監督から叱責、高2の息子失い10年 今も苦しむ遺族に初の謝罪

野球部監督の叱責が原因で息子を失ってまもなく10年。遺族はなぜ今も苦しまなければならないのか--。
岡山県立岡山操山高校(岡山市中区)で2012年、野球部マネジャーだった2年の男子生徒が自殺した問題で、県教育委員会は5日、岡山市内で生徒の両親と面談し、初めて正式に謝罪した。問題を巡っては21年3月に弁護士などによる第三者委員会が自殺の原因を検証した報告書をまとめたが、両親は「県教委の認識が不十分」として謝罪を受け入れていなかった。その後、3度の面談である程度の説明がされたことから謝罪は受け入れたが、県教委が今後作成する再発防止策については「県教委だけでは適切なものを作れると思えない」として外部有識者など第三者の参加を求めている。
当初は原因「不明」
第三者委の報告書によると、生徒は11年4月に入学し、野球部に入部。監督の男性教諭(45)は部員らに「殺すぞ」などと日常的に暴言を繰り返し、生徒も度々叱責を受け、12年7月に自ら命を絶った。
県教委は当初の調査で自殺の原因を「不明」としたが、両親は独自の聞き取りにより教諭の言動を問題視し、第三者委の設置を要望し18年に調査が始まった。第三者委は報告書で、自殺の原因を「教諭の叱責」と認定し、再発防止策の作成を提言した。
その後両親は関係者の処分と謝罪を求めてきたが県教委から十分な説明が得られず、報道陣に公表する面談を要望。この日を含め3回の面談を重ね、教諭の指導の原因や調査が遅れた理由などについて詳細な説明が得られたことから、ようやく謝罪を受け入れることになった。鍵本芳明教育長は「自殺を防ぐ体制ができていなかったことやその後の調査が遅れたことについて大変申し訳なかった」と謝罪した。
退職者は処分せず
一方、県教委は21年11月に教諭を停職3カ月の懲戒処分とし、当時の教育長ら退職済みの職員は処分せず、謝罪も要請できないとした。これについて両親は「関係者が退職するまで対応が遅くなったのも県教委の責任だ。自ら謝罪を申し出るのが元教師としてのあるべき姿ではないか」と訴えている。
また、生徒が亡くなってから第三者委の調査が始まるまで6年もかかった理由について、この日の面談で県教委は「報道で明るみに出なければ、第三者委員会は設置しなかった可能性もある」との見解を示した。両親は「隠蔽(いんぺい)体質のある組織だと改めて感じた」と指摘する。
こうした一連の対応を踏まえて両親は「不適切な教師の指導を抑止する仕組みはもちろん、不幸にして生徒が自殺した場合には遺族の要望の前に自発的に初期調査や第三者委員会の設置を行ってほしい」と要望。再発防止策の検討段階から第三者の参加を求めているが、鍵本教育長は「今後検討していくが具体的には未定」と答えるにとどまった。【松室花実】
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