ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後、日本国内でロシアの物産品を扱う店や料理店、在日ロシア人への中傷が相次いでいる。被害を受けた関係者は「侵攻に心を痛めているのは、みんな一緒だ」と訴える。(渋谷功太郎、岡本遼太郎)
電話・SNS 嫌がらせ
東京・銀座にあるロシアやウクライナなど旧ソ連地域の食品専門店「赤の広場」。経営するミヤベ・ビクトリアさん(48)はウクライナ南東部のザポリージャ州の出身だ。
ウクライナとロシアにそれぞれ姉がおり、ウクライナの姉はロシア軍が包囲する東部マリウポリで暮らす。3日未明以降、送ったメッセージが既読にならず、夜も眠れない日々を過ごす。ロシアにいる姉も心配しているという。
ビクトリアさんが店を開いたのは約1年前。日本とウクライナやロシアの間の懸け橋になりたいという思いからだった。しかし最近は「プーチン(露大統領)を応援するのか」と嫌がらせの電話がかかってくることもある。ビクトリアさんは「私はただ、それぞれの国の文化を伝えたいだけ。日本で争うようなことはしないでほしい」と願う。
都内のロシア料理店には今月6日、常連客から「ツイッターに、店の名前とウクライナ兵とみられる兵士の遺体の写真が一緒に投稿されている」と連絡があった。投稿はすでに削除されたが、店ではロシア人スタッフも働く。70歳代の日本人男性店主は「スタッフも毎日、侵攻に心を痛めている。すぐにやめてほしいという思いは同じだ」と語る。
2017年に来日し、日本でユーチューバーとして活動するロシア人女性ナスチャさんのチャンネルには、日本語で「ロシアに帰れ」「ロシア人は(活動を)自粛しろ」などのコメントが書き込まれるようになった。ナスチャさんの動画は、日本の観光名所を訪れ、外国人の目線から、その土地の魅力や歴史秘話を日本語で紹介する内容だ。ナスチャさんは「視聴者に元気になってもらおうと投稿していたのに、とても悲しかった」と明かす。
ただ最近は、「応援しています」といった励ましのメッセージも寄せられるように。ナスチャさんは今後も活動を続け、収益を自身も携わる国際交流サイトの運営費に充て、ウクライナ難民の支援などに役立てる。ナスチャさんは「中傷は人を傷つけ、新たな憎しみを生みかねない。今の国際情勢には胸が痛む。みんなで平和のために何が必要なのか冷静に考えることが大切だと思う」と話している。