都心から120キロ南の太平洋上に浮かぶ伊豆諸島最大の島・伊豆大島。島の中心街から10分ほど車を走らせると玄武岩の黒砂からなる弓状に伸びた海岸線が多くの観光客を虜にする「砂(さ)の浜」が見えてくる。そんな太古から続く幻想的なビーチで人の骨が発見されたのは昨年10月のことだった。
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社会部記者が解説する。
「死体損壊と死体遺棄の容疑で逮捕されたのは柳瀬宗達(そうたつ)容疑者(45)。容疑を認めており、『遺体を焼いてのこぎりで切断。袋に入れて海に捨てた』と供述している」
DNA鑑定の結果、見つかった骨は高瀬静香さん(享年37)のものと判明した。
「高瀬さんは柳瀬と交際関係にあった。死亡の経緯について柳瀬は『自宅にいたが気がついたら自殺していた』と話している。『遺体が見つかれば島に住めなくなる』とも語っており、高瀬さんのスマホと荷物は捨てて、証拠隠滅を図ったと見られる」(同前)
本州で就職し、向こうの女性と結婚
柳瀬の近隣住民が話す。
「柳瀬さんの家は代々続く畳屋で、宗達は3代目。小学生の頃、三原山が噴火して島民が全員避難になったとき『怖いよ、怖いよ』と泣きながら抱きついてきた。明るくて心優しい子だった」
中学では野球部に所属。島内の高校に進学した。
「卒業後は親御さんから店を継ぐために『くに(※本州のこと)で修業してこい』と言われ、就職。向こうの女性と結婚して娘さんと息子さんがいます。約10年前に店を継ぐために島に戻ってきたが奥さんは来なかった。埼玉にある家のローンは宗達が払っており、子どもたちはたまに島に遊びに来ていました」(同前)
埼玉の近隣住民が話す。
「たしかにご主人の姿は見たことはないが、東日本大震災のとき、被災地に支援に行ったと聞いた。出稼ぎで家を空けているものだと思っていました」
大島でのリゾートバイトで宗達と知り合い交際に発展
高瀬さんとの“不倫関係”は島では周知の事実だったという。柳瀬の知人が話す。
「宗達は自宅の2階を友人に貸しているということにして静香さんを居候させていた。万が一、奥さんが島に来たとき『友人の彼女』と言い訳できるから。一緒に家に入っていく姿を島民は何度も目撃しています」
高瀬さんは札幌出身。なぜ道ならぬ恋に進んだのか。
「静香さんは全国の観光地を渡り歩き、住み込みで働く『リゾートバイト』で生計を立てていた。19年から23年まで大島のラウンジで働いていた時期があり、客として来店した宗達と知り合い交際に発展した」(同前)
利尻島や徳之島、八丈島などでも働き、事件直前は静岡県下田市のスナックに勤務。同店関係者が語る。
「求人サイトを通じて応募があり、24年8月から10月末まで働いてもらう予定でした。飲み屋経験が長いから盛り上げ上手でどんなお客さんの席につけても安心して見ていられました。『海が大好き』と言っており、ダイビングのフィンを持っていた」
そして、その日が訪れる。
「『9月9日から1週間休みをください』と言われました。特に行き先などは告げられなかった。静香さんの友人から店に『連絡が取れない。警察に相談する』と電話があったのは9月末頃。寮に住んでいて荷物はそのままでした」(同前)
高瀬さんは熱海市からフェリーに乗船し、柳瀬が待つ大島へ。12日から札幌の同級生と沖縄旅行の約束をしていたが、合流場所に現れず、行方がわからなくなっていたのだ。
ラウンジの仕事は好きじゃないと元同僚に吐露
2人が出会ったラウンジのオーナーが語る。
「静香の時給は2500円。シャンパンを入れたらバックが入るけれどそんな太客はいなかった。酒が大好きで酔い潰れては送迎のドライバーに迎えに来てもらうことも。着飾らない子で服にお金をかけず、寮でも自炊で納豆などを食べていた」
各地で知り合った友人と格安ツアーで海外旅行を楽しんでいたという。
「タイ旅行に行ったとき、向こうでマッサージの資格を取ってきた。水商売ができなくなったときのために資格を持っておきたかったのかもしれない」(同前)
元同僚の女性が続ける。
「ラウンジの仕事は好きじゃないと吐露しており、『生活できるくらい貯金ができたらスイッチが切れたみたいに引きこもる。お金がなくなったらまた働く。その繰り返し』と。コロナのときはこのままの生活はヤバいと思ったのか『看護学校に通う』と資料請求をしていたが通うことはなかった」
「超ムカつくんだけど」と激怒
その一方で禁断の関係は深まっていった。
「静香は『実家に居場所はない』と言っており、島に友達と呼べる人もいなかった。孤独な静香には宗達しかいなかった。一度キャストの子が『宗達はやめておきな』と言ったら『超ムカつくんだけど』と激怒。それ以来その子は無視された。急に泣き出すなど気分の浮き沈みは激しかった。デートはもっぱら居酒屋か海。2人でボディボードをよくやっていた」(同前)
前出のラウンジオーナーが続ける。
「宗達が店に来るのは月に1回程度。友達2人と一緒で会計は3万円くらい。アフターで静香とはタイ料理屋に行くんだけど、男友達も一緒に連れてカモフラージュしていた」
「お前、また違う女じゃねえか」
不惑を超えてもなお1人の女性を“依存”させていた柳瀬。家業とは裏腹の「チャラさがあった」と島内の飲食店店主は明かす。
「女性にはモテるんです。結婚後も静香とは別の島の女の子と付き合っていた。観光で来た女の子2人を連れて奢ってやったりしていた。いろんな女の子を連れてきていたから『お前、また違う女じゃねえか』と。学生の頃から、不良までとはいかないが、髪を派手にセットしてみたり、暴走族の真似事をしてみたりソフトヤンキーな面があった」
柳瀬はFacebookに、新宿ゴールデン街で飲む自分自身を〈パリピ(笑)〉と表現したり、キャップにサングラスというラッパー風の格好で携帯ゲーム機を片手にポーズを決める姿を投稿。
実は柳瀬には高瀬さん以外にも愛人がいたという。
「新宿にも不動産関係の仕事に就く愛人がいる“3股不倫”でした。新宿の女性が『2番目の妻』で静香のことは『3番目の女』だと言っていた」(同前)
高瀬さんは好みの男性について、同僚らにこう語っていた。
「イケメンは嫌い。浮気をするから」
そんな高瀬さんと、島でチャラつく柳瀬の間にトラブルは絶えなかった。
「23年9月に柳瀬から大島署に男女間についてのトラブルの相談があった。これを機に高瀬さんは島を出たが関係はだらだらと続いた。翌24年5月にも『(高瀬さんから)しつこく電話が来る』と相談があった」(捜査関係者)
修羅場も訪れていた。
「静香は埼玉の家に行って奥さんの写真を撮り、宗達に送っていたそう。また別れを切り出されたときは両手に包丁を持ってガムテープでぐるぐる巻きにして家にやってきた。『奥さんに関係をバラすぞ』と脅され、毎月4万円を請求されていると聞きました。『いつまで払えばいいのか』と宗達は不満げでした」(前出・知人)
1月27日、埼玉の自宅に帰ってきた柳瀬の妻に声をかけたが、俯きながら「弁護士事務所に聞いてください」と漏らすのみ。
3股不倫の代償はあまりにも大きかった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年2月6日号)
自衛隊「US-2」飛行艇 2000km離れた太平洋上「ポツンと漁船」のSOSに超絶対応! 公開動画に「スゴイ」の声
日本ならではの飛行機かも。
硫黄島からさらに800km離れた太平洋上へ急行
防衛省・統合幕僚監部は2025年4月24日、救難飛行艇US-2が日本周辺の海域で緊急患者空輸を行ったと発表。その様子を収めた動画を公開しました。
緊急患者空輸を実施したのは21日、場所は硫黄島の東方約800kmの西太平洋上です。午前9時30分に海上保安庁からこの海域にいる漁船への急患輸送の要請があり、5分後の9時35分に「災害派遣のため部隊等に行動を命ずる場合に発する行動命令」、通称「行災命」が発令されています。
これを受け、山口県の岩国航空基地に所在する海上自衛隊第31航空群 第71航空隊からUS-2が急行しており、動画ではその後、患者を搬送するまでの一連の様子が収められていました。
動画では、US-2が当該船舶を目視で確認したところから始まります。至近に着水すると、機内からボートを出し、機上救護員を乗せて患者がいる船舶へと接近。船上で機上救護員が患者の状況を把握すると、担架で患者を運び出し、ボートによる移送を経てUS-2に収容、離水するまでを見ることができます。
この動画は25日11時半時点で、3万回以上視聴されており、コメント欄には「これだけ海が広いと、やはり必要不可欠だよね救難飛行艇。」「日本の食を支える漁師さんを助ける海自の皆さん、どちらもいつもありがとうございます。」「離着水に要する時間(距離)が驚異的に短い。」などといったコメントが並んでいました。
なお、岩国航空基地と硫黄島は約1400km離れているため、岩国基地から漁船へは直線距離でも2000km以上ある計算になります。
また、2025年1月現在、海上自衛隊ではUS-2を6機運用しており、その全てが前述した岩国航空基地の第31航空群 第71航空隊に配備されています。
【動画】漁船からSOS 救難飛行艇US-2の「神対応」を映像で見る
ベルマーク協賛企業が減少 「PTA保護者の負担」と脱退も
購入した商品のパッケージにあるマークを切り取って集めると1点1円に換算され、学校の備品が購入できる「ベルマーク運動」。その仕分けや集計作業などはPTA活動で実施されることが多い。ところが近年、商品にマークを付ける協賛企業が減少。「活動に携わる保護者の負担になっている」という理由で企業が脱退するケースもあった。
ベルマーク運動では、食品や文具、日用品などの商品パッケージからマークを切り取り、協賛企業ごとに仕分け、点数ごとに分類して計算し、整理袋に入れて確認するなど、多くの手作業を伴う。PTAでベルマークの作業を経験した保護者たちからは「想像以上に時間がかかり、生産性が低い」という声が上がることも少なくない。
数年前、ある企業の社内会議でこんな疑問の声が上がった。「ベルマークはわが社の社員も含めた保護者たちの負担になっているのでは?」
この企業ではこうした声を受け、協賛企業からの脱退を決めた。広報担当者は「ベルマーク運動の理念は素晴らしく、長年にわたって賛同し続けてきた」と前置きした上で、「時代に合った社会貢献とは何かと考え、社会課題解決に取り組む団体などに直接、寄付することに切り替えた」と話した。
コロナ禍で作業難しく
PTAのベルマーク運動については否定的な見方がある一方で、「保護者同士が『最近、どう?』と会話しながら作業することは交流につながり、細々とした手作業が好きな人もいる」という肯定的な声もある。
ただ、2020年春以降の新型コロナウイルス禍では、濃厚接触を避け、こまめな手指消毒と換気が推奨された。2センチ四方前後に切り取られたベルマークは、開けた窓から風が吹けば飛んでしまう恐れがあり、保護者たちが会話を楽しみながら仕分け作業をすることが難しい状況も生まれた。
近年、脱退した別の企業は「ベルマーク運動の縮小傾向や、PTA活動の一環として取り組む保護者から否定的な意見が上がっていることが判断要素になった」という。
ベルマーク運動の事務局を務める「ベルマーク教育助成財団」によると、ベルマーク運動の始まりは1960年。「すべての子どもに等しく、豊かな環境の中で教育を受けさせたい」と財団が設立され、全国のPTAに参加を呼びかけ2263校でベルマーク運動が始まった。06年からは幼稚園や小中学校、高校だけでなく大学や公民館なども参加対象とするようになったという。
財団の事業報告書によると、参加団体数は微減傾向が続いており、18年3月末で2万7113団体だったのが、24年3月末は2万5788団体へと減少した。財団は取材に対し「少子化などで学校の統廃合もあるが、大きな変化はなく全国参加を維持している。社会全体で取り組めるボランティア運動となっている」と強調する。現在も全国の小学校の約7割、中学校の約6割が参加しており、年間約3億円分の点数が寄せられているという。
一方で、協賛企業は19年の53社から25年4月現在は43社へと減った。財団はこの点について「各社のさまざまな事情で変動があるが、これからも『子どもたちの笑顔のために』という運動の趣意に賛同いただけるように活動を続けていきたい」とコメント。今後については「参加団体には特にコロナ禍以降、さまざまな工夫をして運動に取り組んでいただいている。『無理なく、無駄なく、根気よく』をモットーに活動を継続していきたい」と話している。【前本麻有、塩路佳子】
ついに警察が「闇バイト」グループへ潜入開始…合法的に別人になりすます「仮装身分捜査」の”効果”
「勧善懲悪を実現したい――」
2月13日。警視庁本部9階の会見室で捜査一課長の就任会見に臨んだ岡部誠幸警視正。首都圏を中心に相次いでいる闇バイト強盗事件への対処についてもこう語った。
「仮装身分捜査を活用して、いまだ検挙に至っていない指示役への突き上げ捜査を確実なものとしたい」
日本刑事警察の星、警視庁捜査一課長が積極活用を口にした「仮装身分捜査」。この新たな捜査手法を一部の都道府県警が開始した、と坂井学国家公安委員長が4月22日の会見で明らかにした。
いったいどんな捜査手法なのか。
警察庁によると、仮装身分捜査とは、捜査員が仮装の身分を使って捜査対象者と接触して、情報や証拠を集める捜査手法のことを指す。
欧米各国ではすでに導入されているという。警察庁関係者によると、具体的にはオーストラリアでこんな事例があったという。
2003年12月に同国で発生した殺人事件で、ある男が容疑者として浮上していた。しかし男の関与は任意聴取や行動確認でも特定することができなかった。遺体も発見できず10年が経過。この事件を解明するため用いられたのが仮装身分捜査だったという。
捜査員は仮装身分を使用してこの男に飲食店で接近。関係性を構築しておよそ半年後に遺体の隠し場所を聞き出すことに成功した。この情報を基に警察当局は裏付け捜査を進め、2011年8月にこの男を逮捕した。
警察庁関係者によると「仮装身分捜査は社会的に問題となっている闇バイトに起因する強盗、窃盗、特殊詐欺を念頭に置いている」という。
さらに日本において仮装身分捜査が導入された場合に有効な点として、暴力団組織のように秘密保持が徹底されていて、地下活動しているような犯罪組織の実態解明、組織外部の人間では把握・獲得しづらい、組織の核心に迫る犯罪情報や物的証拠を入手できること、暴力団員などの捜査対象者が捜査員やその家族に危害を加える危険を回避できることなどが挙げられるという。
こうした中、警察庁はことし1月に仮装身分捜査のガイドラインをまとめて警察庁刑事局長名で全国の警察本部に通達した。
ガイドラインによると、捜査員が闇バイトを募集しているX(旧Twitter)などのSNS投稿に自ら応募。科学技術を応用してつくった架空の人物の顔写真を用いて、実際の捜査員とは異なる氏名の運転免許証や学生証などを作成して提示するという。
そして、指示された場所に集まって情報収集するなどして、犯行グループの検挙や犯行の抑止につなげるという流れだ。
対象事件は闇バイトが絡んだ強盗や特殊詐欺、それらに関連する犯罪に限定し、各警察本部長の指揮のもとで事件ごとに「実施計画書」を作成しなければならないと規定している。
警察庁の露木康浩長官(1月当時)は並々ならぬ決意を定例会見で述べている。
「仮装身分捜査の実施環境が整ったことで、闇バイトによる事件に対する『雇われたふり作戦』をより効果的に実施できることになった。実行犯の身柄を早期に確保して被害の未然防止を図るとともに、指示役や首謀者の特定、実行役の募集そのものの抑止につながるものと期待している。一連の闇バイトによる強盗事件の根本的な解決のためには、指示役や首謀者の検挙が何よりも重要だ。引き続き、突き上げ捜査に全力を傾注したい」
鳴り物入りで導入が決まった仮装身分捜査。現場はどう受け止めているのか。
実際に仮装身分捜査に関わる主任官(警部クラス)にも任命されている捜査関係者は声を潜めて言う。
「捜査の手法を拡げる意味では大いにプラスだが、ご承知の通り、捜査員の力量がすべてになることが一番不安な点だ。敵対組織も今回の仮装身分捜査を十分警戒し、身分確認を徹底するはずだ。最悪のケースでは捜査員に命の危険がある。仮装身分捜査員をどうやって抜擢し、さらに指導・育成していくかも悩みの種だ」
一方で、日本でも薬物捜査などでいわゆる「おとり捜査」が一部で認められている。また、公安警察の捜査官などが行っているとされる「潜入捜査」という手法も存在する。
これらと仮装身分捜査との違いはどこにあるのか。自身も潜入捜査の経験を持つ元警視庁公安捜査官の勝丸円覚氏が説明する。
「捜査員であることを隠して犯行グループに接触する捜査手法としては『おとり捜査』があり、日本では現在薬物や銃器の取引に関する捜査でのみ実施されています。『仮装身分捜査』との大きな違いの一つは、『おとり捜査』では本人証明書を偽造して提示することまでは行わないということです。
『おとり捜査』では、例えば薬物の売人や購入しようとする人に薬物の売買を働きかけて犯罪行為を行った段階で摘発します。仮装身分捜査では合法的に違う人物の身分証を持つことができますが、潜入捜査は厳格に言えば違法に身分を偽ることになります」
公安捜査官として勝丸氏が実際に行った潜入捜査とはどのようなものなのか。勝丸氏が明かす。
「公安捜査官を拝命して少し経った頃、私に潜入捜査が命じられたのです。上長からの指示は、極左過激派の幹部候補の予備校生Pに接触せよというものでした。私はPが通っていた予備校に、社会人だったが研究者への道をあきらめられず大学進学を目指す予備校生として入校しました」
このPという男性は、高校時代から過激派の集会などに参加しており、幹部候補として組織内部でも頭角を現していたという。警察上層部としては更なる深い情報を入手しようと、勝丸氏に潜入捜査のミッションを与えたのだった。
「私のミッションはPと人間関係を構築し、組織に関する濃度の濃い情報を収集することでした。最初はPの近くに席を取り同じ講義を受けて、なにげない会話から始めました。そのうち一緒に食事に行くようになりました。週末はどのようなデモ、集会に参加しているのか。どんな書物を読んでいるのか。普段の行動パターンはどうか。Pの言動や行動から情報を蓄積していき、レポートしていました」
その後、Pの組織内情報をさらに収集した勝丸氏は、数年後に潜入捜査の任務を解かれた。結果的に警察は重要な情報を入手するに至り、勝丸氏は表彰を受けたという。そんな勝丸氏は今回の仮想身分捜査について評価したうえで、不安も口にした。
「仮装身分捜査の導入は遅すぎたくらいで現場の捜査においては強力な武器。部分的にかつ一時的には有効ですが、根本的な解決には他の対策も必要だと考えます。身分を仮装してたどり着けるのも指示役までで首謀者にたどり着くのは難しいでしょう。
仮装身分捜査が本格稼働して実行役や指示役クラスの逮捕は格段に進み、現在の手口は下火にはなると思いますが、特殊詐欺グループが海外に拠点を設けるなどしてより巧妙、地下に潜っていったように新たな手口や組織が出てくると思います。
個人情報が記載され、犯罪に利用されている『闇名簿』の流通を止めるための法規制、SNS上のバイト募集に厳格な審査を設けるなど民間の努力も必要で、警察だけの努力では根本的な解決にはなりません」
仮装身分捜査において、別人の身分証を作成することは公文書偽造罪に抵触するとされている。しかし、警察庁は刑法35条の正当業務行為として、公文書偽造の違法性は阻却されるという見解で今回、仮装身分捜査の導入を決めたという。
それでも、法律面で一抹の不安は残ると元警視庁幹部は言う。
「捜査官が仮装身分で対象者に接触した際に、その相手が犯罪を行うことが明らかな場合、犯罪意志の教唆、及び犯罪意志の助長を問われる可能性が残っている。仮に捜査対象側から訴訟を起こされた場合、どう対処するのか。捜査を指揮していた立場として心配だ」
勝丸氏も人権への配慮を強調する。
「捜査官が合法的に別人の身分証を持つことができますが、人権保障の観点からは濫用が懸念されると思います。犯罪者側も捜査官が合法的に偽の身分証を持っていることを前提に、新たな手口を必ず繰り出してくるので、警察はそれらへの対応も必要です。また仮想身分捜査の過程で犯罪を助長したり、別の犯罪被害を看過したりしないかが懸念されます」
さまざまな危険もはらむ仮装身分捜査。闇バイト組織と警察との本格的な戦いが静かに幕を開けた。
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(フリーライター 一木 悠造)
花火大会でトイレに並ぶ夫に妻が「どれくらいかかる?」とLINE→既読にならず口論に 妻の肩を殴ったり太ももを蹴ったりした疑いで夫逮捕
26日夜、福岡市東区で開かれた花火大会の会場で妻に対し肩を殴ったり太ももを蹴ったりする暴行を加えたとして、35歳の自称会社員の男が逮捕されました。
男は事件の直前、会場のトイレに並んでいる間に妻から送られたLINEを読んだかどうかで口論になっていました。
暴行の疑いで逮捕されたのは福岡市東区に住む自称会社員の男(35)です。
男は26日午後7時すぎ、東区御島崎の花火大会会場で妻(48)に対し肩を殴ったり太ももを蹴ったりする暴行を加えた疑いが持たれています。
花火大会の観覧客が犯行を目撃し、会場を巡回中の警察官に通報。
警察は男から事情を聞いていたところ、事件に関与した疑いが強まったとして男を逮捕しました。
警察によりますと、男は事件直前、妻と離れて会場内のトイレに並んでいました。
この間、妻がLINEで「どれくらい時間がかかるか」とメッセージを送りましたが既読にならず、男が戻ってくるとメッセージを読んだかどうかで口論になったということです。
取り調べに対し男は「些細なことで口論になり、怒りがおさえきれずこのようなことをしてしまいました」などと話し、容疑を認めているということです。
栃木の東北道上り線で逆走事故、男女3人死亡…正面衝突や渋滞の列に追突
26日午後10時頃、栃木県那須塩原市青木の東北自動車道上り線那須インターチェンジ(IC)―黒磯板室IC間で、逆走した乗用車が対向車と正面衝突するなど計4台が絡む事故があり、男性2人が死亡した。また、この事故による渋滞の列に大型トラックが追突して6台が絡む事故となり、女性1人が死亡した。
県警高速隊によると、この事故で、逆走車を運転していた40歳代とみられる男性と、乗用車を運転していた50歳代とみられる男性が死亡した。追突事故では、乗用車の60歳代とみられる女性が死亡した。ほかにもけが人が複数いるという。
JR横須賀線の線路上で小2男児が電車と接触、頭部骨折の重傷…衣笠―久里浜駅間
26日午後8時55分頃、神奈川県横須賀市公郷町のJR横須賀線衣笠―久里浜駅間の線路内で、電車が、線路上にいた近くの小学2年男児(7)と接触した。男児は頭部骨折の重傷を負ったが、命に別条はない。
横須賀署によると、男児は線路上を歩いており、電車をよけきれなかったとみられる。
付近の踏切から線路内に入ったとみられるという。自宅からいなくなり、母親が探していた。同署が事故の状況を調べている。
参院選の候補者が正式に決まらない…国民民主党「玉木執行部vs参院女子」の熱き内部ドタバタ対立
【永田町番外地】#23
国民民主党が夏の参院選に向け、公認候補の擁立を急いでいる。中でも直近まで「日曜討論」のキャスターを務め、NHKの“顔”ともいわれる牛田茉友(東京選挙区)と元民進党政調会長の菅野志桜里(旧姓・山尾)、元参院議員で格闘家の須藤元気の3人は、その高い知名度を生かした個人票の上乗せを期待できる目玉候補であろう。
ところがどっこい、初顔の牛田はともかく、菅野、須藤については擁立報道直後から既存メディア、ネット民から批判が殺到。とりわけ菅野については、不倫相手の元妻を自殺に追いやった過去が指摘され、それでいて夫婦別姓、LGBT推進、女性の地位権利向上を叫ぶ政治姿勢や人間性が罵詈雑言入り交じり厳しく批判され、これを擁立した国民民主党の体質、不見識まで問われる事態に。
「菅野さんについては、先日の両院議員総会で問題視する声が多く、正式決定を見送りました。特に保守系議員からの反発がすごかったようです」(同党職員)
執行部で一度決めた公認候補者が、所属議員の反発で差し戻しされるというのは、前代未聞の事件だが、先週には、大阪選挙区からの出馬が内定していた元維新の衆院議員、足立康史の擁立が見送りとなっている。
候補者選定基準がよくわからない
「菅野は議員総会で保守系議員に潰されましたが足立擁立は玉木、榛葉の代表、幹事長コンビが主導。ところが、それを党広報委員長を兼務する伊藤孝恵選対委員長代理と舟山康江参院会長が役員会でひっくり返した。知名度や集票力、政策能力なら菅野とは遜色なし。正直いって候補者選定基準がよくわかりません」と、全国紙記者は、足立擁立に異を唱えた伊藤らの判断に首をかしげる。
足立擁立を見送ったのは、維新時代に労組批判をしていたことが理由だという。党職員の一人は「うちの先生たちは連合の支援がなければ勝てませんから、どうしても組合に忖度してしまう。それに足立はバリバリの保守の政策通ですから、夫婦別姓を叫んでいる連合の芳野(友子会長)や参院女子からすれば天敵でもあるのです。玉木も榛葉も女性問題を抱えているから彼女たちには頭が上がらないようです」と裏読みする。
その言を裏付けるように、23日には、円より子衆院議員率いる「男女共同参画推進本部」の会合で、夫婦別姓のあり方をめぐり、婚姻前の旧姓に法的効力を与えるとした玉木代表案が、選択的夫婦別姓を主張する立憲案に歩調を合わせる参院の女子パワーに一蹴されてもいる。
これまで国民民主党は「第2自民党」とヤユされてきたが、立憲との再合流を望む連合に加え、女子パワーが圧倒する参院は第2の立憲民主党化に傾く。参院選の候補者選びで見えてきたのは、国民民主党が結党以来引きずってきた衆参路線対立の根深さだ。(敬称略)
(特命記者X)
消費税「食品ゼロ1年間」を参院選公約に…寄り切られた立憲野田代表の油断ならないバーター懸念
3年超も続く物価高騰対策をめぐり、消費税の減税がようやく現実味を帯びてきた。野党第1党の立憲民主党が「食料品の時限的ゼロ」に舵を切り、与野党の足並みがそろってきたからだ。
主要野党の中で唯一、消費減税に後ろ向きだった立憲が25日の臨時執行役員会で、1年間限定で食料品の消費税率を0%に引き下げ、中低所得者の消費税を実質的に還付する「給付付き税額控除」に移行する案を夏の参院選公約に盛り込むと決定した。経済情勢によって1年間の延長も可能とする。消費減税を主張する党内の2つのグループが勢いづくなど分裂含みで、財政規律派を自任する野田代表が寄り切られた格好だ。
野田氏は役員会後の会見で「民のかまどから煙が立ち行かなくなる、消えてしまう可能性もあり得る」などと庶民に寄りそう姿勢をアピールしていたが、後出しジャンケンの割にはしょっぱい。
日本維新の会は「食品ゼロ」を2年間、国民民主党は時限的な一律5%への引き下げを主張。参院選惨敗にビクビクする自民党の改選組も2年程度をメドに「食品ゼロ」を執行部に求め、連立を組む公明党も類似案を調整している。
野田氏は会見で「赤字国債に頼ることなく、地方財政にも未来世代にも負担を及ぼさないように財源を確保する。これも政調会長に指示した」とも言っていた。これがまた、どうにも油断ならないのだ。
「首相や財務相を歴任し、財務省にからめ捕られた野田代表はゴリゴリの財政規律派。周辺も似たような政治信条の持ち主ばかり。『食品ゼロ』への譲歩と引き換えに、他の品目については税率12%への引き上げを打ち出すのではないか。減税派に警戒感が広がっています。このセンであれば財務省も乗るし、自民党に反対する理由はない。むろん、表に出すのは参院選後でしょう」(野党関係者)
8%の軽減税率が適用されている食料品への課税をゼロにした場合、国と地方の減収はザッと5兆円。一方、消費税1%分は約2兆円だから、2%の増税でおおよそ手当てができる。
野田氏は首相時代、「社会保障と税の一体改革」にこだわって自公と3党合意し、公約にない消費増税方針を決定。自民による政権奪還を許した。三つ子の魂百まで。目の前の暮らしよりも正論か。
トラックと乗用車が正面衝突 30代女性が重傷 いずれかの車両が反対車線にはみ出しか 北海道猿払村
26日夕方、道北の猿払村の国道でトラックと乗用車が正面衝突し、3人がけがをしました。
警察と消防によりますと、26日午後4時半前、猿払村知来別の国道238号線でトラックと乗用車が正面衝突し、双方の車に乗っていたあわせて3人がけがをしました。このうち、乗用車の30代の女性は消防隊の到着時、意識がもうろうとした状態だったということです。女性はその後回復し、命に別状はないということですが太ももの骨を折る重傷です。 現場は、片側1車線の見通しの良い直線道路で、警察は、いずれかの車両が反対車線にはみ出したとみて事故の原因を調べています。