前橋市の小川晶市長(42)が、既婚の男性職員とホテルに10回以上行った問題を受けて27日に辞職する見通しとなった。市議会の辞職要求に応じることになった形で、27日の本会議で同意されれば、50日以内に市長選が行われる。市長選に向けた動きも活発化しそうだ。
「不信任決議案が出る前に政治家は出処進退を自分で決断すべきだ」
市議会の富田公隆議長は25日、市内で記者団に述べ、小川市長から退職願を受け取ったことを明かした。
富田議長によると、同日午後5時頃、市議会庁舎を訪れた小川市長から退職願を手渡された。富田議長は「しっかりお預かりする」と伝えたという。26日の各派代表者会議と議会運営委員会で取り扱いを協議する。
この問題を巡っては、最大会派の前橋高志会を含め、市議会の8割超を占める7会派(32人)が13日、辞職しなければ27日に不信任案を提出する方針を伝えていた。小川市長は態度を明らかにしない一方、出直し選への意欲は繰り返し示していた。
小川市長は不信任案を提出される前に、自ら辞職を選んだ。辞職を求める動きは市議会以外でも起きており、市民有志が23日に市内で開いた「前橋の名誉回復への市民集会」には、自民系の前橋高志会と前橋令明、公明市議団の市議が登壇。元市議会議長の阿部忠幸・実行委員長は「思いを真剣に受け止めていただきたい」などと述べていた。
24日には共産党市議団が市民集会を開き、近藤好枝団長が「自ら招いた不祥事に真摯(しんし)に向き合い、直ちに辞職すべきだ」と述べた。市長選への候補者擁立も検討するという。
小川市長の辞意について前橋令明の小渕一明幹事長は25日、記者団に「2か月間、停滞する前橋を見てきたので、第一歩を踏み出せた。早めの決断で良かった」と語った。保守系会派も、過去の市長選での分裂を踏まえ、一本化を目指して候補者擁立を進める方針だ。
秋田の動物園からクマ脱走、爪で内開き扉を引いて外に出たか…南京錠とかんぬき両方の施錠し忘れ
秋田市の大森山動物園でクマが飼育舎から一時的に脱走した問題で、沼谷純市長は25日の定例記者会見で、クマは飼育員が鍵をかけ忘れた扉から脱走したと明らかにした。全国で野生のクマによる人身被害が多発する中での失態に、沼谷市長は「不安な思いをさせてしまった」と陳謝した。同園は26日から営業を再開する。(菊池蓮)
同園によると、クマが脱走したのは、飼育舎を構成する展示スペースの裏側にある鉄製の扉。そのまま来園者の見学スペースにつながっている。脱走前日の20日に担当の飼育員が1人で展示スペースを清掃するため扉を開け、作業後に施錠を忘れていたという。
扉は南京錠とかんぬきで外側から施錠する仕組みだが、同園がクマの脱走後に確認したところ、いずれも掛かっていなかった。扉は内開きのため、クマが爪を掛けるなどして扉を引いて外に出たとみられる。
飼育舎は、展示スペースと、就寝時などに過ごすコンクリート製の建物で構成される。日常業務で使う建物側の扉は、2人で施錠を指さし確認する決まりがあるが、展示スペースの扉は扱い方のマニュアルがなかった。同園は今後、作業時は南京錠を管理職に預け、複数人で施錠を確認するマニュアルを定めて再発防止を図る。同様の扉がある他の大型動物の飼育舎でも運用する。
沼谷市長は25日の会見で、「クマ被害で心配をかけている中、動物園が飼育するクマを脱走させてさらに不安な思いをさせてしまい、おわびする。鍵を掛けていなければアラームが鳴るといった機器の導入など態勢を見直したい」と話した。
10代女性へのストーカー行為の疑いで逮捕 県立高校の38歳男性教師を不起訴処分 逮捕当時「好意あった」などと供述
岐阜県内に住む10代の女性に対して、つきまとうなどのストーカー行為をしたとして逮捕されていた県立高校の教師の男性が不起訴処分になりました。 垂井町に住む岐阜県立高校の教師の男性(38)は、県内に住む10代の女性に対し、JR大垣駅から岐阜駅までの区間でつきまとったほか、女性の自宅近くを車でうろつきストーカー行為をした疑いで5日に逮捕されていました。 岐阜地検大垣支部は25日付けで、男性(38)を不起訴処分としました。検察は「関係者の名誉、プライバシーを保護するため」として、不起訴処分の理由は明らかにしていません。 男性は逮捕当時、警察の調べに対して容疑を認めていて、「女性として好意がありました」「近くをうろついたりしたことは間違いありません」などと供述していました。
26日未明に2階建てアパートで火事 1人死亡・1人が意識不明の重体 火元は1階部分の1室か 名古屋・名東区
26日未明、名古屋市名東区のアパートで火事があり、1人が死亡、1人が意識不明の重体です。
火事があったのは名東区名東本通3丁目の2階建てアパートです。
消防や警察によりますと26日午前1時すぎ「共同住宅が燃えている」などと、近くに住む人から119番通報がありました。
火は、約3時間で消し止められましたが、この火事で、アパートの1階の1室と、2階の1室が全焼するなどし、火元と見られる1階の部屋からは、年齢や性別などが分からない人が1人救助され、搬送先の病院で死亡が確認されました。また、2階の一室からも63歳の男性が、心肺停止の状態で見つかり、意識不明の重体だということです。
警察と消防が火事の原因を詳しく調べています。
「台湾有事」で高市首相は本当に決断できるのか…自衛隊が万全でも政治のせいで中国に完敗する最悪なシナリオ
※本稿は、小川清史『合憲自衛隊』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
1970年代後半にいわゆる有事法制の研究が行われ始めた頃、反対派の方々から「また、日本が戦争をするように仕組みをつくるのか」「国民を巻き込む有事法制には反対する」といった論調の批判があったと記憶しています。
しかし、研究を経て実際に制定された有事法制は、そのような論調とは全く異なるものでした。有事の際における自衛隊の行動が平時の国内法違反とならないように、適用除外や特例を設けるものとして自衛隊法に規定されたのです。
一方で、有事下における国民の保護については、法的強制力や義務のない「国民保護法」が制定され、実際の有事において国民が武力攻撃発生前に無事に避難できるのかが問題となる状況も生じてしまいました。
国民保護に関する議論はそれだけで一冊の本になるくらい重大な問題なのですが、本稿のメインテーマではないので、ここでは自衛隊法に規定されている有事法制について、問題点や解決策を論じたいと思います。
有事法制の問題については、栗栖弘臣統合幕僚会議議長(以下、統幕議長)の発言に触れないわけにはいきません。
1978(昭和53)年7月、栗栖統幕議長が『週刊ポスト』のインタビューに対して「現行自衛隊法には不備があり、奇襲侵略を受けた場合、首相の防衛出動命令ができるまで自衛隊は動けない」「そのため、第一線部隊指揮官は超法規的行動に出ることがありうる」という主旨の発言をした記事が掲載されました。
この「超法規」発言はシビリアン・コントロールの原則に反するとして政治問題化し、栗栖氏は事実上解任されてしまいましたが、その2年前のMIG-25事件などを契機としてすでに有事法制研究は本格化していました。
有事に自衛隊が行動するための法制上の問題点については、前年の1977(昭和52)年8月から防衛庁による正式な有事法制研究が行われていました。しかし、当時の研究は、立法化しないことを前提とした、内部的な検討にとどまっていました。栗栖統幕議長の発言はこれに対して「立法化すべきだ」とする問題提起でもあったのでしょう。
ところで、1972(昭和47)年10月14日に参議院決算委員会に提出された政府見解「集団的自衛権と憲法との関係」では、日本国憲法第9条のもとで許容される自衛のための武力行使について、以下のような3つの要件が示されました。
①急迫不正の侵害があること
武力行使は、外国からの武力攻撃によって国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆されるような「急迫不正の事態」に対処するために限って容認される。
②武力行使以外に排除する手段がないこと
武力行使は、国民の権利を守るための「やむを得ない措置」でなければならず、無制限には認められない。
③必要最小限度の実力を行使すること
武力行使は、侵害を排除するために必要最小限度の範囲に限られる。これを超える武力行使は憲法上許されない。
この見解は、憲法前文や第13条に示された「平和的生存権」や「幸福追求権」を根拠に、国家としての自衛権は否定されないとしつつも、憲法の平和主義の原則に基づき、武力行使には厳格な制限を設けるという立場をとっています。
また、この見解では、他国に加えられた武力攻撃を阻止するための集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと明確に否定されました。
栗栖統幕議長の「超法規」発言の前提にあったのが①の「急迫不正の侵害への対処」です。
当時は冷戦期であり、米ソ対立を背景に、ソ連軍が日本に奇襲的に侵攻する可能性が懸念されていました。そうした奇襲侵攻に対して、国民が被害を受ける前に自衛隊が出動して侵攻を阻止し得るのかが議論の焦点になっていたのです。
当時の体制では、「急迫不正の侵害」が我が国に対して行われた場合、内閣総理大臣が三要件に照らして侵害行為であると認定し、防衛出動命令を作成。内閣総理大臣→防衛大臣→各陸海空幕僚長(当時)→各部隊長へと命令が下達され、部隊が出動して防衛配備につき、侵害対処をすることとなっていました。
ただし、実際には「急迫不正の侵害」が発生してから防衛出動命令が下達されるまでに時間を要する可能性があります。もちろん、その間に日本の領土や国民が被害を受けるリスクもあります。
そのように国民の生命や領土が危機にさらされる事態において、法的手続きが間に合わない場合には、現場の指揮官が「止むに止まれず」超法規的行動を選択せざるを得ないのではないか。
むしろ「急迫不正の侵害」が発生する前に自衛隊が出動できる制度的整備が必要ではないか──栗栖統幕議長はそうした現実的・実務的な問題を提起したというわけです。
栗栖統幕議長が指摘した「いわゆる奇襲対処の問題」に対して、1978(昭和53)年9月21日防衛庁の回答が有事法制研究の中間報告の中で示されました。
つまり、内閣総理大臣は、武力攻撃のおそれのある緊急時には、国会の承認を受けなくても防衛出動を命ずることができるので、奇襲攻撃には対応できるとのことです。
その後、武力行使の三要件に関しては、2015(平成27)年に「武力攻撃事態対処法」が改正され、新たに「存立危機事態」などの概念が導入されたことで、より柔軟な対応が可能となり、従来の「急迫不正の侵害」要件は削除されました。
「存立危機事態」については、武力攻撃事態対処法第2条第4号で次のように定義されています。
我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。
これにより、従来は認められていなかった集団的自衛権の限定的な行使が可能となりました。つまり、日本が直接攻撃されていなくても、同盟国への攻撃が日本の存立に重大な影響を及ぼすと判断された場合、自衛隊による武力行使ができるようになったのです。そのため、武力行使の三要件も、前章で見た通り、次のように変わりました。
①我が国に対する武力攻撃、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立や国民の生命に明白な危険がある場合(筆者要約)
②武力行使以外に排除する手段がないこと
③必要最小限度の実力を行使すること
では、これで栗栖統幕議長が問題提起した「急迫不正の侵害」への対応の問題は解決されたのでしょうか。
確かに、一見すると解決したかのように思えます。
ところが、台湾有事(南西諸島有事含む)のウォーゲーム(軍事・安全保障分野で行われるシナリオ型の机上演習)を様々な研究所が行ったところ、首相・防衛大臣役による事態認定、そして防衛出動命令または防衛出動待機命令の迅速な発出が困難である、もしくは遅れることが問題として指摘されています。
つまり「急迫不正の侵害」の事態ではなくとも、政軍関係(政治と軍事の関係性。文民が軍を統制し、軍は政治の意思に従って行動する仕組み)における政治から軍への橋渡しをする前の段階、すなわち政治サイドが自衛隊による我が国防衛(戦争)開始を決定するという重要な段階において、そもそも大きな問題が存在しているとの指摘があるのです。
現在の日本の防衛制度では、自衛隊が武力行使をするには、内閣総理大臣による事態認定と、防衛出動命令または待機命令が必要です。これらは政治判断に基づくものであり、軍事的な状況が緊迫していても、政治サイドが迅速に判断・命令を下さなければ自衛隊は動けません。
しかし、現状は政治サイドが「状況を把握する→事態の深刻さを評価する→軍事的対応の必要性を判断する→命令を出すかどうかを決断する」という一連の流れの中で、判断・決断の遅れや躊躇、制度的な不備、情報共有の不足などが問題視されているというわけです。
台湾有事のような複雑で迅速な対応が求められる事態では、政治判断の遅れが日本の安全保障上の致命的なリスクになり得ることは言うまでもありません。
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(元自衛隊陸将 小川 清史)
海外メディアは「タカ派の高市首相が理性的に見える」と評価…長引く日中対立で”一番損をする”のは誰か
中国の一連の反応は、果たして適切だったか。世界の厳しい目が向けられている。
発端は、11月7日の国会答弁だ。野党議員から、中国が台湾を攻撃した場合、日本にとって「存立危機事態」に該当するかを問われた高市首相は、「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースであると、私は考えます」と答弁した。
日本と密接な国が攻撃されることで、日本の存在が脅かされる「存立危機事態」とみなされれば、自衛隊による集団的自衛権の行使につながる可能性が出る。
首相の発言直後、中国外務省は「台湾は中国の内政問題だ」と強く反発。高市首相に発言の撤回を求めた。翌8日には、中国の駐大阪総領事が「汚い首を切り落とす」との趣旨をSNSに投稿。まもなく削除されたが、日本政府は「極めて不適切」として中国大使を呼び抗議した。
以降、中国共産党の対日圧力は強まる一方だ。
15日には自国民に、日本にいる中国人が犯罪のターゲットになっているとして、日本への渡航自粛を呼びかけた。中国の航空各社が日本行きのチケットの無料キャンセルに応じたところ、54万人以上が予約を取り消した。19日には、日本産の水産物輸入停止を日本政府側に通知したとも報じられている。文化交流イベントの中止や、日本映画の公開延期も相次いだ。
なかでも注目を集めたのが、11月19日に北京で行われた日中外交当局の協議の場面だ。中国外務省の劉勁松アジア局長は、両手をポケットに入れたまま日本側代表との会話に応じた。正式な外交の場では極めて異例であり、無礼とも受け取れる振る舞いだった。日本側はうつむき、頭を下げているようにも見える。
シンガポール英字紙ストレーツ・タイムズによると、中国のソーシャルメディアでこの写真が拡散。ネットユーザーたちは「2025年のベストショット」と称賛し、「試験に落ちた生徒を叱る教師のようだ」と喜んでいるという。
こうした反応は、国営メディアによって意図的に煽動された可能性がある。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国国営放送CCTVが運営するソーシャルメディアアカウントが、この動画に「日本の外交官が中国側の話を聞きながら頭を下げる」とのハッシュタグを付けて投稿した。投稿はその後、削除された。
中国政府は国際社会に向け、より露骨な立場を表明している。中国共産党が管轄する英字日刊紙のチャイナ・デイリーは、少なくとも3日間にわたり高市首相を糾弾する記事を掲載した。
11月17日の社説は、「高市の挑発的で危険な発言の根本原因」と題し、日本側の対応を一蹴した。「日本は、なだめるような言葉だけでは、高市の挑発的で危険な発言の深刻な影響を相殺できないことを理解しなければならない」と断定。「必要なのは、誤った発言の明確な撤回だ」と要求した。
同紙は高市首相について、「南京大虐殺などの歴史的残虐行為を否定し、靖国神社を参拝し、極右の歴史修正主義者たちと密接に連携している」と独自の主張を並べ立てた。また、「彼女の言動は予測可能なパターンに従っている。それは何年もの間、日本の右翼政治グループを育ててきた『有毒な土壌』に根ざしたものだ」と持論を展開した。
記事には、過激な風刺画が添えられた。「軍事化」と書かれた服をかぶった幽霊が高市首相と手をつなぎ、崖の上から燃えさかる炎の海へと誘い出している。高市首相が日本を軍事化へと導き、破滅へと向かわせているという中国側の主張を示唆するものだ。中国の感情的な対応を強調する内容だ。
19日になると、チャイナ・デイリーはより強硬な論調を展開し始めた。
「高市は謝罪すべきだ」と題する記事を掲載し、「最初にはっきりさせておこう。日本は今すぐ間違いを正さなければならない。高市は謝罪し、責任を取り、中国国民に真の回答を示さなければならない」と糾弾した。
同記事は、「高市早苗首相は就任してわずか数週間だが、日本の隣国のほぼすべてを怒らせることに成功した」と指摘。経済面で具体例を挙げ、「中国の顧客に大きく依存しているブランド、資生堂の株価は11%急落した。他の日本企業も、程度の差こそあれ打撃を受けている」と報じた。
さらに、「日本がこの自傷的な災害から抜け出す方法は1つだけだ。高市早苗は謝罪し、発言を撤回し、歴史と正直に向き合い、台湾問題での火遊びをやめなければならない」と記事を結んだ。
20日の記事では、経済への影響をより詳しく取りあげた。
日本側の声を引用する形式をとりながら、実質的には日本経済が中国に依存している構図を印象づける内容だ。立教大学教授(経済学)の分析を取りあげ、「中国からの訪問者数が急激に減少すれば、インバウンド消費が2兆2000億円減少し、実質GDPを約0.36%押し下げる可能性がある」との数字を示した。
これらの記事を通じ、中国側は経済的な圧力を用い、日本側の譲歩を引き出そうとする姿勢を鮮明にしている。
中国による一連の対応に、国際社会は厳しい立場を示している。とりわけ注目を集めたのが、駐大阪中国総領事による「斬首」発言だ。
エコノミスト誌は、駐大阪中国総領事の薛剣氏が「汚い首を切り落とす覚悟はあるか」とソーシャルメディアに投稿したと報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、この発言を「戦狼外交への明確な回帰」だとする専門家の分析を掲載。戦狼外交とは、習近平政権下で形成された、攻撃的で対立を好む外交姿勢を指す。米外交専門誌のディプロマットは、こうした投稿が「下品であり、外交官に求められる品位を欠いている」と指摘する記事を掲載した。
両手ポケットの件に関してはロイターが、ユーラシア・グループのアナリストの分析を紹介。「中国は外交の大半を非公開で行う達人だ。それをあえてカメラの前で行ったということは、全世界に見せたかったのだ」との見方を示した。上体を反らし日本の外務省幹部を見下す無礼な振る舞いは、意図的なものだったとみられる。
中国政府は15日、自国民に対して日本への渡航を自粛するよう呼びかけた。安全上の懸念があるとしている。だが、日本が危険な国だとの仮定に立ったこの呼びかけに、海外メディアは疑問を呈している。
ブルームバーグは、「世界で最も安全な社会の一つである日本で、中国人の訪問者や学生に脅威が生じると本気で信じる者はいない」と指摘。そのうえで、「中国では昨年、日本人への攻撃が相次いだ。これを踏まえると、(中国より日本が危険だとする)この警告は痛ましいほど皮肉だ」と論じた。
中国の強硬姿勢は、軍事面でも孤立を高める可能性がある。
ワシントンポスト紙は、オーストラリアのシンクタンクである米国研究センターのマイケル・グリーン代表の言葉を引用。「北京がこのようなことをすればするほど、何らかの集団防衛取り決めができる可能性が高まる」「中国の行動は、中国が望まない(国際社会による中国人民解放軍の)封じ込めを生み出している」との分析を伝えた。
中国の攻撃的な姿勢は逆効果となり、安全保障面で他国が対中国で連携を強める機運を生んでいる。
ブルームバーグは、中国の威嚇が日本側にさして痛手となっていないと分析。「北朝鮮のミサイル発射と同じように、日本国民は中国のレトリックに慣れっこになっている」と指摘した。
火種となった高市首相も、何ら大きなダメージを受けていない。同記事では、高市首相の支持率はもともと歴史的に高かったが、台湾発言以降の世論調査でさらに上昇したと紹介している。記事タイトルは「北京の行き過ぎにより、高市氏は早々に政治的勝利を収めた(Beijing’s overreach gives Takaichi an early win)」と謳っており、就任早々かえって日本国民の支持を伸ばす結果になったとの見方だ。
一方で中国の反応については、安全保障上の問題を論じたに過ぎない国会答弁に対して不釣り合いに激しく、合理性を欠いているとの見方が広がっている。
ブルームバーグは、「この敵意は圧倒的に一方的だ。その結果、しばしば『過激派』や『超保守派』と非難される高市氏が、今では著しく理性的に見える」と論じる。
ロイターもまた、世論調査で首相の堅調な人気が示されていると伝えた。中国が期待した日本国内からの政治的圧力は発生せず、圧力外交の限界を露呈した形だ。
もっとも、日本にも一定の非はあるとの論調も見受けられる。
ディプロマット誌は、高市首相の発言について「安全保障の観点では完全に正しい」としながらも、「外交的観点では不適切で全く不必要」と指摘。台湾有事が日本の安全保障に影響を及ぼすことは事実だが、それを公の場で明言する必要はなかったとの見解だ。
仏放送局のフランス24は、日本研究専門家ジェフリー・J・ホール氏の分析を紹介。高市首相が午前3時の勉強会のセッション後に、官僚のチェックを受けることなく発言に至ったと指摘した。
答弁では「戦艦」との用語を用いたが、近年では政治の舞台でほぼ使われていない、古く刺激の強い用語だ。このため、首相独自の表現であったと推測される。
ホール氏はさらに、過去の日本の首相が維持してきた「戦略的曖昧さ」を破った点を問題視。台湾問題について明確な立場を示さないことで中国を刺激せずに済んでいたが、今回は外交的配慮が失われたとの見方を示した。
とはいえ、今回の日中対立を通じ、日本側に大きな非があるとの論調はほぼ見られない。むしろ各紙は、中国の強硬姿勢の裏に、国内の行き詰まりを覆い隠したい事情があると分析している。
英テレグラフ紙は、習近平国家主席が「悪化する経済、高まる不満、人民解放軍の最高幹部の政治的混乱から(中国国民の)目を逸らしている可能性」があるとする専門家の分析を紹介した。
中国経済は急速な停滞ムードが広がっており、投資は数年ぶりの最悪水準を記録。消費も2021年以来、最長の減速期に入った。こうした中、国民の不満が政府に向かうのを避けるため、対外的な強硬姿勢で愛国心を煽る必要があったとの見立てだ。
ドイツ国営放送のドイチェ・ヴェレも同様の見方を示している。
高市首相の発言が波紋を広げたのは事実だ。台湾問題は中国共産党の優先課題であり、他国が刺激的な言葉で口を挟めば、党の面子のためにも黙っていられないことは明らかだった。
だが、中国側は対応を過剰なまでにエスカレートし、国際的品位と信頼を失った。「斬首」発言や国営紙による対日感情の煽動、外交上異例の非礼な態度などを繰り返し、妥協点を探すことなく、日中どちらにとっても落とし所のない報復へと突き進んだ。
こうした非建設的な対応に、苦しむのは他ならぬ中国国民自身でもある。中国航空会社は日本便のキャンセルを無料で受け付け、50万席以上の予約が消えたとされる。チケット代こそ返ってきたかもしれないが、すでに支払ったホテル代を泣く泣く諦めるのは、政府の強硬姿勢に振り回される中国国民自身だ。
より大局的な視点では、留学機会の損失がある。中国が景気減速と高い失業率に苦しむ中、多くの若者が海外留学を通じ、将来的により良い職に就こうとしている。ところが中国文部省は11月16日、日本への留学を慎重に判断するよう国民に呼びかけ、その後も日本での安全確保について警告した。
結果、日本が危険であるという印象操作を通じ、学習意欲の極めて高い国民の未来を他ならぬ中国文部省自体が閉ざしている。国内の失業問題から目を逸らすための日本叩きだったが、結果として留学機会を奪い、失業問題を悪化させる本末転倒につながりかねない。
対立を好む「戦狼外交」により、中国は自らの選択肢を狭めている。
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(フリーライター・翻訳者 青葉 やまと)
【ヒグマ】再開されたばかりの円山公園付近で目撃情報「走行していたら横切った」北海道神宮の方向へ立ち去る
25日夜、札幌市の円山公園近くでクマが目撃されました。円山公園周辺では、これまでにクマの出没が相次いだ影響で、2週間の閉鎖から再開されたばかりでした。
クマが目撃されたのは、札幌市中央区宮ヶ丘の円山公園近くです。
25日午後10時半ごろ、クマを目撃した60代男性が「走行していたら横切った」と警察に通報しました。
警察によりますと、クマは円山公園坂下野球場あたりから北海道神宮の方向に立ち去っていったということです。
クマは体長は80センチくらいで、いまのところ痕跡などは見つかっていません。
円山公園では、周辺でクマ出没が相次いでいて、11日から閉鎖。2週間ぶりの25日に再開されたばかりでした。
健康診断で肺異常を報告せず、がん発見遅れ2000万円の賠償命令…1年後に肺がんステージ4判明
健康診断で医師が肺の異常に気づいたのに報告がなく、がんの発見が遅れたとして、愛知県小牧市の男性(32)が社会福祉法人おおぐち福祉会(愛知県大口町)に約3150万円の損害賠償を求めた訴訟があり、名古屋地裁(作田寛之裁判官)は25日、同法人に2000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、男性は同法人と健康管理などのサービスを受ける契約をしていた一環で2020年6月に健康診断を受けた。この時、医師が男性の胸に異常を発見し、健康診断個人票の肺部分に印を付けて「CT(コンピューター断層撮影法)へ」と記載したが、職員は男性に「正常」と報告していた。男性は21年7月の診断で肺がんのステージ4とわかり、抗がん剤の投与を受けている。判決では、「過失がなければステージ1で発見されたはず」とし、「急速に症状が悪化して生命の危機に直面しかねないという事態も懸念される」と指摘した。
同法人は「判決を見ていないのでコメントできない」としている。
ウインドサーフィンをしていた71歳の観光客が溺れ死亡 石垣島の川平湾ビーチで 大阪から沖縄旅行中
25日午後5時10分ごろ、沖縄県石垣市の川平湾のビーチで男性が溺れ、心肺停止しているとビーチ関係者から119番通報があった。石垣海上保安部によると、男性は心肺停止の状態で病院に搬送され、午後6時25分ごろに死亡が確認された。
亡くなったのは大阪府の男性(71)。観光で訪れ、付近の海域でウインドサーフィンをしていた。午後5時ごろに砂浜でうつぶせの状態で見つかった。救命胴衣は着用していなかったという。
勤務外の警官が運転する車にはねられ意識不明 80歳男性が道路横断中に 沖縄・那覇市
24日午後6時50分ごろ、那覇市宇栄原の沖縄県道231号で、うるま市の男性警察官(28)が運転する軽自動車が、道路を横断していた男性(80)=那覇市=をはねた。豊見城署によると、男性は意識不明の状態で本島南部の病院に搬送され、治療を受けている。運転していた男性は、県警警備部に所属する警察官で、事故当時は勤務外で自家用車を運転していたという。
現場は片側1車線の直線道路で、付近に信号機や横断歩道はなかった。