙では、無所属ながら実質的に自民党が支援する6期目の現職が、参政党などが支援する自民党の元参院議員に苦戦し、ギリギリまで迫られた。現職候補には高市首相の応援メッセージも届いたが、自民党支持層にも食い込みを許し、仙台市内では相手候補に負け越している。
さらに9日に行われた葛飾区議会選挙の結果も自民党に厳しいものだった。定員40人の選挙に自民党は17人の候補を擁立したが、当選者は10人に留まり、前回4年前の選挙よりも議席を減らした。自民党への支持が戻っているといっても、実際の選挙では逆風は収まっていないのだ。
この自民党関係者は「石破内閣だけの責任ではないが、自民党はこれまで有権者が評価するような政策ができてこなかった。高市内閣の支持率が高いと言っても、まだ期待値が高いだけ。国民の要望が強い物価高対策などの政策を地道に実現して、実績を積み上げていかないと自民党への支持は回復しませんよ」と指摘している。
高市人気とは裏腹に、自民党内の亀裂は更に深まっている。裏金問題に関係した佐藤啓参院議員を官房副長官に起用したことに野党が反発、佐藤副長官が参院で出入り禁止になった。
首相は「国会運営に混乱を来すことになったことについては真摯(しんし)におわび申し上げる」と陳謝したが、「佐藤氏は若くて優秀な将来の日本を担うべき参院議員だ。有為の人材にはぜひ再起の機会をお与えいただけるよう、どうかお願いを申し上げる」と情に訴えるだけだ。
参院自民党にも事態を打開しようという動きは見られない。むしろ公明党離脱の一因にもなった萩生田光一氏の起用といい、首相は裏金関係議員に甘すぎると一連の人事に疑問を呈する参院幹部もいる。少数与党という現実の中で野党の要求も受け入れて行かないと国会は動かないが、司令塔の鈴木俊一幹事長など自民党執行部は調整力不足を露呈している。
総裁選では小泉進次郎氏を支持したある閣僚経験者は「自民党内では高市首相へのしらけた空気が強まっている」と党内の現状を説明してくれた。
「首相だけでなく、党内でなんの議論もしないまま、閣僚や党幹部が勝手な発言をしている。誰も真剣に高市首相を支えようと思っていないからだ。そもそも自民党内の意見をロクにまとめもしないまま維新とパタパタと連立合意を結んでしまった。議員定数の一割削減なんて、自民党内に本気で成立させようという議員は一人もいない。
台湾有事が日本の有事になるケースもあり得るという発言もしたが、安倍さんならあんな不用意な答弁はしなかった。中国側の不穏当な反応も問題だが、何を日本有事と認定するか具体的に例を挙げるなんて、中国に手の内をさらすようなものだ。自分の応援団の人気取りのためかもしれないが、まず自民党内をまとめないと、石破内閣以上に何も実現できなくなるよ」
この閣僚経験者は、「高市応援団の問題も大きい」と言い切る。
「ついに高市が天下を取った」

「中国と財務省を屈服させろ」

「高市の敵は日本の敵」
以前から高市首相を応援してきた月刊誌などには、強硬保守派の論客や政治家の勇ましい言説が溢れている。マスメディアやSNSでも保守派は元気一杯だ。
「最初は、現実路線で持論を封印していた高市首相だが、やはり応援団の期待にも応えないわけにはいかない。このところの国会論戦で、踏み外す答弁が目立つのも、つい彼らの顔が浮かぶからだ。本当の応援団なら、高市政権が長く続くようにむしろ謙虚な姿勢でいるべきだろう」
この閣僚経験者は、憤懣やるかたない、という表情でそう言った。
「高市氏の覚悟にかける」と意気に感じて連立入りした日本維新の会も、次第に重荷になりつつある。
自民党にとって公明党が抜けた後を埋めるためには、維新の会と連立がどうしても必要だった。首班指名まで時間がないなかで、連立合意をつくるための交渉は、実質的に5日間しかなかった。首班指名を確実にするには、何でも飲み込む姿勢だったのを見て、維新は、悲願の大阪都構想(いまは副首都構想)や看板政策「身を切る改革」の象徴「議員定数削減」を絶対条件として出した。
吉村代表は、高市氏の覚悟を感じた、命がけの決意を感じたと応じたが、最初から「合意ありき」の交渉だった。「合意してしまえば、後は何とかなるだろう」といういつもの自民党の交渉パターンだ。
しかし、いつの間にか議員定数の削減が最大の焦点になってしまったことは誤算だったかもしれない。鈴木幹事長は、ついに「今国会で成立させることは困難だ」と先送りを宣言した。高市首相も難しいと繰り返している。「法案を提出し成立を目指す」という表現は幅がある。
自民党はあいまい合意と先送りで逃げ切るつもりだったが、維新の側は、妥協しにくい。維新の国対委員長もつとめる遠藤敬首相補佐官が日経新聞のインタビューで「仮に成立しなくても、それでもう破談だというのは言い過ぎた」と予防線を張り始めたが、このまま先送りとなると維新も自民も苦しい説明に追われることだけは間違いない。
外交も内政も、いくら勇ましいスローガンを並べても、それが実現できなければ、たちまち支持率は低下し、政権運営は難しくなる。現状では、野党も高市内閣の支持率の高さにとまどい、批判にも及び腰だ。まして、内閣不信任案で政局の打開を図ろうという気概は全く感じられない。選挙を望んでいないからだ。
この状態であれば野党やマスコミがどんなに批判しても、高市政権を倒すことは難しい。しかし自民党や維新の会、つまり与党が一体となって支えなければ、現実に国会を乗り切ることは難しい。
そうなると国民が望む物価高対策などの実現も困難になる。その時高市首相への期待も失われ、支持率も下がることは避けられないだろう。つまり、高市首相にとって、一番厄介な足を引っ張りかねない存在は、野党でもマスコミでもなく、あるいは中国でも財務省でもない。それは実は、身内の与党なのである。
政治学者の丸山眞男は、「政治的な責任というものは、徹頭徹尾、結果責任である」と述べている。志や熱意がどんなに高くても、どんなに努力を重ねたとしても、政治は結果だけで評価されるという意味である。動機が素晴らしくても、結果が国民有権者に評価されないときは、その批判は甘んじて受けなければならない。時には、周りの者の失敗の責任も引き受けなければならない。
期待値を高め、国民に希望を与えることは、確かに政治の重要な役割だ。しかし、その結果、何を実績として示していくのか。政治家の評価は結局それしかない。
ガラスの天井を破り、世論の後押しで好スタートを切った高市内閣だが、その足元は相変わらず、脆く壊れやすいガラス細工のままだ。政治家・高市早苗の戦いはまだ始まったばかりなのである。
———-
———-
(ジャーナリスト、元NHK解説委員 城本 勝)

高校生の半数「ネット依存」自覚 平日利用、長時間傾向 大分県調査

大分県が県内の小中高生を対象にインターネットの利用状況について尋ねたアンケート調査で、高校生の約半数が「(自分は)ネットに依存していると思う」と回答していた。スマートフォンの普及などに伴ってネット利用の長時間化が指摘されており、県は利用ルールなどを家庭で話し合うよう呼びかけている。
県が毎年実施している「青少年のネット利用実態調査」で明らかになった。今年度は小学2年▽小学5年▽中学2年▽高校1年――の計約1500人を対象に実施し、1384人から回答を得た。
スマホ使用最多
私生活でネットを利用するかを尋ねた設問では、全体の94・4%が「使っている」と回答。高校生に限ると100%だった。接続に使う機器はスマートフォンを挙げた児童生徒が最も多く、使い道は動画視聴(84・5%)▽SNS(67・7%)▽オンラインゲーム(65・5%)などが目立った。
一方、中高生では平日のネット利用が長時間に及ぶ傾向が強まり、「2時間以上」と答えた生徒は中学生で60・4%(前年度58・7%)、高校生で61・2%(同56・5%)となった。また、自分自身がネットに依存していると感じている割合は、中学生が32・7%、高校生が51・2%に達した。
生活に悪影響も
ネット利用に伴う生活の変化を中高生に尋ねたところ、「分からないことを自分で調べるようになった」(58・9%)「友達が増えた」(44・4%)と前向きな回答の一方、「睡眠不足」(24・3%)「成績が下がった」(15・1%)など悪影響を挙げる生徒も少なくなかった。
県生活環境企画課は、ネットの安全な利用に必要だと思うことを尋ねた項目で、「保護者と話し合う」を挙げた中高生が62・3%に上った点に着目。担当者は「利用のルールについて家庭で話し合う機会を設けることが重要だ」と指摘している。【李英浩】

圏央道でトラックと乗用車計5台が絡む事故、2人死亡・3人搬送…入間-狭山日高で一時通行止め

13日午前5時35分頃、埼玉県入間市小谷田の圏央道外回りで、乗用車に大型トラックが追突し、計5台が絡む玉突き事故となった。軽自動車に乗っていた男性2人が死亡し、ほかに男性3人がけがをして病院に搬送された。
県警高速隊は、最初に追突した大型トラックを運転していた同県上尾市原市、自称トラック運転手の男(52)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕した。
発表によると、現場は片側2車線の直線。事故は追い越し車線で起き、軽自動車と乗用車がトラックの間に挟まれる形になった。当時は渋滞中だったという。同隊が、死亡した2人の身元と事故原因などを調べている。
事故の影響で、入間インターチェンジ(IC)―狭山日高IC間は午前6時25分から通行止めとなっていたが、午後3時に解除された。

大阪のアマゾン倉庫火災、ほぼ消し止められる 発生から35時間

大阪府茨木市にある大手通販サイト「アマゾン」の倉庫で11日午前に起きた火災は、発生から約35時間後の12日夜にほぼ消し止められた。
火災は11日午前10時20分ごろ、「アマゾン茨木フルフィルメントセンター」で発生。4階建ての3階部分から出火したとみられる。消防が消火活動を続け、12日午後9時ごろに鎮圧状態となった。
出火当時は約370人が倉庫内にいたが、全員が避難して無事だった。
アマゾンのホームページによると、センターは延べ床面積約6万4000平方メートルの国内有数の物流拠点で、2019年から本格稼働した。ロボットを活用して商品の仕分けや出荷作業をするなど最先端の仕組みを導入している。【大坪菜々美、高良駿輔】

ドアポストに小型カメラ入れ、女性を盗撮か 30歳男を逮捕

50代の女性が住む部屋のドアポストに小型カメラを入れ、女性を盗撮したとして、30歳の男が逮捕されました。
警視庁によりますと岩佐暁歩海容疑者は今年9月、東京・武蔵野市のアパートに侵入し、このアパートに住む50代の女性を盗撮した疑いが持たれています。
2人に面識はなく、岩佐容疑者は先端に小型カメラがついた長さ3メートルほどのワイヤのようなものを女性の部屋のドアポストに入れて、撮影していたとみられます。
ワイヤが見えていたことで、不審に思った女性がドアを開けると玄関先に岩佐容疑者が立っていて事件が発覚しました。
調べに対し岩佐容疑者は容疑を一部否認する一方で、「女性の生活状況が見たかった」などと供述しているということです。

【解説】インフル猛威で注目──「AI検査」って? 医師「予想以上」「来年 1月くらいまでは警報級の波」 急拡大のウラに“大阪万博”も

例年より1か月以上も早く流行しているインフルエンザ。去年あまり流行しなかったA型H3が主なタイプで、抗体を持つ人は少ないとみられます。医師によると予想以上の急拡大で、今後も増える見込み。「AI検査」やスプレー型ワクチンが注目されています。
12日、東京・豊島区の池袋東口まめクリニックを取材しました。
横瀬勇輝院長
「最高39℃以上の熱?」
患者
「はい。おととい大阪に行ってて、他の人からうつされたかも」
横瀬院長
「インフルエンザ陽性でてます」
藤井貴彦キャスター
「厚生労働省によると、11月2日までの1週間に、全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は暫定値で5万7424人。前の週(2万4282人)に比べて倍以上になっていて、急増していることが分かります」
「都道府県別では、宮城県と神奈川県で大きな流行の発生を示す警報レベルの基準に迫る勢いだということです。今がピークということなのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ報道局特別解説委員
「まだピークとは言えません。これからさらに増える見込みです。東京歯科大学の寺嶋毅医師は、『来年1月くらいまでは警報級の波があって注意が必要だ』と話していました」
藤井キャスター
「今年のインフルエンザの特徴は、どんなものがあるのでしょうか?」
小栗委員長
「主なタイプは A型のH3というものです。去年あまり流行していなかったので、抗体を持っている人が少なく、かかりやすくなっているといいます。ただ寺嶋医師は『例年よりも1ヶ月以上も早く、これほど流行するというのは予想以上だった』と話しています」
小栗委員
「大阪・関西万博などで、既にインフルエンザが流行している国からの観光客が増えたことも理由の1つだとしています。体調不良を感じたらすぐにでも医療機関で検査してほしいと話していますが、そんな中、注目されているのが AI 検査です」
「カメラでのどの奥を撮影し、その画像と問診情報などで陽性か陰性かを判断します。一般的なインフルエンザの検査というと、鼻に綿棒を差し込む抗原検査で痛いですよね。AI 検査では痛みなしで診断でき、10数秒で 7割を超える精度で結果が分かります」
「保険が適用され、全国の約2000の医療機関で既に導入されています」
藤井キャスター
「ワクチン接種はした方がいいのでしょうか?」
小栗委員
「効果が出るのは接種から約2週間後と言われていますが、寺嶋医師は『今からでも予防接種を』と呼び掛けています。都内では感染者の 8割弱が 20歳未満で、学校などで子どもが感染するケースが多いということです」
「こうした子どもの感染予防に関しては、去年からスプレー型ワクチンも使われるようになっています。注射と違って痛みはなく、鼻の中に吹き掛けるだけです。ただ、大人には効果が弱いとされ、承認されていません。対象は 2~18歳となっています」
藤井キャスター
「インフルエンザのピークは、これからだということです。ワクチンを接種することができるという方は、選択肢の1つとしてお考えいただくのもいいのではないでしょうか」
(2025年11月12日『news zero』より)